廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

ホッジスとストレイホーン

2016年04月09日 | Jazz LP (Verve)

Johnny Hodges With Billy Strayhorn And The Orchestra  ( 米 Verve V-8452 )


ジョニー・ホッジスばかりが目立つことなく、オーケストラと上手く調和したトータルサウンドで聴かせる。 楽器種別には主要メンバーが構えており、
そこへハワード・マギーやジミー・ジョーンズらが加わって色を添える。 ストレイホーンはアレンジャーに徹している。

ストレイホーンのアレンジはエリントンのそれと比較すると、もっときめ細かく音の帯域もやや狭めだ。 エリントンがやる大きく飛翔するような高揚感
はやや影を潜めるけれど、音使いやフレージングはエリントンそのもので、秘技伝承された唯一の愛弟子らしく見事なスコアを書いてる。

ブリッと身の締まった粒立ちのいいサックス群のハーモニーの快楽度は他のビッグバンドには求められないし、懐深く大きくゆったりと振れる様は何にも
代え難い。 エリントンの作り上げた音楽の凄さを思い知らされる。

惜しいのは、各楽曲の尺の短さ。 ラジオでかかることを前提にしているのか、どの曲も息を止めて一筆書きしたような感じで少し物足りない。 
せっかく素晴らしい演奏なのに、音楽を堪能する一歩手前で終わってしまう。 まあ、元々が単純な構造の音楽だから、長々とやると飽きる人が出てくる
ことを懸念してのことかもしれないけれど、私としてはもっとがっつりと聴きたいのでここは残念なところだ。

録音も素晴らしく、再生空間の隅々にまでいっぱい拡がる大きな音場を作る感じでこれがとてもいい。 ビッグバンドの良さを全身で感じることができる。
ホッジスのアルトの名演を聴くのに相応しい盤はもっと他にあるかもしれないが、エリントンのいないエリントン楽団が如何にもエリントンらしい音楽を
やっているというところが素晴らしい1枚。



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