報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「帰宅の夜」

2024-12-23 12:20:30 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月16日19時15分 天候:晴 東京都墨田区江東橋 テルミナ3 牛角錦糸町テルミナ店]

 『食べ放題 鬼は笑ひて 店は泣き』
 普通は、どんなに食べても元が取れない仕組みになっている店の食べ放題メニューだが、リサを連れて行くと、だいたい元が取れるという。
 しかし、リサ1人で、店がピリつく騒ぎだで?
 これが何人もだったら、店が潰れるな。
 霧生市ではバイオハザード発生時、まず普通の食べ物が無くなった。
 ゾンビ達が食べ尽くしたのと、リサのようなBOWが食い散らかしたからだろう。

 愛原「すいません、カードでお願いします」
 店員「か、かしこまりました」

 支払いはカードで。
 しかしこれ、食べ放題じゃなかったら、1万円強じゃ済まなかったな……。
 しかもリサのヤツ、後半は殆ど焼かずに食べていた。
 人間なら食中毒ものだが、体内に有しているGウィルスや他のウィルス、寄生虫は『血の滴る』うちに食べるのが好きなのだろう。

 パール「先生、御馳走様です」
 リサ「ごちそーさまー!」
 愛原「いいよ。その代わり、明日の飯は頼む」
 パール「お任せください」
 愛原「リサもこれだけ肉を食べたんだから、人食い衝動は抑えるように」
 リサ「頑張る!」

 会計を済ませて店が出た後、トイレを済ませる。
 帰りはバスに乗る予定だが、あまり本数が少ない為、時間を調整して行く形となる。
 やはり、警察もBSAAもおとなしくなったのだろうか、現時点では彼らの姿を見ることは無い。
 もちろん、制服警官の姿なら駅構内で見ることはあるが。

[同日19時52分 天候:晴 同区内 錦糸町駅前バス停→都営バス錦11系統車内]

 パールの一服も終わってバス停に行く。
 駅前は帰宅ラッシュで賑わっていた。

 リサ「そういえば、“いきなりステーキ”もバス停の所にあったんだっけ」
 愛原「あー、ダメダメ!さすがは今日はもう行かないぞ!」
 リサ「今日『は』!?今日『は』!?」
 愛原「う、うん。また、別の機会にね!」

 バスがやってくるが、亀戸駅前始発なので、既に何人かの乗客が乗っている。
 バスに乗り込み、リサと私は2人席に座った。
 リサが体を密着させてくる。

〔発車致します。お掴まり下さい〕

 乗客を全員乗せると、バスは前扉を閉めて発車した。
 だいたい座席が全部埋まり、立ち客が数名いる感じ。

〔ピンポーン♪ 毎度、都営バスをご利用頂き、ありがとうございます。このバスは浜町中の橋、八丁堀二丁目経由、築地駅前行きでございます。次は錦糸堀、錦糸堀でございます。警備会社の全日警、東京中央支社へおいでのお客様は、菊川一丁目でお降りになると便利です。次は、錦糸堀でございます〕

 リサのスマホが震える。
 どうやら、LINEの着信があったようだ。
 リサが面倒臭そうにスマホを確認する。
 せっかく私に密着できたと思ったのに、水を差されたと思ったのだろうか。
 あと、今の都営バスにはWiFiが無いから、パケットを気にしているのかもしれない。

 愛原「何だって?」
 リサ「ミキから。わたしに新しい金棒送ったから受け取ってだって」
 愛原「もう送ったのか。早いな」
 リサ「今時、金棒使う鬼もあんまいないから、余ってるんだってよ」
 愛原「時代の流れか」
 リサ「どうせ余り物だから、タダでいいって。その代わり、着払いで送るから、受取の代金だけヨロシクだって」
 愛原「あいよ。てか、宅配便で送れるレベルなのか」
 リサ「大きさ的には、野球の金属バットとあんま変わんないでしょ」
 愛原「それもそうか」

 実際、リサが使っていた金棒は、野球部から譲ってもらった金属バットを改造したものだ。
 もっとも、野球のバットだとアルミ製で、そんなに実は耐久性が無いのかもしれないが。

 愛原「……鬼の里で使うものだから、結構本格的な物なんだろうな?」
 リサ「そうかもね。でも、普通にで送れるレベルだよ」
 愛原「俺的には、鬼が棲むような山奥まで集荷できるのが凄いよ」
 リサ「わざわざ山を下りて、出しに行ったんじゃない?だってミキ、学校は寮だけど、たまに帰るらしいから」
 愛原「そうか……。どこの運送会社に頼んだか、聞いてみてくれるか?ヤマト?佐川?」
 リサ「ちょっと待ってね……。ついでに、どんな金棒送ってくれたかも聞いてみる」
 愛原「そうしてくれ」

[同日20時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 菊川駅前バス停→ファミリーマート菊川駅前店]

 バスは無事に菊川駅前のバス停に到着した。
 中扉からバスを降りる。
 まだ、太平山美樹から返信は来ないようだ。

 パール「先生。明日の朝食の材料を買って行っても宜しいでしょうか?」
 愛原「おっ、そうだな。いいぞいいぞ」
 パール「ありがとうございます」

 駅前のコンビニに立ち寄る。

 愛原「明日は土曜日だから、パン食かな?」
 パール「そうですね」
 リサ「わたしもついでに何か買っていい?」
 愛原「いいよ」

 食パンとか卵とか、ハムとかベーコンとか……。

 愛原「リサにはコレな」

 私はパック入りの『鬼ころし』を手に取った。
 もちろん酒なので、未成年たるリサには買えない。
 だが、何故かこれが、リサの暴走を抑える薬として絶大な効果がある為、デイライトからは、特別に少量飲むことを許されている。
 もちろん、購入は私名義で。

 パール「ついでにタバコ買っていいですか?」
 愛原「いいよ。ポイントはパールで貯めていいから」
 パール「ありがとうございます」
 リサ「先生、わたしのポイントは?」
 愛原「オマエのポイントカードは、ナナコとポンタだけだろうが」
 リサ「ぐえー……」

 パールは近所のスーパーでも同じポイントを貯めて、これをバイクの燃料代とかに充てているようである。

 愛原「それより美樹から返信は?」
 リサ「あー、今来た。今北産業」
 愛原「2ちゃんかw で、何だって?」
 リサ「これが金棒のサンプル写真だって」

 

 愛原「うーむ……。頑丈そうだが、大きさが今いち分からん」
 リサ「これが伝票だって」

 

 愛原「ゆうパックか。本当に着払いだ」

 しかし郵便局なら、田舎の……それも山奥にでも田んぼのど真ん中にでもありそうなイメージだ。

 リサ「郵便局が閉まるギリギリに出せたらしいけど、それでも明日には届くんだねー」
 愛原「マジか!?」

 郵便局のある場所だから、最低限の交通手段は確保されているとはいえ、北東北から東京まで何の時間指定をしなくても明日には届くとは……。

 リサ「でもまあ、前使ってたヤツより重そうだね」
 愛原「女の鬼よりは、筋骨隆々の男の鬼が持っているイメージだもんなぁ……」
 リサ「……ちっ、ヤなこと思い出しちゃった」
 愛原「あ、ゴメン」
 リサ「あの鬼の男が、わたしに近づかないように、ミキから言っといてもらおう」

 そう言って、リサは再びスマホでLINEを送るのだった。

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