報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「魔道師達のクリスマス」 イブの部終了編

2016-12-25 19:36:57 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[12月24日19:00.天候:曇 長野県北部 マリアの屋敷]

 リリィ:「理不尽な太陽じゃなく月の下で〜♪ヒャッハーッ!私の魔法が炸裂ぅ♪」

 パーティの最中、余興を行う魔道師もいるが、リリィのヘヴィメタルはとても目立つ。
 魔女の姿をしている時とは大違いだ。

 稲生:「リリィ、わざわざエレキギターまで持ってきて……」
 マリア:「次に立ち直れるのはあのコだよ」
 稲生:「ですねぇ……」

 イリーナはダンテの相手をしている。
 というか、ダンテの周りには直属の大魔道師達が集まっていた。

 サンモンド:「まるでハーレムだねぇ……」
 稲生:「船長」
 サンモンド:「ま、あの老翁にそんな気持ちは微塵も無いだろうけどね」
 マリア:「そりゃそうだろう。うちの師匠だって、もう齢1000年のBBAだ」
 サンモンド:「ははは……。1000歳はまだ若いよ。稲生君なら知ってるだろう?妖狐の世界では、数千年経ってようやく大妖怪の仲間入りを果たせることを」
 稲生:「ええ、まあ……。だから威吹は、妖狐の里ではヒヨっこ扱いだということです。もう400年以上行きてるのに……」
 サンモンド:「なるほどね」

[同日22:00.天候:曇 同場所]

 因みにパーティは2日に渡って行われるという設定であるが、一度切るわけではない。
 即ち、パーティ会場たる大食堂から誰もいなくなって自然終了という流れなのである。
 用事のある魔道師は帰るし、2日に渡って参加するつもりの魔道師は館内のゲストルームに宿泊する。
 普段は稲生しか寝泊まりしない東側も、この時ばかりは他の男性参加者が寝泊まりする。
 稲生が寝泊まりしていることで、東側はいつしか男性用になっていた。

 サンモンド:「それじゃ、一泊だけお世話になるよ」
 稲生:「どうぞ。僕は自分の部屋にいますから」
 サンモンド:「この時ばかりは、寝ずの番をしていた方がいいんじゃないかな?」
 稲生:「え?どうしてですか?」
 サンモンド:「酔っぱらった魔女達が、何をしでかすか分かったもんじゃないからねぇ……」
 稲生:「イリーナ先生もマリアさんもすぐに寝ちゃいますよ?」
 サンモンド:「だから、中には酒癖の悪い魔女もいるってことさ」
 稲生:「確かにさっき、エレーナに絡まれましたけどねぇ……」

 稲生は苦笑いをした。

 稲生:「ま、とにかく、僕も疲れましたんで寝ますよ」
 サンモンド:「そうかい?まあ、いつでも助けを呼べる体制にしておいた方がいいよ」
 稲生:「はあ……」

 稲生はサンモンドと別れて、自分の部屋に入った。
 大食堂はマリアの人形達が大急ぎで片付けているので、稲生は何もせずとも良い。
 尚、男性陣は屋敷の東側となっているが、ダンテだけはVIPルームのある西側に宿泊する。
 稲生の部屋にはシャワーとトイレが付いている。
 バスタブに入りたければ共用のものを使用することになるが、今日はシャワーだけで良いと稲生は思った。
 半分くらいの魔道師達は帰ったと思うが、アナスタシア組も含めて意外と多くの魔道師達が泊まり込むようだ。
 因みに東側に宿泊する男性陣というのは、サンモンドを除けば全員がアナスタシア組の弟子達である。

 稲生:「明日は海外の遠くで活動している人達が来るんだっけ。ま、今日みたいなノリだろう」

[12月25日02:00.天候:曇 マリアの屋敷東側・稲生の部屋]

 ……ふと寝苦しくて稲生は目が覚めた。
 胸が重い。
 胸をグッと押されているような感じがする。
 何か、いる。
 稲生の部屋に、誰かがいる。
 しかし、稲生は怖くて目が開けられなかった。
 と、稲生の顔に生暖かい息が吹き掛けられる。
 何だか酒の臭いがする。
 誰だ?
 誰が、稲生の胸に乗っかっている?
 体が動かない。
 金縛りである!
 まるで蛇の舌が稲生の顔をなめるように、生暖かい息が万遍なく稲生の顔に吹きかけられる。
 その息は、稲生の耳元で動きが止まった。
 何か、呟いている。
 ぼそぼそとよく聞き取れない声が、稲生の耳に忍び込んでくる。
 その声は、次第に大きくなっていった。

 ???:「殺してやる……殺してやる……!」

 生暖かく、酒の臭いの混じった息が吐かれるたびに、呪いの言葉が稲生の耳をなでまわす。

 稲生:「うわあっ!」

 稲生は、あまりの怖さに目を見開いた。
 そこに、彼女はいた。
 ナイフを手にしたリリィが、稲生の胸の上に乗っていた。
 その姿は覚醒している時のものだ。
 稲生を見据える目の瞳孔は収縮し、瞳全体が灰色で中央に黒い点が入っている。

 リリィ:「フヒヒヒヒヒヒ……ヒック!わらひ(私)の中に、悪魔が入ったの……。だから戦った。おかげで、悪魔から解放された……。次の番……つ、次は……お、お前の番だ!」
 稲生:「リリィ、やめてよ!キミは酔っぱらってるだけだ!」

 リリィはナイフを振り上げた。
 と、そこへ、机の上に置かれている水晶玉が机の上から飛び跳ね、リリィの顔面に直撃した。

 リリィ:「ぎゃっ……!」
 稲生:「リリィ、ゴメン!」

 稲生は怯んだリリィを突き上げて、ベッドから振り落とすと、部屋を飛び出した。

 マリア:「ユウタ、無事か!?」
 稲生:「ええ、何とか……!」
 エレーナ:「リリィ、何やってんの!!」

 エレーナが部屋に飛び込んで、リリィを連れ出した。

 エレーナ:「この大馬鹿野郎!だからあれほど酒飲むなって言ったのに!朝まで説教してやる!!」

 エレーナはリリィの腕を掴んで、ズルズルと部屋から引き出した。
 リリィは何とも言えぬ顔をしていた。
 ヤンデレがその犯行に失敗した時の顔……?という表現は分かりにく過ぎるか。
 稲生が部屋の中を覗くと、ナイフが床のカーペットに突き刺さっていた。

 アンナ:「ちっ、先を超されたか……」

 何故か舌打ちするアンナがいたのだが、イリーナ組もポーリン組も誰も気がつかなかった。
 ていうかこんな夜這い、モテ方は絶対に嫌だ。
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“大魔道師の弟子” 「魔道師達のクリスマス」 パーティ始まり編

2016-12-25 17:37:08 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[12月24日18:00.天候:曇 長野県北部某所 マリアの屋敷]

 稲生:「そろそろ開始だな……」

 稲生が受付を閉めようとした時だった。

 サンモンド:「いやあ、ギリギリ間に合った!」
 稲生:「サンモンド船長!?」
 サンモンド:「長野県には海が無いからねぇ、船をどこに着けるかで迷ってしまったよ。はっはっはっ!」
 稲生:「で、どこに着けたんですか?」
 サンモンド:「素直に糸魚川の岸壁に。そこから列車で来たよ。ANPさんがそこのキハ120系とやらがおススメだということなんだが、キミは乗ったことがあるかね?」
 稲生:「いえ、無いです。てか、糸魚川って……大火の直後ですよ?」
 サンモンド:「うむ。海から随分と明るい漁火が見えるなぁと思っていたんだが、火が消えるまで待ってたよ」
 稲生:「別のアクセス路は考えなかったんですね」
 サンモンド:「もしかしたら、私の船の乗客が出るかもしれないと思っていたのだが、そんなことは無かったよ」
 稲生:「そうでしょうねぇ……」

 サンモンド・ゲートウェイズは他門の魔道師であると同時に、冥界鉄道公社船舶事業部(通称、冥鉄汽船)に所属する船長でもある。
 冥鉄の鉄道事業本部が幽霊列車を運行させるのに対し、冥鉄汽船は幽霊船を運航させている。

 稲生:「外部の方は招待状を確認しています。招待状はお持ちですか?」
 サンモンド:「もちろんだとも」

 サンモンドは被っていた船長の白い帽子を取ると、中から招待状の入った封筒を出した。

 稲生:「どうして帽子の中から?」
 サンモンド:「はっはっはー!白い鳩も出せるよ?」
 稲生:「はあ……」
 サンモンド:「ところで、もう始まっているのかね?」
 稲生:「あ、そうですね。……?誰が司会やってるんだろう?」

 ケンショーブラック:「只今より、第383回、ダンテ門流クリスマス大会を開催致します。活動報告!ケンショーグリーン!」
 横田:「先般の総幹部会における大感動は、未だ冷めやらぬものであります。先般で恐縮ではありますが、私は作品の垣根を越え、“私立探偵 愛原学”への出演を果たすことができました。役割は大山寺ステージにおけるゾンビの役という、非常に重大なものであり、私は無二の師匠、浅井先生の……」
 ケンショーブラック:「続きまして、体験発表!ケンショーブルー!」
 サトー:「新潟から来たサトーだぜぇ!あ?」
 アナスタシア:「……ねえ?司会と挨拶ってこんなんだったっけ?」
 アンナ:「絶対に違いますよね?」

 そこへ急いで大食堂に入って来た稲生。

 稲生:「うわっ、やっぱり!?何やってんだ、お前ら!!」
 マリア:「ブッ殺す!!」
 ケンショーブラック:「それでは、以上を持ちまして飛び入りを終了致します。ご苦労様でした!」
 マリア:「逃げるなぁぁぁぁっ!!」
 稲生:「待てーっ!」

 だが、稲生だけ後ろから掴まれる。

 エレーナ:「本当の司会のあんたまで出て行ってどうするの?あとはマリアンナと……」
 魔女A:「あいつら、性犯罪者の臭いがする!」
 魔女B:「性犯罪者は殺せ!!」
 魔女C:「逃がすな!!」
 エレーナ:「ダンテ門内『性犯罪被害者の会』が始末してくれるから」
 稲生:「エレーナなどの一部を除いて、全員が被害経験あるんだよね?」

 エレーナはウクライナでストリートチルドレンをしており、薬物中毒者ではあったが、性犯罪の被害にまでは遭っていない。
 自称だが処女である。
 稲生はマイクスタンドの前に立った。

 稲生:「えー、大変失礼致しました。それでは改めまして、クリスマスパーティを開催致します。えー、では最初の挨拶と致しまして、ケンショーグリーン……もとい、当作品の作者の雲羽百三より挨拶を賜りたいと思います」
 エレーナ:「何故、作者?」
 リリィ:「フフ……」

 登壇する雲羽。
 コホンと咳払いをし……。

 雲羽:「みんなぁーっ!ニューヨークへ行きたいかぁーっ!!」

 直後、一発の銃声が響いて雲羽の頭が撃ち抜かれる。

 稲生:「えー、尚、フザけた挨拶をした場合は、ダンテ門内規則により、僕の専属メイド人形でありますダニエラより、狙撃銃の洗礼がありますので、ご注意ください」
 アンナ:「先生、そんな規則ありましたか?」
 アナスタシア:「規則自体はあるわよ。でも、実際はただ単に『何らかの制裁を課すものとす』としか無いので、人形の狙撃はイリーナ組の勝手な規則だね」
 アンナ:「なるほど……」
 稲生:「それでは最後に我らが大師匠、ダンテ・アリギエーリ先生に御挨拶を賜りたいと思います。先生、お願いします!」

 ケンショーブラックを追い出した稲生だが、自分のノリがそれに似ていることに気づいていない。
 さすがは元顕正会員である。

 ダンテ:「アメリカ横断ウルトラクイズ、実に懐かしいものですね。実は私がそのネタを使おうとしたのに、作者に取られてしまいました」

 会場内から笑いが起きる。
 ここでもダンテはローブを着用し、フードは深く被ったままだった。
 しかしやはり、一部に見える素肌は浅黒いものだ。
 ダンテは黒人であるという噂は本当のようである。

 ダンテ:「難しい話は抜きにして、今日と明日2日間に渡って楽しみましょう」
 稲生:(2日?……あれ?)

 稲生は手元にある資料を見た。
 すると、今日は『クリスマス・イブの部』と明日の『クリスマスの部』と書かれていた。
 今日参加していない魔道師も存在する為、2日に分けて行われているのである。

 稲生:(マジですか……)
 ダンテ:「おう。どうやら、孫弟子達が不浄なる者を追い払ってくれたようです」
 稲生:「マリアさん」
 マリア:「雪に埋めておいた。春になれば見つかるだろう」
 稲生:「いっそのこと、沖浦ジムの前に放置しておくという方が良かったのでは?」
 ダンテ:「さあさあ。せっかくのワインと料理だ。ケーキもあるようだ。早速、頂くとしましょうか」
 稲生:「あ、はい。えー、ダンテ先生の御挨拶でした。それでは皆様、グラスを手にしてください」

 こうして、ようやくクリスマスパーティが始まった。

 稲生:「マリアさん、本当に雪の中に?」
 マリア:「私はな。だけど、他の魔女達は気が収まらなかったようなので、その後は知らん」
 稲生:「知らんって……w」
 エレーナ:「ま、深くまで付き合い切れないってことだよね」
 稲生:「……だね。ところでエレーナ、ワイン飲まないの?」
 エレーナ:「未成年なの、アタシw」
 マリア:「ウソつけぇっ!」
 リリィ:「フフ……」(←ガチで未成年なのに、ワインを口に運んでいることに誰も気づいていない)
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