ドゥニ・ヴィルヌーヴのＤＵＮＥ

フランク・ハーバート原作のＳＦ大作『デューン／砂の惑星』は、１９６５年に発表され、全６冊のシリーズです。ヒューゴー賞、ネビュラ賞受賞。

映像化は難しいとされながら、チリのアレハンドロ・ホドロフスキー監督が１９７５年に映画化に取り組みます。しかし資金難に陥り…

撮影は頓挫します。「エイリアン」のＨ・Ｒ・ギーガーがデザインに参加するなど、期待されていただけに本当に残念。監督の苦悩と混乱は…

フランク・パヴィッチ監督のドキュメンタリー「ホドロフスキーのＤＵＮＥ」（１３）で、よくわかります。ぜひ見て頂きたい１本。

ようやくディノ・デ・ラウレンティス製作総指揮、デヴィッド・リンチ監督「砂の惑星」（８４）として初映画化されます。素晴らしい！と思いつつ…

原作が大長編作なだけに、１３７分の作品の評価は思わしくなく、最終決定権のなかった監督も思い通りに描けなったと悔しかったでしょう。

後にジョン・ハリソン監督、ウィリアム・ハート主演のＴＶＭ「デューン 砂の惑星」（００）が製作。そしてリンチ版から３６年を経て…

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督「ＤＵＮＥ／デューン 砂の惑星」（２０）が、新たなＳＦ大河ドラマとして蘇ります。

ヴィルヌーヴ監督作品には「灼熱の魂」（１０）、「プリズナーズ」（１３）、「複製された男」（１３）、「ボーダーライン」（１５）、

「メッセージ」（１６）、「ブレードランナー ２０４９」（１７）があり、大好きな作品ばかり。おや、書ききれないのでまた次回。

パラドックス・スリラーの真実

アンテベラムとは、ラテン語で『戦前』を意味し、さらにアメリカ合衆国では『南北戦争以前』のことだそう。（ウィキペディアより）

本作が長編監督デビュー作となる２人組、ジェラルド・ブッシュとクリストファー・レンツ脚本、監督「アンテベラム」（２０）が、公開です。

製作に「ドニー・ダーコ」（０１）、「高慢と偏見とゾンビ」（１６）、「ゲット・アウト」（１７）、「ブラック・クランズマン」（１９）、

「アス Ｕｓ」（１９）のショーン・マッキトリックの名が。特に「ゲット・アウト」は、アカデミー賞作品賞、監督賞、主演男優賞にノミネートされ…

監督のジョーダン・ピールが脚本賞を受賞するという、ホラー映画では異例の快挙。そして彼がプロデュースした最新作が、本作なのです。

社会学者で人気作家のヴェロニカ（ジャネール・モネイ）は、夫と幼い娘と３人暮らし。ある日、ニューオーリンズでの講演会を成功させ…

友人たちとのディナーを楽しんだ直後、順風満帆だった彼女の日常は突如崩壊。悪夢の世界へと反転してしまうのです。そこはアメリカ南部の…

広大なプランテーションの綿花畑。奴隷として重労働を強いられるエデン（ジャネール・モネイ）は、ある悲劇をきっかけに仲間と共に…

脱走計画を企てます。果たして？予告編だけでも、めまいが…。いったい何が起きている？ジャネール・モネイは、「ムーンライト」（１６）、

「ドリーム」（１６）、「ハリエット」（１９）に出演。エリック・ラング、ジェナ・マローン共演。クラクラしながら、ぜひ見ましょ。

星屑の中のデヴィッド・ボウイ

ミュージシャンを演じる俳優、女優はたくさんいますが、大変だろうなぁ～といつも思います。容姿を似せることも、楽器や演奏、そして歌。

さらにはダンスやすべてのパフォーマンスも。映画では彼、彼女の人生も演じるので、一層の演技力が必要だし。デクスター・フレッチャー監督…

「ロケットマン」（１９）で、エルトン・ジョンを演じたタロン・エガートン。ブライアン・シンガー監督「ボヘミアン・ラプソディ」（１８）で…

クィーンのフレディ・マーキュリーを演じたラミ・マレック。ビル・ポーラッド監督「ラブ＆マーシー 終わらないメロディー」（１５）で…

ザ・ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンを演じたポール・ダノ。クリント・イーストウッド監督「ジャージー・ボーイズ」（１４）で…

フォー・シーズンズのフランキー・ヴァリを演じたジョン・ロイド・ヤング。テイラー・ハックフォード監督「Ｒａｙ／レイ」（０４）で…

レイ・チャールズを演じたジェイミー・フォックス。そしてガブリエル・レンジ監督「スターダスト」（２０）は、２０１６年１月１０日、

突然亡くなってしまったデヴィッド・ボウイの若き日の物語。アルバム『世界を売った男』を発表した２４歳のデヴィッド・ボウイ（ジョニー・フリン）。

プロモーションツアーでボウイはイギリスからアメリカへ。そこで自分が知られていないこと、自分の音楽が時代を先行しすぎていることを知ります。

後に“ジギー・スターダスト”という別人格のキャラクターを生み出すきっかけとなった時を描く本作。ボウイを知るために、ぜひ。

森に入っちゃ、だめ！

１９９９年１２月暮れ、渋谷のパンテオンで見た「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」（９９）。その年の７月に全米公開された…

ホラー映画で、ダニエル・マイリックとエドゥアルド・サンチェスの２人が、脚本、監督した超低予算映画。映画学科に在籍する３人の学生が…

メリーランド州バーキッツビルのブラック・ヒルズの森に入ります。魔女伝説『ブレア・ウィッチ』についてのドキュメンタリーを…

撮るためでした。しかし、彼らは消息を絶ち、１年後にフィルムとビデオが見つかり…というストーリー。とにかく怖いと世界中でメガヒット！

怖かった…。スクリーンが真っ暗で何も映っていないのは、あり？ホラー映画の定番、なんでそこに行く？など、当時はすごい話題でした。

すぐに続編の「ブレアウィッチ２」（００）や、２０年後を描くアダム・ウィンガード監督「ブレア・ウィッチ」（１６）もあります。

ロブ・シュミット監督「クライモリ」（０３）も、舞台は森。ウェストバージニア州へキャンプに出かけた６人の若者たちが、道に迷い…

殺人鬼に遭遇するホラー。こちらもヒットし、シリーズ６作に。そして「バイオハザード」シリーズの製作陣が、リブート版を製作。

マイク・Ｐ・ネルソン監督「クライモリ」（２１）です。友人５人とキャンプを楽しむため、アパラチア山脈の自然歩道を満喫する一行。

ところが好奇心からコースを外れて森の奥へ。道を見失い、突然転がり落ちてきた倒木に１人が当たり亡くなります。そして次々に罠が…。果たして？

都市伝説は死なない…

シナトラ一家の１人として知られる俳優、歌手サミー・デイヴィスＪｒ．が歌う『キャンディマン』。キャンディ売りの男の歌かと思い気や…

もしキャンディがドラッグなら…と言われることも。サミーはそんなこと思っていないと思いますが、実はアメリカ、ヒュートンには…

キャンディマンと呼ばれたシリアルキラーが。ディーン・アーノルド・コールは、７０～７３年に少なくても２８人のティーンエイジャーを殺害。

名前の由来は家族と共にキャンディ工場を所有、経営し、子供たちに無料でキャンディを与えていたから。ところで「ヘル・レイザー」（８７）で…

有名なクライヴ・バーカーが生み出し、バーナード・ローズ監督「キャンディマン」（９２）は、見ました？ヴァージニア・マドセン主演…

トニー・トッドがキャンディマンを演じたカルトホラーです。未見の方は、ぜひ。そして「ゲット・アウト」（１７）、「アス」（１９）の…

ジョーダン・ピール監督が脚本、製作を担当した新たな「キャンディマン」（２１）が公開されます。ニア・ダコスタ監督作品。

シカゴの公営住宅カブリーニ＝グリーン地区。老朽化した最後のタワーが取り壊れてから１０年が経ち、恋人と高級コンドミニアムに…

引っ越してきたアンソニー（ ヤーヤ・アブドゥル＝マティーン２世）は、かつてのキャンディマンの謎を探っていました。

やがて公営住宅の元住人だという老人と出会い…果たして？もちろん、キャンディマン役はトニー・トッド。彼以外いません！

神が裁く決闘裁判

マット・デイモンとベン・アフレックは、幼馴染で無名時代に書いた脚本が、ガス・ヴァン・サント監督、ロビン・ウィリアムズ主演…

「グッド・ウィル・ハンティング／旅立ち」（９７）です。アカデミー賞作品賞他１０部門にノミネートされ、主演男優賞と…

デイモンとアフレックが脚本賞を受賞。快挙です。そんな２人は、それ以降も製作会社ライブプラネットを設立するなど、仲良し。

久々に２人が主演する映画が公開です。それがエリック・ジェイガー原作、リドリー・スコット監督「最後の決闘裁判」（２１）です。

さらに本作の脚本はニコール・ホロフセナーと、デイモンとアフレック。リドリー・スコットのファンだし、ものすごく楽しみ！

１３８６年、百年戦争最中の中世フランス。戦地から帰って来たノルマンディーの騎士ジャン・ド・カルージュ（マット・デイモン）は…

妻マルグリット（ジョディ・カマー）が、夫の旧友ジャック・ル・グリ（アダム・ドライヴァー）に乱暴されたと訴えられます。

しかし目撃者はなく、ル・グリは無実を主張します。そして真実は、夫と被告による生死を賭けた＜決闘裁判＞に委ねられることに。

勝者は正義と栄光を手に入れ、敗者は罪人として死罪。もし夫カルージュが負ければ、妻マルグリットも偽証の罪で火あぶりの刑に。

神による絶対的な裁きとされる決闘裁判。主君ピエール伯にベン・アフレックが共演。このスタッフ、キャスト。見逃せません！

秘伝スープの味

おかしなもので、甘いものが大好きという人と辛いものが大好きという両極端な好みの人が。味を感じるのは＜味覚＞のおかげ。

人が感じるのは、＜甘味＞ ＜酸味＞ ＜塩味＞ ＜苦味＞ そして＜うま味＞の５つ。でも、この中には『辛い』がありません。

実は『辛い』は『痛い』なのです。辛いものを食べた時に感じるアレは、＜痛覚＞だったのですね。これが激辛がやみつきになる仕組み。

唐辛子や山椒、胡椒などを思い浮かべますが、ヘイワード・マク監督「花椒（ホアジャオ）の味」（１９）の花椒（ホアジャオ）って？

ウィキペディアで調べると、中国のミカン科サンショウ属の「カホクザンショウ」とのこと。日本語読みでは「はなしょう」または…

「かしょう」と読みます。疎遠になっていた父ハー・リョン（ケニー・ビー）が倒れたという知らせで、ユーシュー（サミー・チェン）は…

務め先の旅行代理店から病院へ。しかし、すでに父は亡くなり話もできませんでした。ユーシューは遺品の携帯電話の中から…

自分に異母姉妹がいることを知ります。葬儀の日、台北から次女のルージー（メーガン・ライ）、重慶から３女のルーグオ…

（リー・シャオフォン）がやって来て初めて顔を合わせます。ユーシューは、香港島大坑で父が経営していた火鍋店＜一家火鍋＞を…

継ぐことを決意します。果たして、３姉妹は？ここで花椒が出て来るんですね。香港のスター、アンディ・ラウが友情出演しています。

クラブ火災と医療汚職事件

本作は、ルーマニアのドキュメンタリー映画です。タイトルからいったい何が起きたのだろうと思い、予告編を見て衝撃を受けました。

アレクサンダー・ナナウ監督「コレクティブ 国家の嘘」（１９）です。コレクティブとは、実在のナイトクラブの名前。

２０１５年１０月３０日、ルーマニアの首都ブカレストにあるナイトクラブ＜コレクティブ＞で、ライブ中に火災が発生します。

死者は２７名、負傷者１８０名を出す大惨事となります。さらに命を取り留めたはずの入院患者が、その後数ヶ月で複数の病院で…

適切な治療を受けられず負傷者３７人が亡くなります。最終的に死者数は、６４名に。事件を不審に思い調査に乗り出したのは…

スポーツ紙＜ガゼタ・スポルトゥリロル＞の編集長。彼は内部告発者からの情報提供によって、衝撃の事実に行き着きます。

事件の背後には、製薬会社と病院経営者、政府関係者の巨大な癒着が隠されていたのです。ジャーナリストたちは命の危機を感じながらも…

真相を暴くため、進み続けます。一方、報道を目にした市民の怒りは頂点に。与党社会民主党は政権から退陣。内閣はついに辞職するのです。

正義感あふれる保健省大臣は、腐敗まみれのシステムを変えようと奮闘するのですが…。果たして？２０１５年と言えば、今から６年前。

クラブ火災のニュースを見た覚えがあります。しかし、巨大医療汚職事件はよく映画やドラマの題材になります。怖いです。

ＣＩＡとＭＩ６の運び屋

クーリエとは、国際宅配便のこと。ＦｅｄＥｘやＵＰＳ、ＤＨＬなどがそうですね。本来は外交文書を本国と各国の大使館などに運搬する…

外交官の業務なんだそう。過去には、ハニ・アブ・アサド監督「クーリエ 過去を運ぶ男」（１１）で、ジェフリー・ディーン・モーガンが…

運び屋を演じた映画がありました。そして、「追想」（１８）のドミニク・クック監督「クーリエ：最高機密の運び屋」（２０）では…

本来の意味、国家の機密情報を運ぶ男の実話の映画化です。１９６２年１０月、ソ連がキューバに核ミサイル基地を建設していることが判明。

アメリカとソ連はキューバ危機に陥ります。アメリカＣＩＡとイギリスＭＩ６は、危機を回避するため１人の男に、ある諜報活動を依頼します。

男は、スパイ経験のないイギリス人セールスマンのグレヴィル・ウィン（ベネディクト・カンバーバッチ）。そしてその任務は…

モスクワに飛び、国に背いたＧＲＵ（ソ連軍参謀本部情報総局）の高官オレグ・ペンコフスキー大佐（メラーブ・ニニッゼ）と接触し…

機密情報を西側に持ち帰るというものでした。家族の反対に直面し拒否するウィンでしたが、世界平和のため国を裏切った大佐から…

説得され、２年間モスクワ往復を続けるのでした。果たして？共演はウィンの妻シーラにジェシー・バックリー、他にレイチェル・ブロズナハン。

クック監督は、ＴＶシリーズ「ホロウ・クラウン／嘆きの王冠」シーズン２（１６）で、リチャード３世を演じたベネと共演済み。必見！

親友ディンの献身

トニー賞ノミネート４回、２回の受賞歴を持つ、女優チェリー・ジョーンズ。９５年の『女相続人』と０５年の『ダウト 疑いをめぐる寓話』で…

主演女優賞を受賞しています。ちなみにトニー賞の正式名はアントワネット・ペリー賞で、トニーはアントワネットの短縮形なんだとか。

チェリー・ジョーンズは、１９５６年１１月２２日テネシー州パリス出身の６４歳。実はファンでして、彼女を映画で見つけるとうれしくなります。

「モンタナの風に抱かれて」（９８）、「クレイドル・ウィル・ロック」（９９）、「エリン・ブロコビッチ」（００）、「サイン」（０２）、

「ヤァヤァ・シスターズの聖なる秘密」（０２）、「ヴィレッジ」（０４）、「アメリア 永遠の翼」（０９）、「愛する人」（０９）、

「それでも、愛してる」（０９）、「ニューイヤーズ・イブ」（１１）、「アイ・ソー・ザ・ライト」（１５）、「聖杯たちの騎士」（１５）、

「ある少年の告白」（１８）などに出演。最新作は、ガブリエラ・カウパースウェイト監督「 Ｏｕｒ Ｆｒｉｅｎｄ／アワー・フレンド」（１９）、実話です。

マット・ティーグ（ケイシー・アフレック）は、舞台女優の妻ニコル（ダコタ・ジョンソン）、２人の娘と幸せに暮らしていました。

しかしニコルが末期がんの診断を受け、マットは妻の看病と子育てに追われることに。そんなマットに救いの手を差し伸べたのは…

学生の頃のからの親友デイン・フォシュー（ジェイソン・シーゲル）。果たして？チェリー・ジョーンズは、フェイス・プルイット役。楽しみ。