12月9日16:12 from.多摩準急
何だよ、「冬のペンション殺人事件」ってw
もちっとマシなタイトルは思いつかんのかい。
「かまいたちの夜」とか「ペンション“クローズド・サークル”」とか、「愛原学、ガチ推理」とかさ。
……というメールを多摩準急先生から頂戴した。
話ごとのタイトル付けがヘタなのは昔からである。
最初の「かまいたちの夜」は明らかにパクリだと思うのだが。
大きなお世話なので、ガン無視することにした。
では早速、物語の続きを……。
[12月9日08:40.天候:曇 JR長野駅]
〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく終点、長野です。北陸新幹線、富山、金沢方面、篠ノ井線、飯山線、しなの鉄道線はお乗り換えです。お忘れ物の無いよう、お支度ください。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました〕
私達を乗せた新幹線が終点駅に近づいた。
窓の外には、首都圏ではまだ見られない雪が見える。
まだ12月も上旬のせいなのか、そんなに深く積もっているわけではないようだ。
愛原:「ここで乗り換えか……」
高橋:「今度はバスに」
愛原:「そうだな」
列車は定刻通りに長野駅に到着した。
愛原:「おー、やっぱり東京より寒い」
高野:「スキーが楽しみですね」
愛原:「ああ。……って、ええっ!?」
高橋:「遊びに来たんじゃないんだぞ、キサマ?」
高野:「でもペンションのチェックインは16時なんでしょう?随分早くに到着したんじゃありません?」
愛原:「はは、まぁな。ボスが言うには、ただ単に目的地に着いたんじゃあれだろうから、スキーの1つでもしろってさ」
高野:「さすがはボスぅ〜!」
高橋:「いいんですか、先生?」
愛原:「まあ、ボスがそう言うことだし。俺は運動はあまり得意な方じゃないから、温泉にでも……」
高橋:「先生。ボスの命令には絶対服従なんじゃなかったでした?」
愛原:「そりゃそうだけど、高野君がスキーをするには止めないけど、俺まではちょっと……」
私はそもそも、あまり運動が得意な方ではない。
高野:「あら?スキー一式レンタル、先生の分も予約してしまいましたよ?」
愛原:「なにっ!?」
高橋:「先生、俺とスキーしてくれますね?」
外堀を埋められてしまった!
[同日09:05.天候:曇 JR長野駅東口→アルピコ交通バス]
私達はトイレ休憩などを済ますと、ボスから送られたバスの乗車券を手にバス乗り場に向かった。
愛原:「長野駅から善光寺に行けるんだな。交通アクセスは良さそうだ」
高野:「有名な観光名所ですもんね。帰りにお参りして行きますか?」
愛原:「そうだな。時間があったら寄って行くか」
尚、長野県南部を走るJR飯田線には元善光寺という駅があるが、これは今の善光寺にある本尊が元善光寺(坐光寺)にあったからである。
愛原:「こうやって今はバスを待っているけど、昔は電車で白馬まで行けたらしいな?」
高橋:「いえ、先生。善光寺白馬電鉄のことを仰っているのなら、それは違います」
愛原:「違う?」
高橋は手帳をめくった。
高橋:「確かに長野市内から白馬村まで、鉄道を通すという計画があったようですが、部分開業した後で頓挫しています」
愛原:「……その部分開業したのが、今の長野電鉄か」
高橋:「いえ、その部分開業も廃止になっています。今、善光寺白馬電鉄という会社はトラックだけをやっている状態です」
愛原:「マジか」
高橋:「はい」
愛原:「何だなー。実現していれば、今は観光やスキー輸送で儲けられただろうになぁ……」
高橋:「そうですね」
そんなことを話しているうちにバスがやってきた。
バスは普通の路線バスではなく、観光バスタイプのものだ。
係員:「9時10分発、白馬八方経由、白馬乗鞍行きです」
私達は乗車券を手にバスに乗り込んだ。
運賃は先払いとのことで、乗車券を持っている客も先に運転手に渡すことになる。
3人一緒に座る為か、私達は1番後ろの席に座った。
高橋:「あれ?普通に乗れたぞ?」
愛原:「えっ、何が?」
高橋:「シーズン中のメチャ混みの日は、何か特別な整列の仕方で乗せるみたいなことがサイトに書いてあったんですよ」
愛原:「なるほど」
高野:「まあ、シーズンって言っても、まだそれが始まったばかりだからね。これから行くスキー場も、まだ全部のゲレンデがオープンになっているってわけじゃないみたいだし。ま、特別な列整理をするのは、来週とか再来週辺りからじゃないの」
愛原:「それはあり得るな。そうか。まだ全部のゲレンデで滑れるわけじゃないんだ」
高橋:「先生、何かホッとしてませんか?」
愛原:「えっ?いやいや……。それより高橋、キミは随分と調べて来たんだねぇ?」
高橋:「事前の情報収集が後の事件解決に繋がると、先生は仰せでしたが?」
愛原:「そ、そうだったっけ?」
覚えてない。
酒の席で言ったのか?
しかしそれにしても、善光寺や善光寺白馬電鉄のことまで調べる必要もあるまいに。
特別な列整理を必要としなくては良いものの、それでもバスは9割ほどの乗客が乗り込んだ。
そしてこちらは、定刻より2〜3分ほど遅れで出発したのだった。
〔「皆様、おはようございます。本日もアルピコ交通をご利用頂き、ありがとうございます。このバスは9時10分発、白馬乗鞍行き特急バスでございます。これから先の停車停留所と、到着時刻をご案内致します。次は、千見に止まります。千見9時45分、美麻ぽかぽかランド9時58分、サンサンパーク白馬10時8分、白馬五竜10時15分、白馬駅10時20分、白馬八方バスターミナル10時25分、【中略】終点の白馬乗鞍到着は10時55分の到着予定です。……」〕
愛原:「ん?何でサンサンパーク白馬だけ太字なんだ?ここで降りるわけじゃないだろ?」
高橋:「はい。何ででしょうね?」
高野:「んっ?さんにでも聞けば分かるんじゃない?」
高橋:「誰だ、それ?」
うちのメンバーのたまのメタ発言、申し訳無い。
今のところ、私達は順調だ。
特に、何か事件が発生しそうな様子は無い。
無いのだが……。
愛原:「ま、今日は高野君が来てくれて良かったかもしれない」
高野:「お気づきになりましたか?」
高橋:「なっ……!?先生、どうしてですか!?」
愛原:「周りを見てみろ、高橋。やっぱりカップルや男女のグループが多い。男2人で来たんじゃ、俺達の方が怪しいオッサンと兄ちゃんだよ」
高橋:「俺達は探偵ですよ!?」
愛原:「周りはそうは見てくれんよ」
高野:「でも先生だけスーツ姿なんで、それだけが思いっ切り怪しいですね」
愛原:「まさか、俺までスキーするとは思わなかったんだよ!」
クライアントのペンションオーナーと話をするつもりでいたから、身だしなみには気をつけていたのだ。
もっとも、高橋が1度もスーツを着たことなど無いのだが。
それにしても高橋は私に心酔しているとはいえ、元ヤンだった頃は女の子に興味を持たなかったのだろうか?
短く刈り上げた髪を金色に染め、ピアスをしている所はさすが元ヤンといったところだ。
チャラ男のような恰好であるが、今の彼の言動や行動を見ると、とてもチャラ男とは程遠い。
でも、男の私から見てもお世辞ではなく、彼はイケメンの部類に入ると思う。
元ヤンのイケメンが、女の子と付き合ったことが無いとも思えないのだが……。
何だよ、「冬のペンション殺人事件」ってw
もちっとマシなタイトルは思いつかんのかい。
「かまいたちの夜」とか「ペンション“クローズド・サークル”」とか、「愛原学、ガチ推理」とかさ。
……というメールを多摩準急先生から頂戴した。
話ごとのタイトル付けがヘタなのは昔からである。
最初の「かまいたちの夜」は明らかにパクリだと思うのだが。
大きなお世話なので、ガン無視することにした。
では早速、物語の続きを……。
[12月9日08:40.天候:曇 JR長野駅]
〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく終点、長野です。北陸新幹線、富山、金沢方面、篠ノ井線、飯山線、しなの鉄道線はお乗り換えです。お忘れ物の無いよう、お支度ください。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました〕
私達を乗せた新幹線が終点駅に近づいた。
窓の外には、首都圏ではまだ見られない雪が見える。
まだ12月も上旬のせいなのか、そんなに深く積もっているわけではないようだ。
愛原:「ここで乗り換えか……」
高橋:「今度はバスに」
愛原:「そうだな」
列車は定刻通りに長野駅に到着した。
愛原:「おー、やっぱり東京より寒い」
高野:「スキーが楽しみですね」
愛原:「ああ。……って、ええっ!?」
高橋:「遊びに来たんじゃないんだぞ、キサマ?」
高野:「でもペンションのチェックインは16時なんでしょう?随分早くに到着したんじゃありません?」
愛原:「はは、まぁな。ボスが言うには、ただ単に目的地に着いたんじゃあれだろうから、スキーの1つでもしろってさ」
高野:「さすがはボスぅ〜!」
高橋:「いいんですか、先生?」
愛原:「まあ、ボスがそう言うことだし。俺は運動はあまり得意な方じゃないから、温泉にでも……」
高橋:「先生。ボスの命令には絶対服従なんじゃなかったでした?」
愛原:「そりゃそうだけど、高野君がスキーをするには止めないけど、俺まではちょっと……」
私はそもそも、あまり運動が得意な方ではない。
高野:「あら?スキー一式レンタル、先生の分も予約してしまいましたよ?」
愛原:「なにっ!?」
高橋:「先生、俺とスキーしてくれますね?」
外堀を埋められてしまった!
[同日09:05.天候:曇 JR長野駅東口→アルピコ交通バス]
私達はトイレ休憩などを済ますと、ボスから送られたバスの乗車券を手にバス乗り場に向かった。
愛原:「長野駅から善光寺に行けるんだな。交通アクセスは良さそうだ」
高野:「有名な観光名所ですもんね。帰りにお参りして行きますか?」
愛原:「そうだな。時間があったら寄って行くか」
尚、長野県南部を走るJR飯田線には元善光寺という駅があるが、これは今の善光寺にある本尊が元善光寺(坐光寺)にあったからである。
愛原:「こうやって今はバスを待っているけど、昔は電車で白馬まで行けたらしいな?」
高橋:「いえ、先生。善光寺白馬電鉄のことを仰っているのなら、それは違います」
愛原:「違う?」
高橋は手帳をめくった。
高橋:「確かに長野市内から白馬村まで、鉄道を通すという計画があったようですが、部分開業した後で頓挫しています」
愛原:「……その部分開業したのが、今の長野電鉄か」
高橋:「いえ、その部分開業も廃止になっています。今、善光寺白馬電鉄という会社はトラックだけをやっている状態です」
愛原:「マジか」
高橋:「はい」
愛原:「何だなー。実現していれば、今は観光やスキー輸送で儲けられただろうになぁ……」
高橋:「そうですね」
そんなことを話しているうちにバスがやってきた。
バスは普通の路線バスではなく、観光バスタイプのものだ。
係員:「9時10分発、白馬八方経由、白馬乗鞍行きです」
私達は乗車券を手にバスに乗り込んだ。
運賃は先払いとのことで、乗車券を持っている客も先に運転手に渡すことになる。
3人一緒に座る為か、私達は1番後ろの席に座った。
高橋:「あれ?普通に乗れたぞ?」
愛原:「えっ、何が?」
高橋:「シーズン中のメチャ混みの日は、何か特別な整列の仕方で乗せるみたいなことがサイトに書いてあったんですよ」
愛原:「なるほど」
高野:「まあ、シーズンって言っても、まだそれが始まったばかりだからね。これから行くスキー場も、まだ全部のゲレンデがオープンになっているってわけじゃないみたいだし。ま、特別な列整理をするのは、来週とか再来週辺りからじゃないの」
愛原:「それはあり得るな。そうか。まだ全部のゲレンデで滑れるわけじゃないんだ」
高橋:「先生、何かホッとしてませんか?」
愛原:「えっ?いやいや……。それより高橋、キミは随分と調べて来たんだねぇ?」
高橋:「事前の情報収集が後の事件解決に繋がると、先生は仰せでしたが?」
愛原:「そ、そうだったっけ?」
覚えてない。
酒の席で言ったのか?
しかしそれにしても、善光寺や善光寺白馬電鉄のことまで調べる必要もあるまいに。
特別な列整理を必要としなくては良いものの、それでもバスは9割ほどの乗客が乗り込んだ。
そしてこちらは、定刻より2〜3分ほど遅れで出発したのだった。
〔「皆様、おはようございます。本日もアルピコ交通をご利用頂き、ありがとうございます。このバスは9時10分発、白馬乗鞍行き特急バスでございます。これから先の停車停留所と、到着時刻をご案内致します。次は、千見に止まります。千見9時45分、美麻ぽかぽかランド9時58分、サンサンパーク白馬10時8分、白馬五竜10時15分、白馬駅10時20分、白馬八方バスターミナル10時25分、【中略】終点の白馬乗鞍到着は10時55分の到着予定です。……」〕
愛原:「ん?何でサンサンパーク白馬だけ太字なんだ?ここで降りるわけじゃないだろ?」
高橋:「はい。何ででしょうね?」
高野:「んっ?さんにでも聞けば分かるんじゃない?」
高橋:「誰だ、それ?」
うちのメンバーのたまのメタ発言、申し訳無い。
今のところ、私達は順調だ。
特に、何か事件が発生しそうな様子は無い。
無いのだが……。
愛原:「ま、今日は高野君が来てくれて良かったかもしれない」
高野:「お気づきになりましたか?」
高橋:「なっ……!?先生、どうしてですか!?」
愛原:「周りを見てみろ、高橋。やっぱりカップルや男女のグループが多い。男2人で来たんじゃ、俺達の方が怪しいオッサンと兄ちゃんだよ」
高橋:「俺達は探偵ですよ!?」
愛原:「周りはそうは見てくれんよ」
高野:「でも先生だけスーツ姿なんで、それだけが思いっ切り怪しいですね」
愛原:「まさか、俺までスキーするとは思わなかったんだよ!」
クライアントのペンションオーナーと話をするつもりでいたから、身だしなみには気をつけていたのだ。
もっとも、高橋が1度もスーツを着たことなど無いのだが。
それにしても高橋は私に心酔しているとはいえ、元ヤンだった頃は女の子に興味を持たなかったのだろうか?
短く刈り上げた髪を金色に染め、ピアスをしている所はさすが元ヤンといったところだ。
チャラ男のような恰好であるが、今の彼の言動や行動を見ると、とてもチャラ男とは程遠い。
でも、男の私から見てもお世辞ではなく、彼はイケメンの部類に入ると思う。
元ヤンのイケメンが、女の子と付き合ったことが無いとも思えないのだが……。