Miles Davis, John Coltrane / Final Tour : Copenhargen, March 24, 1960 ( 日 Suny Music Japan International SIJP68 )
こういうレコードがいろいろ発売されるのは、私のようなカモがいるからだ。 聴く前からどういう感じかは容易に想像出来るし、聴いてみても結局は
その想像の確からしさをただ確認するだけでしかない。 でも、だからと言って、聴かずに済ますこともできない。 生産的ではないからと言って、
意味がないと切り捨ててはいけないものだってあるのだ。
コルトレーンがマイルス・バンドを去る直前の最後の欧州ツアーでの演奏は様々な形で音源が出回っているので、ここで聴ける音楽的な内容については特に
目新しいものはない。 成長したコルトレーンがバンドのスタイルからはみ出すようになってきていて、楽曲ともミスマッチな感じになってきている。
こうやって聴いていると、マイルスの音楽のある種の清潔さがよくわかる気がする。 コルトレーンの音や演奏には濁りがあって、そこがマイルスの澄んだ
音楽とは相容れない。 離別の時が来たのである。
音質は良好だ。 正規録音と比べても何の遜色もない。 ライヴ特有の空間を感じるような音場感ではないけれど、楽器の音がクリアで聴いていて気持ちいい。
最近のアナログ・レコードの品質の高さを実感する仕上がりだと思う。
ただ、この1枚だけではどうにも物足りない。 どうして全音源をレコードで出さないのかはよくわからないが、これではあまりに喰い足りない。
CDを買うしかないのかなあ、やっぱり。 大手レーベルにありがちな、こういう販売形態のちぐはぐなところは疑問が残る。 貴重な音源なんだし、
演奏の素晴らしさは文句なしなんだから、あたりまえの販売形態にしてもらいたいと思う。 レコードの需要があるのはわかりきっているはず。