万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

来年は第二次世界大戦の総決算の年に

2013年12月31日 15時48分10秒 | 国際政治
「大戦の過去に誠実に」=靖国参拝で注文―ドイツ(時事通信) - goo ニュース
 安倍首相の靖国神社参拝は、見方によりましては、戦後に封印されていたパンドラの箱を開けた観があります。ドイツの報道官もまた、靖国参拝に反応したコメントを公表したそうですが、来年は、望ましい国際秩序の在り方を問う過程において避けては通れない第二次世界大戦の総決算に着手する年となるかもしれません。

 ドイツ報道官は、”大戦の過去に誠実に”と発言と述べており、批判的な論調ながらも、雲を掴むような表現です。史実としての”大戦の過去”に誠実であれば、これまでのナチス・ドイツ絶対悪論は、若干、見直される可能性もあるからです。そもそも、第二次世界大戦に至るまでのナチス・ドイツを分析しますと、当時のドイツは、内外両面において、国民の関心が高い二つの課題を抱えていました。その一つは、外政としてドイツの復権と、もう一つは、内政としてのユダヤ人問題です。この両者は、ヒトラーの頭の中では密接に結びついていますが(第一次世界大戦の敗北は、ユダヤ人の裏切りによる内部崩壊によると見なした…)、必然的に結合しているわけではありません。ドイツの復権が政治上の課題となったのは、第一次世界大戦のヴェルサイユ講和条約において、戦争の全責任をドイツに押し付けられ、主権的な権限に制限が加えられると共に(軍備制限…)、天文学的な額の賠償金を課されたことにあります。ドイツとしては、もう一度、戦争に訴えなければ、ヴェルサイユ体制を打破できなかったのですから、ヒトラーの主張に賛同する国民が続出したことは理解に難くはありません(敗戦国に対する過酷な対応への不満…)。一方、後者についても、ドイツに同情の余地が全くないわけではありません。ヒトラーは、ユダヤ人がマスコミ等を支配することで、ドイツの伝統や歴史が蔑にされるのみならず、国益をも損なう方向に世論が誘導され、政界や財界にも影響力を行使している状態を、内なる異民族支配の如くに捉えていました。近年、まさしく当時のドイツと同じ状況が日本国にも出現しており、在日韓国・朝鮮人によるマスコミ支配と政治、経済、社会の各方面における影響力の浸透は、日本国民の警戒感を引き起こしています。如何なる国であれ、異民族支配には抵抗するものですので(ユダヤ人は、国籍としてはドイツ人ですが…)、ドイツ国民の多くがヒトラーを支持してしまった理由もまた、理解に難くないのです(異民族支配への反発…)。もちろん、外政におけるゲルマン民族優越主義に基づく領土拡張と他国の従属化を意味する”生存圏”の形成、並びに、内政におけるユダヤ人弾圧と全体主義化は、内外の両課題を解決する方法としては間違っていますが…。

 ナチス・ドイツによる非人道的な行為をも伴う解決方法は批判されるべきですが、その一方で、戦勝国による敗戦国への一方的な責任の押し付け、並びに、異民族支配を全面的に肯定できるのか、というと、そうとは言い切れません。何故ならば、実のところ、これらは、戦後の国際社会において定着した主権平等と民族自決の両原則に反するからです。ナチス・ドイツを全面的に否定することが、同時に主権平等や民族自決をも否定することになるならば、人類は、歴史の教訓に学んだとは言えないように思うのです。大戦の歴史の誠実なる検証こそ、何が正しく、何が間違っていたのかを、人類に語るのではないでしょうか。

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コメント (2)
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