お花さんに、ご挨拶

先日、ザ・ミュージアムで「レオナルド・ダ・ヴィンチ 美の理想」を見て来ました。今回の展覧会のメインとなる『ほつれ髪の女』（１５０６～０８年頃）は、２４．７ｃｍ×２１ｃｍととっても小さな作品でした。

ポプラの木の板に描かれた素描で、ダ・ヴィンチらしい質素な、でも繊細な作品でした。あまりに地味でもしかしたら、混んでると見逃してしまいそうなくらい。展覧会だと近づくこともできないし…。

それにしても『モナリザ』で有名なダ・ヴィンチですが、多くの画家たちに影響を与えたことがよくわかりました。モデルのポーズ、“スフマート”と呼ばれる描き方、肖像画の背景…などなど。

もう１枚の『モナリザ』と呼ばれた『アイルワースのモナリザ』。イギリスのアイルワースで発見され、スイスの地下金庫に厳重に管理されている本作も、見ることができます。これはぜひ見て欲しい！

そして『裸のモナリザ』と呼ばれる『サライ』（１６世紀）。これは衝撃。そして美しい…。渋谷のザ・ミュージアムは、近いということもあってよく行きます。ダ・ヴィンチの後は、ガラッと変わります。

手にしたチラシには、まるで妖精の世界のような可愛くてユーモアにあふれた小さな生き物たちがいっぱい！「スイスの絵本画家 クライドルフの世界」です。作家を知らなかったので、見入ってしまいました。

スイスのベルン出身のエルンスト・クライドルフ（１８６３～１９５６）。幼い頃から、自然の中の花や草木、昆虫をスケッチするのが好きだったそうです。画家を志し、スイスの美術学校へ。

しかし、学費を稼ぐために働きづめで無理がたたり体調を壊してしまいます。そして南バイエルンのアルプスで静養生活を送ることになり、それが後の絵本画家への基礎になったのです。

ポスターになった作品は絵本『花を棲みかに』の「わたりどり」（１９２６年前）、パンジーさんが蝶とご挨拶している「まま母さん」、いろいろな花が踊っている、絵本『花のメルヘン』の「輪舞」（１８９８）

絵本『はった』の「秋の行進」（１９３１）では、ばったさんがススキやほおずきを掲げて行進しています。本展ではスイスのベルン美術館を中心に約２２０点が展示される、日本初の回顧展です。ステキ！

凶悪エイリアンは僕らにおまかせ！

１９７０年バレンタインディ（２月１４日）イギリス、グロスター出身のサイモン・ペッグ。「ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン！」（０７）で、思いっきり日本の映画ファンにアピールしました。

「Ｍ：ｉ：III」（０６）と「ミッション：インポッシブル／ゴースト・プロトコル」（１１）のベンジー役でも、お馴染み。新しい「スター・トレック」（０９）のスコッティもペッグらしい軽妙な役作りでした。

今や話題作、大作にも出演するペッグですが、やはり「宇宙人ポール」（１０）みたいな作品がお似合い。この作品でも脚本を書いてます。そしていつもペッグと一緒にいるのが、ニック・フロスト。

フロストはロンドンでウエイターとして働いている時、友人のペッグが出演していたＴＶシリーズ「スペード」（９９～０１）に出演。シリーズの監督エドガー・ライトと主演と脚本のペッグとは、今も友人関係。

その後「ショーン・オブ・ザ・デッド」（０４未）「キンキーブーツ」（０５）「ペネロピ」（０６）「グラインドハウス」（０７／ペッグも出演）「ホット・ファズ」（０７）「パイレーツ・ロック」（０９）などに出演。

エドガー・ライト ファミリーの秘蔵っ子ジョー・コーニッシュが初監督に挑むのが、エドガー・ライト製作総指揮の「アタック・ザ・ブロック」（１１）です。当然、フロストも出てます。

サウス・ロンドンの貧しい公共団地、別名“ブロック”。ある夜、見習い看護師のサム（ジョディ・ウィッテカー）は、ブロックの自宅へ帰る途中、不良キッズに絡まれ… その時、空から隕石が落下。

サムは逃げ出しますが、不良キッズたちは隕石の正体を突き止めようとし、石から飛び出した生物を殺してしまいます。モーゼス、ペスト、デニス、ジェローム、ビグズの５人の不良キッズたち。

エイリアンの死体をギャングのボス、ハイハッツ（ジャメイン・ハンター）に渡し、意気揚々とする彼らの目の前にまたまた隕石が飛来。弱っちいエリアンをやっつけよう！と、意気込む５人。

長髪のフロストは、見るからにオタクっぽいゾ。英国アカデミー賞受賞！クエンティン・タランティーノ監督の２０１１年映画ベスト第７位、なんですって。ふ～む、見るしかないですね。

ラム酒で乾杯！

「ＧＯＮＺＯ～ならず者ジャーナリスト、ハンター・Ｓ・トンプソンのすべて～」（０８）をご存じでしょうか？または、ご覧になった？監督は、脚本、製作も担当したアレックス・ギブニー。

“ＧＯＮＺＯ”とは、ならず者、常軌を逸した…と言う意味。タイトルのハンター・Ｓ・トンプソンが、１９７０年に書いた記事に対する批評にあった言葉だとか。以来、ならず者と言えばトンプソン。

ちなみに「ＧＯＮＺＯ」のナレーションを務めたのが、トンプソンを敬愛するジョニー・デップ。そう、デップはトンプソンが大～好き。だからトンプソン原作の「ラスベガスをやっつけろ」（９８）に主演！

テリー・ギリアム監督・脚本のこの作品の脚本には、アレックス・コックス監督も参加。スポーツ記者のラウル・デューク（デップ）と、サモア人弁護士のドクター・ゴンゾー（ベニチオ・デル・トロ）の２人。

バイクレース取材のため、ラスベガスに向かう２人のトランクには、ドラッグがい～っぱい。２人がどうなったかは映画を見ていただくとして、デップったらまたまたトンプソンの原作を映画化。

「ラム・ダイヤリー」（１１）です。監督・脚本はブルース・ロビンソン。俳優であり、監督でもあるイギリス人の彼の作品には、「ＩＮ ＤＲＥＡＭＳ／殺意の森」（９８未）があります。あれか！

１９６０年、カリブ海に浮かぶ島プエルトリコのサンファン。ＮＹからジャーナリストのポール・ケンプ（デップ）がやって来ます。地元新聞“サンファン・スター紙”に記事を書くために…。

同じジャーナリスト仲間とラム酒を浴びるように飲む毎日。すっかり馴染んだケンプは、ある日アメリカ人企業家サンダーソン（アーロン・エッカート）と婚約者のシュノー（アンバー・ハード）と出会います。

彼女の魅力にすっかり虜になり、サンダーソンの策略に巻き込まれ…。果たして、ケンプはどうなる？編集長ロッターマンに、リチャード・ジェンキンス。ジャーナリスト仲間に、ジョヴァンニ・リビシ。

９０年代のある日、デップがトンプソン宅を訪れていた時、偶然本作の手書き原稿を発見。本作の製作も務めるデップ。トンプソンは０５年２月２０日拳銃自殺。最後までならず者でした。

硬く味のない黒いパン

“スペインのデヴィッド・リンチ”と呼ばれる映画監督、鬼才アグスティー・ビジャロンガ監督。知りませんでした。スペインの映画監督と言うと、「アレクサンドリア」（０９）のアレハンドロ・アメナーバル。

「私が、生きる肌」（１１）のペドロ・アルモドバル。「死ぬまでにしたい１０のこと」（０３）のイザベル・コイシェ。「フラメンコ・フラメンコ」（１０）のカルロス・サウラ。ルイス・ブニュエルもそうですね。

デヴィッド・リンチ監督のファンですので、ビジャロンガ監督の作品はどんなものがあるのか興味があります。しかし、日本での公開作品はまだないようです。１９５３年スペイン出身。

監督になる前は舞台俳優、コスチューム・デザイナー、美術監督、シナリオライターを経験。彼の作品はゴヤ賞を初め、いろいろな映画祭で賞を受賞しているそうです。日本ではこれからですね。

その本邦初公開となる作品が、「ブラック・ブレッド」（１０）です。２０１１年のスペイン映画脚本家協会賞で脚本賞にノミネート。ゴヤ賞とガウディ賞でも、監督賞と脚本賞をダブル受賞しています。

１９４０年代、激しい内戦を終えたスペインのカタルーニャ。貧富の差が際立つある村で暮らす、１１歳の少年アンドレウ（フランセスク・クルメ）。ある日、アンドレウは森の中で見てしまうのです。

ディオニスとその息子クレットが血まみれで倒れているのを…。クレットは死ぬ前に『ピトルリウア』と言い残します。“ピトルリウア”とは、森の洞穴に潜むと言われる羽根を持った怪物の名前。

警察は調査の結果、事故から殺人事件と断定。左翼運動に関係したアンドレウの父ファリオルが、第一容疑者になってしまうのです。しかしファリオルは、警察の追及を逃れるため姿を隠します。

母（ノラ・ナバス）は生活のため工場で働き続け、安全のために祖母の家へ引き取られるアンドレウ…。それまで考えも及ばなかった普通の生活が、一変するのを見ることになるアンドレウ。

カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞のミヒャエル・ハネケ監督「白いリボン」（０９）同様、じわじわ来る恐怖。子供の見つめる大人の世界…。タイトルは“黒いパン”。“ピトルリウア”の意味は？

金庫、開けてください。

「ハングリー・ラビット（１１）を紹介したばかりだと言うのに、またまたニコラス・ケイジの映画が公開。今度は、「オペラ座の怪人」（０４）のジョエル・シューマカー監督作「ブレイクアウト」（１１）です。

ダイヤモンドディーラーのカイル・ミラー（ニコラス・ケイジ）は、妻のサラ（ニコール・キッドマン）と娘のエイヴリ―（リアナ・リベラト）と３人、郊外の豪華な邸宅で何不自由なく暮らしていました。

ある日、帰宅したカイルは仕事の準備をしていました。突然、覆面武装した４人組が家に侵入。『おまえの持っているものをすべていただく』と宣言。それはカイルの持っているダイヤモンドを意味します。

ダイヤの入っている金庫を開けるよう命令されるのですが…。家族が危機にさらされているにも拘らず、カイルは金庫を開けることを拒否。さらに強盗の１人がサラに迫ると、別の男がサラを庇うのです。

それを見たカイルは、サラを強盗の一味と思ってしまうのでした。果たして、なぜカイルは金庫を開けないのか？なぜ強盗はサラを庇うのか？強盗の本当の目的は、いったいなんなのか？

幸せに暮らしている家族に突然襲いかかる武装強盗という、悲劇。でも本当のドラマはここから。武装強盗をきっかけに家族の秘密が暴かれていくという、シチュエーション・サスペンス・アクション。

“シチュエーション”とは、状況、状態、立場の意。“シチュエーション・コメディ”と言えば、ジョン・ステイモス主演の「フルハウス」（８７～９５）、ジェニファー・アニストン主演「フレンズ」（９４～０４）があり。

おっと横道に逸れてしまいましたが、本作「ブレイクアウト」ではどう展開するのか、普通の映画としては測れない予測不可能な物語。なにしろ、アカデミー賞受賞俳優と女優の初共演なんです！

ニコラス・ケイジは「リービング・ラスベガス」（９５）」で主演男優賞受賞。「アダプテーション」（０２）で同賞にノミネート。ニコール・キッドマンは「めぐりあう時間たち」（０２）で主演女優賞受賞。

「ムーラン・ルージュ」（０１）と「ラビット・ホール」（１０）でも同省にノミネート。製作には「ロッキー」（７６）「グッドフェローズ」（９０）などのアーウィン・ウィンクラー。これだけ豪華だと見なくちゃなりません。

２３年間の７月１５日

エマとデクスターの出会いは、大学の卒業式。誰にでも大切な１日ってあると思いますが、映画「ワン・デイ ２３年のラブストーリー」（１１）のその日は、１９８８年７月１５日。原作はデヴィッド・ニコルズ。

エマ（アン・ハサウェイ）は真面目な性格で、デクスター（ジム・スタージェス）は自由奔放な青年。大学の卒業式で初めて言葉を交わした２人は、意気投合し、しかもお互いに惹かれあうのですが…

エマは、デクスターへの想いを隠しつつ友人であることを選ぶのでした。その日から１年、１９８９年の７月１５日。エマはロンドンで暮らし始めていました。１９９０年７月１５日、デクスターはパリにいました。

１９９２年７月１５日、想いを打ち明け、２人だけのバカンスに出かけます。１９９４年７月１５日、デクスターは家族とのトラブルで悩み、エマに電話します。しかしエマは、他の誰かと会っていたのです。

１９９６年７月１５日、久しぶりに会った２人。デクスターはエマに告白しますが、もう好きではないと言うエマ。２０００年７月１５日、友人の結婚式。２人はすれ違いながらも、それぞれの道を歩んでいました。

そして２００６年７月１５日。あの日から２３年が過ぎていました。２人を待ち受ける、その運命とは？２３年間の同じ日、７月１５日をずっと見つめたラブストーリー。なんてユニークなんでしょう。

今まで、こんなラブストーリーを見たことがありません。監督は、デンマークのコペンハーゲン出身のロネ・シェルフィグ。キャリー・マリガン主演「１７歳の肖像」（０９）の監督ですね。

エマ役のアン・ハサウェイは、１９８２年１１月１２日ニューヨーク市ブルックリン出身。「プリティ・プリンセス」（０１）「プリティ・プリンセス２／ロイヤル・ウェディング」（０４）でお馴染み。

「ブロークバック・マウンテン」（０５）「プラダを着た悪魔」（０８）「ジェイン・オースティン 秘められた恋」（０７）「レイチェルの結婚」（０８）「ラブ＆ドラッグ」（１０）と出演作も多彩。

デクスター役のジム・スタージェスは、「アクロス・ザ・ユニバース」（０７）「ラスベガスをぶっつぶせ」（０８）「正義のゆくえ Ｉ.Ｃ.Ｅ.特別捜査官」（０９）に出演。他にパトリシア・クラークソン共演。楽しみ。

銀行強盗、２組はありえない！？

１９６６年１月１３日メイン州ルイストン出身のパトリック・デンプシー。映画デビューは、「パニック・スクール／冒涜少年団」（８５未）。「ウー・ウー・キッド」「キャント・バイ・ミー・ラブ」（８７）と続き…

思いっきり、青春映画アイドルでした。しかしケネス・ボウサー監督、マイケル・ビーン主演「哀しみのラストダンス」（８７）で、戦争で顔に傷を負ったガーネットと心を寄せ合うポッター役が印象的でした。

アレック・ケシシアン監督「きっと忘れない」（９４）で、ブレンダン・フレイザーのルームメイトの１人エヴェレット役。そして、ロバート・ダウニー監督「ヒューゴ・プール」（９６）に出演。

アリッサ・ミラノ、ショーン・ペン、ロバート・ダウニー・Ｊｒ共演。デンプシーは“ＡＬＳ（筋萎縮性側索硬化症／ルー・ゲーリッグ病）”のフロイド役。映画の不思議な雰囲気と共に強い印象を残しました。

その後、ＴＶ「グレイズ・アナトミー」（０５～ ）のデレク・シェパード役で大人気！（私は「ＥＲ」派）「魔法にかけられて」（０７）や「近距離恋愛」（０８）「バレンタインデー」（１０）にも出演。

ハンサムな二枚目もやるのに、平気で悪役もやってしまうんです。最新作は「フライペーパー 史上最低の銀行強盗」（１１）。脚本は、「ハングオーバー！」（０９）のジョン・ルーカスとスコット・ムーア。

閉店間際の銀行。窓口のケイトリン（アシュレイ・ジャッド）は、大量の小銭の両替に来た男トリップ（デンプシー）の相手をしていました。ハンサムだけど、ちょっと神経質でおかしなトリップ。

その時、銃声が響きわたりハイテク武装した３人組の銀行強盗が現われます。…と同時に、反対方向からもＴシャツ＆短パン姿の２人組の強盗も登場！銀行は、あっという間にセキュリティシステムが作動。

閉じ込められた人質たちと２組の銀行強盗。果たして？監督は、ジャッキー・チェンとジェット・リー主演「ドラゴン・キングダム」（０８）のロブ・ミンコフ。「ラストダンス」と「ヒューゴ・プール」、セル化して下さい！

すべて本物！

アメリカ海軍特殊部隊と言えば、Ｎａｖｙ ＳＥＡＬｓ。← こう書くんですね。“ネイビーシールズ”は映画にもよく登場します。大好きなマイケル・ビーン主演「ネイビー・シールズ」（９０）は、そのままですね。

監督は、「クジョー」（８３）「ナイルの宝石」（８６）などのルイス・ティーグ。最近、作品がありませんけど。海軍ヘリコプターのクルーがテロリストに拉致され、中東地域へ急行したシールズ。

救出には成功するのですが、テロ首謀者シャヒードにスティンガー・ミサイルを奪われてしまいます。部隊長のカラン大尉（マイケル・ビーン）以下、シールズはミサイル奪還作戦を開始。

部下のデイル（チャーリー・シーン）の自己中心的な身勝手さが、見る者をイライラさせました。チャリ坊（当時そう呼ばれてました）、まさにはまり役。彼の命令無視で死んでしまう仲間が、グレアム。

演じるのは、デニス・ヘイスバート。ＴＶ「２４」のデイビッド・パーマー大統領ですね。他にも若き日のビル・パクストンやリック・ロソヴィッチとかが出演。シールズの凄さを見せつけました。

そう言えばマイケルは、マイケル・ベイ監督、ニコラス・ケイジ、ショーン・コネリー主演「ザ・ロック」（９６）でも、シールズのアンダーソン隊長役で出演していました。カッコイイし、よく似合うんだもん！

そんなシールズの映画がやって来ます。今回は出演者がすごい。なんと現役のシールズ隊員。スコット・ウォーとマウス・マッコイ監督の「ネイビーシールズ」（１２）です。名のある俳優は１人も出てません。

企画協力に作家のトム・クランシ―が。クランシ―は「レッド・オクトーバーを追え！」（９０）「パトリオット・ゲーム」（９２）「今そこにある危機」（９４）「トータル・フィアーズ」（０２）などがありますね。

脚本は、「３００ ＜スリーハンドレッド＞」（０７）のカート・ジョンスタッド。彼らが書いた物語は…医師を装い、コスタリカに潜入していたＣＩＡエージェントの女性が拉致されます。

犯人は、麻薬取引と兵器の密輸で巨万の富を築く通称“クリスト”。エージェント奪回のため、出動するシールズ。映画に登場する隊員、銃、ハイテク機器、戦闘機、潜水艦もすべて本物。マニアにはたまらない！

代理殺人とは？

パトリシア・ハイスミスの原作をサスペンス映画の神様、アルフレッド・ヒッチコックが監督した「見知らぬ乗客」（５１）。見ました？ヒッチコックの作品は、本当に面白い！見ないなんて損です！

ある列車の中で知り合った、テニス選手のガイ・へインズ（ファ―リー・グレンジャー）と、ブルーノ・アントニー（ロバート・ウォーカー）。その見知らぬ男は、ガイに交換殺人を持ちかけます。

ガイの妻ミリアム（ケイシー・ロジャース）は浮気を繰り返し、ガイは離婚したがっていました。ブルーノは自分の父親を殺して欲しいと言い、お互いに知らない同士なら捕まるわけがないという理由。

相手にしないガイでしたが、ブルーノはミリアムを殺害。今度は自分の父親を殺す番だと迫るのでした。これから先はぜひ映画を見ていただくとして、白黒の美しい映像も目を見張る仕掛けもドキドキです。

予告編を見て“交換殺人”を思い出したのは、ロジャー・ドナルドソン監督「ハングリー・ラビット」（１１）です。当然、現代の物語だから「見知らぬ乗客」のような、どこか優雅で同性愛的ムードは一切なし。

ニューオリンズで高校教師をしているウィル・ジェラード（ニコラス・ケイジ）は、音楽家の妻ローラ（ジャニュアリー・ジョーンズ）と幸せに暮らしていました。ある日、ローラは帰宅途中、暴行されてしまうのです。

病院に駆け付けたウィルは、見知らぬ男から声をかけられます。その男の名はサイモン（ガイ・ピアース）と言い、ウィルの代わりに犯人を捜して殺し、復讐することを提案して来たのです。

妻の姿を見て動揺し、やり場のない怒りに震えるウィルはその提案を受けてしまいます。半年後…、サイモンは代償として、誰かの代わりに殺人をするよう迫ります。拒否する、ウィルでしたが…。

「見知らぬ乗客」は交換殺人でしたが、「ハングリー・ラビット」では代理殺人となっています。…ということは、殺人が連鎖していくわけです。正義に名のもとに殺人を繰り返す秘密組織に挑むウィル…。

ところで“ハングリー・ラビット”の意味は？ニックはハリウッドデビューから、今年３０年を迎えます。アクションもシリアスドラマも、コメディもＳＦもパロディもこなす、ニック。やっぱり見ちゃいます。

闘う、白雪姫

ヤーコプ・ルートヴィヒ・カルル・グリムとヴィルヘルム・カール・グリム、２人は兄弟。ドイツ人のグリム兄弟です。“グリム童話”は彼らが書いたのではなく、彼らが編集した童話集なんですね。

集められた作品は２００話あり、他に児童の読む聖書物語が１０話あるそうです。初版は１８１２年で、ナポレオンがモスクワから撤退した年とのこと。う～む、古いということはわかります…。

主な作品には、『かえるの王さま』 『ラプンツェル』 『ヘンゼルとグレーテル』 『灰かぶり』（←シンデレラ） 『赤ずきん』 『いばら姫』（←眠れる森の美女） 『黄金のがちょう』 『靴はき猫』（←長靴をはいた猫）

そして『白雪姫』などがあります。ウォルト・ディズニーのアニメ「白雪姫」（３７）を見た方は、魔女、毒リンゴ、魔法の鏡、７人の小人、ハイホー、王子さま、などのキーワードを思い出すはず。

グリム兄弟については、テリー・ギリアム監督、ヴィルヘルムことウィル役のマット・デイモン、ヤーコプことジェイコブ役のヒース・レジャー主演の「ブラザーズ・グリム」（０５）をご覧くださいね。

「白雪姫」が「スノーホワイト」（１２）として、甦ります。監督は、ＣＭ界から初の長編映画デビューとなったルパート・サンダーズ。物語は世界中の人が知っていますが、映画は新しい！

マグナス王と王妃に育てれた、美しいプリンセス、スノーホワイト（クリステン・スチュワート）。母が亡くなり、王は新しい王妃ラヴェンナ（シャーリーズ・セロン）を迎えます。しかし王妃は、王を殺害。

スノーホワイトは国を奪われ、７年間の幽閉生活を送ることに。ラヴェンナ女王は鏡に向かって問いかけます。『鏡よ、鏡。この世で一番美しいのは誰？』。ある日、鏡は女王より美しい娘がいると言います。

スノーホワイトを捕えるために、女王はハンターのエリック（クリス・ヘムズワース）を差し向けます。しかし、エリックはスノーホワイトと手を組むことに…。やがてスノーホワイトは抵抗軍を組織します。

まるで今まで知っていたおとぎ話とは、全然違う！クリステン・スチュワートは「トワイライト」シリーズのベラだし、クリス・ヘムズワースは「マイティ・ソー」（１１）だし。これは見ものです！