[2月4日12時30分 天候:晴 東京都港区新橋 都営バス新橋停留所→業10系統車内]
昼食のラーメンを食べ終わった私達は、菊川の事務所兼自宅に帰ることにした。
帰りはバス。
もうやることは無いので、乗り換え無しでゆっくり帰っても構わない為。
何より、電車より安い。
寒風の中、バスを待っていると、パールからLINEがあった。
残念ながらメイド仲間でも、家のエレベーターの事については分からないそうである。
高橋「チッ、使えねーメイド達だなー」
愛原「まあ、そう言うな。もしかしたら、運転手の新庄さんなら知ってるかもしれないな。ほら、斉藤元社長のお抱え運転手」
新庄さんも、斉藤家で住み込みのお抱え運転手をしていた。
また、運転業務が無い時は執事のような役割もしていたから、もしかしたら、斉藤家の機械関係なんかにも携わっていたかもしれない。
高橋「ああ。……で、連絡先は?」
愛原「……し、知らん」
私はリサを見た。
リサ「エレンしか知らないよー」
リサも慌てて否定した。
愛原「高橋、もう1度パールに聞いてみろ。もしかしたら、同じ使用人繫がりで、連絡網とかあるかもしれん」
高橋「分かりました。聞いてみます」
高橋は再びスマホで、パールにLINEを送った。
そうしているうちに、バスがやってくる。
新橋バス停が始発だから、ガラガラの空車状態でやってくる。
愛原「大人3人で」
運転手「はい。……どうぞ」
愛原「ども」
高橋とリサのバス代も払ってやる。
どうせ、後でデイライトに諸経費の一部として請求するから構わない。
バスに乗り込むと、1番後ろの席に3人並んで座った。
本数の多い路線なだけに利用者も多く、見る見るうちに席が埋まって行く。
この業10系統は、元は都電のバス代替路線だったのだそうだ。
別に赤字だから廃止になったのではなく、ただ単に自動車交通の妨げになる上、併用軌道しか無いので、そのままバスに転換できるからだそうである。
すると、この停留所も元は電停だったのだろうか?
〔「12時30分発、とうきょうスカイツリー駅前行き、発車致します」〕
時間になり、バスはグライドスライドドアの前扉を閉めて走り出した。
〔ピンポーン♪ 毎度、都営バスをご利用頂き、ありがとうございます。このバスは銀座四丁目、勝鬨橋南詰、豊洲駅前経由、とうきょうスカイツリー駅前行きでございます。途中お降りの際は、お近くのボタンを押して、お知らせ願います。次は銀座西六丁目、銀座西六丁目でございます。日蓮正宗妙縁寺へおいでの方は、本所吾妻橋で。日蓮正宗常泉寺と本行寺へおいでの方は、終点、とうきょうスカイツリー駅前でお降りになると便利です。次は、銀座西六丁目でございます〕
愛原「あ……」
その時、私はふと思い出した。
高橋「どうしました?」
愛原「そういえばこのバスに乗って帰る時、途中、銀座のどこからか、栗原姉妹が乗ってきたんだよ。仲の良い姉妹でさ。姉が鬼化したなんて知ったら、妹は悲しむだろうなって思ってさ」
リサ「そんなの知らないよ。わたしがアイリを食い殺して……あっ!」
愛原「今度は何だ?」
リサ「わたし今、アイリを食い殺せばいいって思ったんだけど……。もしかしてそれ、あのセンパイもそう思ってたりして」
愛原「……なるほど。帰ったらちょっと善場主任に相談してみよう」
高橋「あと、今しがたパールからLINEが来ました」
愛原「何だって?」
高橋「パールはもちろん、メイドの誰一人、あの運転手の爺さんの連絡先は知らねぇそうです」
愛原「マジか……」
高橋「使えねーメイド達っスね」
リサ「わたしがエレンに聞いてみようか?もしかしたら、エレンなら知ってるかもしれない」
愛原「そ、そうだな。頼むぞ」
リサ「うん、分かった」
リサは自分のスマホを取り出した。
それで今度は、我那覇絵恋にLINEを送ってみる。
リサ「おー、すぐに返って来た」
愛原「愛しのリサ様のLINEとあらばってか?で、何だって?」
リサ「知ってるけど、条件があるんだって」
愛原「条件?何だ?情報料寄こせってか?」
リサ「うん、そう」
高橋「金持ちの御嬢様が、随分とセコいな」
愛原「今は違うからね。斉藤元社長も国外逃亡しちゃって、絵恋と母親も半ば逃げるように沖縄さ」
絵恋の母親の実家が、沖縄県那覇市にあるという。
離婚もしたので、それで絵恋も名字が変わったのである。
幸い絵恋の母親の実家も、アパートやマンションの経営をしているということもあり、斉藤家ほどではないものの、比較的裕福な方ではあるという。
いわゆる、『実家が太い』というヤツだな。
2人はそんな実家が経営する、いくつかの物件の1つに住んでいるという。
実家に転がり込まない理由は不明だが、恐らく何か事情があるのだろう。
もちろん、赤の他人が立ち入って良い事ではない。
リサ「わたしが今穿いてるブルマが欲しいんだって。そのまんま脱ぎたてのを、パウチして送って欲しいらしい」
高橋「変態レズガキめ」
愛原「そ、それで新庄さんの連絡先を教えてもらえるんだな?」
リサ「うん。何なら、エレベーターの鍵が欲しいということも伝えてくれるって」
愛原「それはお願いした方がいいな。後で、『旦那様方の許可無しに、鍵はお渡しできません』なんて言われる恐れがある」
リサ「うん。エレンから言ってもらうようにすればいいね」
愛原「で、どうするんだ?」
リサ「先生の命令に従うよ」
愛原「バスを降りるまで、考えさせてくれ」
私は少し引っ張ることにした。
そんなブルセラなことしなくても、他に方法があるかもしれない。
[同日13時32分 天候:晴 東京都墨田区菊川 都営バス菊川駅前バス停]
新橋から凡そ1時間掛けて、菊川まで帰ってきた。
乗り換え無しではあるが、やはり所要時間は乗り換えありの地下鉄に軍配が上がる。
バスを降りてから、私はリサに言った。
愛原「すまないが、リサのブルマ、使わせてくれないか?」
リサ「うん、分かった。先生の命令なら何でも聞く」
愛原「今、どんなブルマ穿いてるんだ?」
リサ「紺色。ちょうど、学校で新しい紺色ブルマも買ったしね。少しサイズも小さくなってきたから、ちょうど良かったかも」
リサは黒いスカートの下に、紺色のブルマを穿いているそうだ。
捲って見せようとしてきたが、さすがに人通りの多い外はダメだ。
私は慌てて制した。
愛原「レターパックなら、速達も兼ねているので、早めに届くだろう。少し歩くが、このまま100円ローソンまで行くぞ」
リサ「分かった」
高橋「先生、ついでに明日の朝飯の材料、買ってくるように頼まれました」
愛原「ちょうどいい。100円ローソンで見繕って来るぞ」
夕食の材料はあるようだな。
あー……冷凍庫とか見たら、確かに肉とか魚とかは入っていたな……。
昼食のラーメンを食べ終わった私達は、菊川の事務所兼自宅に帰ることにした。
帰りはバス。
もうやることは無いので、乗り換え無しでゆっくり帰っても構わない為。
何より、電車より安い。
寒風の中、バスを待っていると、パールからLINEがあった。
残念ながらメイド仲間でも、家のエレベーターの事については分からないそうである。
高橋「チッ、使えねーメイド達だなー」
愛原「まあ、そう言うな。もしかしたら、運転手の新庄さんなら知ってるかもしれないな。ほら、斉藤元社長のお抱え運転手」
新庄さんも、斉藤家で住み込みのお抱え運転手をしていた。
また、運転業務が無い時は執事のような役割もしていたから、もしかしたら、斉藤家の機械関係なんかにも携わっていたかもしれない。
高橋「ああ。……で、連絡先は?」
愛原「……し、知らん」
私はリサを見た。
リサ「エレンしか知らないよー」
リサも慌てて否定した。
愛原「高橋、もう1度パールに聞いてみろ。もしかしたら、同じ使用人繫がりで、連絡網とかあるかもしれん」
高橋「分かりました。聞いてみます」
高橋は再びスマホで、パールにLINEを送った。
そうしているうちに、バスがやってくる。
新橋バス停が始発だから、ガラガラの空車状態でやってくる。
愛原「大人3人で」
運転手「はい。……どうぞ」
愛原「ども」
高橋とリサのバス代も払ってやる。
どうせ、後でデイライトに諸経費の一部として請求するから構わない。
バスに乗り込むと、1番後ろの席に3人並んで座った。
本数の多い路線なだけに利用者も多く、見る見るうちに席が埋まって行く。
この業10系統は、元は都電のバス代替路線だったのだそうだ。
別に赤字だから廃止になったのではなく、ただ単に自動車交通の妨げになる上、併用軌道しか無いので、そのままバスに転換できるからだそうである。
すると、この停留所も元は電停だったのだろうか?
〔「12時30分発、とうきょうスカイツリー駅前行き、発車致します」〕
時間になり、バスはグライドスライドドアの前扉を閉めて走り出した。
〔ピンポーン♪ 毎度、都営バスをご利用頂き、ありがとうございます。このバスは銀座四丁目、勝鬨橋南詰、豊洲駅前経由、とうきょうスカイツリー駅前行きでございます。途中お降りの際は、お近くのボタンを押して、お知らせ願います。次は銀座西六丁目、銀座西六丁目でございます。日蓮正宗妙縁寺へおいでの方は、本所吾妻橋で。日蓮正宗常泉寺と本行寺へおいでの方は、終点、とうきょうスカイツリー駅前でお降りになると便利です。次は、銀座西六丁目でございます〕
愛原「あ……」
その時、私はふと思い出した。
高橋「どうしました?」
愛原「そういえばこのバスに乗って帰る時、途中、銀座のどこからか、栗原姉妹が乗ってきたんだよ。仲の良い姉妹でさ。姉が鬼化したなんて知ったら、妹は悲しむだろうなって思ってさ」
リサ「そんなの知らないよ。わたしがアイリを食い殺して……あっ!」
愛原「今度は何だ?」
リサ「わたし今、アイリを食い殺せばいいって思ったんだけど……。もしかしてそれ、あのセンパイもそう思ってたりして」
愛原「……なるほど。帰ったらちょっと善場主任に相談してみよう」
高橋「あと、今しがたパールからLINEが来ました」
愛原「何だって?」
高橋「パールはもちろん、メイドの誰一人、あの運転手の爺さんの連絡先は知らねぇそうです」
愛原「マジか……」
高橋「使えねーメイド達っスね」
リサ「わたしがエレンに聞いてみようか?もしかしたら、エレンなら知ってるかもしれない」
愛原「そ、そうだな。頼むぞ」
リサ「うん、分かった」
リサは自分のスマホを取り出した。
それで今度は、我那覇絵恋にLINEを送ってみる。
リサ「おー、すぐに返って来た」
愛原「愛しのリサ様のLINEとあらばってか?で、何だって?」
リサ「知ってるけど、条件があるんだって」
愛原「条件?何だ?情報料寄こせってか?」
リサ「うん、そう」
高橋「金持ちの御嬢様が、随分とセコいな」
愛原「今は違うからね。斉藤元社長も国外逃亡しちゃって、絵恋と母親も半ば逃げるように沖縄さ」
絵恋の母親の実家が、沖縄県那覇市にあるという。
離婚もしたので、それで絵恋も名字が変わったのである。
幸い絵恋の母親の実家も、アパートやマンションの経営をしているということもあり、斉藤家ほどではないものの、比較的裕福な方ではあるという。
いわゆる、『実家が太い』というヤツだな。
2人はそんな実家が経営する、いくつかの物件の1つに住んでいるという。
実家に転がり込まない理由は不明だが、恐らく何か事情があるのだろう。
もちろん、赤の他人が立ち入って良い事ではない。
リサ「わたしが今穿いてるブルマが欲しいんだって。そのまんま脱ぎたてのを、パウチして送って欲しいらしい」
高橋「変態レズガキめ」
愛原「そ、それで新庄さんの連絡先を教えてもらえるんだな?」
リサ「うん。何なら、エレベーターの鍵が欲しいということも伝えてくれるって」
愛原「それはお願いした方がいいな。後で、『旦那様方の許可無しに、鍵はお渡しできません』なんて言われる恐れがある」
リサ「うん。エレンから言ってもらうようにすればいいね」
愛原「で、どうするんだ?」
リサ「先生の命令に従うよ」
愛原「バスを降りるまで、考えさせてくれ」
私は少し引っ張ることにした。
そんなブルセラなことしなくても、他に方法があるかもしれない。
[同日13時32分 天候:晴 東京都墨田区菊川 都営バス菊川駅前バス停]
新橋から凡そ1時間掛けて、菊川まで帰ってきた。
乗り換え無しではあるが、やはり所要時間は乗り換えありの地下鉄に軍配が上がる。
バスを降りてから、私はリサに言った。
愛原「すまないが、リサのブルマ、使わせてくれないか?」
リサ「うん、分かった。先生の命令なら何でも聞く」
愛原「今、どんなブルマ穿いてるんだ?」
リサ「紺色。ちょうど、学校で新しい紺色ブルマも買ったしね。少しサイズも小さくなってきたから、ちょうど良かったかも」
リサは黒いスカートの下に、紺色のブルマを穿いているそうだ。
捲って見せようとしてきたが、さすがに人通りの多い外はダメだ。
私は慌てて制した。
愛原「レターパックなら、速達も兼ねているので、早めに届くだろう。少し歩くが、このまま100円ローソンまで行くぞ」
リサ「分かった」
高橋「先生、ついでに明日の朝飯の材料、買ってくるように頼まれました」
愛原「ちょうどいい。100円ローソンで見繕って来るぞ」
夕食の材料はあるようだな。
あー……冷凍庫とか見たら、確かに肉とか魚とかは入っていたな……。