万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

米企業破綻―日本の再生エネ企業も二の舞に

2011年09月10日 15時54分36秒 | 日本政治
太陽電池企業、中国攻勢で相次ぐ破綻 色あせるオバマ政権の象徴(産経新聞) - goo ニュース
 オバマ政権が、雇用創出の柱に掲げてきた自然エネルギー産業は、中国企業の競争力を前にして、苦戦を強いられているようです。日本国でも、見切り発車の形で再生エネ法が成立しましたが、アメリカと同じ轍を踏む可能性は否定できないと思うのです。

 再生エネ法には、事業者に対して国内製品の使用を義務付けているわけではありませんので、価格競争力から判断しますと、日本企業への発注が増加するとは言い切れません。政府は、本法案の導入に際して、自然エネルギーの導入が拡大すれば、規模の経済が働いて、発電装置のさらなる価格低下が期待できると説明していますが、この価格引き下げ効果は、日本企業ではなく、中国企業においてこそ実現するかもしれないのです。言い換えますと、中国政府の積極的な後押し、比較的低い労働コスト、レアアースへのアクセス、豊富で安価な電力…などを勘案しますと、日本国の政策は、中国製品のさらなる輸出競争力を増す方向に作用すると予測されるのです(一方中国では、現段階の技術力では採算が合わないとして、輸出には力を入れているものの、自国での普及は押さえているとも…)。

 しかも、日本国内では、再生エネの拡大により電力料金はアップしますので、国内製品の競争力は、さらに低下します。さらに国民は、長期間にわたって、コストを負担しなければなりません。アメリカの企業でさえ、経営が成り立たなくなるのですから、日本国政府は、来年7月の施行に際して、こうした事態が発生しないよう、予め手立てを講じておくべきと思うのです。

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コメント (2)
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