報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「解決に向けて……」

2024-12-18 20:39:00 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月15日13時00分 天候:雨 埼玉県さいたま市大宮区宮町 イージーステイ大宮1階イートインスペース]

 昼食はカップラーメンにした。
 ここの宿泊客はカレーライスの他、カップラーメンも無料で食べ放題である。
 カップラーメンの他にも袋麺やカップ蕎麦、カップうどんもあった。
 ただ、カップ焼きそばは無かった。
 他にもインスタントの味噌汁もあるし、ドリンクバーではコーンスープを出すこともできる。
 今のところ、まだ善場係長からの連絡は無い。
 パールは風邪気味でダウンした為、手持ちの市販の風邪薬を飲ませて休ませる。
 高熱こそ無いものの、微熱があった為、館内の自販機で冷たい水のペットボトルを買い与え、これで額を冷やすように伝える。
 カプセル内は飲食禁止となっているが、ペットボトルはOKとのこと。

[同日18時00分 天候:雨 イージーステイ大宮1階イートインスペース]

 夕食は食べ放題カレーのビーフカレーにした。
 店舗オリジナルのレシピでこだわりを持って作った……とのことだが、レトルト感はどうしても拭えない。
 とはいえ、けして味は悪くなく、大盛りを平らげることができた。
 パールはカプセルで休んでいるとのことで、夕食はリサと一緒に取った。
 このスペースもまた24時間開いているので、夜中に小腹が減っても利用することができる。
 そこは24時間営業のカプセルホテル兼ネットカフェである。

 リサ「善場さんからは、まだ電話無いの?」
 愛原「そうなんだよ……」

 私は項垂れた。
 こりゃあ、本格的に対策を練らないといけなくなる。
 デイライトから報酬を受け取れないばかりか、私達までBSAAや警察に逮捕されるかもしれないのだ。
 拘束されたらカレーなど食べれないだろうからと、今のうちに食べておく。

 リサ「わたし、土曜日から停学明けだけど、行けるのかなぁ……?」
 愛原「分からん。その辺も含めて明日、デイライトの事務所に行ってみよう」

 その前に拘束されるかもしれんがな。
 テレビやネットのニュースでは、相変わらず静岡県富士宮市郊外の事件の事を報道していたばかりか、斉藤元社長の家にBSAAが緊急捜査に入ったというニュースもやっていた。
 そして、BSAAが国際バイオテロ組織“コネクション”の関係者を追っていると……。

 愛原「……俺達、『コネクション』の関係者扱いだで?どうするよ?」
 リサ「もしも先生が死刑になるようなことがあったら、わたしもできる限り暴れるからね?東京にTウィルスから特異菌まで、全部ばら撒くんだ!」
 愛原「おいおい、勝手に殺すなよ……」

 地中海でTアビスをバイオテロ組織ヴェルトロにばら撒かせたモルガン・ランズディールでさえ、禁錮20年だというのに。
 70代の被告に禁固20年だから、ほぼほぼ終身刑のようなものだ。
 バイオテロの首謀者が死刑や終身刑にならなかったのは、それまでは真面目にバイオテロ撲滅に勤しんでいた功績と、いくらテロ組織と結託したとはいえ、結果的にそのテロ組織を潰したという成果が認められたというのもある。
 とはいえ、FBCの存在感を増す為にマッチポンプを行った罪は裁かれて、禁錮20年とのこと。

[同日21時30分 天候:雨 イージーステイ大宮2階カプセルスペース]

 シャワーを浴びて、宿泊しているカプセルに戻る。
 そして、金庫に入れて充電していたスマホを取り出すと、着信履歴を確認した。
 それは全てがメール着信であり、仕事関係や無関係なダイレクトメールが何通かあったが、その中に善場係長からのメールがあった!

 愛原「!!!」

 早速、開いて確認する。

 善場「『愛原所長、お疲れ様です。まだ、警察機関やBSAAには拘束されておりませんでしょうか?もしまだでしたら、お話ししたいことがあります。私共、ようやく警察機関からの拘束を解かれて、移動中です。宜しければ、お電話ください』」

 とのことだった。
 着信があったのは21時5分だから、私がシャワーに行って5分くらいにメールされたらしい。
 早速私はスマホを持って、1階に下りた。
 それから、掛け直す。

 愛原「もしもし、善場係長ですか!?」
 善場「愛原所長、お疲れ様です。今、御無事ですか?」
 愛原「おかげさまで。リサやパールも無事です。今、さいたま市の……」
 善場「宿泊施設におられるわけですね?」
 愛原「そうです!」
 善場「かしこまりました。私共も今、静岡県内を移動中です」
 愛原「先ほど、警察署から出られたというわけですか?」
 善場「さようです。本庁まで話が行きまして、本庁の職員が動いてくれまして、ようやく釈放です」
 愛原「そうですか。警察もかなり強引ですね」
 善場「警察機関に対する抗議等は、本庁に任せます。それより明日、こちらの……デイライト東京事務所まで来れますか?そんなに早い時間でなくて良いので」
 愛原「分かりました。伺います。ただ、警察機関とかは……」
 善場「大丈夫です。本庁が動いていますので、警察機関はもう動くことはないでしょう。それでも、もしも拘束された場合は私共の名前を使って頂いて構いません。私共の方から本庁を通して、その警察署に働きかけますので。問題は、BSAAですね。BSAAは私達が“コネクション”に魂を売ったと誤解しているようですので、こちらも誤解を解かなくてはなりません」
 愛原「実は係長、その事ですが……」

 私は今、BSAAからの追跡を逃れる為、GPS機能付きのアプリをアンインストールしたこと、そしてリサのGPSも切っている旨を話した。

 愛原「BSAAに対する敵対行為と取られかねませんが……」
 善場「仕方が無いですね。これに関しては翌日、私共の事務所に来られるまで、そのままにしてください。ただ、リサのGPSを切っているということは、もしも今のタイミングで他のバイオテロ組織などがリサを拉致したとしても分からないということです」
 愛原「あっ……!」
 善場「今のところは大丈夫のようですが、一応、所長達の宿泊先の名前と住所をメールで送ってください。口頭で言う必要はありません」
 愛原「分かりました。係長方は、これからどうされるおつもりですか?」
 善場「今、静岡事務所の者に、新幹線の新富士駅まで送ってもらっているところです。急げば、東京行きの最終列車に乗れそうなので、それで帰京する予定です。その頃にはもう深夜帯になりますので、話は翌日ということにさせてください」
 愛原「了解しました。引き続き、明日のチェックアウトまでは、施設の外に出ないようにします」
 善場「よろしくお願いします」

 私は電話を切ると、急ぎ足で2階の男性用カプセルフロアに戻った。
 ここから先がセキュリティエリアとなり、宿泊者のみが受け取れるカードキーでないとドアが開かない。
 急いで自分のカプセルに戻ると、カーテンを閉めて、リサとパールにグループLINEを送った。
 善場係長と連絡が取れたことと、明日にはチェックアウトしてデイライトの事務所に向かうこと、そして、明日のチェックアウトまではこの施設の外には絶対に出てはならないということを伝えた。
 パールからはすぐに既読が付いて、了承の旨の返信があったが、リサが既読すら付かないので心配になった。

 愛原「リサ、どうした?」

 と、メッセージすると、パールが、

 パール「リサさんは今、シャワーに行っていますので、すぐには返信できません」

 とのことだった。

 パール「戻って来たら、私の方から、先生のLINEを確認するように伝えておきます」

 とのこと。

 愛原「そうか。じゃあ、宜しく頼む」

 と送信すると、私は再びカプセルから出た。
 そして、自販機コーナーに向かった。
 風呂上がりの飲み物を確保する為だ。
 イートインスペースにドリンクバーはあるが、それをカプセルに持ち込むことはできないので。

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