廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

ケニー・バレルの真骨頂

2015年03月08日 | Jazz LP (Verve)

Kenny Burrell / Night Song  ( 独 Verve V6-8751 )


1968年ニューヨークのスタジオでドン・セベスキーの編曲・指揮でオーケストラが伴奏する曲が4曲、バレルのソロ演奏が1曲、ロン・カーター、
リチャード・ワイアンズとのカルテットが4曲。 オケには、J.J.、アービー・グリーン、ジェローム・リチャードソンなど大物が参加する
豪華な内容ですが、セベスキーは元々トロンボーン奏者なのでこのオケもトロンボーンの布陣がやけに分厚いのがおもしろい。

セベスキーやクリード・テイラーらが推し進めたこういう路線がジャズをダメにした元凶だとする向きもあるんでしょうが、当時としては
新鮮なサウンドとして歓迎されたんだろうと思います。 フリーの台頭やメインストリーム側の混乱でジャズという音楽自体が進むべき方向を
見失っていた時代に産み落とされた鬼っ子だったわけで、この壮大なサウンドの中に小さく芽吹いていたポップスの感覚をやがてはフュージョンが
拾い上げていくのですから、音楽というのはすべてが繋がっているなあと思います。

そんな中でケニー・バレルは全編気持ちよく弾きまくっています。 ギター小僧が聴いたら悶絶するようなフレーズの連発。
ああ、こんな風に弾けたらどんなにいいだろう、と溜め息をつきながら聴くことになるでしょう。

バレルのすらっと細くきれいな指から産み出されるギブソンのフルアコの音色が美しい。 ジャズのアルバムでは珍しいことです。
カルテットで演奏される "いそしぎ" や "Night Hawk" には聴き惚れてしまいます。

米国盤のジャケットは濃灰の単色なのでデザインがよくわからないものですが、こちらは独グラモフォン社がMGMからライセンスを受けて
発売した盤です。 ジャケットの色調が明るくラミネートコーティングされていて質感が高いし、DGGプレスなので音質も良好です。




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