シェーンは死んでいた？

コーエン兄弟監督、９人のスター共演の「ヘイル、シーザー！」（１６）でも紹介しましたが、かつて映画製作はスタジオシステムがすべてでした。時代は１９２０年代～５０年代初期。

まさにその時代。高校卒業後、職を転々していた時にユニヴァーサルにスカウトされ、スタジオの裏方の仕事やエキストラを経験。演技を学びながら下積み生活を送ります。

１９１３年９月３日、アーカンソー州ホットスプリングス出身のアラン・ラッドです。端役出演した後、グレアム・グリーン原作、フランク・タトル監督「拳銃貸します」（４２未）で初主演。

ユニヴァーサル、ワーナー、パラマウントとスタジオ契約したラッド。そんな彼の代表作と言えば、ジャック・シェーファー原作、ジョージ・スティーヴンス監督「シェーン」（５３）です。

この後も、小柄（１６８ｃｍ）ながらも西部劇の主役を演じましたが、同監督の「ジャイアンツ」（５５）の主役を断り、ジェームズ・ディーンの代表作になったのでした。

５０代後半を過ぎてから低迷しアルコール依存症となり、１９６２年拳銃による自殺未遂。６４年１月２９日睡眠薬とアルコールの多量摂取で死亡しているのが発見。５０歳。

アラン・ラッドを全く知らない映画ファンも多いと思いますが、「シェーン デジタルリマスター版」（５３）がリバイバル公開されるので、ラッドの魅力を再確認できるチャンスです。

南北戦争後のワイオミング高原地帯。開拓移民リーダー、ジョー・スターレット（ヴァン・へフリン）は、妻マリアン（ジーン・アーサー）と息子ジョーイ（ブランドン・デ・ワイルド）の３人暮らし。

そこへ流れ者のシェーン（アラン・ラッド）が現れます。ここは開拓移民と牧畜業者の間で土地をめぐる諍いが起きていました。騒動はジョーの家にも。やむなく彼らの間に入っていくシェーン。

ラストは西部劇史に残る名シーン。ここだけ知ってる人もいるかも。かつてＴＶ放映で見ています。息子のＪｒは、プロデューサーからＦＯＸ、ＵＡ、ＭＧＭの社長を歴任しました。

がんばれ！ウサギのジュディ

ピーター・ソーン監督のディズニー・アニメーション「アーロと少年」（１５）、もう見ましたか？制作のピクサーは、２００６年５月からウォルト・ディズニー・カンパニーの子会社。

ピクサー作品は、「トイ・ストーリー」（９５）、「バグズ・ライフ」（９８）、「モンスターズ・インク」（０１）、「ファインディング・ニモ」（０３）、「カーズ 」（０６）、「レミーのおいしいレストラン」（０７）

「ＷＡＬＬ・Ｅ/ウォーリー」（０８）、「カールじいさんの空飛ぶ家」（０９）、「モンスターズ・ユニバーシティ」（１３）、「インサイド・ヘッド」（１５）など、どれを見てもヒット作ですね。

３月に公開された「アーロと少年」に続いて、４月にもディズニー・アニメーションが登場。それが「ズートピア」（１６）です。監督は、「塔の上のラプンツェル」（１０）のバイロン・ハワードと…

「シュガー・ラッシュ」（１２）のリッチ・ムーアの２人。タイトルは、動物の“ＺＯＯ”と楽園の“ＵＴＯＰＩＡ”を組み合わせたもの。もちろん、主人公、登場人物は動物たち。

動物たちが人間のように暮らす、高度なハイテク社会“ズートピア”。田舎町バニーバロウで育ったウサギのジュディ・ホップス（声：ジニファー・グッドウィン）の夢は警察官。

クマやカバなど大型動物だけが警察官になっている中、小さなウサギのジュディは警察学校を首席で卒業し、ズートピアに赴任します。夢が叶ったものの、半人前扱いのジュディ。

しかし、ついに捜査に参加するチャンスがやってきました。動物たちの連続行方不明事件が発生！ジュディに与えられた時間は、たったの４８時間。しかも失敗したら、クビ。

そんな時、知り合ったのがサギ師のキツネ、ニック・ワイルド（声：ジェイソン・ベイトマン）でした。事件の手がかりを握っているニックとは、お互いにだましだまされながら…

捜査をするジュディ。果たして？イドリス・エルバ、Ｊ・Ｋ・シモンズ、オクタヴィア・スペンサー、シャキーラと声の出演者も多彩。製作総指は、あのジョン・ラセターです。

分離壁を越えて…

この作品、サイトでは２０１５年中に公開されるとずっ～と予告していました。どんな作品なのか…気になっていたのですが、この春、ようやく公開が決まったようです。

ハニ・アブ・アサド製作、脚本、監督のパレスティナ映画「オマールの壁」（１３）です。ここでいう“壁”とは、イスラエル政府がパレスチナ人によるイスラエル市民への…

自爆テロ防止のためにと建設中の“分離壁”のこと。ヨルダン川西岸地区との境界のすぐ外側に、そびえ立つフェンスは全く向こう側が見えない高さ。２０１２年時点で…

総延長の８２．１％の４３９．７ｋｍが完成。（Ｗｉｋｉｐｅｄｉａより）現在進行中のこの分離壁。冷戦時の１９６１年、ベルリンを東西に分けた“ベルリンの壁”を思い出します。

パレスチナでパン職人として働くオマール（アダム・バクリ）は、思慮深く真面目な青年。壁の向こう側に住む恋人ナディア（リーム・ルバニ）に会うため、監視塔からの銃弾を避けながら…

分離壁をよじ登ってナディアの元に通っていました。そんな中、彼はイスラエル兵士を殺害したとして拘束されます。イスラエルの秘密警察軍から、壮絶な拷問を受けるオマール。

そして一生囚われの身になるか、仲間を裏切ってスパイになるかの選択を迫られます。幼なじみでもある仲間との絆を壊され、ナディアとの仲も引き裂かれるオマールは、果たして？

アサド監督の作品には「エルサレムの花嫁」（０２未）、「パラダイス・ナウ」（０５）などがありますが、アメリカ映画もあります。それが「クーリエ 過去を運ぶ男」（１１）です。

ジェフリー・ディーン・モーガン主演のミステリー・サスペンス映画でした。本作「オマールの壁」のスタッフは全員パレスチナ人、撮影もすべてパレスチナで行われました。

第８６回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされ、ゴールデングローブ賞外国語映画賞を受賞した本作。分離壁を初めて知った方、パレスチナの今を生きる若者の姿をぜひ。

ムーア監督、世界を侵略します。

１９９９年４月２０日、コロラド州リトルトンのコロンバイン高校で起きた、高校生２人による銃乱射事件。この衝撃的な事件と銃規制問題を描いたのが、マイケル・ムーア監督。

それが「ボウリング・フォー・コロンバイン」（０２）で、初めて彼を知りました。製作、脚本、監督、主演を務めたムーア監督は、１９５４年４月２３日ミシガン州フリント出身。

地元のＧＭ工場大量解雇を取材したドキュメンタリー「ロジャー＆ミー」（８９）で、デビュー。そして「華氏９１１」（０４）で、カンヌ国際映画祭のパルム・ドールを受賞。

９．１１米国同時多発テロの背景と、当時のブッシュ大統領の“対テロ戦争”の真実を暴いていました。その後の「シッコ」（０７）では、アメリカの医療保険問題を取り上げました。

続く「キャピタリズム マネーは踊る」（０９）では、２００８年９月の“サブプライムローン”問題からリーマン・ブラザーズが破綻し、世界規模の金融危機に至る様子を描きました。

独自のユーモアを織り交ぜた作風は、難しい社会問題をわかりやすく、面白く紹介し、理解を深めます。なので一度ファンになるとクセになります。９年ぶりに最新作がようやく公開。

「マイケル・ムーアの世界侵略のススメ」（１５）です。待ってました！今度は何を見せてくれるのか、超～楽しみ！ところが今度のムーアは、いつもの権力の批判ではなく…

アメリカの“侵略”政策に参加。“侵略”する先々で知る事実。そんなムーア監督が世界中で目にしたものとは？★イタリア人の有給は年間８週間。会社の昼休みは２時間も。

★休日の部下に連絡すると法律違反と言われるドイツの上司 ★麻薬使用が犯罪にならないポルトガル ★ノルウェーの囚人の牢屋は一軒家 ★宿題がないフィンランドは学力トップクラス国家

★フランスの小学生の給食はフレンチのフルコース…などなど。アメリカ国防総省からの依頼を受け、空母ロナルド・レーガンでヨーロッパへ向かうムーア監督。果たして？

コーエン兄弟と９人のスターたち

かつて１９２０年代から１９５０年代初期、ハリウッドは少数の映画会社が独占して、映画を製作していました。それが“スタジオ・システム”です。中でも“ビッグ５”と呼ばれたのが…

１９１６年創業のパラマウント、１９２３年創業のワーナー・ブラザーズ、１９２４年創業のメトロ・ゴールドウィン・メイヤー（ＭＧＭ）、１９２８年創業のＲＫＯ、１９３５年創業の２０世紀フォックス。

他にそれより規模の小さい１９１２年創業のユニバーサル、１９１９年創業のユナイテッド・アーティスツが有名。懐かしい～。映画の始まる前、会社のロゴが流れ、ワクワクでした。

もちろん今も流れていますが、かつてはスタジオがすべてでした。ロバート・アルトマン監督「ザ・プレイヤー」（９２）で、予習、復習できます。それはともかく、コーエン兄弟の最新作も…

大いに楽しめます！脚本、監督はジョエル＆イーサン・コーエン。「ヘイル、シーザー！」（１６）は、１９５０年代のハリウッドが舞台。９人のスターたちが共演する豪華な作品！

スタジオの命運を左右する超大作『ヘイル、シーザー！』の撮影中、世界的大スターの主演俳優ウィットロック（ジョージ・クルーニー）が、何者かに誘拐されてしまいます。

大混乱の撮影スタジオ。事件解決を任されたのは、“スタジオのなんでも屋”（ジョシュ・ブローリン）。エスター・ウィリアムズばりの若手女優（スカーレット・ヨハンソン）や…

ジーン・ケリーばりの人気ミュージカルスター（チャニング・テイタム）、演技が下手なアクション俳優（アルデン・エレーンライク）たちを巻き込んで、難事件に挑むのでした。

果たして、無事にウィットロックを奪還できるのでしょうか？他にキレたら超危険な映画監督にレイフ・ファインズ、バカ真面目な公証人にジョナ・ヒル、正体不明のベテラン編集者に…

フランシス・マクドーマンド、ネタ探しの双子の記者にティルダ・スウィントン。このメンバーを見たら、絶対行かねば！ちなみに本作は、ユニバーサルとワーキングタイトル。では。

静かなる男、ティム・ロス

ティム・ロス。好きですよね。個性的過ぎて、好きでない？エンニオ・モリコーネがアカデミー賞作曲賞を受賞した、クエンティン・タランティーノ監督「ヘイトフル・エイト」（１５）にも出演。

１９６１年５月１４日、イギリス、ロンドン出身の５４歳。演劇出身で、日本で初めて紹介された作品が、ピーター・グリーナウェイ監督「コックと泥棒、その妻と愛人」（８９）。

トム・ストッパード監督「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」（９０）、ロバート・アルトマン監督「ゴッホ」（９０）の後、タランティーノ監督「レザボア・ドッグス」（９１）に出演。

「パルプ・フィクション」（９４）「フォー・ルームス」（９５）とタラちゃん組の１人。ジュゼッペ・トルナトーレ監督「海の上のピアニスト」（９９）やヴェルナー・ヘルツォーク監督…

「神に選ばれし無敵の男」（０１）、ヴィム・ヴェンダース監督「アメリカ、家族のいる風景」（０５）、ミヒャエル・ハネケ監督「ファニーゲーム Ｕ.Ｓ.Ａ.」（０７）など巨匠とのコラボもたくさん。

ティム・バートン監督「ＰＬＡＮＥＴ ＯＦ ＴＨＥ ＡＰＥＳ 猿の惑星］（０１）の特殊メイクで演じたセード将軍はともかく、ティム・ロスは物静かに思考する俳優のイメージがあります。

最新作の「或る終焉」（１５）も物静かな男の役。第６８回カンヌ国際映画祭脚本賞を受賞した本作の監督は、「父の秘密」（１２）のメキシコ人監督ミシェル・フランコ。脚本も。

息子の死をきっかけに別れた妻や娘と疎遠になったデヴィッド（ティム・ロス）は、終末期患者をケアする看護師。患者の在宅看護とエクササイズに没頭する日々でした。

ある日、デヴィッドは末期がんで苦しむマーサ（ロビン・バートレット）から、安楽死を幇助して欲しいと頼まれます。自分自身の過去と、患者への思いで葛藤するデヴィッド。

果たして、彼の下した決断とは？娘ナディア役は、あのキーファーの娘サラ・サザーランド。「虚栄のかがり火」（９０）などの脚本家マイケル・クリストファーも共演。見ます。

守られたアフガニスタンの黄金

歴史やニュースなどでよく聞く国名アフガニスタン。日本からは遥か遠く、戦争や内戦の国というイメージがあるかも。パシュトゥーン人、タジク人、ハザーラ人、ウズベク人、トルクメン人など…

数多くの民族が住む多民族国家。２００１年アメリカの９．１１後、テロとの戦いで思い出すのが、アフガニスタン紛争やタリバーン政権などのワード。映画ファンには、ピーター・マクドナルド監督…

シルヴェスター・スタローン主演「ランボー３／怒りのアフガン」（８８）を思い出す方もいるかも。複雑な歴史を持つアフガニスタンは、古代からの遺跡や宝物、名宝がたくさん。

しかし、１９７９年ソ連の軍事介入とその後の内戦、首都カブールのアフガニスタン国立博物館に所蔵されていた品々は甚大な被害を受け、多くは失われたと考えられていました。

ところがジョージ・クルーニー監督、主演「ミケランジェロ・プロジェクト」（１３）みたいな出来事が！国の宝を守るべく博物館員は、貴重な文化財を秘密裏に運び出していたのです！

内戦終結後の０４年４月、大切に保管されていた秘宝が再公開。上野の東京国立博物館 表慶館で開催されるのが、「特別展 黄金のアフガニスタン」です。

本展は、アフガニスタンの文化遺産の復興を支援するため企画された国際巡回展です。フランスのギメ国立東洋美術館、アメリカのナショナル・ギャラリー、メトロポリタン美術館、

大英博物館など世界１１カ国を巡回。日本を最後にアフガニスタンに返還されます。５章からなる本展で紹介されるのは、黄金に輝く『幾何学文脚付杯』（前２１００年～前２０００年頃）

『ドラゴン人物文ペンダント』（１世紀）、『メダイヨン付腰帯』（１世紀）、『牡羊像』（１世紀）、『襟飾り』（１世紀）、『アフロディーテ飾板』（１世紀）、『冠』（１世紀）などなど。

奇跡的に守られた古代アフガニスタンの至宝２３１件、そして日本で保護されてきた流出文化財１５件。美しい黄金に輝くアフガニスタン。プロモーションビデオもぜひ！

３６年ぶりの「地獄の黙示録」

マーロン・ブランド（０４年７月１日）も死んでしまったし、デニス・ホッパー（１０年５月２９日）も。サム・ボトムズは、脳腫瘍で（０８年１２月１６日）。それだけ、年月が過ぎたということ。

フランシス・フォード・コッポラが、製作、脚本、音楽、監督を務めた「地獄の黙示録」（７９）の出演者たちです。その年のアカデミー賞では、作品賞をはじめとして…

助演男優賞（ロバート・デュヴァル）、監督賞、脚色賞、撮影賞、美術監督・装置賞、音響賞、編集賞の８部門にノミネート。内、撮影賞と音響賞を受賞しています。

カンヌ国際映画祭では、パルム・ドールと国際映画批評家連盟賞を受賞。「ゴッドファーザー」（７２、７４、９０）シリーズで有名なコッポラ監督、この作品を見逃すわけありません。

なにしろ３６年も前の公開作品ですから、未見の方も多いでしょう。古い作品も見てるという映画ファンでも、やっぱり大きなスクリーンで見ないと。あの感動をぜひ劇場で。

フランシス・フォード・コッポラ監督「地獄の黙示録 劇場公開版（デジタルリマスター）」（２０１６）が、公開されます。原作は、ジョセフ・コンラッドの小説『闇の奥』。

アフリカのコンゴからベトナム戦争に舞台を移し、製作当時のアメリカの閉塞感を写し取っていました。なによりさまざまなトラブルによって、何度も撮影は中断。キャストもスタッフも変更され…。

主役のハーヴェイ・カイテルが、撮影開始２週間で降板。マーチィン・シーンに変更。また膨らみ続ける経費は、１２００万ドルの予算が３１００万ドルへ。多くはコッポラ自らの出費。

０１年「地獄の黙示録／特別完全版」として５０分長い（２０２分）バージョンが公開されましたが、今回は公開時の１５３分のオリジナル版。そしてエンディングのクレジットがまったくない…

いきなり真っ黒な画面となって終わるのです。これもさまざまなトラブルのせい。“暗闇の中に放り出されてしまう”と、解説を読んで思い出しました！そうでした。あの思いを再び。

これが待っていた、マクベス

ウィリアム・シェイクスピアの４大悲劇『ハムレット』（１６００年）、『オセロ』（１６０４年）、『リア王』（１６０５年）、『マクベス』（１６０６年）。『ロミオとジュリエット』（１５９５～９６年）は…

入らないんですね。シェイクスピア劇が好きな演劇ファンとしては、劇場で見る舞台もお勧め。４大悲劇は特にお勧めです。見応えがあります。まっ、史劇も喜劇も良いですが。

映画化もたくさんあります。フランコ・ゼフィレッリ監督、メル・ギブソン主演「ハムレット」（９０）や、ケネス・ブラナー監督、主演「ハムレット」（９６）。スチュアート・バージ監督…

ローレンス・オリヴィエ主演「オセロ」（６５）。ソ連のグリゴーリ・コージンツェフ監督「リア王」（７０）。オーソン・ウェルズ監督、主演「マクベス」（４８）などなど。見てますか？

ダニー・ボイル監督「スティーブ・ジョブズ」（１５）で、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされたマイケル・ファスベンダー。待望のシェイクスピア劇に主演します！

それが、ジャスティン・カーゼル監督「マクベス」（１５）。内戦で荒廃したスコットランド。窮地に陥った国を救ったのは、ダンカン王（デヴィッド・シューリス）に忠誠を誓うグラミスの…

領主マクベス（マイケル・ファスベンダ）でした。マクベスと戦友バンクォー（パディ・コンシダイン）は、多くの死体が散乱する荒野を王の元へと向かっていました。

途中、幼い子を連れた３人の魔女と出くわします。“マクベスはコーダーの領主となり、その後スコットランド王となるだろう”、“バンクォーの子孫が未来の王となる”と…

言い残して霧の中へ。すぐに予言は現実のものとなります。亡くなった王の代わりに、コーダーの領主となるマクベス。事の次第を手紙で知る、マクベス夫人（マリオン・コティヤール）。

愛する夫を王位に就かせようと画策するマクベス夫人。そう、この作品の主役はマクベス夫人なのです！果たして？ショーン・ハリス、ジャック・レイナー共演。見ますとも！

神様からメールが来たら…

２０１４年１２月に公開されたハロルド・クロンク監督「神は死んだのか」（１４）は、無神論者の哲学クラスの教授とクリスチャンの学生との対決を描いた、興味津々の物語でした。

全米の大学で実際に起こった数々の訴訟事件をベースにしたそうで、未見の方はぜひ。神やキリスト教というと、むずかしそうだし自分は信者じゃないし…と思われがち。

そんな方にお勧めの作品が、ベルギー映画「神様メール」（１５）です。監督は、「トト・ザ・ヒーロー」（９１）、「八日目」（９６）、「ミスター・ノーバディ」（０９）のジャコ・ヴァン・ドルマル。

ここは、ベルギーのブリュッセル。多くの人が信じている神様は、家族と一緒にアパートで暮らしていました。神様の父（ブノワ・ポールヴールド）、女神の母（ヨランド・モロー）…

１０歳の娘エア（ピリ・グロイン）。エアの兄で人間界に家出したイエス・キリスト（今は置物）。しかし、神様は慈悲深いというイメージとは逆の嫌な人物でした。

パソコンで世界を管理している神様は、いたずらに災害や事故を起こしては楽しんでいました。そんな父親に怒りを感じているエアは、家出を考えるようになります。

そこで立ち入りを禁じられている父親の部屋に忍び込み、世界中の人々に余命を知らせるメールを送信！当然、パニックに陥る人々。エアは、世界を救う旅に出発します。

そして出会う人々は、元保険屋でスナイパーになったフランソワ（フランソワ・ダミアン）。夫と冷えた関係の主婦マルティーヌ（カトリーヌ・ドヌーヴ）。携帯を持たないから余命を…

知らないホームレス。セックス依存症のマルク。小さい時に片足を失ったオーレリー。冒険家になりたかった会社員のジャン＝クロード。女の子になりたい男の子ウィリー。

そしてサーカスにいる優しいゴリラ…。いったい彼らに起きた“奇跡”とは？名前は知らなくても、どこかで見たことのある出演者たち。個性的でユニークな物語でハッピーに！