Curtis Fuller / Bone & Bari ( Blue Note 1572 )
このレコード、実は名盤です。 地味なのであまりクローズアップされませんが、こんなに親しみ易くまとめられたハードバップは珍しい。
ブルーノートの音楽にはいくつかの側面がありますが、これはクール・ストラッティンに代表される「わかりやすい」部門の一角を占める
レコードです。
一応、カーティス・フラーのリーダー作となっていますが、バリトンのテイト・ヒューストンのクセのない透き通った音色の素晴らしさが
この2管の絡みを絶妙なものにしているし、フラーの音階の正確さやタンギングの完璧さ、フレーズのスピード感や音の張りの強さは
他のレーベルのレコードでは聴けない凄みがあります。
でも、一番の功労は何と言ってもソニー・クラーク。 とにかく全編をこの人のピアノの蒼くくすんだトーンが支配していて、これがこのアルバムを
特別なものしています。 ソニー・クラークのリーダー作としてもよかったのでは、と思うくらいです。 "Heart And Soul" でのイントロは
シングルトーンの跳ね方やメロディーの崩し方がこれ以上はないくらい上手く、主題メロディーへ最高の橋渡しをしています。 ジャズピアニスト
としてこれほど真っ当に仕事を果たしているものはなかなか他では見られない。 こういう細部へのこだわりの無数の積み上げがこのレーベルの
演奏を他のレーベルから大きく引き離しているのであって、何もRVGの録音だけの問題ではないはずです。
全体のまとまりの良さと各個人の演奏力の素晴らしさの両立が凄くて、かなりのリハーサルを経ての録音だったんだろうと思います。
録音の全容を聴いてみたいなあと思わせられます。