万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国のレアアース独占は人命軽視の結果か

2010年10月16日 16時27分03秒 | 国際経済
「中国の炭鉱は人命軽視」ネット上で批判続出(読売新聞) - goo ニュース
 驚くべきことに、中国では、昨年一年の間に、事故による炭坑労働者の死亡者の数が、2631人にも達しているというのです。これがもし日本国ならば、至急に対処すべき大問題に発展したはずです。

 2631人という数は、炭坑に限った数字のようですが、他の鉱物を採掘する鉱山事故を含めますと、おそらく、この数字を遥かに上回る死傷者を数えているはずです。また、政府当局の発表のことですから、数字を低めに鯖読んでいるのかもしれません。中国の国内ネットでは、チリの落盤事故での救出報道に寄せて、自国の人命軽視を非難する書き込みも続出しているそうですので、安全対策や被害者救出体制が整っていないことは、事実なのでしょう。こうした人命軽視の鉱山経営の結果、廉価な資源採掘が可能となり、レアアース独占に象徴されるように、中国が、国家を挙げて資源戦略を遂行しているとしますと、元安政策のみならず、中国の労働政策もまた、国際社会が是正を求めるべき問題として浮上します。

 中国は、プロレタリアート独裁を標榜した共産主義の国でありながら、労働者の人命が自由主義国よりも軽視されているとは、まことに皮肉なことです。国民の人命を犠牲にした経済成長は、やがて、内外からの批判を受けて、挫折することになるのではないでしょうか。

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ノルウェー制裁―自らの墓穴を掘る中国

2010年10月15日 11時14分37秒 | 国際政治
ノルウェーに「制裁」、中国「誤ったノーベル賞支持」(朝日新聞) - goo ニュース
 中国政府は、劉暁波氏のノーベル平和賞受賞に対して、「誤ったノーベル賞支持」を理由にノルウェーに対して制裁を科すと公言しています。この勢いでは、”一つの中国”への支持を他国に強要しようとしてきたように、あらゆる分野において、自らの政策方針に反する見解を示した諸外国に対して、露骨な制裁を加えてきそうです。

 この中国の強硬な態度は、自らの墓穴を掘ることになったのではないでしょうか。何故ならば、中国が、強大な軍事力と経済力を笠に着て、強硬な制裁措置をとればとるほど、自国が、反平和主義の暴力的な国家であることを、自らの行動で示したことになるからです。それは同時に、現体制を批判した劉氏の平和賞受賞の正当性を証明することに他なりません。中国のリアクションによって、国際社会は、ノーベル賞委員会の判断と受賞の正しさを確信することになったのです。

 隣国中国が、一連の事件を通して反平和主義の国家であることが明るみになった以上、日本国もまた、毅然とした姿勢を貫いたノルウェーを支持し、暴力主義の国とは対峙すべきです。平和主義と法の尊重に根ざした戦後の努力が、中国によって台無しにならないように。

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人命尊重と苦難の克服がチリの評価を上げた

2010年10月14日 15時49分04秒 | 国際政治
「作業員の自分に誇り」=最後に生還、沸き上がる歓声―現場監督ウルスアさん・チリ(時事通信) - goo ニュース
 終に、最後の一人となった現場監督のウルスアさんが救助され、チリの落盤事故で地下に閉じ込められていた作業員33人が全員、70日ぶりに無事に生還しました。

 作業員の奇跡的な生存が確認されて以来、海外メディアも注目し、多くの人々が、救出作業を固唾を飲んで見守ってきました。この事件によって、チリの評価が上がったとしますと、それは、突然の事故発生に際して迅速かつ的確に対応した賢明な作業員と、困難な局面を乗り越えて国民の命を救おうとした政府の強い意志の双方が、人々の自然な共感を呼んだからではないかと思うのです。もし、最初の17日間に、リーダーが誤った行動を採っていたとしたならば、救出を俟たずして多くの作業員が命を落としたかもしれませんし、政府が、最善を尽くさなかったとしましたら、救出作業は長期化し、より深刻な事態を招いたかもしれません。

 危機に際してこそ、人格や人間性が現れると言われますが、想像を絶する苦しさを耐えしのび、官民が手を携えて協力することで、それを見事に乗り越えたことが、さわやかな感動を呼んだのでしょう。翻って、危機には逃げ腰で、場当たり的な対応が目立つ我が国の政府には、国民を危機から救い、困難を克服する度量と信念があるのか、不安な限りなのです。

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劉氏の投獄―中国政府こそ憲法違反

2010年10月13日 16時22分20秒 | 国際政治
「司法制度尊重せず」と反論=平和賞授与で中国(時事通信) - goo ニュース
 劉暁波氏のノーベル平和賞受賞について、中国政府は、中国の司法制度を尊重していない、と反論しているそうです。しかしながら、そもそも、中国政府こそ、自国の法を無視しているのではないでしょうか。

 中国の憲法には、第35条に言論の自由を保障する規定があり、また、第41条には、「中華人民共和国公民は、いかなる国家機関またはその職員に対しても、批評・建議を提出する権利を有し…」と明記されています。憲法の規定に従えば、劉氏の「08憲章」の公表は、何ら法に触れるものではなく、むしろ、中国政府の方が、この”公民の権利”を侵害していることになります。さらに後段には、「国家機関またはその職員により公民の権利を侵害され、そのために損害を受けた者は、法律の規定により、賠償を受ける権利を有する」とあり、憲法は、政府の不当な権利侵害から国民を守ることを想定しているのです。

 最近、中国共産党の元幹部の方も、憲法の規定を挙げて、政府の言論統制に批判的な意見を述べたと報じられています。国際社会のみならず、中国の国内からも、一党独裁を規定した憲法であれ、まずは、憲法を盾に劉氏の釈放を求める声が上がることを期待したいと思うのです。

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対中大同盟の結成を

2010年10月12日 14時41分37秒 | 国際政治
尖閣「関係国の緊密な連携が重要」日米防衛相会談で一致(朝日新聞) - goo ニュース
 民主党政権は、尖閣諸島事件で悪化した日中関係を正常化すべく、中国政府に対して熱心に働き掛けているようです。しかしながら、国際関係の基本であるバランス・オブ・パワーを考えますと、軍事力を背景に、自国の勢力範囲の戦略的拡張を目指している”大国”を野放しにするのは、正気の沙汰とは思えません。

 強大な軍事力を擁した大国、しかも、利己的な行動をとる大国の出現は、全ての国の安全保障と独立にとりまして深刻な脅威です。ヨーロッパの歴史を振り返りますと、神聖ローマ帝国のハプスブルク、フランスのルイ14世とナポレオン、ナチス・ドイツのヒトラー…と、帝国建設の壮大な夢は、何れも包囲網の形成の前に潰えることになりました。軍事的拡張主義には包囲網の形成で抑え込む、これが、軍事・外交の常道なのです。

 にもかかわらず、我が国の民主党政権は、中国の顔色ばかりを伺い、甘い対応がさらなる中国の増長を許しています。採るべき方針は、対中大同盟であり、日米同盟を中心に、東南アジア諸国やインドといった周辺諸国との連携を強め、包囲網を形成すべきなのではないでしょうか。おちおちしていますと、謀略にかかって”中国ブロック”に組み込まれてしまいそうです。

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日本国の名誉のためにビデオの公開を

2010年10月11日 14時20分37秒 | 日本政治
尖閣で中国ネット氾濫 「海保が衝突」既成事実化も(産経新聞) - goo ニュース
 中国のネット上では、尖閣諸島沖での事件は、日本国の海保側に非があると見なし、過激な対日非難が続いているようです。このままでは、長年の反日教育の刷り込みもあって、日本国は、すっかり”悪者”に仕立て上げられそうです。

 この事件、実のところ、中国政府による南京大虐殺の大プロパガンダに共通していると思うのです。確たる証拠もなく、一方的に日本国が悪いと言いたてて、それが、あたかも事実でもあるかの如くに言いふらすのです。今回の事件では、一部始終を撮影したビデオがありますので、日本国側が、自らの潔白を証明することができるのですが、中国に同調して、長年、国内にあって日本国を”悪者”扱いしてきた民主党のことですから、ビデオ公表には消極的です。

 このままでは、国際レベルの冤罪事件、あるいは、名誉毀損事件となりそうです。政府には、国家の名誉を守る義務があるのですから、早急にビデオを公開すべきなのではないでしょうか。

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劉暁波氏こそ愛国無罪に

2010年10月10日 13時41分40秒 | 国際政治
「世界中に『無罪』と言いたい」=平和賞受賞で劉氏の妻(時事通信) - goo ニュース
 今年のノーベル平和賞を受賞した劉暁波氏は、現体制を批判したことが”罪”とされ、政治犯として獄中にあります。中国政府は、罪人にノーベル平和賞とは何事か、と声を荒げていますが、劉氏こそ、愛国無罪となるべきと思うのです。

 中国政府は、常々愛国心から出た行動は、それが違法な行為であったとしても無罪であると主張してきました。劉氏が起草した「08憲章」は、中国が民主的で自由な現代国家へと発展してゆくために必要な改革を説いたものであり、それは、国家としての中国にも、中国国民の利益にもかなっています。冷静に見れば、あらゆる制度には欠点があるのですから、制度改革の議論が、刑罰に処すべき罪となるとは思えません。むしろ、議論を封じることは、国の発展を阻害し、組織疲労と腐敗が起きる原因となるのですから。

 政府の弾圧を考えれば、沈黙は身の安全を意味しますが、危険を冒してまで、言論をもって中国の向かうべき道を説いた劉氏こそ、最大の愛国者であると思うのです。中国政府は、弾圧を恐れぬ劉氏の愛国心を評価し、即刻、劉氏を無罪放免とすべきなのではないでしょうか。真の愛国者を見間違えてはならないと思うのです。

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勇気ある決断をしたノーベル賞委員会にもノーベル平和賞を

2010年10月09日 11時26分13秒 | 国際政治
「大国にひるまず」全会一致…ノーベル賞委員長(読売新聞) - goo ニュース
 中国の言論弾圧を受け、獄中にあった劉暁波氏のノーベル平和賞受賞は、民主化を願う中国の人々に希望をもたららしたに違いありません。そうして、この受賞の陰には、ノーベル賞委員会の勇気ある決断があったことも、忘れてはならないと思うのです。

 中国政府の不当な圧力に屈せず、自らの犠牲をも省みずに民主主義と自由を擁護する姿勢は、劉氏にもノーベル賞委員会にも共通しています。暴力や権力欲が支配する世界よりも、人々が自由に物事を考え、パブリックに公益が論じられる世界、そうして、それが政治的な自由と堅く結びついている世界は、人類にとって望ましいことは論を俟ちません。信念をもって民主化のために尽くす自己犠牲の精神は、人々の心を打つものです。一方、中国政府は、自らの一党独裁体制を維持するために、国民の方を犠牲にしているのです。

 世界中の多くの人々は、不屈の精神を示した劉氏とノーベル賞委員会に対して、賞賛を惜しまないことでしょう。今年のノーベル平和賞は、この両者にこそ捧げられるべきと思うのです。

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中国民主活動家の受賞の行方―選考委員会も脅しに屈するのか

2010年10月08日 11時33分10秒 | 国際政治
中国民主活動家が最有力か=8日発表のノーベル平和賞(時事通信) - goo ニュース
 いよいよ本日、ノーベル平和賞の受賞者が発表されますが、最有力候補とされているのは、中国の民主活動家である劉暁波氏とのことです。ところが、ここでも、中国は、ノルウェー・ノーベル賞委員会を脅しているというのです。

 最近の中国外交は、交渉や話し合いから逸脱した”脅迫”が常態化し、意に沿わない外国に対しては、力でねじ伏せようとする傾向にあります。ノーベル賞の選考も、中国の見境のない介入により政治問題化しつつあり、平和賞そのものが、平和の危機を象徴するかのようです。もし、軍事力を背景に、平和賞が捻じ曲げられ、受賞者が決定されるとするならば、平和賞の意味は、無に等しくなります。そのうち、中国は、胡主席と温首相のダブル受賞を求めるかもしれません。世界平和に貢献したとして…。

 中国の圧力を背景に、平和賞への関心は、誰が平和賞を受賞するか、よりも、ノルウェーのノーベル賞選考委員会が、中国の圧力に抵抗するか、否かに、自ずと焦点が移ってきます。中国政府の弾圧に屈せず、民主化を主張した劉氏を評価した選考委員会が、自らはその政府の圧力に負けるとなりますと、ノーベル平和賞は、平和の破壊者に対して膝を屈することになるのではないでしょうか。

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”戦略的互恵関係”は中国の戦略

2010年10月07日 15時49分06秒 | 国際経済
中国企業の「日本買い」加速=M&A件数、6割増で米国抜く―1~9月(時事通信) - goo ニュース
 尖閣諸島沖で発生した事件で急速に冷え込んだ日中関係は、偶然を装ったブリュッセルでの両首脳の非公式の会談で”戦略的互恵関係”に戻ることが提案されたのの、先行きは不透明です。ところで、両国が合意したとされる”戦略的互恵関係”とは、その実、中国の戦略なのではないかと思うのです。

 かつて、”ジャパン・アズ・ナンバーワン”が流行った頃、日本国との”戦略的互恵関係”を唱えて積極的に歓迎した国はなく、日本国は、国際的圧力の前に、プラザ合意を受け入れざるを得なくなりました。バッシングを受けた理由は、円安政策による意図的な輸出競争力、不十分な市場開放、閉鎖的な商慣行…などであり、不当に競争条件を歪めたとして、厳しく咎められたのです。

 その一方で、何故か、中国の台頭については、”戦略的互恵関係”という言葉に惑わされてか、ジャパン・バッシングほどの激しい反応がありません。80年代の日本国政府の政策よりも、さらに保護主義的で自己中心的な政策を実施していながらです。元安政策、低賃金、閉鎖的な資本市場、国家規制…など、中国側の不公平な政策は数え上げたらきりがありません。

 結局、中国のいう”戦略的互恵主義”とは、自国の利益のみを追求する一国主義の戦略であり、公平な競争条件を欠いては、”互恵”になるはずもありません。不公平な関係のままでの”戦略的互恵関係”など、言葉によるまやかしであり、現実には、日本経済が、中国の成長のための踏み台にされかねないと思うのです。

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尖閣諸島―不可解な棚上げ論

2010年10月06日 14時58分04秒 | アジア
中国の漁業監視船、尖閣諸島近海から姿消す(朝日新聞) - goo ニュース
 しばしば、尖閣諸島問題の説明として、1978年の小平氏の「棚上げ論」が持ち出されます。あたかも、尖閣諸島問題は、両国の間で棚上げの合意ができている、とでも言うかのように。

 しかしながら、日本国政府は、一貫して日中間には領土問題はない、という立場を表明していますので、少なくとも、日本国側は、棚上げに合意したとは考えられません。何故ならば、”棚上げ”とは、問題があることを前提とした表現であるからです。日中平和友好条約に際しては、交渉過程にあって、周恩来氏の”今回は話したくない。…石油が出るから問題になった…”といった発言はありましたが、この周氏の発言をもって棚上げ合意の根拠とするのは、拡大解釈となります(むしろ、中国側の本当の狙いは、天然資源であったことを示している…)。また、小平氏の発言も、記者会見での一方的な発言に過ぎませんので、日本国側の合意を証明するものともなりません。

 尖閣諸島沖から中国の漁船監視船が消えたとするニュースが伝えられていますが、天然資源が埋蔵する可能性が明らかとなった1968年以来、「棚上げ論」の流布をはじめ、着々と既成事実を積み上げ、尖閣諸島に忍び寄ろうとして中国の態度からしますと、簡単に中国が諦めるとも思えません。もし、中国が、本心から尖閣諸島の領有権主張と武力による威嚇が、国際法に反し、他国の権利を侵害する行為であることに気づき、その要求を取り下げた時こそ、真に中国が、法を尊ぶ現代国家に脱皮への第一歩を踏み出した時と言えるのではないかと思うのです。

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民主党政権―ご近所づきあい感覚の対中外交

2010年10月05日 15時45分32秒 | 国際政治
菅首相「やあやあ」という感じ=急きょ日中首脳会談も演出?(時事通信) - goo ニュース
 ASEMが開かれているブリュッセルで、関係悪化著しい日中の両首脳が、飛び入りの会談を持ったと報じられています。もちろん、用意周到な中国のことですから、この会談も偶然を装った演出の可能性が高いと指摘されているのですが、日本国側の意識の低さには、危機感を覚えざるを得ません。

 突然の日中首脳会談も演出説が有力なように、中国側の行動は、全て計算しつくされています。おそらく、尖閣諸島沖での事件もまた、一般の漁民による偶発的な出来事では決してなく、その背後には、尖閣諸島の領有と東シナ海の支配を狙う中国側の深謀遠慮があるはずです。にこやかな温首相の態度は、日本国民の対中感情の悪化や経済への悪影響を考慮した一時的な軟化であり、最終的な目的を放棄したとは思えないのです。

 仙谷官房長官に至っては、中国とは”二千年の付き合いだから、ときどきハレーションも起こる”と発言し、まるで、ご近所づきあいの感覚です。中国には、軍事力に加えて、権謀術数や姦計を駆使して周辺諸国を属国化した歴史があるのですから、中国の覇権主義的な国家戦略こそ、見据えるべきであると思うのです。

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尖閣危機から第三次世界大戦へ

2010年10月04日 17時11分34秒 | 国際政治
首相「尖閣」説明の意向 ASEM 豪・韓・越首脳と会談へ(産経新聞) - goo ニュース
 尖閣諸島沖で起きた事件が、第三次世界大戦を引き起こすかもしれない、と言えば、随分と大げさに聞こえるかもしれません。しかしながら、サラエボの銃声が第一次世界大戦の発端となった事例があるように、このシナリオは100%あり得ない、とは言い切れないのです。

 尖閣諸島の危機が第三次世界大戦へと至る過程とは、以下の通りです。もし、中国が、尖閣諸島に武力で侵攻した場合、日米同盟が発動され、同島の奪回作戦が展開されます。この時には、NATOや中国と関係強化を深めているロシアは、静観しているかもしれません。しかしながら、もし、中国が、攻撃範囲を拡大し、アメリカの軍隊や基地、あるいは、米国本土を攻撃した場合には、集団的自衛権が発動され、NATOが参戦する可能性が格段に高まります。NATOが参戦するとなりますと、状況次第では、ロシア、イラン、北朝鮮といった諸国が動くかもしれないのです。

 昨晩、菅首相は、ASEMに出席するためにベルギーのブリュッセルに向かったそうです。尖閣諸島事件の影響は、もしかしますと、NATOにも及ぶかもしれないのですから、首相は、中国側の不当性を訴えるためにも、ビデオの公開も含め、EU側に対して
詳細を説明すべきと思うのです。

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経済の相互依存論はチャイナ・リスクを隠す

2010年10月03日 14時38分36秒 | 国際経済
インタビュー:中国も大国としての責任を=仙谷官房長官(トムソンロイター) - goo ニュース
 尖閣諸島の危機による日中間の対立激化を受けて、経済に悪影響を与えるとして、関係改善を求める声も聞かれます。その理由として、中国との経済的な相互依存関係が挙げられていますが、一人勝ちを目指す中国の態度を見る限り、相互依存関係は成立していないと思うのです。

 中国の元安政策に業を煮やしたアメリカ議会が、ついに中国に対する制裁法を成立させたように、中国の台頭は、必ずしも貿易相手国の利益とはなっていません。日本国の企業も、13億の市場に幻惑されつつも、実際には、雇用の流出や安価な中国製品との競争に苦しんでいます。雇用の流出は、即、国民所得にも跳ね返りますので、購買力の低下とデフレに歯止めがかからないのです。

 もし、中国が、自国通貨安、低賃金政策、利己的通商政策、外資規制…を継続するならば、中国は、公平性を無視し、ルール違反を繰り返す市場の無法者でしかありません。政治と経済両面において、今や、中国は、危機の震源地になりつつあります。相互依存論を持ち出してリスクを隠すよりも、正面から中国に圧力をかけ、このリスクの排除に努めるべきと思うのです。

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日中パワーバランス―現状維持の盲点

2010年10月02日 14時19分23秒 | 国際政治
思いやり予算「米に言われる筋合いない」 防衛相反発(朝日新聞) - goo ニュース
 尖閣沖事件のショックによって、ようやく眠っていた日本国民の目も覚め、 中国の軍事的な脅威に気づいたようです。その一方で、世論調査によりますと、防衛力の強化や日米同盟の深化については、依然として、現状維持を望んでいる人が多いそうなのです。しかしながら、この”現状維持”には、盲点があると思うのです。

 現状維持の盲点とは、ある国が、一方的に軍拡を続けている場合、自国の軍事力の規模をそのままのレベルに維持しても、両国間のパワーバランスの方は、現状維持とはならない、というものです。相手国と自国との間の軍事力の差は広がり、パワーバランスは、相手国優位に大きく傾くのです。つまり、力関係のほうは、大きく変化してしまうのです。パワーバランスにおいて現状を維持しようとすれば、相手の軍事力の伸びに比例して、自国の軍事力を増強しなければならないのです。

 このことは、これまでの予算規模では、真の意味での”現状維持”はできない、ということを意味しています。世論調査の設問が、曖昧であることにも問題がありますが、誰も、これ以上、中国の軍事的脅威が増すことを望んではいないはずです。日本国政府は、中国を抑止するためにこそ、防衛費増額と日米同盟強化の方向に舵を切るべきではないかと思うのです。 

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