廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

連休明けのボケた頭で (2)

2014年05月11日 | Jazz CD
新宿ジャズ館に到着しましたが、レコード館のほうはロクな在庫がないことが初めからわかっているので、CD館へ直行です。

平日の午後、新宿でジャズのレコードを探すことほど楽しいことは本来他になかったはずですが、現在はそれなりのレコードはすべてセールに
廻されてしまい、新入荷コーナーを見る愉しみは砂漠に埋もれた古代文明のように跡形もなく消えてしまいまいた。 

先月レコード館にいた時、若いバイト君が新しいレコードのまとまった束を大事そうに抱えて奥から出てきて新入荷コーナーに補充しようとしていると、
通路をウロウロしていたこの店舗の店長さんが「それは今度やる廃盤セールに廻せばいいんだから、奥に戻しといて」と不機嫌そうに指示していました。
若いバイト君はせっかく補充してくれようとしていたレコードの束を慌てて抱え直して奥へと戻って行きました。 
やれやれ、もう平日にこの店舗に来る意味はないんだなあ、と私は悲しい思いでエレベーターのボタンを押したのでした。

CD館の2Fではピアノトリオ特集をやっていましたが、私はまったく興味がないのでそこは飛ばして、壁側の棚に新設された新入荷コーナーを
順番に物色しました。 探している途中、今日はいいのがありそうだなというのが何となくわかることがあったりするものですが、この日は
そういう予感もなく気だるく時間は流れ、それでも辛うじて1枚だけ拾い上げました。



Norris Turney / Big Sweet N' Blue ( Mapleshade 02632 )


ジョニー・ホッジスの後任としてエリントン楽団に加入した人で、1993年、72歳の時に録音したワンホーンの快作。
ホッジスを思わせるビッグトーンでゆったりと気持ちよさそうに吹いていきます。 Jimmy Cobbの参加が嬉しい。
どれもいい出来ですが、中でも Here's That Rainey Day や Blood Count が名演です。 このメイプルシェードというレーベルは
とてもいい音でこれも嬉しい。 他にもいろいろカタログがあるようなので、中古で出会うことを愉しみに待ちましょう。

2Fにはレジの前の棚に廃盤コーナーがあり、お高いCDがいろいろ置いてあります。 さすがに何万円もするようなものはもう見かけませんが、
価格の高騰はもう落ち着いたのか、それともそういうのはすぐ売れてしまうだけなのか、よくわかりません。 でも、そういうのをじっと
眺めてみても、欲しいという気持ちに一向になりません。 まあ知識が無くてありがたみがよくわからないし、中身もよく知らないから
なんだろうと思いますが、値段が高いから欲しくなるということもない自分にホッとひと安心します。


中古のほうはこれで切り上げて、1Fの新品フロアへ。 冬の間はいろいろ新作の発売も多く、毎週のようにおもしろそうなのが見つかりましたが、
この時期は一休みという感じです。 なので、大手レーベルが過去の廃盤になっている地味な良作を低価格で再発するシリーズに注目しています。
今回はこれを買いました。



Arthur Taylor / Mr.A.T. ( Enja / ソリッドレコード CDSOL-6529 )


これ、大当たりでした。 見事にど直球のハードバップで、びっくりするくらい演奏レベルが高いです。 Abraham Burtonがアルトで
参加しているのでこれを目当てに買ったのですが、テナーとの2管クィンテットという構成も素晴らしい。 御大アート・テイラーも
さすがにもう誰にも遠慮することなく、好き勝手に弾けています。 昔は大物たちの後ろでひたすら地道に趣味の良いリズムを刻んでいた人ですが、
もはや伝説の巨人ですもんね。 それに、このCDは音が抜群にいい。 ドラマーのリーダー作には、いい音盤が多いです。
やっぱり、日頃のサポートへの感謝を込めてなのか、フロント陣が頑張った演奏をすることが多いんだろうと思います。 愛、ですね。


なかなかうまくいかないレコード漁りとは対照的に、CD漁りはこの日も楽しく終わったのでした。 しかし、消費税アップの影響で、
中古CDの値段も一円単位の端数価格になり出しました。 これがちょっと面倒ですね。



コメント (2)
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