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Kenny Drew / I Love Jerome Kern ( 米 Riverside RLP 12-811 )
RLP 12-811 という番号から、おそらくこの音源はリヴァーサイドではなく、傍系のジャドソン (JUDSON) からリリースする予定だったのでは
ないかと思う。同じくウィルバー・ウェアのベースとのデュオだし、作曲家シリーズという企画内容からも、それは容易に想像がつく。
ジャケット・デザインにしても、まったく同じ系統だ。レーベル・コンセプトがまだ十分に整理されていないレーベル初期のリリースなので、
こういう混乱が起こったのだろう。
演奏内容もまったく同じ系統で、真摯なジャズではなく、イージーリスニング志向のもので、特にそれ以上でもそれ以下でもない。
聴いても毒にも薬にもならない感じで、このレーベルの他の作品と同じような感動を求めても、それはここにはない。
ただ、それはケニー・ドリューがどうこうという話ではなく、あくまでもアルバム制作の目的がそういうものだった、ということで、
このアルバムを以ってこの人の才能云々を語ることは、当然ながら間違っている。こういうBGMとしてのジャズをやらせたら、
この人は一流の仕事をする、ということなのである。職業音楽家である以上、こういう仕事だって時にはこなす必要はあっただろう。
このあたりから白レーベルのフラットとグルーヴガードが混在するようになる。こういう仕様が混在する番号の盤はどちらがオリジナルか
という話になりがちだが、そういう話ではなく、仕様の切り替えが行われた端境期に当たっていたので両方の盤が混在しているだけだと思う。
生産ラインを止められないモノ作りの現場には普通にあることだ。マトリクスは同じで、音には何も差はない。
同じケニー・ドリューの "This Is New" 、ズート・シムズの "ZOOT !" 、セロニアス・モンクの "Brilliant Corners" なんかもそうだ。
コレクターはこだわるけれど、音楽を聴く上では何も関係のない話。気にする必要はないだろうと思う。