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Rossy & Kanan Quartet / BUD (Swit Records B07CZSTVX8) Tadd & Thad (Swit Records 8427702900308)
Jorg Rossyのヴィブラフォン、Michael Kananらのピアノ・トリオによるソング・ブック・シリーズで、他にガーシュイン、H.アーレンの
ものも出ているが、それらはアレンジ先行であまり面白くないので、この2枚だけ手許に残した。
非常に素直でオーソドックスな演奏で、好感度の高い内容だ。落ち着いた佇まいで、人のいない小さな美術館の清潔な部屋の中にいるような
気分になる。バップ期のジャズ・メンが作ったオリジナル曲のエッセンスを漏らさず、センスよく纏めた演奏が見事だが、特にパウエルの
楽曲集が秀でた内容だ。
考えてみるに、パウエルの楽曲だけをこうして集めたアルバムというのはこれまでなかったのではないか。そして、パウエルがこんなにも
たくさんの楽曲を書いていて、且つそのどれもが非常に高いクオリティーだったということに改めて感嘆の念を覚える。
この着眼点に感心させられる。
ピアニストは最初はクラシックから入るので概ね音楽の素養がしっかりしている人が多いが、パウエルも例外ではなかった。
モダン・ジャズ・ピアノの開祖としてその演奏方法にばかり称賛が集まるが、パウエルはそのフレーズがメロディアスなところが
実は良くて、それが人々の心を掴むのだ。だから、彼がこういう魅力的な楽曲群を創ったのは当然だったのかもしれない。
"Dusk In Sandi" なんてジャズの曲とはとても思えないし、"I'll keep Loving You" の抒情感もがさつなビ・バッパーの姿には重ならない。
私は "Tempus Fugit" が1番好きな曲だが、ここでの演奏は静かでクールな解釈で、とてもいい。
モンクなんかと同じで、こうして楽曲単位でその魅力を語れるところがパウエルのもう1つの凄さなんだろう。
この見事なアルバムは、それを改めて教えてくれる。もう1つのダメロンとサドの方も、同じように出色の出来で素晴らしい。