らびおがゆく Vol.3

山形県を中心とした演奏活動等

ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第3番 二長調 Op.18-3

2011年02月17日 23時59分25秒 | クァルテット
 いよいよ山形Q第3回庄内定期演奏会が迫ってきました。

 本番まであとちょっとですが、少しだけこの曲について書いておきます。

 1792年にベートーヴェンは家族の住む故郷~ボンを離れてハイドンに作曲を習うためにウィーンに単身向かいました。この地で、音楽家達の有名なパトロンであるロプコヴィツ伯に出会います。ハイドンのOp.77(1799)の弦楽四重奏曲2曲もロプコヴィツ伯に献呈されて「ロプコヴィツ四重奏曲」と言われています。ベートーヴェンも彼と出会う事で(援助を受けると言うこと)、本格的な作曲活動に入りました。

 このOp.18の6曲からなる弦楽四重奏曲は、ロプコヴィツ伯に献呈されています。1798年から作曲に着手されたと考えられていて、番号こそ第3番になっていますが、ベートーヴェンが一番最初に書いた弦楽四重奏曲です。出版する時に全6曲は入念に校訂されて、アドバイスのもと第3番とされました。

 ハイドンなどの先輩達の影響を受けていると云われ、(確かにそういえば・・・)第1楽章の冒頭の部分などハイドンの「日の出」に雰囲気が似てなくもありません。7度上行で始まる第1主題が10小節の変則的な形をとっていて、先人達とは違う息の長いフレーズをつくりオリジナリティを実験しています。

 第2楽章もモーツァルトのハイドンセットのどの曲かの第2楽章になっていてもおかしくありません。第3楽章が明らかにハイドンのスケルツォの楽章から影響を受けている感じがします。

 第4楽章は6/8なのに不思議な譜割になっていて、聴いていて釈然としない冒頭の部分、ベートーヴェン特有の短いモティーフが各楽器で受け渡されてゆく奏者泣かせの部分の原型が早くも出てきます。後にラズモフスキー四重奏曲などにももっと困難な形で出てきます。本当にベートーヴェンでアンサンブルが一番難しい所かも知れません。

 最後は盛り上がって終わりを迎えますが、晩年頃みたいに終止がしつこくありません。若いベートーヴェンはあっさりと「これで終わりなの?」という終止を書いています。

 オリジナル性が薄いと云われる第3番ですが、私はかなり好きな曲です。まだ頑固さが出ていなくて、若さ溢れる曲想がとても良いと思っています。


 このOp.18の6曲を書き終わってからいよいよ交響曲第1番 ハ長調 Op.21が登場します。

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