自宅から1時間くらいクルマで走って、国道165線が布引山地を上ります。ピークに達すると、青山トンネルがあります。
10台くらいで連なっての峠越えだったので、前の車だけに注意してウネウネと走っていました。
「自分は今、伊賀市を通って滋賀県に行こうとしている。大阪人の感覚としては(私だけ?)三重に行くなら近鉄で東へ、滋賀に行くならJRで北東へ、全く方角が違います。
その(気分だけは大阪人の?)私が、伊賀を通って、甲賀を通って、滋賀・京都に行こうとしている。何だか不思議、とかなんとか、トンネル抜けながら思っていたようです。
でも、私は大阪人ではないし、三重県に住んでいるし、伊賀を通って滋賀に出る道は当たり前です。移動の手段は、JRの時もあるけど、たいていはクルマで県境を越えていく。滋賀から三重県にお勤めの人だってたくさんいるようです。
当たり前のことを、さも自分の大発見のように思いつつ、いつの間にか貴生川にたどり着き、サクラを求めて京都に出た。
賀茂川べりを歩いていたら、サクラがいっぱいで、太陽も降り注ぎ、あんなに珍しかったサクラもどういうことはなくなって、ただキレイね! というだけになりました。
せっかく咲いてあげたのに、なんだよ、その態度の急変は!
サクラは私の移り気にあきれたことでしょう。
上賀茂神社にたどり着きました。鳥居越しにサクラがのぞいています。
ピンクや、白いの、しだれているの、小さくチョンモリとしているもの、いろいろあります。
古くからの信仰を守っているような盛り砂がありました。前にもこんなのあったろうか。今回初めての発見という気がしましたが、ずっと前からあったのかもしれません。
お参りは、いつものようにお願いのような、自己主張のような、あれこれないまぜのお祈りをして、さて後は、すぐき漬けを買って帰ろう、という気分になりました。
……なりたさんで買いました!
もうサクラは見させてもらったし、お参りもしたし、お寺はもう行かなくてもいいし、ただ帰りの電車で本でも読みたいなと、京阪三条のブックオフに行き、あれこれ悩んだ末に、
文藝春秋のエッセイの本を一冊買いました。
三条あたりの鴨川べりは、たくさん人が出ていて、いい陽気です。
高瀬川あたり、河原町通りに近いところのサクラは、外国の人たちもたくさん来ていて、それはもうまるでお祭り騒ぎです。夜にはもっと華やかなんだと思われます。
そんな春の陽気をたくさん味わって、私はふたたび三重県にもどるため、貴生川へと電車を乗り継いで行ったのであります。