だって見たいんだもん!

映画と共に生きてきた私。大好きな映画と芝居と絵画をメモします。

青と赤のピカソ

2008-09-30 21:17:27 | 展覧会
画家の人生を描いた映画は、結構あります。ホセ・ファーラーがロートレックを演じた「赤い風車」(52)、カーク・ダグラスの「炎の人ゴッホ」(56)、ジェラール・フィリップがモリジアーニを演じた「モンパルナスの灯」(58)、チャールトン・ヘストンがミケランジェロを演じた「華麗なる激情」(64)

ジェフリー・ライトの「バスキア」(96)、クラウス・マリア・ブランダーの「レンブラントへの贈り物」(99)、エド・ハリスの「ポロック 2人だけのアトリエ」(00)、サルマ・ハエックの「フリーダ」(02)、コリン・ファースの「真珠の耳飾りの少女」(03)、ジョン・マルコヴィッチの「クリムト」(06)、マーティン・フリーマン主演「レンブラントの夜警」(07)

そして、ステラン・スカルスガルドの「宮廷画家ゴヤは見た」(06)など、たくさん!忘れてはいけないのが、アンソニー・ホプキンス主演の「サバイビング・ピカソ」(96)。演ずるのは、スペインの偉大なる画家ピカソ。ホプキンスは、外見から入る俳優で、もう~そっくり!

パブロ・ピカソは、1881年10月25日スペインのマラガ出身の画家・彫刻家・芸術家。フランスで制作活動し、その作品はおよそ13,500点の油絵・素描、10万点の版画、34,000点の挿絵、300点の彫刻・陶器…と膨大。制作にも女性にも、情熱的だったのですね。

“史上空前の回顧展が2つの美術館で同時開催!”と興奮のコピーで紹介の展覧会が、「巨匠ピカソ」です。サントリー美術館での「巨匠ピカソ 魂のポートレート」と、国立新美術館での「巨匠ピカソ 愛と創造の軌跡」の2つ。

ピカソは、青の時代、バラ色の時代、アフリカ彫刻の時代、キュビスムの時代、新古典主義時代、そしてシュルレアリスムへと変化するのです。サントリー美術館には、約60点。国立新美術館には、約170点。91年(1973年4月8日没)の人生を一気に見れるのです!
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赤壁の戦いを知る!

2008-09-28 20:23:08 | 映画
製作・脚本・監督ジョン・ウー。「ウインドトーカーズ」(02)「ペイチェック 消された記憶」(03)以来、久々の監督作品で、しかもアメリカ・中国・日本・台湾・韓国の合作。145分の歴史劇。舞台は“三国志”の中の物語“赤壁”。

レッドクリフ」(08)は、中国が国家プロジェクトして取り組み、監督自身が10億もの私財を注ぎ込んで追加撮影までしたという超大作。18年来、この映画への構想を練って来たという監督の情熱溢れる映画です。

三国志はとても壮大な物語で、未読の私には全容を語ることはできませんが、川本喜八郎創作のNHK人形劇『三国志』(1982~84年)や、横山光輝作のまんが『三国志』などで少しは親しんでいました。小説には、吉川英治、柴田錬三郎、陳舜臣、北方謙三作品など多数あり。

西暦208年。丞相(じょうしょう:現在の首相)の位についた曹操(チャン・フォンイー)は、巨大な帝国の支配者。西への勢力を伸ばすため、数々の戦いを制してきました。戦艦2000隻、兵士80万人。圧倒的な兵力にも関わらず、降伏を拒むのは劉備(ユウ・ヨン)と孫権(チャン・チェン)。

連合軍を組む2人には、それぞれ優秀な人材がいました。孫権軍には、人徳の司令官・周瑜(トニー・レオン)が。劉備軍には、知略の軍師・諸葛孔明(金城武)が。両軍の総力は、兵士わずか5万人。いかにして80万の曹操軍と戦うのか?

予告編で見ても分かるように、その凄まじい“赤壁の戦い”のシーンには思わず絶句…。すごい。製作費100億円の威力!?それにしても、ジョン・ウーらしいキャスティングにうれしくなってしまいます。

トニー・レオンは、「ワイルド・ブリット」(90)「ハード・ボイルド/新・男たちの挽歌」(92)に続く3作目のジョン・ウー作品主演。金城武とは、「傷だらけの男たち」(06)に続く共演。チャン・フォンイーは、「さらば、わが愛/覇王別姫」(93)や「始皇帝暗殺」(98)に出演。

他に周瑜の臣下:甘興(かんこう)に日本から、 中村獅童。周瑜の妻:小喬(しょうきょう)に、台湾のリン・チーリン。また孫権の妹:尚香(しょうこう)に、中国のヴィッキー・チャオ。劉備軍の名将:関羽に、モンゴルのバーサンジャプ。そして豪傑:張飛に、中国のザン・ジンシェン。

ハリウッド映画ではない、ジョン・ウー作品。期待は高まります!
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思い出のさくらんぼ

2008-09-26 22:10:49 | 映画
チャン・イーモウは中国を代表する監督。今年8月北京オリンピックの開会式・閉会式をプロデュースしたことでも、その才能、その信頼の大きさが分かるというもの。1999年9月、紫禁城で上演されたオペラ『トゥーランドット』の演出も担当。私はDVDで見ましたが、そりゃ~すごい!なにがって、あれが。

そのチャン・イーモウのやさしい目線で描かれた作品に、「あの子を探して」と「初恋のきた道」(99)があります。チャン・ツィイー主演の「初恋のきた道」の脚本を書いたのが、パオ・シーです。1959年生まれのシーの2作目が、「さくらんぼ 母ときた道」(07)。

監督はチャン・ジャーペイ。1957年生まれの監督のデビュー作は、「歌舞伎町案内人」(04)という日本映画。未見です。映画のスタッフはあまり馴染みがないですが、予告編を見るとジワ~っと感動してしまいます。

1980年代雲南省。美しく緑豊かな棚田がどこまでも続く農村で、知的障害を持つ桜桃:インタウ(ミャオ・プゥ)は、足の不自由な葛望:グォワン(トゥオ・グゥオチュワン)と結婚します。貧しくてもお互いを支え合って暮らして行く2人。

ある夜、些細なことでケンカをしたグォワンは、インタウを追い出してしまいます。暗い夜道でインタウは、1人の女の赤ちゃんを見つけます。家に連れ帰り、紅紅(ホンホン)と名付けられた赤ちゃんは、インタウの生きがいになります。

いつもどこでもインタウについて回る、ホンホン。甘いさくらんぼを探してくれる、やさしい母インタウ。やがて小学校に通うようになると、ホンホン(ロン・リー)は気付いてしまいます。自分の母が他のお母さんと違うことを…。学校で同級生たちに囃し立てられ、母を恥ずかしく思った時…。

もう、どこでついて回る幼子の時が終わったのです。誰もが通過するその時も、ホンホンの場合は違いました。果たして、インタウとホンホンの2人は運命は?

インタウを演じるミャオ・プゥは、「鳳凰 わが愛」(07)のヒロインを演じました。ホンホン役のロン・リーは1000人以上の候補者から選ばれた少女。チャン・ツィイーのような女優になるのでしょうか。また中国映画から、感動の作品が生まれました。
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市村ザザ、見納め!

2008-09-25 21:08:50 | 演劇
ジャン・ポワレ原作の笑劇「ラ・カージュ・オ・フォール」は、1973年フランスで舞台化され、1980年まで上演を続けパリ演劇史上最長のロングランを記録したそうです。

このストレートプレイ版、日本では1981年サンシャシン劇場で上演。出演は宝田明、金田龍之介、演出は美輪明宏さん。未見。残念。

この“籠の中の道化たち”は1978年「Mr.レディMr.マダム」として、映画化。楽しかった~!エドゥアール・モリナロ監督のフランス/イタリア映画でした。ウーゴ・トニャッツィとミシェル・セローのコンビは、大当たりし「Mr.レディMr.マダム2」(80)「ウエディングベル/Mr.レディMr.マダム3」(86)とシリーズ化。「バードケージ」(96)もリメイクです。

1983年ミュージカル化され、8月21日ブロードウェイのパレス劇場で初演。翌84年にはトニー賞受賞。脚本:ハーベイ・ファイアスタイン、製作:アラン・カー、演出:アーサー・ロレンツ、作詞・作曲:ジェリー・ハーマン、オリジナル振付:スコット・サーモン。ジョルジュ役はジーン・バリー、アルバン役はジョージ・ハーン。

ちなみに脚本のハーベイ・ファイアスタインは、1954年6月6日ブルックリン生まれの自他共に認めるゲイ人。いえ、才人。自身の舞台を映画化した「トーチソング・トリロジー」(88)にも出演。「ミセス・ダウト」(93)「インデペンデンス・デイ」(96)「おまけつき新婚生活」(03)のガラガラ声の大柄な女性、いえ男性です。

日本のミュージカル版は1985年から。初演のキャストはアルバン:近藤正臣、ジョルジュ:岡田真澄、アンヌ:遥くらら、ジャン・ミッシェル:金田賢一、ジャコブ:蟇目亮、フランシス:水木誠一、ジャクリーヌ:秋川リサ、ダンドン議員:上條恒彦、ダンドン夫人:森 公美子、ムッシュ・ルノー:友竹正則。

初演を見ている私は、これを書きながら懐かしくてたまりません!その後、細川俊之→岡田真澄、毬谷友子→床嶋佳子、川崎麻世→西川忠志、真矢武、 野垣真実生、上月晃→草笛光子、加藤武…と交代しながら繰り返し上演。

この冬、「ラ・カージュ・オ・フォール」が帰ってきます。1993年からアルバンことザザ役を演じてきた市村正親さん最後の舞台になります。ジョルジュは鹿賀丈史、ダントン議員は今井清隆、ダントン夫人は森久美子(初演からず~っと)、ジャクリーヌは香寿たつき。

ハンナ役の真島茂樹さんは今では超有名人ですが、初演からひときわ際立って綺麗でした!メルセデス、シャンタル、デルマ、クロクロ、ロシン、オデット、モニク、フェードラ、ニコル、ビデル、アンジェリクにも早く会いたい!
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あなたの時給は?

2008-09-24 22:07:08 | 映画
北京オリンピックの成功の影でいろいろな問題を抱える、巨大国家、中国。1949年、中国共産党によって建国された“中華人民共和国”が正式国名。大きな国面積のため、歴史も複雑で現在の私たちにとってはよくわからないのが現実。

その点、映画ファンはいろいろな映画を見ることで、知識も豊富(?)。とはいえ、知らないこともいっぱい!この映画も、そんな知られざる中国の現実を教えてくれます。「女工哀歌(エレジー)」(05)、監督はミカ・X(エックス)・ペレド。知らないです。スイス人だそうです。

この映画はドキュメンタリーです。その題材は、ジーンズ。そう!私たちの大好きな、そして現代を代表する衣服の必須アイテム“ジーンズ”です。Gパン、デニムとも呼びますね。ジーンズの生い立ちも調べると面白いのですが、今日は映画もお話を。

世界の衣料品の80%を生産する、中国。徹底したコスト削減と技術力の向上により“世界の工場”となった、中国。その実態を探るため監督は、ある工場で働く10代の少女たちの日常生活に密着。主人公は、四川省の農村出身の16歳のジャスミン・リーという少女。

ジャスミンのように家計を助けるため都会に出稼ぎに出る人たちは、現在、全人口の10%程の約1億3000万人に上ります。す、すごい!しかし彼女たちの職場環境は、私たちには想像もできないほど過酷。

工場で1ヶ月に作られるジーンズは、9~10万枚!1日平均約3000枚。労働時間は1日18時間。時給は、わずか0.5元(約7.8円)。月給は、200元~500元(3,120円~7,800円)。2段ベットに12人が住む部屋。食事もお湯さえも有料…。

低賃金、長時間労働、児童就労…日本では絶対無理な労働条件。バイヤーは、1本たったの4ドル10で仕入れるという場面があります。そして日本の若者は、1本2万、3万もするデニムにお金を払う時代。ありえない…。

わずかな給料でさえ、給料日に支払われない現実。洋服大好き!ジーンズ大好き!な私も含めて、こういう映画で今何が起きているのか、知るべきなのですね。
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どの土曜日?

2008-09-23 17:41:56 | 映画
静かにヒットを続けている、ロシア版「12人の怒れる男」(07)。160分の大作で、見応えたっぷり!オリジナルの「十二人の怒れる男」(57)とは一味違う演出で、出演もしているのはニキータ・ミハルコフ。オリジナルにない最後の展開は、現代ロシアの抱える問題が込められていました。

レジナルド・ローズの原作を映画化したオリジナルの監督は、シドニー・ルメット。1924年6月25日フィラデルフィア出身。このデビュー作後、「未知への飛行」「質屋」(64)「セルピコ」(73)「狼たちの午後」(75)「ネットワーク」(76)「評決」(82)「NY検事局」(97)「グロリア」(99)と、常に社会派ドラマを製作。

現在84歳のルメット、監督45作目は「その土曜日、7時58分」(07)。NYで会計士をしているアンディ(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、美しい妻のシーナ(マリサ・トメイ)とマンハッタンのアパートメント暮らし。周囲からは羨ましがられるアンディも、実はドラッグに溺れ、会社の金を横領…。

弟のハンク(イーサン・ホーク)は、離婚した妻のマーサ(エイミー・ライアン)から娘の養育費遅延を責め立てられています。兄のアンディは国税庁の調査が入ることを知り、ハンクに強盗を持ちかけます。2人ともお金がいる…、軽い気持ちで犯罪に手を染めてしまう兄弟。

それは、両親が経営する宝石店。その土曜日、7時58分。誰も傷つけるはずではなかったその強盗計画は、たったひとつも間違いから脆くも崩れてしまいます。果たして、その間違いとは?兄弟の人生の行方は?

父親チャールズ役に「プロヴァンスの贈りもの」(06)のアルバート・フィニー、母親ナネット役に「スパイダーマン」(02)シリーズのローズマリー・ハリス。オスカー俳優フィリップ・シーモア・ホフマンの熱演に期待です。それにしても豪華なキャスティング。

ルメット作品お気に入りの1本が、「オリエント急行殺人事件」(74)。アルバート・フィニーがポワロ役。懐かしい。
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生きがいを見つけよう!

2008-09-20 21:42:15 | 映画
かつて学生の頃、学校で手芸の時間に刺繍を習いました。あの頃は結構、刺繍をやったものですが、今ではまったくと言っていいほど刺繍とは無縁…。フランス映画「クレールの刺繍」(03)を見た時も、そんな事を思い出していましたっけ。

スイスから、刺繍の映画がやって来ます。「マルタのやさしい刺繍」(06)、監督はベティナ・オベルリ。スイスの映画人は全然わからない私ですが、予告編を見てとっ~ても見たくなりました。主人公は80歳の老女、マルタ・ヨースト(シュテファニー・グラーザー)。

スイスのトループという小さな村に暮らすマルタは、最愛の夫に先立たれて9ヶ月。生きる気力を失い、習慣だった日曜日の教会にも行かなくなり…。心配したのは友だちのリージ(ハイジ・マリア・グリョスナー)、フリーダ(アンネマリー・デュリンガー)、ハンニ(モニカ・グブザー)たち。

3人は、合唱団の破れた旗の修理を依頼しに来ました。マルタは若い頃刺繍が得意で、何かすることで悲しみを忘れさせようと思ったのです。ベルンの町の布屋に出かけると、マルタはあることを思い出します!

それは若かりし頃の夢、自分のデザインしたランジェリー・ショップを開くこと。美しい刺繍を施したランジェリーは、いくつになって女性の憧れ。マルタは、友だちと一緒に雑貨店をランジェリー・ショップに変えて、オープンさせようと頑張ります!

友だちも、それぞれ悩みを抱えています。長年の思い込みで、自分はアメリカに住んでいたと信じているリージ。老人ホームにいるフリーダ。息子によって、体が不自由になった夫をホームに入れられそうなハンニ。みんなの夢になったショップ・オープンも、保守的な村では簡単にはいかないのでした。

マルタの息子で村の牧師ヴァルター(ハンスベーター・ミュラー=ドロサート)は、セクシーな下着なんてとんでもない!と、立ち退きを要求!どうするマルタ!?どうなるランジェリー・ショップ!?

監督のオベルリは、1972年ユングフラウ地方・インターラーケン生まれの女流監督。女性の視線で描く、おばあちゃんたちの映画。劇中に出てくるランジェリーたちの刺繍の素晴らしさ、美しさはうっとり。80歳を過ぎて生きる喜びが見つかるなんて!まだまだ、頑張らねば。
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消された“真実”

2008-09-18 21:43:12 | 映画
大好きな映画監督の1人に、ブライアン・デ・パルマがいます。1940年9月11日(!)ニュージャージー州ニューアーク生まれ。「ロバート・デ・ニーロの ブルーマンハッタン」シリーズ「黄昏のニューヨーク」(68)と「哀愁の摩天楼」(70)の後、「悪魔のシスター」(73)で一躍人気獲得。

「ファントム・オブ・パラダイス」(74)「愛のメモリー」「キャリー」(76)「フューリー」(78)「殺しのドレス」(80)「ミッドナイトクロス」(81)「スカーフェイス」(83)「ボディ・ダブル」(84)「アンタッチャブル」(87)と、快調にヒット作を飛ばします。どれも好き!

その後もブルース・ウイリスの「虚栄のかがり火」(90)、ジョン・リスゴーの「レイジング・ケイン」(82)、ショーン・ペンの「カリートの道」(83)、トム・クルーズの「ミッション:インポッシブル」(96)、ニコラス・ケイジの「スネーク・アイズ」(98)と、ますます快調。

2000年代になっても「ミッション・トゥ・マーズ」(00)「ファム・ファタール」(02)「ブラック・ダリア」(06)と、60代の今も映画に対する情熱は変わりません。製作本数が減ってはいても、なんのまだまだ!

ベトナム戦争当時、実際に起きた事件を描いた「カジュアリティーズ」(89)。戦争の狂気の裏に正義はあるのかと衝撃的な映像と共に、観客に問いかけています。そして今、終わりの見えないイラク戦争。

デ・パルマ監督の最新作は、「リダクテッド 真実の価値」(07)。“リダクテッド”とは、編集済みの意味。文書や映像で告訴に繋がる可能性のある部分を、削除したもののこと。黒塗りの文書や、ピー音のある映像、モザイクのかかった映像などがそれ。

この映画は、有名スターが出演していません。兵士が撮影したプライベート・ビデオの映像という形を取っていて、でもドキュメンタリーではないのです。フィクショナル・ドキュメンタリー。現地の映像のすべてを組み合わせて、ある“物語”を伝えています。

フランスが撮ったドキュメンタリーや、数々のTVニュース、従軍記者の撮った映像、テログループによるネット映像、YouTube、軍の監視映像など…。映像のデ・パルマ監督が訴えたいことを、感じ取るのは私たちです。
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アン・ブーリンとメアリー・ブーリン

2008-09-17 22:00:49 | 映画
「1000日のアン」(69)をご覧になりました?「失われた地平線」(73)や「真夜中の向う側」(77)を監督したチャールズ・ジャロット、初監督作品でした。16世紀初めの英国王ヘンリー8世と愛人アンの物語。国王をリチャード・バートン、アンをジュヌヴィエーヴ・ビジョルド、王妃をイレーネ・パパスが演じていました。

アン・ブーリンは、ケイト・ブランシェット主演の「エリザベス」(98)で有名な、エリザベス1世(ヴァージンクィーン)の母。英国王室の相関図はとっても複雑~。なぜなら同じ名前が多いのと、○世というような名前がたくさんなので…。当時としては、重厚な歴史劇で大いに堪能しました。

ブーリン家の姉妹」(08)の監督は、俳優出身のジャスティン・チャドウィック。「1000日のアン」と違うのは、アンとメアリーの2人の姉妹の物語。

ヘンリー8世(エリック・バナ)の子供は、1509年に結婚したスペインのキャスリン王妃が産んだ、王女メアリー1世のみ。世継ぎとなる男子を望む国王は、新たな愛人を求めていました。富と権力を求めるトーマス・ブーリン(マーク・ライランス)は、娘のアン(ナタリー・ポートマン)を差し出します。

実は妹メアリー(スカーレット・ヨハンソン)は、姉より先に裕福な商人のウィリアム・ケアリー(ベネディクト・カンバーバッチ)に嫁いでいました。ところが、ヘンリー8世はアンよりも清純で心やさしいメアリーを見染めます。

姉と妹。結婚も先を越され、王の愛人の座も奪われたアン。こうして、アンとメアリーの姉妹は一族の発展のための企みに翻弄されていきます。歴史は、アンを第2の王妃とし(1533年キャスリン王妃と離婚、同年結婚)、王の寵愛を受け、1534年エリザベス1世誕生となるのです。

しかし、王の気持ちがアンの侍女だったジェーン・シーモアへ移り(アンも女子を産んだため)、反逆罪の罪で1536年、ロンドン塔にて斬首。このあたりは「1000日のアン」のクライマックスでした。

原作は、フィリッパ・グレゴリー著の同名小説。その他の共演者は、クリスティン・スコット・トーマス、デヴィッド・モリッシー、「アクロス・ザ・ユニバース」(07)のジム・スタージェス。彼は姉妹の弟ジョージ役。歴史劇が大好きな私は、とっても楽しみ!予告編のナレーションは、津嘉山正種さん。渋い!
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国宝、重要文化財に出会うには…

2008-09-15 20:07:04 | 展覧会
国宝 “燕子花図屏風”。金箔屏風に青い花と緑の葉を持つカキツバタが、折り重なるように何本も描かれたこの作品は、誰もが1度は見たことがあると思います。本物は、根津美術館収蔵。尾形光琳作。

同じく、尾形光琳の重要文化財 “風神雷神図屏風”。この作品の原画は、俵屋宗達の“風神雷神図屏風”。この2点、すごく似ているようですごく違う。見比べてみてくださいね。

尾形光琳は、江戸時代(1658年(万治元年)~1716年(享保元年))に活躍した画家、工芸家です。今年は、光琳生誕350周年。…ということで上野の東京国立博物館 平成館で、「大琳派展」が開催されます。

琳派とは、江戸時代に同じような表現方法で作品作りをした美術家・工芸家たちの名称。俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一らが代表格で、背景に金銀箔を張り、大胆な構図が特長です。

大琳派展では、前述の2点の他、宗達の『白象図杉戸』(重要文化財)、抱一の『夏花草図屏風』(重要文化財)、鈴木其一の『群鶴図屏風』など。工芸品としては、光琳の『扇面貼交手筥』(重要文化財)もあります。

“燕子花図屏風”は、会期中展示期間が限りられています。10月7日~19日まで。ご覧になりたい方はしっかりチェックしてから、出かけましょう。しかし、最近、日本の国宝・重要文化財に出会える展覧会が続きますね。日本人だもん。
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