万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

産業の空洞化は連鎖失業を招く

2011年09月07日 15時27分11秒 | 日本経済
日銀、追加緩和見送り…政策金利も据え置き(読売新聞) - goo ニュース
 東日本大震災は、製造業におけるサプライチェーンの重要性を再認識させることになりました。チェーンの一部が寸断されたことで、広範囲にわたり、生産に支障をきたすことになったのですから。ところで、この現象は、産業の空洞化がもたらす連鎖的、かつ、広範な失業の発生をも暗示しているのではないかと思うのです。

 新聞紙上などでは、超円高と電力不足への対応として、製造業は海外に譲り、日本国内の産業は、金融、医療、介護、農業、水産業、林業を主力に据えるすべき、との論調が見られます。しかしながら、製造業ほど、すそ野が広く、雇用を生み出す産業分野は他にはないのではないかと思うのです。一つの製品を製造するには、原料、部品、素材…の生産を要するのみならず、運輸、サービス、小売・販売、研究・技術開発…など、様々な職種が関わっています。商社もまた、製造業あっての職種であり、製造業が提供している雇用機会は、計り知れないのです。このことは、製造業の消滅が、サプライチェーンを通して、末端まで失業の連鎖が及ぶことを意味しています。

 雇用が減少すれば、当然に、国民所得も税収も低下しますので、金融、医療、介護だけが栄えるはずはありません。また、狭い国土では、1億3千万人の人口が、第一次産業で生計を立てることは不可能です。政府が、より真剣に産業の空洞化問題に取り組みませんと、近い将来、国民生活を脅かす深刻な事態が発生するのではないかと危惧するのです。

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コメント (19)
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