[12月10日08:00.天候:冬 ペンション“ドッグ・アイ”1F食堂]
敏子:「おはようございます。早朝は申し訳ありませんでした」
愛原:「いえいえ……」
私達は朝風呂を浴びると、それから食堂へ向かった。
高野君がロビーにいたので、彼女を呼ぶ。
高野:「ねぇ。外、大変なことになってるよ」
愛原:「え?」
外は一面銀世界だった。
これのどこが大変なのだろう?
男子大生A:「うわっ、雪ヤベェじゃん!」
男子大生B:「ちょw 車埋まってんよwww」
女子大生A:「雪かきからしないと出れねんじゃね?」
若者グループはお気楽なものだったが、私も暢気だったか。
高野:「いや、何て言うかさ……。このペンションに通じる一本道、ちゃんと除雪されてるかなぁ……って」
愛原:「ああ、なるほど。村道とはいえ、公道だろ?ちゃんとしてくれるよ」
高野:「……だといいんだけど……」
だいたい皆、夕食と同じ席に座った。
今度は名札は無い。
席に座ると、朝食が運ばれて来た。
愛原:「おっ、いいねぇ」
ふわとろのオムレツにベーコンが目を引く。
高野:「! ねぇ、先生。ケチャップいい?」
愛原:「はいよ」
高野:「ありがとう」
高橋:「ケチャップくらい自分で取れよ」
高野:「うるさいな」
高野君はケチャップの蓋を開けると、それをオムレツに掛けた。
……自分のではなく、私のにだ。
高野:「はい、完成
」
愛原:「うおっ!?」
高橋:「!」
愛原君はケチャップで器用に、『愛原先生へ
』と書いた。
まるでメイドカフェのオムライスだな。
愛原:「はは……ありがとう。そう言えば前に映画で、女版ターミネーターが主人のメイド役をやるヤツで、似たようなことをしていたな……」
高橋:「ケチャップ、俺にも貸せ!」
高橋は高野君からケチャップを引っ手繰った。
そして……。
高橋:「先生!俺のも食べてください!」
高橋は器用に、『愛原先生
愛原先生
愛原先生
愛原先生
愛原先生
愛原先生
愛原先生
愛原先生
愛原先生
愛原先生
愛原先生
愛原先生
愛原先生
愛原先生
愛原先生
【以下、無間ループ】』と細かく書いた。
何て器用過ぎるヤツだ!……って!
愛原:(怖っ!)
高野:(ヤンデレ!?)
高橋:「さあ、先生。食べてください。さあ!さあ!」
愛原:「あ、うん。頂くよ……」
食べないと、後で私が推理される側になってしまう。
せっかくの美味しいオムレツが、何だか喉を通りにくかった。
安沢:「おはようさん。おやおや?何だかメイドカフェみたいなことになってるじゃないの」
愛原:「何とでも言ってくれ」
安沢:「助手の方、もしかしてLGBTのGの方?今は差別がどうのこうのとかうるさいから気をつけた方がいいよ」
高橋:「あ!?誰がGだ!」
高橋は安沢氏にくって掛かった。
だがまあ、こんなヤンデレ書法見られたら、疑われるのも無理は無い。
高野:「気をつけないと、この小説のジャンルがBLにされちゃうからね」
愛原:「それは困る!」
安沢:「ほーらほら。大好きな先生様が困ってるよ?」
高橋:「キサマ……!雪の下に埋めてやろうか?あ?」
安沢:「そしたらこの事件の犯人はキミで決定だ。おめでとう!」
高橋:「表へ出ろ!」
愛原:「高橋君、やめないか!」
高橋:「ですが先生!」
愛原:「いいから!」
そして私は安沢氏の前に出た。
愛原:「高橋君が、からかいがいのある人間だということは認めるよ。だが、分を弁えてくれないか?」
安沢:「……オーケー、オーケー!取りあえず今は、朝食を頂くとしよう」
安沢氏は両手を振った。
だが席に戻る時、こう言い放った。
安沢:「バカなヤツだ。この状況を把握し切れていないとは……」
愛原:「何だと?」
そこへオーナーの大沢氏が自ら、コーヒーのお代わりを持って来てくれた。
大沢:「愛原先生、おはようございます。先ほどはジョージが失礼しました。今、ゲージの中に入れて反省させてますので、どうか穏便に……」
愛原:「私は構いませんよ」
高野:「ゲージに閉じ込めちゃってるんですか?何か、かわいそう……」
大沢:「お客様の安眠を妨害してしまう。宿泊業者として恥ずべきことですからね。ジョージはただの飼い犬ではありません。当ペンションのサイトでも、看板犬として紹介している以上、それを汚すようなことはあってはなりません」
高橋:「チワワにでもしときゃいいんじゃないのか?」
愛原:「高橋君」
高野:「チワワでも吠える時は吠えるから……」
高橋:「その時は俺のショットガンで軽〜く、あの世に送ってやるぜ」
愛原:「全く……」
チワワのような超小型犬で、動きも素早いヤツに弾が当たるかねぇ?
尚、バイオハザードたけなわのあの町で、チワワやトイプードルのゾンビがいなかったのは、人間のゾンビに食い殺されたり、ドーベルマンやシェパードなどの大型犬ゾンビに食い殺されたり、或いはカラスに食い殺されたりしたからだとされている。
尚、カラスがゾンビ化しなかったのは、カラスに限らず、鳥類はTウィルスに感染してもゾンビ化することは無く、その身体能力はそのままに凶暴性だけが増すという効果があるのだそうだ。
安沢:「全く。お気楽な人達だな」
愛原:「安沢さん……」
高橋:「キサマ、先生にインネン付けんのか?」
安沢:「あなたは黙っててくれ。愛原さん、この食堂からして何かおかしいことに気がつかないのか?」
愛原:「え……?」
私は周囲を見回した。
特に何か構造が変わっている様子は無い。
私達の他にいるのは、この安沢氏と、桂山夫妻、そして若者グループだ。
オーナーの大沢夫妻は厨房とかにいるだろう。
アルバイトのコ達は帰ったのかな。
高橋:「先生。あの田中一郎ってヤツと、河童勝治って爺さんがいません」
愛原:「あ、そうだ!」
あまりにも影が薄かったので忘れていた。
いや、存在感だけなら強かったかな。
ただ、桂山氏とは風呂場で話す機会があったし、若者グループは常に賑やかなので目立つ。
愛原:「まだ寝てるんじゃないのか?」
安沢:「もう8時半だぜ?このペンションのチェックアウトは10時。そろそろ食べないと、時間無くなるぞ?」
愛原:「うーむ……」
と、そこへロビーから大沢氏が首を傾げながら入ってきた。
愛原:「大沢さん、どうかしたんですか?」
大沢:「ああ、いえ……。205号室の田中様方のお部屋に内線を入れてたんですが、全くお出にならないんですよ。朝食の時間ですので、モーニングコールってわけでもないんですが……」
愛原:「直接起こしに行っては?」
大沢:「そうですねぇ……。実は正直、チェックアウトの時間を無料で延長させて頂こうかと思っているんです」
愛原:「どういうことですか?」
安沢:「全く。お気楽な先生様だ。村道の一本道が今、雪で通行止めなんだよ。昨夜からの猛吹雪で、除雪が追い付かないんだと」
大沢:「そうなんです。ですので……」
安沢:「ゆっくり寝てて良かったってことさ」
安沢氏は肩を竦めた。
愛原:「でも一応、朝食が無駄になっちゃうから直接起こしに行くのはいいんじゃないですかね?後で文句言われるよりは……」
大沢:「それもそうですね」
愛原:「何でしたら、食べ終わったら一緒に行きますよ」
大沢:「ああ、すいません。お手数お掛けします」
私は焼きたてだったが、すっかり冷めてしまったパンにバターを塗った。
敏子:「おはようございます。早朝は申し訳ありませんでした」
愛原:「いえいえ……」
私達は朝風呂を浴びると、それから食堂へ向かった。
高野君がロビーにいたので、彼女を呼ぶ。
高野:「ねぇ。外、大変なことになってるよ」
愛原:「え?」
外は一面銀世界だった。
これのどこが大変なのだろう?
男子大生A:「うわっ、雪ヤベェじゃん!」
男子大生B:「ちょw 車埋まってんよwww」
女子大生A:「雪かきからしないと出れねんじゃね?」
若者グループはお気楽なものだったが、私も暢気だったか。
高野:「いや、何て言うかさ……。このペンションに通じる一本道、ちゃんと除雪されてるかなぁ……って」
愛原:「ああ、なるほど。村道とはいえ、公道だろ?ちゃんとしてくれるよ」
高野:「……だといいんだけど……」
だいたい皆、夕食と同じ席に座った。
今度は名札は無い。
席に座ると、朝食が運ばれて来た。
愛原:「おっ、いいねぇ」
ふわとろのオムレツにベーコンが目を引く。
高野:「! ねぇ、先生。ケチャップいい?」
愛原:「はいよ」
高野:「ありがとう」
高橋:「ケチャップくらい自分で取れよ」
高野:「うるさいな」
高野君はケチャップの蓋を開けると、それをオムレツに掛けた。
……自分のではなく、私のにだ。
高野:「はい、完成

愛原:「うおっ!?」
高橋:「!」
愛原君はケチャップで器用に、『愛原先生へ

まるでメイドカフェのオムライスだな。
愛原:「はは……ありがとう。そう言えば前に映画で、女版ターミネーターが主人のメイド役をやるヤツで、似たようなことをしていたな……」
高橋:「ケチャップ、俺にも貸せ!」
高橋は高野君からケチャップを引っ手繰った。
そして……。
高橋:「先生!俺のも食べてください!」
高橋は器用に、『愛原先生















何て器用過ぎるヤツだ!……って!
愛原:(怖っ!)
高野:(ヤンデレ!?)
高橋:「さあ、先生。食べてください。さあ!さあ!」
愛原:「あ、うん。頂くよ……」
食べないと、後で私が推理される側になってしまう。
せっかくの美味しいオムレツが、何だか喉を通りにくかった。
安沢:「おはようさん。おやおや?何だかメイドカフェみたいなことになってるじゃないの」
愛原:「何とでも言ってくれ」
安沢:「助手の方、もしかしてLGBTのGの方?今は差別がどうのこうのとかうるさいから気をつけた方がいいよ」
高橋:「あ!?誰がGだ!」
高橋は安沢氏にくって掛かった。
だがまあ、こんなヤンデレ書法見られたら、疑われるのも無理は無い。
高野:「気をつけないと、この小説のジャンルがBLにされちゃうからね」
愛原:「それは困る!」
安沢:「ほーらほら。大好きな先生様が困ってるよ?」
高橋:「キサマ……!雪の下に埋めてやろうか?あ?」
安沢:「そしたらこの事件の犯人はキミで決定だ。おめでとう!」
高橋:「表へ出ろ!」
愛原:「高橋君、やめないか!」
高橋:「ですが先生!」
愛原:「いいから!」
そして私は安沢氏の前に出た。
愛原:「高橋君が、からかいがいのある人間だということは認めるよ。だが、分を弁えてくれないか?」
安沢:「……オーケー、オーケー!取りあえず今は、朝食を頂くとしよう」
安沢氏は両手を振った。
だが席に戻る時、こう言い放った。
安沢:「バカなヤツだ。この状況を把握し切れていないとは……」
愛原:「何だと?」
そこへオーナーの大沢氏が自ら、コーヒーのお代わりを持って来てくれた。
大沢:「愛原先生、おはようございます。先ほどはジョージが失礼しました。今、ゲージの中に入れて反省させてますので、どうか穏便に……」
愛原:「私は構いませんよ」
高野:「ゲージに閉じ込めちゃってるんですか?何か、かわいそう……」
大沢:「お客様の安眠を妨害してしまう。宿泊業者として恥ずべきことですからね。ジョージはただの飼い犬ではありません。当ペンションのサイトでも、看板犬として紹介している以上、それを汚すようなことはあってはなりません」
高橋:「チワワにでもしときゃいいんじゃないのか?」
愛原:「高橋君」
高野:「チワワでも吠える時は吠えるから……」
高橋:「その時は俺のショットガンで軽〜く、あの世に送ってやるぜ」
愛原:「全く……」
チワワのような超小型犬で、動きも素早いヤツに弾が当たるかねぇ?
尚、バイオハザードたけなわのあの町で、チワワやトイプードルのゾンビがいなかったのは、人間のゾンビに食い殺されたり、ドーベルマンやシェパードなどの大型犬ゾンビに食い殺されたり、或いはカラスに食い殺されたりしたからだとされている。
尚、カラスがゾンビ化しなかったのは、カラスに限らず、鳥類はTウィルスに感染してもゾンビ化することは無く、その身体能力はそのままに凶暴性だけが増すという効果があるのだそうだ。
安沢:「全く。お気楽な人達だな」
愛原:「安沢さん……」
高橋:「キサマ、先生にインネン付けんのか?」
安沢:「あなたは黙っててくれ。愛原さん、この食堂からして何かおかしいことに気がつかないのか?」
愛原:「え……?」
私は周囲を見回した。
特に何か構造が変わっている様子は無い。
私達の他にいるのは、この安沢氏と、桂山夫妻、そして若者グループだ。
オーナーの大沢夫妻は厨房とかにいるだろう。
アルバイトのコ達は帰ったのかな。
高橋:「先生。あの田中一郎ってヤツと、河童勝治って爺さんがいません」
愛原:「あ、そうだ!」
あまりにも影が薄かったので忘れていた。
いや、存在感だけなら強かったかな。
ただ、桂山氏とは風呂場で話す機会があったし、若者グループは常に賑やかなので目立つ。
愛原:「まだ寝てるんじゃないのか?」
安沢:「もう8時半だぜ?このペンションのチェックアウトは10時。そろそろ食べないと、時間無くなるぞ?」
愛原:「うーむ……」
と、そこへロビーから大沢氏が首を傾げながら入ってきた。
愛原:「大沢さん、どうかしたんですか?」
大沢:「ああ、いえ……。205号室の田中様方のお部屋に内線を入れてたんですが、全くお出にならないんですよ。朝食の時間ですので、モーニングコールってわけでもないんですが……」
愛原:「直接起こしに行っては?」
大沢:「そうですねぇ……。実は正直、チェックアウトの時間を無料で延長させて頂こうかと思っているんです」
愛原:「どういうことですか?」
安沢:「全く。お気楽な先生様だ。村道の一本道が今、雪で通行止めなんだよ。昨夜からの猛吹雪で、除雪が追い付かないんだと」
大沢:「そうなんです。ですので……」
安沢:「ゆっくり寝てて良かったってことさ」
安沢氏は肩を竦めた。
愛原:「でも一応、朝食が無駄になっちゃうから直接起こしに行くのはいいんじゃないですかね?後で文句言われるよりは……」
大沢:「それもそうですね」
愛原:「何でしたら、食べ終わったら一緒に行きますよ」
大沢:「ああ、すいません。お手数お掛けします」
私は焼きたてだったが、すっかり冷めてしまったパンにバターを塗った。