報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「3センチの積雪」

2023-09-20 20:20:23 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月15日20時25分 天候:晴 天候:雪 東京都墨田区菊川 都営地下鉄菊川駅→愛原家]

〔2番線の電車は、各駅停車、本八幡行きです。きくかわ~、菊川~〕

 電車が自宅最寄り駅に到着し、私達は電車を降りた。
 今のところ、都営新宿線が運休するかもしれないとの情報は無い。

〔2番線、ドアが閉まります〕

 電車は明日の事より今日の事とばかりに、僅かな停車時間で発車して行った。

 愛原「こっちはどうなってるかな?」
 高橋「フツーに雪っスよ」
 リサ「フツーに雪だね」
 パール「雪でしょうね」
 愛原「身も蓋も無いなァ……」

 しかし、3人の言う通りで、地上に出ると、やはり雪が降っていた。
 心なしか、路面にもうっすらと雪が積もり始めているような気がする。

 愛原「明日、学校は大丈夫なんだろうか?」
 リサ「電車は動くし、大丈夫でしょ」
 愛原「地下鉄は大丈夫だと思うけど、JRとかだよ。JR辺りは雪に弱いからなァ……」
 リサ「秋葉原から先の山手線とか……」
 愛原「そうそう」
 高橋「二輪は無理だし、車もやめた方がいいっスね」
 愛原「やっぱり高橋も、こういう雪は警戒するんだ?」
 高橋「いや、俺は大丈夫なんスけど、どこかのアタオカがスリップして道塞いでたり、或いは突っ込んで来たりするんで」
 愛原「あー……なるほどな」
 高橋「だから油断できないんス」
 愛原「分かったよ」

 すると明日は、車が動かせないと見るべきだな。
 帰宅して、3階に向かう。

 愛原「寒い寒い」

 すぐにエアコンの暖房をONにした。
 リサが寒がらないのは、やはり体温の高いBOWだからだろうか。

 愛原「うーん……。固定電話にも着信は無いし、特にメールも来てないな……」
 高橋「何がですか?」
 愛原「学校からの連絡だよ。もしかしたら、休校とかあるかもしれないだろ?」
 リサ「エクスプレス!」
 愛原「急行か!」

 特に連絡が無いので、休校とかは無いのだろう。
 東京中央学園上野高校は地下鉄で通学する生徒が多く、雪の影響が少ないからだろうか?
 それにしても、JRや京成線で通学している生徒もいるだろうに、それはいいのだろうか?

 高橋「すぐに風呂沸かしますね」
 愛原「頼むよ。ガチで寒いな」
 高橋「全くっスね」

 そして、2月が最も寒いのが東京という所だ。

〔ピピッ♪ お湯張りを、します〕

 高橋が風呂自動のボタンを押すと、今度はパールが私を呼んだ。

 パール「先生、メール着信です。学校からです」

 と、私のスマホを持って来た。

 愛原「休校かな?」

 私がスマホを見ると、そうではなかった。
 一応、通常通り授業は行う予定だが、交通機関の状況如何によっては、先生自体が出勤できない可能性もあるので、その場合は自習になることもあると。
 生徒においても、無理はしないようにとのことだった。
 なるほど。
 さっきからNHKを観ているが、明確に上野発着の路線が止まると今からは報じていない。
 『今後の降雪状況によっては、影響の出る恐れあり』くらいしか言っていない。
 明確に運休すると言っているのは、ゴムタイヤで走る“ゆりかもめ”や日暮里舎人ライナーくらいだ。
 あとは、山間部を走行する路線とか。

 愛原「取りあえず、学校はあるのか……」
 高橋「俺だったら、ガッカリですね」
 愛原「はは!そりゃそうだ。うちの両親も、休ませてはくれなかったなぁ……」

 この毒親どもめ。

 愛原「逆にリサは行きたい派だからホッとするだろうな」
 高橋「でしょうね」

 しばらくして、トイレから戻って来たリサがやってきた。

 リサ「何だって?」
 愛原「学校から連絡があったんだが、取りあえず明日、授業はあるらしい」
 リサ「じゃあ、明日は普通に登校だね」
 愛原「そう。だけど、無理はしないようにって」
 リサ「地下鉄は走ってるだろうから、アキバまでは何とかなりそうだね」
 愛原「アキバから上野までの、ヤテ線かケト線か……。いざとなったら、日比谷線でもいいかもな」
 リサ「おー、なるほど」

 やっぱりリサ、通常通りに授業が行われることに対し、特に残念がっているわけではなかった。
 しばらくして風呂が沸き、私が先に入らせてもらうことになった。

[同日21時30分 天候:雪 愛原家3階]

 愛原「風呂出たぞー」
 高橋「では、次は俺が」
 リサ「わたし!わたしが先生の残り湯に浸かるの!」
 愛原「リサに譲ってやれよ~、高橋ィ~」

 私は冷蔵庫からスポーツドリンクを取り出しながら言った。

 高橋「えーっ!」
 愛原「温泉とかでは、一緒に入ってるだろ」
 高橋「まあ、それもそうっスけど……」
 リサ「やった!さすが先生!ありがとう!」

 リサは私に軽くハグすると、着替えなどを持って浴室に向かった。
 どうやら今度の寝巻は、体操服とエンジ色のブルマらしい。

 愛原「外の様子はどうだ?」
 高橋「ガッツリ降ってます。テレビじゃ、『東京都心 数cmの積雪』なんてテロップが出てますよ」

 高橋はNHKを点けているテレビを指さして言った。
 テレビではニュースをやっていて、東京都心でも積雪があるから要注意みたいなことを言っていた。
 雪国では数cmの積雪は積雪のうちに数えないだろうが、そうでない地域においては、台風が直撃するくらいの災害なのである。
 私もカーテンの隙間から外を見た。
 外は真っ暗なのだが、それでも街灯や時折走り過ぎる車のヘッドライトに照らされ、粒の大きい雪がシンシンと降っているのが分かった。

 愛原「そうか……。いや、これ、3cm程度の積雪で済むかな?」

 私は帰宅時点では、数cmというのは2~3cmくらいだろうと思っていた。
 このくらいなら、電車の運休はあまり無いかもしれない。
 地下鉄はもちろん、都心を走るJRなどもだいたい平常通りに運転できるだろう。
 だが、これが5cm、10cmともなると話は変わって来る。
 例え登校できたとしても、混乱が夕方まで続けば、帰るのも大変になるからだ。
 NHKでは、大雪は夜半過ぎまで降るとのことだが、それまでで何cm積もるのか見ものだ。
 明朝になって急きょ、休校措置になることも有り得る。

 愛原「ややもすれば、事務所もクライアントさんの来所予定がキャンセルになって、開店休業状態になるかもなぁ……」
 高橋「でも起きる時間は……」
 愛原「もちろん、それは通常通りでいい。一応は、事務所は開ける。平日なんだからな」
 パール「クライアントさんからの依頼の、事故物件の調査については、如何致しますか?」
 愛原「現場が西多摩じゃ、ここより雪が凄いことになってるだろう。明日はさすがに無理だな。まあ、クライアントさんからも今週中に調査をと言われてるから。朝までに雪が止めば、あとは融ける一方だろう」

 今のところ週間天気予報を見る限りでは、明後日以降の天気はずっと晴になっている。
 気温も少し上がるから、むしろNHKでは今夜から明朝に掛けて積もった雪が山間部では雪崩になる恐れがあるから注意と言っているくらいだ。

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