報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「鬼化した栗原蓮華」

2023-12-08 20:33:12 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月3日03時00分 天候:晴 栃木県日光市某所(奥日光) 栗原家関連施設裏庭→裏門]

(BGM)https://www.youtube.com/watch?v=4LLgDoM1098

 外に出ると、銃声や怒号、そしてモールデッドなどの化け物が放っていると思われる叫び声が聞こえて来た。
 と、そこへ眩い光が私達を照らした。
 そして、けたたましいプロペラ音。

 高橋「アネゴだ!」
 愛原「何だよ!?せっかく外に出られたのに、また戻れとか言うんじゃないだろうな!?」

 そうではなかった。
 高野君はヘリから、縄梯子を下ろした。
 どうやら、これを使ってヘリに乗り込めというのか。
 ヘリなら一気に脱出できるな。
 だが、しかし……。
 本当に、このまま乗り込んで大丈夫なのだろうか?

 高橋「先生、どうします?ヘリに乗り込みますか?」
 愛原「いや、待て……」

 何か、嫌な予感がする。
 そして、その嫌な予感は的中した。

 リサ「あれ何!?」

 リサは何かを指さした。
 それは私達が先ほど出て来た建物の上であった。
 そこに何かがいるのだろうか?

 愛原「えっ!?」

 何かが高野君のヘリに当たった。
 それは私でも両手で持たないと持ち上がらないと思われる大きさの石……いや、岩だった。
 大きさはバレーボールくらいある。
 それが高野君のヘリに、何発も当たる。
 まるで、カタパルト(投石器)で攻撃しているかのようだ。
 建物の屋根の上に、誰かがいて、そいつが岩をブン投げているのが分かった。
 ついにヘリは損傷を受けて、建物の向こうの方に墜落した。

 愛原「高野君!」
 高橋「こ、これだから、カプコン製のヘリはァ!」
 愛原「いや、違うだろ!」

 だ、大丈夫なのか!?
 い、いや、それより……。

 ???「キャハハハハッ!!」

 高野君のヘリを投石だけで墜落させたそいつは、甲高い笑い声を上げながら、私達の所へ跳んで来た。

 愛原「鬼だ!!」

 それは女の鬼。
 銀色の髪をポニーテールにしており、私やリサよりも背が高い。
 鬼形態に変化すると紅潮しやすく、赤鬼に近い姿になるリサに対し、この鬼の女は青白い姿をしており、青鬼と言える。
 額の上に一本角を生やしているところは、昔のリサと似ている。
 瞳の色は月明りに反射して、金色に輝いている。

 高橋「くっ……!」

 高橋がマグナム44を構えて、鬼の女に発砲しようとした。

 愛原「! 待てよ。あの鬼、どこかで見たような……?」
 リサ「……?……あっ!」

 リサが真っ先に気づいた。
 と、同時に高橋がマグナムを発砲した。
 しかし、鬼の女は左手に持っていた岩を盾にすると、右手に持っている岩を高橋にブン投げた。

 愛原「危ない!」

 私は高橋を突き飛ばした。
 と、同時に私の頭の上スレスレを岩が通過する。
 被っていた帽子(ハット)がそれで吹き飛んだ。
 岩はその先の植木に激突し、木は折れて地面に倒れた。

 リサ「鬼斬りセンパイ!?鬼斬りセンパイなの!?」
 愛原「そ、そうだ!栗原蓮華!キミなのか!?」
 栗原蓮華「人間だった頃は、そんな名前だったかもなぁ!」
 高橋「て、てめっ!あんなに憎んでいた鬼に、自分がなるとは……悪堕ちもいいところだぜ!」
 蓮華「お前の血のおかげで、こんなにきれいになったぞ。左足も生えた。感謝する」
 リサ「その代わり、BOW……いや、鬼になりやがって……!」

 まさか、リサの血をそのまま使ったのか!?
 いや、しかし……。

 蓮華「その恩に免じて、お前だけは助けてやる。ていうか、鬼同士の戦いなんて不毛だものねぇ」
 リサ「いや、ここにいる皆を助けてよ!」
 蓮華「まずはそこのオッサン、お前からだ!」

 蓮華は素早い動きで飛び掛かって来る。
 リサと同様、鋭い爪で私を引っ掻く気だ。

 リサ「愛原先生!」
 蓮華「!!!」

 その時、蓮華の動きが止まった。
 私を金色の瞳で見据えながら、口を開けて唖然としている。
 そこからは、リサと同様、立派な牙が見えていた。

 蓮華「アイハラ……?うっ……!」

 どうやら、急激に失われていく人間だった頃の記憶の中で、私の記憶は残っているようだ。

 高橋「てめっ、よそ見してんじゃねー!」

 高橋は拾い上げたマグナム44で、再び蓮華に向けて発砲した。
 だが、蓮華は後ろを向いたまま、その銃弾を左手で掴み、そのまま地面に投げ捨てた。

 高橋「はぁーっ!?」
 蓮華「ううっ!うーっ!」

 蓮華は頭を何度か左右に振ると、そのまま走り出し、塀を乗り越えて去って行った。

 高橋「ま、マジか……!44口径の弾を素手で掴んで捨てただぁ?」
 リサ「わたしもできる」
 高橋「おい、ウソ付くな、このやろ!」
 リサ「ホントだよ」
 高橋「よーし!今から撃ってみるから、やってみろよ!」
 リサ「分かった」
 愛原「そんな下らないことするな!それより、ここから脱出して、善場主任に報告するんだ!」
 高橋「は、はい!」

 すると、地面に何か落ちているのが分かった。
 拾い上げてみると、それは何かの鍵だった。

 高橋「これは車のキーじゃないスかね?それも、大型車の」
 愛原「なにっ!?」

 ライトで照らしてみると、確かに大型自動車メーカーのロゴマークが入っていた。
 近くにバスかトラックでも止まっているのだろうか。
 それで脱出できないだろうか。

 愛原「とにかく、あっちに向かうぞ」
 高橋「はい!」

 建物を回り込むようにして進むと、そこに1台の大型ダンプカーを見つけた。
 その隣には大きな鉄製のバケットが取り付けられたフォークリフトが止まっており、どうやら除雪した雪をどこかに捨てに行く為のダンプカーのようである。

 高橋「さすがに俺、大型自動車免許は無いっスよ?大型自動二輪免許はありますけど」
 愛原「俺はその逆だ!」
 高橋「えっ?」
 愛原「前に言わなかったか?俺は学校を卒業した後、数年間だけ運送会社に勤めてたって話」
 高橋「ああ!で、リーマンショックでその会社が潰れて、警備会社に転職したんでしたっけ!?」

 その後で私は独立し、探偵事務所を開所して今に至るというわけだ。
 もちろん、運送会社を辞めても、免許は手元に残るわけである。

 愛原「その通りだ。というわけで、運転は俺がする。お前達は横に乗ってろ」
 高橋「了解しました!」

 私は運転席に座ると、エンジンを掛けた。
 大型トラックならではの大きなディーゼルエンジンが唸り声を上げる。

 モールデッドA「ギャア!」
 モールデッドB「ギィィッ!」

 と、そこへモールデッド達が現れた。
 私達の進行を阻もうとしているらしい。

 愛原「行くぞ!」

 私はギアを操作して、ダンプカーを発進させた。
 モールデッド達はその前に立ちはだかるが、私はブレーキを踏まず、そのままアクセルを踏み続けた。
 哀れ、モールデッド達はダンプカーに轢き殺されることになる。

 愛原「このまま門まで突き進む!」
 高橋「はい!」

 途中途中で、モールデッド達と出くわしたが、大型ダンプカーの馬力には勝てず、跳ねられて体がバラバラになったり、大きなタイヤに踏みつけられて上下半身を真っ二つにされるなどした。

 愛原「生きてる人間はいないのか!?BSAAとか、“青いアンブレラ”は!?あと、警察とか消防とか……」
 高橋「もしかして、モールデッドの巣と化したので、皆逃げて、俺達だけ取り残されてたとか?」
 愛原「一般の警察や消防はともかく、それを退治するのが仕事のBSAAが逃げちゃダメだろうが!」

 と、前方に門が見えて来た。
 しかし、見覚えのある門とは違った。
 別の門に来てしまったようだ。

 ファットモールデッドA「ガアアアア!」
 ファットモールデッドB「ブオオオッ!」

 と、そこへ大きな体のモールデッドが現れた。
 普通のモールデッドがプロレスラーくらいだとしたら、こちらはヘビー級のボクサー……いや、力士くらいはある。

 愛原「このまま突っ込むぞ!掴まってろ!」
 高橋「はい!」

 一応、全員シートベルトを締めている。
 私は立ちはだかるファットモールデッドに対し、アクセル全開で突っ込んだ。
 それを協力して止めようとするファットモールデッド。

 高橋「退けや、デブ野郎ども!!」

 高橋は助手席の窓を開けると、そこからマグナム44を構え、何度も撃ち込んだ。
 弾切れになるまで。

 愛原「でぇぇぇい!」

 高橋の援護射撃が効いたか、ファットモールデッド達が怯んだ隙に、私はまたアクセルをベタ踏みした。
 ついに、大型ダンプカーの馬力に負け、2体の大きな化け物達はダンプカーと門扉に挟まれた。
 そして、体を破裂させて、汚い汚物や血液などの体液を撒き散らしたのだった。
 と、同時に固く閉ざされた門扉もこじ開けることができた。
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