廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

中古漁りは不調

2015年03月28日 | Jazz CD
今週も中古CD漁りは成果なし。 どうもDU新宿ジャズ館は中古の回転が悪いです。 カウンターのバックヤードには整理されていない在庫が
たくさん放置されているような感じがします。 以前と比べて、ちょっと雰囲気が変わりました。 いつ行っても新着は同じ顔ぶれで、
徒労に終わる日々が続きます。 なので、少し前に買ったものの中から少し。





■ Art Farmer / 処女航海  ( Columbia Music Entertainment COCB-53476 )

アート・ファーマーの全作品の中で私が最も好きな作品。 佐藤允彦、ロン・カーター、ジャック・デ・ジョネットのリズム隊に加えて、
バックをストリングス・オーケストラで固めた傑作。 軽く見られがちな作品ですが、とんでもない、これは最高に素晴らしい逸品です。

とにかく佐藤允彦のオケのスコアが絶品です。 野心的なところは一切なく、わかりやすい音楽に仕上げています。
叙情的で、感傷的で、少し苦味もあって、本人のピアノやフェンダーローズも粒立ちの良い綺麗な音でアクセントをつけます。
ジャケットのイメージ通りの音楽です。

アート・ファーマーのフリューゲルホーンも霞がかった素晴らしい音色で、原曲のメロディーを大事にしたフレーズを丁寧に紡いでおり、
この人の叙情性が最高に発揮された傑作だと思います。 1989年の録音で、最初に発売された当時からずっと愛聴してきましたが、
まったく飽きません。 この紙ジャケ・リマスター盤は音がとても良く、長い間探していました。

アート・ファーマーのことを一番理解していたのはきっと日本人だったんじゃないでしょうか。 外国人アーティストの日本制作ものが
嫌いな私ですが、この人の場合だけは別です。


■ Peter Brotzmann / A Fish Stinks From The Head ( BRO-F )

こちらは新品で購入。 2013年にドラムスのポール・ニルセン・ラヴとのデュオ録音。

怪獣ブロッツマンも近年の録音での演奏はすっかり枯れて、若い頃とは趣の違う音楽になっています。 当然と言えば当然ですが、フリージャズの
新しい扉を開いて生涯その道を歩いてきた人の演奏の変遷を見ていると、いろいろと感じるものがあります。

年に2~3枚のペースでアルバムを出してきた人なので、中には「ちょっとこれは・・・」という録音も当然あって、それは近年の録音になるほど
顕著なのですが、これはそういう空振り感を払拭する素晴らしい出来です。 

ドラムスが元気で手数の多い演奏を繰り広げる上を、ブロッツマンは上手く波乗りするかのように吹いていきます。 この人はこうして
共演者の熱の度合いに感応していくタイプなんだなと思います。 共演者が熱くなればなるほど、自分の中のヴォルテージも上がっていく。
ここでは激しいだけではなく円熟したなめらかさのようなものもあり、気が付くと2回3回とリピートして聴いていることもしばしば。
これは好きな作品になりました。

ジャケットデザインは緑色のものと青色のものの2種類がありますが、どちらも内容は同じです。 配色のバランスとしては緑のほうが
よかったのでこちらを買いましたが、内容が気に入ったので青色のほうも欲しくなってきました。



コメント
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