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Ahmad Jamal / Chamber Music Of The New Jazz ( 米 Argo Creative No.602 )
マイルスとの件を引き合いに出されなければ語られることがないように、実はあまりきちんとこの人自身の音楽が語られることは少ない。 そもそも、
現在に至るまでの膨大な数のアルバムをちゃんと聴いている人なんてほとんどいないのではないだろうか。 50年代に残されたアーゴやエピックの
レコードを少し摘まんで、そこで終わり。 私の場合はもっとひどくて、エピックの作品すら聴いたことがないし、これからも聴く気にはなれないだろう。
はっきり言って、つまらないのだ。 このアルバムは "New Rhumba" が名曲だから辛うじて手許に残っているだけで、聴くときも1曲目が終わったら
後は惰性でA面が終わるまで流して、それで棚にしまってしまう。
ドラムレスにギターが加わったトリオ形式だが、レイ・クロフォードのホーンライクなギターが実質的には演奏をリードする建付けとなっていて、ジャマルの
ピアノはオブリガートに回る比率が高い。 確かにこの人のピアノは黒人ジャズピアノらしくない清潔感の高いきれいな音で、奏でる旋律もバップからは
解放されていて、ハービーやキースの演奏を先取りしているようなところがある。 マイルスが惚れたのはそういう新鮮な感覚に対してであったのに、
ああいう風に弾け、と言われたガーランドは少し誤解していたんじゃないかと思う。 私がジャマルを聴いたのはマイルス・コンボを聴いた後だったが
(多くの人がそうだろう)、ガーランドと比べてみて、なんだ、全然違うじゃないか、と思ったものだ。
私の知る限りではトリオ形式にこだわり、ホーン奏者などの録音に客演することはなかったようだが、そういう頑なに保守的な態度が明らかにこの人の
音楽的な発展を阻害していて、作品をつまらないものにしてしまっている。 せっかく他の人にはない優れた感覚と確かな技術があるのに、それを生かそう
とする姿勢がなかったのは残念だし、これでは芸術家とはとても呼べない。
このレコードはパロット・レーベルがオリジナルなので、このアーゴ盤はセカンドレーベル・リリースになる。 パロットは1952年に設立されて1956年に
倒産したシカゴのマイナーレーベルで、SPやEPで主にブルースのレコードを細々とリリースしていた。 たまに見かけるパロット盤のほうはどれも状態が悪く、
買う気になれない。 まあ、内容も内容なので、安いアーゴ盤で十分である。