報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「探偵のバイオハザード 2」 序章 2

2017-12-07 19:35:04 | 私立探偵 愛原学シリーズ
 まずは1を選んだ場合……。

[11月10日19:00.天候:晴 東京都渋谷区 NHK報道フロア・スタジオ]

 アナウンサー:「こんばんは。夜7時のニュースをお伝えします。今日午後1時頃、東京都◯◯区××の雑居ビルで爆発があり、この事故でビルの中にいた3人が死亡、15人が重軽傷を負いました」

 リポーター:「はい、こちら現場上空に来ています!ご覧頂けますでしょうか?爆発のあったビルからは黒煙が噴き出しています!えー、事件は午後1時頃、大きな爆発音と共に発生しました。このビルの3階に入居する愛原学探偵事務所から突然大きな爆発音と共に、ビルの………で………」

 アナウンサー:「えー、途中で映像が乱れました。大変申し訳ありませんでした。この爆発事故で、現場となった愛原学探偵事務所の愛原学さん、高橋正義さん、高野芽衣子さんと連絡が取れなくなっており、現場からはその3人と思われる遺体が発見されております。ここ数日の間、全国の探偵事務所に『怪人千面相』を名乗る人物から手紙爆弾が送付されるという事件が発生しており、警察で関連性を調べています」

 私立探偵 愛原学 Bad End...

 4を選んだ場合……。

[11月10日13:30.天候:晴 東京23区内某所 愛原学探偵事務所]

 私は高野氏に相談することにした。

 高野:「え?手紙に硬い物ですか?」
 愛原:「そうなんだ。私は最初、便箋か何かしか入っていないものと思ったんだけどね。……何か、カードみたいなもの?が入っていそうな感じなんだ」
 高野:「でも、ボスは廃棄せよと仰ったんでしょう?でしたら、そうするべきだと思いますけど?」
 愛原:「ま、まあ、そうだな」
 高野:「貸してください」

 高野君は封筒を私から取り上げると、それをシュレッダーに掛けた。
 そして……。(→「1を選んだ場合」に戻る」)

 では、3を選んだ場合……。

 私はボスに相談することにした。
 が!

 愛原:「しまった。ボスの電話番号が分からない」

 そうなのだ。
 ボスはいつも非通知で掛けて来たり、或いは公衆電話から掛けて来るのだ。
 その為、私はボスの正体を全く知らない。
 バリトンボイスの男だということは電話越しで分かっているのだが、これとて地声かどうかすら分からない。
 私が悩んでいると、高橋が話し掛けて来た。

 高橋:「先生、どうかなさいましたか?」
 愛原:「ああ、高橋君。実は……」

 私は高橋君に事情を話した。(ここより5を選んだ場合と合流する)

 高橋:「え?手紙に硬い物ですか?」
 愛原:「そうなんだ。私は最初、便箋か何かしか入っていないものと思ったんだけどね。……何か、カードみたいなもの?が入っていそうな感じなんだ」
 高橋:「だったら、開けてみましょうよ」
 愛原:「でもねぇ、ボスは廃棄せよと仰ったんだよ?」
 高橋:「俺はボスより、先生の洞察力を信じます」
 愛原:「おいおい……」
 高橋:「いいから開けてみましょう」

 高橋君はビッと封筒の口を開けた。

 高橋:「先生、これは……?」
 愛原:「んん?」

 中に入っていたのは2枚の手紙とカードキーだった。
 1枚はボスの言う通り、金を振り込めといったものだった。
 しかし、もう1枚は違った。

 『愛原先生へ。このカードは鍵になっています。必ず役に立ちますので、持って行ってください』

 と書かれていた。
 末尾には、『トイレの花子さん リサ・トレヴァー』と。

 愛原:「リサ!?リサなのか!?」
 高橋:「先生、これは一体……!?」

 忘れもしない。
 霧生市のバイオハザード事件の時、日本アンブレラ(アンブレラ日本支部とも。正式名称はアンブレラ・コーポレーション・ジャパン)の研究所で会った仮面の少女。
 学校の怪談によくある“トイレの花子さん”よろしく、女子トイレの奥から2番目の個室にいるというベタな噂通りであった。
 実際はタイラントをも従える人型の化け物と言っても良い。
 アメリカのオリジナル版は、リサ・トレヴァーとタイラントには全くの接点は無かったようだが……。
 日本版のリサとタイラントは、しっかり交流していた。
 日本版タイラントは研究所の自爆装置に巻き込まれて死亡、リサは私達と一緒にトラックで脱出した。
 その後、町を包囲していた自衛隊に保護されたが、そこで私達はリサと別れることになる。
 死んだとは聞かされていないので、恐らく政府の研究機関にでもいるのだろうと思ったが……。

 高橋:「先生、どう思います?」
 愛原:「分からん」

 私はカードを手に取った。
 大きさはクレカとほぼ同じ。
 カードキーということは、ホテルの客室ドアみたいに差し込んで使うか、或いはSuicaやPasmoのようにして使うのかもしれない。
 しかし、どこで?

 愛原:「少なくともリサは生きているということだ」
 高橋:「どうしてここの住所を知っているんでしょうか?」
 愛原:「別れ際に俺の名刺を渡したことがある。それで分かったんだろう。どこかで元気にしてくれていればいいんだが……」
 高橋:「何に使えって言うんでしょうか?」
 愛原:「分からんが、何だかロクでもないことに巻き込まれそうな気がする」
 高橋:「それがボスの仰っていた予言ですか?」
 愛原:「ああ、なるほど。その可能性もあるな」

 とにかく、あのリサからの手紙と贈り物だ。
 私は取っておくことにした。
 そしてこの選択が、後に大きな戦果をもたらすことになる。
                                         続く
コメント (6)
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“私立探偵 愛原学” 「探偵のバイオハザード 2」 序章

2017-12-07 12:06:24 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[11月10日13:00.天候:晴 東京都内某所 愛原学探偵事務所]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 一頃はとても忙しい時期があったが、今は随分落ち着いてヒマだ。
 スタッフは相変わらず3人。
 私と高橋正義君と高野芽衣子君。

 私は昼休憩を取っていて早々に昼食を取り終えると、ソファに寝っ転がってテレビを観ていた。
 と!

 高野:「ちょっと高橋君!こんな手紙を真に受けること無いじゃないの!」
 高橋:「『怪人千面相からの挑戦状』だ!先生の出番ではないか!」
 高野:「イタズラに決まってるでしょ!何よ!?千面相って!」
 高橋:「うるさい!これは先生にお見せする!」

 またやってる。
 あの2人、どちらもドSな性格なもんだから、ケンカっ早いんだよなぁ。
 まだ高野君の方が年上なこともあって、そちらの方が大人だ。
 ここ最近は姉弟ゲンカって感じだな。
 羨ましい。
 一人っ子の私は、兄弟ゲンカなど……。
 確か私が聞いた話だと、兄弟の関係は先輩と後輩みたいな感じらしいな。
 で、姉妹だと友達みたいになると聞いた。
 兄妹だと……何だっけか?
 で、姉弟だと師匠と弟子みたいな関係だと……。
 うわ、あの2人が1番嫌う関係じゃないか。

 高野:「はいはい、失礼しまーす!」
 愛原:「わっ、何だ!?」
 高橋:「キサマ!先生の貴重なヒマな時間を無駄にさせる気か!」

 そこへあの姉弟ゲンカ……じゃなかった。
 高々コンビがやってきた。
 え?あ、いや、この2人、どちらも名字が最初に『高』って付くからさ。

 高野:「高橋君がまたこんな怪文書を真に受けて、先生を面倒なことに巻き込もうとしているんですよ!?どう思います!?」
 高橋:「バカ女!果し状から逃げることなど、敵前逃亡の……!」
 愛原:「あー、分かった分かった。取りあえず、手紙だけでも見ておくから。そこのテーブルの上に置いといて」
 高野:「はい、分かりました。後でコーヒー入れておきますね」
 愛原:「ああ。ありがとう」
 高橋:「俺の仕事を取るな!先生へのお茶は俺の役目だ!」
 高野:「あんた、そう言ってこの前、レギュラーコーヒーをそのまま先生にお入れしちゃったじゃないのよ」
 高橋:「オマエが来客用のレギュラーコーヒーの場所を勝手に変えたからだろ!俺をハメやがって!」
 高野:「ちゃんとラベルを見れば分かるでしょ!」
 愛原:「分かった分かった。ちょっと静かにしろ」
 高野:「はーい」
 高橋:「も、申し訳ありません」

 2人は応接室……という名の休憩室から出て行った。
 小さな雑居ビルのワンフロアを借りているとはいえ、もう少し大儲けできたら大きなビルに事務所を構えたいものだ。

 高橋:「オマエのせいで怒られただろうが!」
 高野:「あんたがそうやって大きな声出すからでしょー」

 出て行く時もそんな感じだ。
 全く、この事務所も賑やかになったなー。
 ただちょっと、賑やか過ぎる。
 何かこう、私の他に緩衝材になるような人物がいないものか……。

 愛原:「ってか、もう昼休み終わりかよ。こういうのは時間が経つのが早いなー」

 私は時計を見てそう呟いた。
 起き上がって、大きく伸びをする。
 と、隣の事務室から電話の音が鳴り響いた。
 その呼び出し音はすぐに消え、高野君の声が聞こえた。

 高野:「お電話ありがとうございます。愛原学探偵事務所でございます」
 ボス:「私だ」
 高野:「ボス!?どうも、お久しぶりでございます。いつも、お世話になっております」

 ボスからだって!?
 私は急いで事務室に駆け込んだ。

 愛原:「ボスか!?」
 高橋:「あ、はい。今、レンジでチンしてますんで」
 愛原:「あ!?」

 給湯室の方を見ると、高橋が缶コーヒーのBossのブラック無糖を開けていた。
 どうやら、それを私の目覚めのコーヒーとするつもりらしい。
 ちゃんと私用のマグカップに移している辺りが……って、それどころじゃない!

 高野:「先生、ボスからです」
 愛原:「おう!」

 私は電話を取った。

 ボス:「私だ」
 愛原:「ボス、お疲れさまです。今日は何の御用件で?」
 ボス:「まずはキミに1つの忠告と、今後起こり得る予言をしたいと思う」
 愛原:「ボスまで、にわか魔道師?金髪ボブカット魔女のパンチラなら見飽きましたよ」
 ボス:「違う!あのシリーズは一旦休止だ。忠告と予言、どちらから聞きたい?」
 愛原:「じゃあ、忠告からで」
 ボス:「分かった。実は最近、全国の探偵事務所に怪文書が送付されているとのことだ。それは『怪人千面相』を名乗る人物からだ。開けてもオレオレ詐欺のように金を騙し取られるだけだから、届いても決して開封せず、そのまま破棄せよ」
 愛原:「わ、分かりました」

 私は様子を見守る2人を見てニヤッと笑った。
 この勝負は、高野君の勝ちか。
 ま、黙っておこう。
 高橋君、元ヤンなだけに、キレると怖いからな。

 愛原:「もう1つは?」
 ボス:「これからキミに招待状が届く。恐らく、一両日中だろう。こちらは心配無い。『怪人千面相』の怪文書が普通郵便で届くのに対し、こちらは配達証明の方で届く」
 愛原:「何の招待状ですか?」
 ボス:「全世界探偵協会日本支部からさ。大きな功績を上げた探偵社に対し、それを労う催しが行われるとのことだ」
 愛原:「そうなんですか。……って、こんな小さな事務所のうちがですか!?」
 ボス:「キミ達は『霧生市のバイオハザード』を生き抜いた英雄だ。そこが認められたのだろう」
 愛原:「うへぇ……。何だか照れますなぁ……」
 ボス:「とにかく、キミ達はその招待状を受けたまえ」
 愛原:「はい、どうも。……はい。……はい。それじゃ、失礼します。はい」

 私は電話を切った。

 高橋:「先生、何ですって!?」
 愛原:「高橋君には申し訳無いんだが、あの『怪人千面相』とやらはやっぱりイタズラの怪文書らしい。他の事務所にも回ってるってよ」
 高橋:「ええっ、そんなぁ!?」
 高野:「ふっ、だから言ったでしょ?何でもかんでも鵜呑みにするなって」
 愛原:「まあまあ。とにかく、あんなもんはすぐに処分しろってさ。俺がやっとく」

 私は再び応接室に入った。
 そしてテーブルの上に置いてある封筒を手に取った。

 愛原:「ん?」

 どうせ中には紙の文書しか入っていないものと思っていたのだが、手触りが何かやけに硬い。
 何だろう?ボスは何も言ってなかったが……。
 どうする?開けてみるか?それとも、このまま廃棄するか?

 1:廃棄する
 2:開けてみる
 3:ボスに相談する
 4:高野に相談する
 5:高橋に相談する

 序章のくせにバッドエンドありです。
 選択は慎重に。
コメント (4)
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