万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

北朝鮮の張氏粛清は中国分裂の前触れか

2013年12月14日 15時48分20秒 | アジア
北強硬派、正日氏の遺訓で支配(産経新聞) - goo ニュース
 叔父にあたる張成沢元国防副委員長を、”犬にも劣る人間のクズ”として、問答無用で処刑した金正恩氏。北朝鮮という国の恐ろしさをまざまざと見せつけた事件ですが、この事件、中国情勢と連動している可能性がないとは言えないように思えるのです。

 この事件、中国に倣って改革開放路線を北朝鮮にも導入しようとした張氏等の穏健派勢力に対して、金正日体制を維持したい強硬派勢力の軍部が起こした”奇襲クーデタ”とも指摘されています。張氏の罪状の一つが”クーデタの画策”ですので、この説が正しければ、自らの罪を相手方の罪として擦り付けて断罪する、朝鮮半島特有の転嫁戦略を見ることができます。張氏並びに穏健派の粛清によって、中国との関係は冷却化するとの見方もありますが、その一方で、北朝鮮の軍部は、国境を接する中国北部を管轄する瀋陽軍との関係が強いと指摘されています。つまり、首領の地位にある金正恩が軍部の傀儡と化したことは、必ずしも、中国の影響力が低下したことを意味しないかもしれないのです。経済の結びつきは切断されても、軍部同志の関係は強化されるのですから。

 そして中国国内では、ライバル視していた簿煕来氏を排除したとはいえ、習近平主席は、全軍区の人民解放軍を掌握しきれておらず(特に瀋陽軍は独自の動きを見せている…)、胡錦濤派の流れを汲む経済重視派の李克強首相とは、基本路線をめぐり対立関係にあるとも噂されています。北朝鮮の政変は、中国国内で起きている激しい内部抗争が周縁の地で表面化したに過ぎず、中国分裂の前触れなのかもしれないと思うのです。

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コメント (6)
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