[6月16日08時00分 天候:晴 埼玉県さいたま市大宮区宮町 イージーステイ大宮1階イートインスペース]
ここで最後の朝食。
カレーはいくら食べても飽きない。
……と、思っていたが、もうしばらくはいいかな。
リサはビーフカレーをガツガツと食べていたが。
愛原「食べたらチェックアウトして、デイライトの事務所に向かうぞ」
リサ「はーい」
パール「かしこまりました。警察の方は大丈夫なのでしょうか?」
愛原「善場係長の話では、公安調査庁が動いているらしいから、特に心配はしなくていいらしい。もしも、それでも警察が来たら、善場係長達に振っていいってさ」
リサ「なるほど……」
愛原「問題は、BSAAだ。そっちはまだ偽情報に踊らされているらしいから、BSAAが拘束してくる恐れがある」
因みに公安調査庁が調査機関を設けて……というのは、本来は秘密なので、公言してはいけない。
本当は善場係長達は、私達にもそれは内緒にしたかったのだろうが、そうもいかなくなってきたということだ。
愛原「だからGPSは、事務所に着くまで切ったままでいいとのことだ」
リサ「なるほと、分かった」
滞在先が窓の少ない……というか、殆ど無いカプセルホテル兼ネカフェで良かったと思う。
パール「途中、郵便ポストに立ち寄っても宜しいですか?」
愛原「ん?」
パール「マサ宛てに書いた手紙を出したいので」
愛原「ああ、いいよ。確か、途中にあったな……」
リサ「駅前ならあるよね?」
愛原「最悪、駅の中にもある」
ここに来る直前に立ち寄ったコンビニで、パールは便箋と封筒と切手を買っていた。
あれはそういうことだったのか。
愛原「今日は金曜日だから、今日出しても、届くのは来週月曜日になりそうだな」
パール「ええ。でも、特に急ぎというわけではございませんので」
愛原「そうか」
[同日09時30分 天候:晴 さいたま市大宮区錦町 JR大宮駅→高崎線1853E列車・4号車内]
カプセルホテルをチェックアウトして、大宮駅に向かう。
埼玉県の代表駅のすぐ近くということもあり、商店街や駅前の道は多くの人が往来していた。
普通、警察はこういう所では容疑者を捕まえないらしい。
人通りの少ない場所などに来た時に、ようやく捕まえに来るのだそうだ。
刑事ドラマでも、東京駅などの巨大な駅の構内で犯人を捕まえる描写が無いのは、何も撮影現場に困るからではなく、事実だからである。
但し、痴漢などの現行犯は除く。
因みに駅に向かう途中の道に、郵便ポストがあったので、パールの手紙はそこに投函した。
この辺だと、集配局はさいたま新都心の郵便局になるだろうか。
高橋も、消印がそこだと首を傾げるかもしれない。
愛原「一応、グリーン券を買っておこう」
朝ラッシュのピークは過ぎたとはいえ、まだまだ多くの人が行き交う大宮駅。
券売機で、紙のグリーン券を3枚買い求めた。
平日だとやや高いが、これも安全にデイライト事務所まで行く為だ。
パール「先生、警察が……」
愛原「ん?」
改札口は手持ちのICカードで入ろうとしたところ、パールが耳打ちしてきた。
パールの視線に目を移すと、改札口を入った先に、制服警官が立哨していた。
愛原「あれは、ただ単に警戒警備中の鉄道警察だ。俺達を捕まえに来たんじゃない」
仮に公安調査庁の通達が間に合わず、埼玉県警が捕まえに来たとしても、恐らく部署が違う。
ああいった制服警官ではなく、私服警官が捕まえに来るだろう。
愛原「ただ、挙動不審にしていると、さすがに職質されるからな?しれっとしてろ」
パール「はい……」
パールもかつては、散々っぱら警察に追われる毎日を過ごしていたクチだ。
今でも苦手意識があるのだろう。
むしろ挑発してナンボの高橋とは、その辺り対照的である。
改札口を通過して、乗車予定の電車が来るホームに下りた。
〔本日も、JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の、6番線の列車は、9時33分発、普通、品川行きです。この列車は、4つドア、10両です。グリーン車が付いております。……〕
愛原「たったの10両か。まあ、グリーン車にしといて良かったかもな」
そう言って、10両編成でグリーン車の来る位置に並ぶ。
〔「今度の高崎線の電車は、上野東京ライン経由の普通列車、品川行きです。短い10両編成で参ります。ホームの中ほどでお待ちください。停車位置にご注意ください。品川から先においでのお客様は、その後の9時44分発の上野東京ライン、国府津行きをご利用ください」〕
〔まもなく、6番線に、上野東京ライン、普通、品川行きが参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックまで、お下がりください。この列車は、4つドア、10両です。……〕
下り方向から眩いHIDランプを光らせて、電車がやってきた。
フルカラーLEDの行き先表示がよく見える。
いくら朝ラッシュのピークが過ぎているとはいえ、たったの10両では、普通車はそれなりに賑わっていた。
〔「ご乗車ありがとうございました。大宮ぁ、大宮です。車内にお忘れ物の無いよう、お降りください。6番線の電車は、上野東京ライン回りの品川行きです。品川止まりの電車です」〕
大宮駅でぞろぞろと降りて来る。
目視で確認できた所、まるっと2人席が空いたのは平屋席の方だったので、そちらに向かった。
パールには申し訳無いが、近くの空いている通路側の席に座ってもらうことにする。
平屋席のメリットは、荷棚があること。
なので、機内持ち込み可程度の荷物なら、そこに置くことができる。
〔「この電車は、上野東京ライン直通、普通列車の品川行きです。まもなく、発車致します」〕
座席に座ると、ホームから発車メロディが聞こえて来た。
〔「6番線から、上野東京ライン、品川行き、発車致します」〕
〔6番線の、上野東京ライン、ドアが閉まります。ご注意ください。次の列車を、ご利用ください〕
電車のドアが閉まり、スーッと動き出した。
〔この電車は、高崎線、上野東京ライン直通、普通電車、品川行きです。4号車と5号車は、グリーン車です。グリーン券を車内でお買い求めの場合、駅での発売額と異なりますので、御了承ください。次は、さいたま新都心、さいたま新都心。お出口は、右側です〕
愛原「今日は蒸し暑くなりそうだな……」
リサ「ねー?服全部脱ぎたい」
愛原「ここではダメだぞ?」
リサ「家に着いてからね」
愛原「着替えるか、風呂入る時だけにしてくれよ?」
リサ「ずっとシャワーだけだったから、今夜はお風呂に浸かりたいね」
愛原「それは確かに」
リサ「先生と一緒に」
愛原「……それはまた別の機会に」
リサ「えー?」
私はスマホを取り出すと、善場係長に上野東京ラインの電車に大宮駅から乗った旨をメールで報告した。
ここから新橋までは、およそ40分の鉄道旅である。
ここで最後の朝食。
カレーはいくら食べても飽きない。
……と、思っていたが、もうしばらくはいいかな。
リサはビーフカレーをガツガツと食べていたが。
愛原「食べたらチェックアウトして、デイライトの事務所に向かうぞ」
リサ「はーい」
パール「かしこまりました。警察の方は大丈夫なのでしょうか?」
愛原「善場係長の話では、公安調査庁が動いているらしいから、特に心配はしなくていいらしい。もしも、それでも警察が来たら、善場係長達に振っていいってさ」
リサ「なるほど……」
愛原「問題は、BSAAだ。そっちはまだ偽情報に踊らされているらしいから、BSAAが拘束してくる恐れがある」
因みに公安調査庁が調査機関を設けて……というのは、本来は秘密なので、公言してはいけない。
本当は善場係長達は、私達にもそれは内緒にしたかったのだろうが、そうもいかなくなってきたということだ。
愛原「だからGPSは、事務所に着くまで切ったままでいいとのことだ」
リサ「なるほと、分かった」
滞在先が窓の少ない……というか、殆ど無いカプセルホテル兼ネカフェで良かったと思う。
パール「途中、郵便ポストに立ち寄っても宜しいですか?」
愛原「ん?」
パール「マサ宛てに書いた手紙を出したいので」
愛原「ああ、いいよ。確か、途中にあったな……」
リサ「駅前ならあるよね?」
愛原「最悪、駅の中にもある」
ここに来る直前に立ち寄ったコンビニで、パールは便箋と封筒と切手を買っていた。
あれはそういうことだったのか。
愛原「今日は金曜日だから、今日出しても、届くのは来週月曜日になりそうだな」
パール「ええ。でも、特に急ぎというわけではございませんので」
愛原「そうか」
[同日09時30分 天候:晴 さいたま市大宮区錦町 JR大宮駅→高崎線1853E列車・4号車内]
カプセルホテルをチェックアウトして、大宮駅に向かう。
埼玉県の代表駅のすぐ近くということもあり、商店街や駅前の道は多くの人が往来していた。
普通、警察はこういう所では容疑者を捕まえないらしい。
人通りの少ない場所などに来た時に、ようやく捕まえに来るのだそうだ。
刑事ドラマでも、東京駅などの巨大な駅の構内で犯人を捕まえる描写が無いのは、何も撮影現場に困るからではなく、事実だからである。
但し、痴漢などの現行犯は除く。
因みに駅に向かう途中の道に、郵便ポストがあったので、パールの手紙はそこに投函した。
この辺だと、集配局はさいたま新都心の郵便局になるだろうか。
高橋も、消印がそこだと首を傾げるかもしれない。
愛原「一応、グリーン券を買っておこう」
朝ラッシュのピークは過ぎたとはいえ、まだまだ多くの人が行き交う大宮駅。
券売機で、紙のグリーン券を3枚買い求めた。
平日だとやや高いが、これも安全にデイライト事務所まで行く為だ。
パール「先生、警察が……」
愛原「ん?」
改札口は手持ちのICカードで入ろうとしたところ、パールが耳打ちしてきた。
パールの視線に目を移すと、改札口を入った先に、制服警官が立哨していた。
愛原「あれは、ただ単に警戒警備中の鉄道警察だ。俺達を捕まえに来たんじゃない」
仮に公安調査庁の通達が間に合わず、埼玉県警が捕まえに来たとしても、恐らく部署が違う。
ああいった制服警官ではなく、私服警官が捕まえに来るだろう。
愛原「ただ、挙動不審にしていると、さすがに職質されるからな?しれっとしてろ」
パール「はい……」
パールもかつては、散々っぱら警察に追われる毎日を過ごしていたクチだ。
今でも苦手意識があるのだろう。
むしろ挑発してナンボの高橋とは、その辺り対照的である。
改札口を通過して、乗車予定の電車が来るホームに下りた。
〔本日も、JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の、6番線の列車は、9時33分発、普通、品川行きです。この列車は、4つドア、10両です。グリーン車が付いております。……〕
愛原「たったの10両か。まあ、グリーン車にしといて良かったかもな」
そう言って、10両編成でグリーン車の来る位置に並ぶ。
〔「今度の高崎線の電車は、上野東京ライン経由の普通列車、品川行きです。短い10両編成で参ります。ホームの中ほどでお待ちください。停車位置にご注意ください。品川から先においでのお客様は、その後の9時44分発の上野東京ライン、国府津行きをご利用ください」〕
〔まもなく、6番線に、上野東京ライン、普通、品川行きが参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックまで、お下がりください。この列車は、4つドア、10両です。……〕
下り方向から眩いHIDランプを光らせて、電車がやってきた。
フルカラーLEDの行き先表示がよく見える。
いくら朝ラッシュのピークが過ぎているとはいえ、たったの10両では、普通車はそれなりに賑わっていた。
〔「ご乗車ありがとうございました。大宮ぁ、大宮です。車内にお忘れ物の無いよう、お降りください。6番線の電車は、上野東京ライン回りの品川行きです。品川止まりの電車です」〕
大宮駅でぞろぞろと降りて来る。
目視で確認できた所、まるっと2人席が空いたのは平屋席の方だったので、そちらに向かった。
パールには申し訳無いが、近くの空いている通路側の席に座ってもらうことにする。
平屋席のメリットは、荷棚があること。
なので、機内持ち込み可程度の荷物なら、そこに置くことができる。
〔「この電車は、上野東京ライン直通、普通列車の品川行きです。まもなく、発車致します」〕
座席に座ると、ホームから発車メロディが聞こえて来た。
〔「6番線から、上野東京ライン、品川行き、発車致します」〕
〔6番線の、上野東京ライン、ドアが閉まります。ご注意ください。次の列車を、ご利用ください〕
電車のドアが閉まり、スーッと動き出した。
〔この電車は、高崎線、上野東京ライン直通、普通電車、品川行きです。4号車と5号車は、グリーン車です。グリーン券を車内でお買い求めの場合、駅での発売額と異なりますので、御了承ください。次は、さいたま新都心、さいたま新都心。お出口は、右側です〕
愛原「今日は蒸し暑くなりそうだな……」
リサ「ねー?服全部脱ぎたい」
愛原「ここではダメだぞ?」
リサ「家に着いてからね」
愛原「着替えるか、風呂入る時だけにしてくれよ?」
リサ「ずっとシャワーだけだったから、今夜はお風呂に浸かりたいね」
愛原「それは確かに」
リサ「先生と一緒に」
愛原「……それはまた別の機会に」
リサ「えー?」
私はスマホを取り出すと、善場係長に上野東京ラインの電車に大宮駅から乗った旨をメールで報告した。
ここから新橋までは、およそ40分の鉄道旅である。
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