廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

1年待ったレコード

2014年09月14日 | Jazz LP (Riverside)

Art Blakey's Jazz Messengers / Ugetsu  ( Riverside RM 464 )


やっと入手できました、"雨月"。 別に稀少でもなんでもないのに、きれいなものが意外に見当たらない。 1年近く待ったかもしれません。
でも、待った甲斐がありました。 お値段も格安で、3,200円。

ジャズ・メッセンジャーズでは2番目に好きなレコードです。 ショーター時代の新しい芽吹きを感じる素晴らしい演奏です。
音楽的頂点を迎えたこの3管セクステットはスタジオ録音では張り詰めた緊張感と最高のテンションで突っ走る演奏をしていましたが、
このバードランドでのライヴはとてもリラックスしていて、それでいて3管のきれいなハーモニーも冴えわたっています。

御大から釘を刺されていたのか、ハバードはすごく控えめに抑えたプレイをしていますが、これがとてもいい。 フラーはハーモニーの要として
とても効いているし、ショーターのテナーも若々しくて瑞々しくて、別人のようです。 本当に楽しそうに演奏してる様子が伝わってきます。

楽曲の良さも光っていて、ショーター作の"One By One"やシダー・ウォルトン作の"Ugetsu"、フラーの"Time Off"など親しみやすいメロディーを持った
曲が並んでいるのも嬉しい。 この頃はモードに移行した時期で、などと言われてそれだけで敬遠されているとしたらこれほど残念なことはない。 
若いメンバーたちがこぞっていい曲を持ち寄ったのがこの時期の最大の特徴で、ここでの音楽の魅力に気が付けばもう1500番台やゴルソン/モーガン時代
のレコードなんて聴いてられなくなります。 シダー・ウォルトンのピアノの響きも印象的で、ビル・エヴァンスがマイルスの音楽を変えた時と同じような
役割を果たしていると思います。

スレのないきれいなジャケットのお蔭でステージでの楽しそうな様子がよくわかります。 ショーターの笑顔が全てを物語っています。




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2 コメント

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Unknown (松葉蘭)
2014-12-15 09:22:39
私にとっても、J.M.で一番頻度高く聴いたレコードです。
昨年、ラズウェル細木氏の本をきっかけに、ショーター入りのJ.M.三管時代を集めて聴きまして、「Free for All」等々素晴らしい曲、演奏にも多く出会うことが叶いましたが、学生時代よく聴いたこのレコード以上のものはありませんでした。
ライブのレコードが好きなこともありますが、楽曲良し演奏の雰囲気も良し、フロントが素晴らしいのは言わずもがな、私はこのレコードでシダーウォルトンという素晴らしいピアニストを知り及びました。
ルネさんの、JMベストはどれなのか、興味を惹きます。
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Unknown (ルネ)
2014-12-16 00:50:19
私のJMのベストは、"Mosaic BLP-4090" です。 もう、これがダントツですね。
"Free For All" も好きですけど、演奏はモザイクよりも激しくてカッコいいんですが、楽曲がちょっととっ散らかっているような気がして、その点、モザイクは楽曲が魅力的過ぎます。
先日発売された75周年記念盤CDの音がすごく良くて、もうしょっちゅうこればっかり聴いています。 
ただ、この”雨月”も噛み砕いたわかりやすいモード感が心地良くて、時々無性に聴きたくなるんですね。
まあ、この3管時代はどれを聴いても素晴らしいです。 ちょっと、次元が違うような気がしますね、それ以前のメンバーたちの演奏と比べても。
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