万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国市場のルール志向への転換は本物か?

2013年12月21日 15時47分57秒 | アジア
中国経済のバージョンアップを狙う習近平指導部 第18期三中全会の意義と日中関係に及ぼす影響(ダイヤモンド・オンライン) - goo ニュース

 今年の11月に開催された中国の第18期三中全会において、習政権は、”ルールある市場経済”の発展を目指すとする、今後の基本方針を示したそうです。GDP拡大至上主義から脱却し、中国市場に法の支配をもたらすと試み―量から質へ―として期待されていますが、果たして、中国市場のルール志向は、本物なのでしょうか?

 共産主義に基づく一党独裁を国是とする中国では、未だに権力分立は否定されています。改革開放路線に舵を切った小平氏ですら、権力の分立化には断固として認めなかったと伝わります。ところが、中国が、一般の自由主義国家のような”ルールある市場経済”を目指すならば、権力分立の問題は避けて通れません。何故ならば、ルールを制定する機関、ルールの順守を監視する機関、そして争いをルールに照らして解決する機関…のそれぞれに役割を分担させませんと、自由な市場が公正なルールを以って律されることはないからです。中国の現状を見ますと、依然として政治権力を独占する党が優位する状態にあり、ルールは政治的に決定・執行され、司法もまた政治権力から独立してはいません。ルールとは、中国にとりましてはいわば”命令”の概念に近く、”ルールある市場経済”が中国に出現したとしても、それは、他の諸国のものとは異質となる可能性があるのです。

 もっとも、中国が、本気でルール志向を追求するならば、あるいは、権力分立の導入に踏み切る可能性はないわけではありません。しかしながら、権力闘争によるライバル排斥もまた、司法の仮面を被っているところを見ますと、現政権が権力や利権を手放し、法の支配の確立に向けて大胆な制度改革を実行するとは、到底、思えないのです。

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コメント (2)
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