廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

Charlie Rouse の名演

2014年05月05日 | Jazz LP
先のブラウニーのブルーノート盤は2枚の10インチをカップリングして12インチが作られていますが、その中の1枚はジジ・グライスや
チャーリー・ラウズとのセクステットでした。 このセッションではジジ・グライスの強い音は印象に残るのですが、チャーリー・ラウズは
まったく記憶に残りません。 いいテナーを吹くのですが、複数管の中にいるとなぜかこの人の演奏や音は埋没してしまう。
だから、この人を聴きたい時は盤を選ぶ必要があります。

コレクターにはEpic盤が人気ですが、メジャーレーベルのせいかその内容は音楽的な深みのない平易なもので、ワンホーンで録音がいいにも
関わらず、聴いても何の満足感も得られません。 モンクのコンボで長く演奏していて音楽的な知見は深い人だったはずだと思いますが、
まあ、単にレーベルの意向だったのでしょう。 

私がこの人の魅力が爆発しているなあ、と感じるのはこの盤です。



Duke Jordan / Les Liasons Dangereuses ( Charlie Parker Records PLP-813 )


デューク・ジョーダンが映画「危険な関係」のために作った楽曲だけで占められた傑作。 楽曲はどれも最高、演奏も100点満点なのに
完全に駄盤扱いとなっている本当に不幸なレコードです。 デューク・ジョーダンという人は、本当に幸運から見放された人。
チープなジャケットのせいですね、きっと。

でも、ここでのラウズのテナーは本当に素晴らしくて、重心の低さといい、音のかすれ具合といい、曲想を活かしたタメの効いたフレーズといい、
ただただ聴き惚れるしかない。 特にB面が素晴らしくて、これは何十年聴いても飽きません。 The Feeling Of Love という曲の2つの
ヴァージョンで締めくくられますが、この曲のバラードヴァージョンでのラウズが最高です。 ブレイキーとバルネがフォンタナ盤で
録音した時は Prelude In Blue というタイトルでしたが、The Feelin Of Love のほうが名前としては曲に合っています。

このアルバムのもう1つの魅力は、Sonny Cohn のトランペットが聴けることです。 モダンのレコードでは滅多に見かけない人ですが、
ここでの演奏は素晴らしい。 シカゴ・ジャズの重鎮ですが、古いジャズの奏法を屈指しながらも伸びやかで輝かしい音で吹き切っています。

この愛聴盤が、いつの日かもっと評価されることを願って止みません。 こだわって溝ありのオリジナルのきれいなのを探しましたが、
それでも1,000円でした。 内容と値段は本当に連動しません。




コメント (2)
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