Curtis Fuller / Boss Of The Soul-Stream Trombone ( 米 Warwick W 2038 )
大体いつもミドルクラスとして転がっているレコードで、普段から特に熱心にこの人を聴いている訳でもないから長らくスルーしていた1枚だったが、この1か月は
あまりに中古の出が悪く空振りが続くので拾ってみたら、これが意外にも良い内容で驚いた。
このアルバムは、その音楽性の良さで聴かせる作品だ。 アフロ・キューバンな曲があったり、望郷的なスロー・バラードがあったり、と多様な曲調が上手く
配置されていて、カーティス・フラーが引き出しの多いミュージシャンだったんだなということがよくわかる。 J.J.がエスタブリッシュメントとして大手のレーベルしか
相手にしなかったせいでトロンボーンの席が空いていたから引き合いが多かったのかと思っていたけど、案外こういう柔軟な音楽性を発揮したから
いろんなところから声が掛かっていたというのが実態だったのかもしれない。 これを聴いて、ちょっと見直した。
ユーゼフ・ラティーフやフレディ・ハバードも出しゃばらずに控えめなサポートを徹底していて、3管の割にはサウンドが静かですっきりとしているのもいい。
ウォルター・ビショップも趣味の良さとハード・ドライヴィングを両立させた上手いピアノを弾いている。 全体のサウンドが筋のいいハードバップに纏まっていて、
これは極めて良質な内容だと思う。
J.J.ジョンソンのトロンボーンは本当に上手くて、この人は別格だなといつも思うけど、レコードに関してだけ言えばつまらないものが多く、我々マニアには
親しみにくい存在だが、カーティス・フラーはその逆で、演奏自体はイマイチだけどレコードに関しては良いものがたくさん残っている。 それだけ地に足の着いた
音楽をやることができたということなのかもしれない。 その中でも、これは特に強く印象に残る1枚と言っていい。 他の高額な盤を無理して買わなくても、
手頃な価格で手に入るこれを聴けばこの人の良さは十分に楽しめる。