らびおがゆく Vol.3

山形県を中心とした演奏活動等

ヴィオラ Vol.3

2007年08月02日 00時28分58秒 | ヴィオラ
 「何かヴィオラの曲演奏してもらえますか?みんなが知っているやつお願いします。」
ごくたまにそんなお仕事をもらうときがある。

 しかしほぼ100パーセントその仕事は断ってしまう。

(ノ`△´)ノ ~ *~●ポイッ

 なぜなら一般の人が知っている(多少クラシックに詳しい人でも)ヴィオラのオリジナルの曲はないからだ。

 もちろんバロック~古典派~ロマン派~近代~現代にかけて、無伴奏から協奏曲、ピアノとのソナタ、小品など沢山の作品があるのだが、その作品群は、ヴィオラを弾く人やヴィオラを特に好きな人以外には全然知られていないのである。

 これはヴィオラを勉強しはじめた人にも影響があって、CDや楽譜なども捜す「こつ」を知らないと見つからない。
捜すこつを知らなかった学生時代は相当苦労した。

( ̄(エ) ̄”) ピクピク

 そんな仕事の時、他のヴィオラ奏者の人は、何を演奏するのだろう?

バッハ?
それならヴァイオリン奏者かチェロ奏者に仕事頼んで・・・。

ブラームス?
ピアノ奏者から苦情がきそう・・・・。

思い切ってヒンデミット?
クライアントがどんびき!!間違いない。

可能な限り、他の楽器のレパートリーの編曲ものはしたくない。
さてはて?どうしたものか。


ヴィオラ奏者に一番恩恵を与えている作曲家は誰であろう?

 「20世紀最高の作曲家は誰?」みたいな記事がよく「音楽の友」「レコード芸術」などに載っていた。大抵上位にくるのは、B.バルトーク・D.ショスタコーヴィチ・I.ストラヴィンスキー・R.シュトラウス・C.ドビュッシー・武満徹など。少しマニアックな方はA.シュニトケなんてあげるかも知れない。
しかしヴィオラ奏者の私には、

  ヒンデミットPaul.Hindemith(1895.11.16-1963.12.28)

              しか考えられない。

 驚異的な多作家だった彼は、交響曲(番号が無いが実は8曲!!)、管弦楽曲、協奏曲、室内楽曲、声楽曲、オペラ、映画音楽などさまざまなジャンルに曲を残した。オーケストラの楽器は大抵演奏出来たようで、弦楽器や木管、金管楽器などのために貴重な協奏曲やソナタを書いた。中でも自身名手と言われたヴィオラの曲は多い。
・無伴奏ヴィオラソナタOp.11-5
・無伴奏ヴィオラソナタOp.25-1
・無伴奏ヴィオラソナタOp.31-4
・無伴奏ヴィオラソナタ1937
・ヴィオラとピアノのためのソナタOp.11-4
・ヴィオラとピアノのためのソナタOp.25-4
・ヴィオラとピアノのためのソナタ1939
・ヴィオラとチェロのための二重奏曲1934
・ピアノ、ヴィオラとヘッケルホーン(Sax)のための三重奏曲Op.47
・弦楽三重奏曲や弦楽四重奏曲多数。など

~協奏曲的なものとして~
・室内音楽第5番Op.36-4
・ヴィオラと大室内管弦楽のための協奏音楽Op.48
・白鳥を焼く男1935
*漏れているものがあるかも・・。

 ヴィオラ奏者はヒンデミットに足を向けて寝られない。
私の師匠U.Koch氏からは、彼の逸話をレッスン中によく聞かされた。より親しみをおぼえる作曲家である。

写真は今井信子氏のCDジャケット
コメント
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