Curtis Fuller / Jazz Conference Abroad ( 米 Smash SRS 67034 )
1961年3月、カーティス・フラーはクインシー・ジョーンズのビッグバンドと共にスイスへ演奏旅行に出かけた。2週間の滞在は大成功だったが、
チューリッヒでのある晩のコンサートが終わった後にバンドのメンバー数名がコンサート・ホールに残ってレコーティングしたのが、このアルバム
になる。一聴するとライヴ録音のように聴こえるが、観客は帰った後なので、拍手や歓声はなく単なるホール録音ということになるが、収録数が
足りなかったのか、"Stolen Moments" だけはライヴ音源が使われいる。
熱いライヴの余韻が残った中での録音だったせいか、非常に生き生きとして躍動感のある演奏が圧巻。綺羅星のごとく豪華なメンバー10名による
ジャム・セッション形式の演奏で、テーマ部の合奏が終わると順番にソロを回していくが、これが全員素晴らしい演奏に終始していて圧倒される。
中でも、フィル・ウッズ、フレディー・ハバードの演奏が群を抜いている。2人とも音量が豊かで楽器の音がきれいなので、こういう多数の中でも
圧倒的に目立つ。吹きまくっている、という表現が相応しいくらい、思う存分吹いてる。
タイトルに "Ambassadors" という言葉が使われているように、このツアーはジャズ未開の地だった欧州へジャズを紹介する意味もあったのだろう。
メンバーたちにはそういう意識に裏打ちされた自負と熱い想いがあったかのような、素晴らしい演奏だ。カーティス・フラーがリーダー扱いされて
いるのも、当時の彼の業界の中での位置付けを物語っている。このアルバムにはそういういろんな背景が透けて見える。
大きなホールでの録音だったようで、ホールトーンがリッチに響く高音質な録音も素晴らしい。このレコードを聴いて最初にヤラれるのはこの
音の良さだろう。スイスには元々クラシック音楽の環境がきちんと整っているので、おそらくそれがよかったのだろうと思う。
こんなに素晴らしいレコードなのに、盤もジャケットも新品同様で500円で転がっていた。定番の大名盤の値段は青天井で値段が高騰していく一方
で、こういう本当にいいレコードは益々忘れ去られていく。
この盤、ハバード、フラーを斜め後ろから撮ったジャケのオランダ・フィリップス盤で持っており愛聴盤の一枚です。中でも”Stolen Momentsでのハバードのソロは絶品ですね。もっと紹介、聴かれていい作品と思います。
PHILIPS盤って珍しいんじゃないでしょうか。私、現物を見たことないような気がします。きっと音がいいんだろうなあと想像います。
フレディのソロは長尺ですよね、冷静と情熱の間的な圧巻のソロです。やはり、この人はうまいですね。
アメリカのジャズメンの底力の凄さを見せつけるすごい演奏のオンパレード、素晴らしいです。