師走公演だけど、セミが鳴きます。

女の子が８歳の時、葛飾北斎の絵と出合い、いつか見れる日が来るだろうかとつぶやくＴＶのＣＭがあります。スノーボールの中にあるのは…

『冨嶽三十六景』の『神奈川沖浪裏』。画集で見ているのが『濤図（なみず）』の『男浪（おなみ）』。ちなみにこの絵は一対で『女浪（めなみ）』も。

『濤図』は『怒涛図』とも。どっちが正解？それと『八方睨み鳳凰図』。長野県信州小布施の岩松院にあるそうな。詳しくはこちらをどうぞ。

なんでこんな話をしているかと言うと、今年最後の加藤健一事務所の公演が葛飾北斎が主人公の舞台なんです。久々の日本物のお芝居です。

「夏の盛りの蟬のように」の原作は、劇作家吉永仁郎氏。今年３月亡くなられ、劇団民藝が多くの作品を上演していたそうです。

演出は黒岩亮氏。生涯に９３回も引っ越しをし、絵を描くことにしか興味がない葛飾北斎（加藤健一）。彼の周りには、弟子の蹄斎北馬（新井康弘）、

武士でありながら絵の道に専念したい渡辺崋山（加藤義宗）、独創的な浮世絵を生み出す遅咲きの絵師、歌川国芳（岩崎正寛）。そして北斎の娘で…

晩年まで父を助け、振り回されるおえい（加藤忍）。後の絵師、葛飾応為です。彼らは今日も北斎の家に集まり、画論を戦わせていました。

文化１３年から安政５年（１８１６～１８５８年）。やがて黒船来航（１８５３年）の時を迎える激動の時代に生きる、絵師たちの物語。

タイトルの「夏の盛りの蟬のように」は、口うるさい北斎と弟子や娘、仲間たちの喧騒が浮かびます。加藤さん始め、出演者の声が聞こえます。

ネコ、ネコ、ネコ、そしてベネ！

もしべネがペットを飼うとしたら…小型犬ではないし、コーギーみたいな中型犬？イギリス生まれのグレイハウンドみたいな大型犬でもないな。

実際に犬を飼っているかは知りませんが、ベネことベネディクト・カンバーバッチに似合うのは、絶対ネコ！個人的なイメージですが、ネコ！

１８３ｃｍのべネが小さなネコを抱いている姿なんて、最高じゃないですか♪そんなベネファン＆ネコ好きの夢のような希望が叶ったのが…

ウィル・シャープ監督「ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ」（２１）です。ポスターは主人公が描いたネコたちに囲まれたベネ♪

主人公とは１８６０年ロンドン出身の画家、イラストレーターのルイス・ウェイン（１９３９年７月４日没）。６人兄妹で５人の妹たちの長兄。

イギリスの上流階級に生まれたルイス・ウェイン（ベネディクト・カンバーバッチ）は、２０歳の時、父を亡くし一家を支えることになります。

教師からイラストレーターとして働くのですが、２３歳の時、妹の家庭教師エミリー（クレア・フォイ）と恋におち、周囲から身分違いと…

猛反対されながらも結婚。ところがエミリーは、末期の乳ガンを宣告されます。そんな中、庭に迷い込んだ子ネコにピーターと名付け…

ネコ好きのエミリーのため、子ネコの絵を描き始めます。３年後、１０歳年上の妻は亡くなり、ピーターを心の友としてネコの絵を描き続けるルイス。

果たして？アンドレア・ライズボロー、トビー・ジョーンズ共演。ナレーションをオリヴィア・コールマンが担当。絶対、見ますとも！

湿地で起きた事件の真相

映画の原作には、ベストセラー小説をもとにした作品がたくさんあります。世界中で読まれているわけで、物語としては絶対面白いはず。

それをどうやって映像にするか。それが問題。作品によっては映画化不可能とか、まったく別の作品になったりとか。でも作品が素晴らしく…

かつ監督や脚本、俳優たちのおかげでより素晴らしい作品になります。全世界で累計１５００万部を売り上げたというアメリカの作家…

ディーリア・オーウェンズが２０１８年に発表したミステリー小説の映画化が、オリヴィア・ニューマン監督「ザリガニの鳴くところ」（２２）です。

『２０２１年本屋大賞 翻訳小説部門第１位』（早川書房 ）で、２０１９～２０年アメリカで最も売れた本という小説。監督はＴＶシリーズなどで活躍。

製作には「ウォーク・ザ・ライン／君につづく道」（０５）で、アカデミー賞主演女優賞を受賞したリース・ウィザースプーンの名前が。

１９６９年、ノースカロライナ州の湿地帯。裕福な家庭で育ち、将来有望な青年の変死体が発見されます。犯人として疑われたのは…

６歳の時、両親に捨てられた少女カイア（デイジー・エドガー＝ジョーンズ）。学校へも通わず、たった１人で生き抜いてきたガイアは…

花、草木、魚、鳥と、自然から生きる術を学んできたのです。そんなカイアの世界に迷い込んだ青年との出会い、そして運命を変えた出来事。

法廷で語られる想像を絶する半生とは、果たして？ところで原作者は動物学者でもあるそうな。ザリガニって鳴くんでしょうか？

人間テスだった、ブラックアダム

ＤＣコミックのキャラクターたちを思い出してみると、スーパーマン、バットマン、ワンダーウーマン、アクアマン、シャザム、フラッシュ、

スーパーガール、バットガール、ハーレイ・クイン、グリーン・ランタン、ウォッチメン、キャットウーマン、コンスタンティンってとこ。

マーベルコミックのキャラクターと比べると少し地味目ですが、スーパーマンとバットマンという２大のヒーローがいれば、最強です。

そんな中、個人的にまだ知らないキャラクターがいました。それがブラックアダムというヴィラン。２０１９年４月公開のデヴィッド・Ｆ・サンドバーグ監督…

「シャザム！」（１９）で敵役として登場予定だったのが、メインとなって映画化。ジャウマ・コレット＝セラ監督「ブラックアダム」（２２）です。

ちなみに監督は「アンノウン」（１１）、「フライト・ゲーム」（１４）、「ラン・オールナイト」（１５）、「トレイン・ミッション」（１８）と…

リーアム・ニーソンとのコラボ作がたくさん。ホラー「エスター」（０９）、コメディ「ジャングル・クルーズ」（２０）もあります。

５千年の眠りから目覚めた破壊神ブラックアダム（ドウェイン・ジョンソン）。彼の息子は自らの命を犠牲にし父を守り、その力を父に託します。

ブラックアダムの力は、息子の命と引き換えに得た呪われた力だったのです。息子を奪われた復讐のため、破壊の限りを尽くすブラックアダム。

彼の前に立ちはだかるのは、ヒーローチームＪＳＡ（ジャスティス・ソサイエティ・オブ・アメリカ）。果たして？ピアース・ブロスナン共演です。

映画音楽とビー・ジーズ

ジョージ・ロイ・ヒル監督「明日に向って撃て！」（６９）が公開されたのは、１９７０年。６０年代、７０年代は、アメリカン・ニューシネマの時代。

代表作は数々ありますが、映画音楽も多彩でヒット曲もたくさん。「明日に向って撃て！」のバート・バカラックとＢ・Ｊ・トーマスが歌う『雨にぬれても』、

「卒業」（６７）でサイモンとガーファンクルが歌う『サウンド・オブ・サイレンス』 『ミセス・ロビンソン』 『スカボロー・フェア』、

「真夜中のカーボーイ」でニルソンが歌う『噂の男』、「いちご白書」（７０）でバフィ・セント・メリーが歌う『サークル・ゲーム』など。

その曲を聞くだけで思い出す映画たち。そして忘れてはいけないのが、ジョン・バダム監督「サタデー・ナイト・フィーバー」（７７）のビー・ジーズ。

英国マン島出身の３人兄弟グループ。当初はメンバー６人だったそう。１９７２年に長男バリー、双子で次男のロビン、３男のモーリス・ギブの３人に。

現在存命はバリーのみですが、彼らの名曲の数々とその活躍を描くドキュメンタリーが初めて公開。スピルバーグ監督作品のプロデューサーとして有名な…

フランク・マーシャル監督「ビー・ジーズ 栄光の軌跡」（２０）です。主演は当時ダンスブームを巻き起こしたジョン・トラヴォルタ。

２３歳のトラヴォルタは、キレッキレのディスコダンスで世界中のファンを熱狂させましたが、やっぱりビー・ジーズの音楽がなくっちゃ！

『恋のナイト・フィーバー』や『ステイン・アライヴ』 『愛はきらめきの中に』 『モア・ザン・ア・ウーマン』など、今聞いてもわくわくします。

オープンを飾るのは、グザヴィエ・ドラン

２０２１年３月に改装のため休館となった、恵比寿ガーデンシネマ（ＹＥＢＩＳＵ ＧＡＲＤＥＮ ＣＩＮＥＭＡ）。ようやく１１月８日の再開が決定。

恵比寿ガーデンプレイスの中にあり、雰囲気抜群の素敵な場所で、映画の前後にも散策出来ます。サッポロビールの本社もあり…

エビスビール記念館（１０月３０日から改装にため休館）や、ジョエルロブションのシャトーレストラン、東京都写真美術館などの他、レストラン、ショップも。

ぜひ一度はお出かけしたい所。さらに毎年バカラのシャンデリアが広場に飾られます。今年は１１月１２日から来年１月９日までなので、ぜひどうぞ。

そんな恵比寿ガーデンシネマのリニューアルオープンを飾るのが、カナダ出身の俳優で監督、脚本家、プロデューサーの…

グザヴィエ・ドランの作品たち。題して「グザヴィエ・ドラン ＳＰＥＣＩＡＬ ＣＯＬＬＥＣＴＩＯＮ」。特別企画の上映作品は…

監督、製作、脚本、出演「マイ・マザー」（０９）、監督、製作、総指揮、脚本、編集、出演「胸騒ぎの恋人」（１０）、監督、脚本、衣装、編集「わたしはロランス」（１２）、

監督、製作、脚本、編集、出演「トム・アット・ザ・ファーム」（１３）、監督、製作、脚本、衣装デザイン、編集、出演「Ｍｏｍｍｙ／マミー」（１４）、

監督、製作、脚本、編集「たかが世界の終わり」（１６）、監督、製作、脚本、衣装デザイン、出演「マティアス＆マキシム」（１９）の７作品。

ドランの映画はすべて見ていますが、ほぼガーデンシネマで見ました。どれも思い出と思い入れが。「わたしはロランス」は出演してないけど大好きです。

９４分ワンショットで疾走する男

あれ、トム・ハーディが主演した「オン・ザ・ハイウェイ その夜、８６分」（１３）と似たような設定かしらんと思ったのが、同じイギリス映画の…

「ナイトライド 時間は嗤う」（２１）です。「オン・ザ・ハイウェイ」は、スティーヴン・ナイト脚本、監督作で全編ハイウェイを走る車の…

ドライバーだけが登場し、電話での会話だけで進行する異色ドラマ。映画の進行時間は上映時間と同じ８６分という作品でした。見ました？

そして「ナイトライド」の監督は、北アイルランド出身のスティーヴン・フィングルトン。本作は２作目の長編映画だとか。初めまして。

北アイルランドの首都ベルファスト。ドラッグディーラーのバッジ（モー・ダンフォード）は、恋人ソフィア（ジョアナ・ヒベイロ）との未来のため…

裏社会から足を洗おうとを決意。彼は闇金業者ジョー（スティーブン・レイ）から資金１０万ポンドを借り、ウクライナ人密売人プッシャーから…

５０キロの麻薬を仕入れるのでした。ところが弟分のヘマで麻薬を積んだ車を何者かに奪われた上、買い手にも逃げられてしまいます。

返済期限が迫る中、失った麻薬と新たな買い手を見つけ出そうと真夜中のベルファストを駆け回るバッジ。果たして？映画は上映時間と同じ…

９４分ワンショットというクライムスリラー。モー・ダンフォードについてはまったく知りませんが、スティーブン・レイはお気に入りの俳優。

ベルファスト出身の７５歳。ニール・ジョーダン監督作品の常連で「クライング・ゲーム」（９２）でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされています。

ストップモーションアニメの巨匠、最新作

ＳＦ映画ファンなら、彼の名前を知らない人はいないかも。神さまのような存在です。１９５１年９月２７日カリフォルニア州バークレー出身の…

監督で、ストップモーションアニメーターのフィル・ティペット。「スター・ウォーズ」（７７）シリーズの特撮を担当。トーントーンや…

ＡＴーＡＴ スノーウォーカー、モンスター・チェスなどＳＷの世界を創造。他にも「ロボコップ 」（８７）シリーズ、「ジュラシック・パーク」（９３）、

「ドラゴンハート」（９８）、「スターシップ・トゥルーパーズ」（９７）シリーズ、「ニュームーン／トワイライト・サーガ」（０９）シリーズと…

いつも夢を見させてくれています。フィル・ティペットの名前はブランドなのです。「スターシップ・トゥルーパーズ２」（０３）の監督以降…

「クリーチャー・デザイナーズ ハリウッド特殊効果の魔術師たち」（１５）に出演したのみ。待望のストップモーションアニメ映画の監督作…

「マッドゴッド」（２１）がいよいよ公開されます。本作は１９９０年に着想し、製作を開始。その後特殊効果からＣＧ映像へと…

転換したことで中断。それから２０年、ティペット・スタジオの若手クリエイターたちが当時のパペットやセットを発見し、製作が再始動。

製作開始から約３０年を経て完成します。荒廃した未来。地下世界に潜り込んだ暗殺者が、不気味なクリーチャーたちの巣窟と化した地獄の…

ディストピアを巡り、この世の終わりを目撃するというお話。人類最後の男を実写で演じるのは映画監督のアレックス・コックス。まずは予告編を。

香りを集める少女

タイトルからホラー映画かと思ったけど、本当はスリラーだとか。フランス映画レア・セドゥ主演「ダブル・サスペクツ」（１９未）や…

カトリーヌ・ドヌーヴ主演「見えない太陽」（１９未）などの脚本家レア・ミシウス。監督２作目が「ファイブ・デビルズ」（２１）です。

ミシウス監督は、デヴィッド・リンチ監督のＴＶシリーズ「ツイン・ピークス」（９０～９１）、スタンリー・キューブリック監督「シャイニング」（８０）、

ジョーダン・ピール監督「アス」（１９）に影響を受けたと言い、これらの作品のオマージュシーンも。気になります。タイトルのファイブ・デビルズは…

架空の名前の村。臭覚に不思議な能力を持つ少女ヴィッキー（サリー・ドラメ）は、大好きな母ジョアンヌ（アデル・エグザルコプロス）の香りを…

こっそり集めていました。ある日、謎めいた叔母ジュリア（スワラ・エマティ）が現れ、それを機にヴィッキーの嗅覚の能力はさらに力を増すのです。

それは自分が生まれる前の母と、叔母の記憶の世界に入り込んでしまうというまさにタイムリープ。やがてそれは家族の運命を変える…

予期せぬ結末へと向かって行くことに。果たして？アデル・エグザルコプロスは、「アデル、ブルーは熱い色」（１３）に主演した女優ですね。

香水の本場フランスだからでしょうか、かつてパトリック・ジュースキント原作ベストセラーの映画化「パフューム ある人殺しの物語」（０６）を…

思い出します。トム・ティクヴァ監督、ベン・ウィショー主演で、香りにまつわるサスペンスドラマでした。未見でしたら、こちらもぜひ。

ジェラール・フィリップの代表作１１本

フランスの俳優ジェラール・フィリップ（愛称ファンファン）は、１９４５年から１９５９年までの活動期間にわずが２５本の作品を残し…

１９５９年１１月２５日、肝臓がんのため３６歳の若さで亡くなりました。１９２２年１２月４日カンヌ出身で、フランスの代表的な２枚目スター。

初出演のドストエフスキー原作「白痴」（４５）以来、ずっと主演俳優でした。リアルタイムで見たわけではないけど、その名はあまりに有名。

今年、生誕１００年を迎え「ジェラール・フィリップ 生誕１００年映画祭」が開催されます。出演作のほとんどがモノクロ映画ですが…

彼の美しさが際立つ映画ばかり。上映作品はドキュメンタリー、パトリック・ジュディ監督「ジェラール・フィリップ 最後の冬」（２２）の他、主演作１１本。

クロード・オータン＝ララ監督「肉体の悪魔」（４７）と「赤と黒」（５４）。クリスチャン・ジャック監督「パルムの僧院」（５１）と「花咲ける騎士道」（５２）。

イヴ・アレグレ監督「美しき小さな浜辺」（９９）と「狂熱の孤独」（５３）。マルセル・カルネ監督「愛人ジュリエット」（５０）、

ルネ・クレマン監督「しのび逢い」（５４）、ルネ・クレール監督「夜の騎士道」（５５）、ジャック・ベッケル監督「モンパルナスの灯」（５８）、

ロジェ・ヴァディム監督「危険な関係」（５９）。題名は知っていてもさすがに見ていませんでした。名画座でも。そんな中、画家の…

アメデオ・モディリアーニを描いた「モンパルナスの灯」はＴＶ放送で見ました。彼も３５歳で亡くなったんですよね。懐かしいです。