Moe Koffman / The "Shefferd" Swings Again ( 米 Jubilee JGM 1074 )
カナダのマルチ・リード奏者のモー・コフマンの最高傑作はおそらくこれ。ロクに相手にされない人で、そもそもレコードが出回らないから実態が
よくわからないけど、メインがフルートというせいもあるかもしれないが、それにしてもあんまりだと思う。これも確かワンコインだったと思う。
ピアノレスでエド・ビッカードを含むカナダ人リズムセクションをバックに、A面はフルート、B面はアルト、の各々ワン・ホーンで臨んでおり、
ゆったりとしたミドル・テンポ以下の演奏が圧倒的に素晴らしい。フルートの音色は太く奥行きがあって美しく落ち着いているし、アルトは
レニー・ハンブロのようになめらかで清らか。旋律はよく歌っていて陰影のつけ方もうまく、聴いていてうっとりとさせられる。
カナダのジャズにはアメリカのように常に変化を求めるような性急さは見られず、割とのんびりとしていたんじゃないだろうか。
そう思わせるようなゆったりと穏やかに流れていくような雰囲気があり、全体的に上質な音楽となっている。
ジュビリーのレコードはJLP規格で青レーベルがオリジナルと言われているが、私がこれまで聴いてきたタイトルはどれもJGM規格の
黒レーベルのほうが盤の材質が固くて重く、音もずっといい。だから、この黒レーベルのほうを狙って拾うようにしている。
このアルバムも音質は非常によく、ひんやりとした空気感の中で楽器がクリアに鳴っている。このレーベルの中では特に好きな1枚だ。