[12月10日14:00.天候:曇 ペンション“ドッグ・アイ”]
安沢:「主犯は愛原、共犯は高橋だ!」
桂山:「ほ、ホンマかいな!?」
男子大学生A:「すっげー!リアルコナンじゃん!?寝てねーけど」
高橋:「てめぇ、いい加減なこと言うな!!」
高橋は立ち上がって、安沢氏の胸倉を掴んだ。
高橋:「ぶっ殺す!!」
愛原:「皆さん、聞きましたか!?助手とはいえ探偵ともあろう者が、このように軽々しく『ぶっ殺す』なんて言うんですよ?犯人以外の何者でもないでしょう!」
愛原:「は、犯人はヤス!」
高野:「は?」
大沢:「あ、あの……ちょっとよろしいでしょうか?」
大沢氏が手を挙げた。
大沢:「この図面、私は見たことが無いんですが……?」
と、意外なことを言った。
桂山:「お、おいおい、大沢君?キミはこのペンションのオーナーやろ?ダクトの図面くらい見とらんのかい?」
大沢:「いえ、見ていますよ。でもこれは、私の見覚えのある図面ではありません」
安沢:「な、何言ってるんですか、オーナー?さっき私にこの図面を渡したじゃありませんか?」
大沢:「確かにお渡ししましたが、この図面ではありませんよ?」
高橋:「おい、安沢!キサマ、どういうことだ!?」
安沢:「オーナー、それはひどい!どういうことですか!?」
大沢:「どういうことも何も、私はそんな図面をお渡ししてませんって」
これは一体、どういうことなんだ?
愛原:「あ、あの……」
安沢:「殺人犯は黙ってろ!!」
高橋:「キサマが黙れ!」
桂山:「ええからええから。容疑者にも弁明があるやろ。言わせてやりぃや」
愛原:「オーナーがお渡しした図面と、今ここで安沢氏が開いた図面は違うんですか?」
大沢:「そうなんです」
愛原:「どこが違うと?」
大沢:「先ほどご説明した通り、乾燥室のダクトは今現在、205号室のの中を抜けています。そして、201号室と205号室は繋がっていません」
安沢:「じゃあ、この図面は何なんだ!?」
大沢:「それはこれから行う改築の図面ではないでしょうか?205号室にあのダクトが通っていると見栄えが悪く、騒音の苦情の元になるので、業者に対応してもらうことにしたんですよ。このスキーシーズンが終わったらね」
安沢:「でも201号室と205号室が……」
高野:「ねぇ、これってエアコンのダクトのヤツでしょ?何も201号室だけでなく、全部の部屋と繋がってるよ?」
安沢:「それは……その……」
高橋:「けっ、お粗末な探偵め」
安沢:「だが実際、ハンドガンの射撃の腕前からして、あんた達が疑い深いんだ」
桂山:「外から誰か進入しよったっちゅう可能性は無いんか?」
愛原:「皆さん、部屋の窓は開けなかったでしょう?鍵も掛けてましたよね?」
桂山:「そらもう、外は極寒の世界やさかい」
女子大生A:「あ、でも、ウチら、暖房効き過ぎて、ちょっと開けたかも」
愛原:「なにっ!?」
安沢:「何でそんな肝心なこと言わなかったんだ!?」
男子大生B:「でも、すぐに寒くなったんで閉めましたよ。もちろん、誰か入って来たことはないッス」
女子大生B:「自分達いるのに、そこで誰か飛び込んで来たら大騒ぎだもんねぇ」
愛原:「それもそうだな。私の推理では、犯人は安沢さんなんですよ」
桂山:「なにっ!?」
安沢:「こらぁ!罪をなすり付ける気か!?」
愛原:「さっきの銃の腕前の件についてですが、安沢さんはどうなのか聞いてませんよ?」
安沢:「……わ、私は銃は玩具以外持ったことは無い」
愛原:「そのオモチャの銃はベレッタでしたか?」
安沢:「そんなの覚えてないよ」
愛原:「スーツの男性……田中一郎さんが持っていた銃は何でしたか?」
安沢:「ベレッタだろ?」
愛原:「どうして、ベレッタだって分かるんですか?」
安沢:「それは……。!」
その時、安沢氏は自分が重大なミスを犯したことに気付いたようだ。
安沢:「さっき部屋を調べさせてもらって、その時に確認したんだ」
愛原:「警察の捜査に支障が無い程度ですから、そんなにマジマジとは見れませんよね?それで分かった?」
安沢:「わ、分かったよ」
愛原:「銃は玩具しか持ったことがなく、それもどんな銃を持ったのかも分からないようなあなたが?」
安沢:「な、何が言いたい!?」
愛原:「あのベレッタ、奇妙な持ち方をしてるんですよ」
安沢:「奇妙な持ち方?」
愛原:「左手に持っていたんです」
安沢:「だから何だ?私は昨日の夕食の時に見ていたが、田中氏は左利きだった」
大沢:「私もチェックインの手続きに立ち会わせて頂きましたが、確かに田中様は左手でボールペンを持っていました」
愛原:「それだとおかしいんですよ。もし田中氏が自分で銃を調達できるような立場にある人間だとしたら、利き手がどちらであれ、銃は必ず右手で構えることを知ってるはずなんです」
桂山:「! そ、そうか!確かに、洋画のアクションなんかでも、左利きの人物やのに、必ず銃は右手で引き金引いとるな!?」
安沢:「自殺する人間が、そんなこといちいち考えるものか!だいいち、あの銃が田中氏のものかも怪しいぞ!」
愛原:「と、言いますと?」
安沢:「爺さんのヤツかもしれないじゃないか。それで田中氏が銃を奪い、咄嗟に利き手の左手で撃ったということも考えられる!」
愛原:「ええ。河童さんを射殺する際は、それでいいかもしれません。ですが、自分で死ぬ時は?」
安沢:「どうせ死ぬんだ。いちいち右手に持ち替えることもあるまい」
愛原:「そうですね。それもあるかもしれません。でも田中氏の場合、そもそも拳銃自殺ができないんですよ」
大沢:「どういうことですか?」
私はソファの下に隠していたショットガンを取り出した。
一応念の為、弾は全部出しておく。
桂山:「手際いいな〜」
愛原:「これでも霧生市のバイオハザードを生還したもので。高橋君、これで自殺のフリをしてくれないか?」
高橋:「は、はい」
愛原:「大丈夫。弾は全部抜いたから」
高橋は最初、自分のこめかみに銃口を当てた。
だが、その後で首に向けたりする。
高橋:「先生!ショットガンじゃ、筒が長くて無理です!」
愛原:「だろうね」
安沢:「何をやってるんだ?」
愛原:「まだ分からないのかい?サイレンサーが付いたままじゃ、長過ぎて引き金を引けないんだよ!」
安沢:「!!!」
愛原:「因みに今、高橋にやってもらったのは、あのベレッタにサイレンサーを付けると、このショットガン並みの長さになるんですよ。もし田中氏が河童氏を射殺した後、自分も自殺しようとしたならば、サイレンサーを外さないとダメなんだ。しかも、あの死体、普通にこめかみを撃ってたし」
大沢:「こめかみを撃てば、死ぬだろ?」
愛原:「いいえ。あのベレッタでは死にません」
大沢:「はあ!?」
桂山:「何やて!?」
愛原:「霧生市のバイオハザードに巻き込まれた時、私達はゾンビの頭を狙いました。だけど、当たっているのに何故か奴らは倒れてくれなかったんです。ゾンビだからと言ってしまえばそれまでですが、途中まで同行してくれた刑事さんが教えてくれましたよ。『脳幹を攻撃しなければ、頭だけ攻撃しても奴らは死なない。それは生きてる人間と同じだ』ってね」
高野:「そうよ!だから私達、最後の方は首とか心臓とかを攻撃したんだった!頭を吹き飛ばすより、大量出血させた方が倒すの楽だったもんね!」
愛原:「こめかみを撃っても脳幹は傷つかないんです。それでも死ぬことがあるのは、それによる大量出血だったり、そもそも銃の威力が強くて頭自体が吹き飛ぶからなんです。ハンドガンだったら、マグナム辺りね。もし本当に死にたいんだったら、銃口を口に入れて、口の中に向かって撃つんです。だけどあの状態だと、銃身が長くて撃てないんですよ。1人じゃ」
桂山:「それでどうして、安沢君が犯人やと思うんや?」
愛原:「私達ですらよく調べなかったら分からなかった田中氏の銃がベレッタだと1番先に分かったのは、安沢さん、あなただった」
安沢:「あ、あれは……」
愛原:「ジョージが吠えまくったのに部屋から出てこなかったのも、ジョージには犯行後部屋から出てくる所を見られて、『犯人はヤス!』とでも吠えられるのが嫌だったからでしょう?」
安沢:「い、言い掛かりだ」
愛原:「オーナー、ジョージをここへ連れて来てもらえませんか?もしかしたら、返り血の臭いや火薬の匂いが染み付いたのをジョージが教えてくれるかもしれない」
安沢:「そ、そんなことはない!あの時、血の付いた服は……。!!!」
安沢氏は、どうやら探偵にも犯罪者にも向いていないようだ。
安沢:「主犯は愛原、共犯は高橋だ!」
桂山:「ほ、ホンマかいな!?」
男子大学生A:「すっげー!リアルコナンじゃん!?寝てねーけど」
高橋:「てめぇ、いい加減なこと言うな!!」
高橋は立ち上がって、安沢氏の胸倉を掴んだ。
高橋:「ぶっ殺す!!」
愛原:「皆さん、聞きましたか!?助手とはいえ探偵ともあろう者が、このように軽々しく『ぶっ殺す』なんて言うんですよ?犯人以外の何者でもないでしょう!」
愛原:「は、犯人はヤス!」
高野:「は?」
大沢:「あ、あの……ちょっとよろしいでしょうか?」
大沢氏が手を挙げた。
大沢:「この図面、私は見たことが無いんですが……?」
と、意外なことを言った。
桂山:「お、おいおい、大沢君?キミはこのペンションのオーナーやろ?ダクトの図面くらい見とらんのかい?」
大沢:「いえ、見ていますよ。でもこれは、私の見覚えのある図面ではありません」
安沢:「な、何言ってるんですか、オーナー?さっき私にこの図面を渡したじゃありませんか?」
大沢:「確かにお渡ししましたが、この図面ではありませんよ?」
高橋:「おい、安沢!キサマ、どういうことだ!?」
安沢:「オーナー、それはひどい!どういうことですか!?」
大沢:「どういうことも何も、私はそんな図面をお渡ししてませんって」
これは一体、どういうことなんだ?
愛原:「あ、あの……」
安沢:「殺人犯は黙ってろ!!」
高橋:「キサマが黙れ!」
桂山:「ええからええから。容疑者にも弁明があるやろ。言わせてやりぃや」
愛原:「オーナーがお渡しした図面と、今ここで安沢氏が開いた図面は違うんですか?」
大沢:「そうなんです」
愛原:「どこが違うと?」
大沢:「先ほどご説明した通り、乾燥室のダクトは今現在、205号室のの中を抜けています。そして、201号室と205号室は繋がっていません」
安沢:「じゃあ、この図面は何なんだ!?」
大沢:「それはこれから行う改築の図面ではないでしょうか?205号室にあのダクトが通っていると見栄えが悪く、騒音の苦情の元になるので、業者に対応してもらうことにしたんですよ。このスキーシーズンが終わったらね」
安沢:「でも201号室と205号室が……」
高野:「ねぇ、これってエアコンのダクトのヤツでしょ?何も201号室だけでなく、全部の部屋と繋がってるよ?」
安沢:「それは……その……」
高橋:「けっ、お粗末な探偵め」
安沢:「だが実際、ハンドガンの射撃の腕前からして、あんた達が疑い深いんだ」
桂山:「外から誰か進入しよったっちゅう可能性は無いんか?」
愛原:「皆さん、部屋の窓は開けなかったでしょう?鍵も掛けてましたよね?」
桂山:「そらもう、外は極寒の世界やさかい」
女子大生A:「あ、でも、ウチら、暖房効き過ぎて、ちょっと開けたかも」
愛原:「なにっ!?」
安沢:「何でそんな肝心なこと言わなかったんだ!?」
男子大生B:「でも、すぐに寒くなったんで閉めましたよ。もちろん、誰か入って来たことはないッス」
女子大生B:「自分達いるのに、そこで誰か飛び込んで来たら大騒ぎだもんねぇ」
愛原:「それもそうだな。私の推理では、犯人は安沢さんなんですよ」
桂山:「なにっ!?」
安沢:「こらぁ!罪をなすり付ける気か!?」
愛原:「さっきの銃の腕前の件についてですが、安沢さんはどうなのか聞いてませんよ?」
安沢:「……わ、私は銃は玩具以外持ったことは無い」
愛原:「そのオモチャの銃はベレッタでしたか?」
安沢:「そんなの覚えてないよ」
愛原:「スーツの男性……田中一郎さんが持っていた銃は何でしたか?」
安沢:「ベレッタだろ?」
愛原:「どうして、ベレッタだって分かるんですか?」
安沢:「それは……。!」
その時、安沢氏は自分が重大なミスを犯したことに気付いたようだ。
安沢:「さっき部屋を調べさせてもらって、その時に確認したんだ」
愛原:「警察の捜査に支障が無い程度ですから、そんなにマジマジとは見れませんよね?それで分かった?」
安沢:「わ、分かったよ」
愛原:「銃は玩具しか持ったことがなく、それもどんな銃を持ったのかも分からないようなあなたが?」
安沢:「な、何が言いたい!?」
愛原:「あのベレッタ、奇妙な持ち方をしてるんですよ」
安沢:「奇妙な持ち方?」
愛原:「左手に持っていたんです」
安沢:「だから何だ?私は昨日の夕食の時に見ていたが、田中氏は左利きだった」
大沢:「私もチェックインの手続きに立ち会わせて頂きましたが、確かに田中様は左手でボールペンを持っていました」
愛原:「それだとおかしいんですよ。もし田中氏が自分で銃を調達できるような立場にある人間だとしたら、利き手がどちらであれ、銃は必ず右手で構えることを知ってるはずなんです」
桂山:「! そ、そうか!確かに、洋画のアクションなんかでも、左利きの人物やのに、必ず銃は右手で引き金引いとるな!?」
安沢:「自殺する人間が、そんなこといちいち考えるものか!だいいち、あの銃が田中氏のものかも怪しいぞ!」
愛原:「と、言いますと?」
安沢:「爺さんのヤツかもしれないじゃないか。それで田中氏が銃を奪い、咄嗟に利き手の左手で撃ったということも考えられる!」
愛原:「ええ。河童さんを射殺する際は、それでいいかもしれません。ですが、自分で死ぬ時は?」
安沢:「どうせ死ぬんだ。いちいち右手に持ち替えることもあるまい」
愛原:「そうですね。それもあるかもしれません。でも田中氏の場合、そもそも拳銃自殺ができないんですよ」
大沢:「どういうことですか?」
私はソファの下に隠していたショットガンを取り出した。
一応念の為、弾は全部出しておく。
桂山:「手際いいな〜」
愛原:「これでも霧生市のバイオハザードを生還したもので。高橋君、これで自殺のフリをしてくれないか?」
高橋:「は、はい」
愛原:「大丈夫。弾は全部抜いたから」
高橋は最初、自分のこめかみに銃口を当てた。
だが、その後で首に向けたりする。
高橋:「先生!ショットガンじゃ、筒が長くて無理です!」
愛原:「だろうね」
安沢:「何をやってるんだ?」
愛原:「まだ分からないのかい?サイレンサーが付いたままじゃ、長過ぎて引き金を引けないんだよ!」
安沢:「!!!」
愛原:「因みに今、高橋にやってもらったのは、あのベレッタにサイレンサーを付けると、このショットガン並みの長さになるんですよ。もし田中氏が河童氏を射殺した後、自分も自殺しようとしたならば、サイレンサーを外さないとダメなんだ。しかも、あの死体、普通にこめかみを撃ってたし」
大沢:「こめかみを撃てば、死ぬだろ?」
愛原:「いいえ。あのベレッタでは死にません」
大沢:「はあ!?」
桂山:「何やて!?」
愛原:「霧生市のバイオハザードに巻き込まれた時、私達はゾンビの頭を狙いました。だけど、当たっているのに何故か奴らは倒れてくれなかったんです。ゾンビだからと言ってしまえばそれまでですが、途中まで同行してくれた刑事さんが教えてくれましたよ。『脳幹を攻撃しなければ、頭だけ攻撃しても奴らは死なない。それは生きてる人間と同じだ』ってね」
高野:「そうよ!だから私達、最後の方は首とか心臓とかを攻撃したんだった!頭を吹き飛ばすより、大量出血させた方が倒すの楽だったもんね!」
愛原:「こめかみを撃っても脳幹は傷つかないんです。それでも死ぬことがあるのは、それによる大量出血だったり、そもそも銃の威力が強くて頭自体が吹き飛ぶからなんです。ハンドガンだったら、マグナム辺りね。もし本当に死にたいんだったら、銃口を口に入れて、口の中に向かって撃つんです。だけどあの状態だと、銃身が長くて撃てないんですよ。1人じゃ」
桂山:「それでどうして、安沢君が犯人やと思うんや?」
愛原:「私達ですらよく調べなかったら分からなかった田中氏の銃がベレッタだと1番先に分かったのは、安沢さん、あなただった」
安沢:「あ、あれは……」
愛原:「ジョージが吠えまくったのに部屋から出てこなかったのも、ジョージには犯行後部屋から出てくる所を見られて、『犯人はヤス!』とでも吠えられるのが嫌だったからでしょう?」
安沢:「い、言い掛かりだ」
愛原:「オーナー、ジョージをここへ連れて来てもらえませんか?もしかしたら、返り血の臭いや火薬の匂いが染み付いたのをジョージが教えてくれるかもしれない」
安沢:「そ、そんなことはない!あの時、血の付いた服は……。!!!」
安沢氏は、どうやら探偵にも犯罪者にも向いていないようだ。