報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“Gynoid Multitype Cindy” 「故障しているのはシンディ?」

2016-09-15 22:34:57 | アンドロイドマスターシリーズ
 ※昨日の閲覧者数が久々の1000超えをしていたのだが、全くコメントが無いと、何が起きたのかさっぱり分からなくて不安になる小心者がここに1人w
 厳虎独白も動きは無かったし、もしかして法華講員はネットを休んで大人しくしていろという通達でもあったのか?
 仮にそんな通達あっても、ブッちぎるのは私と山門入り口さんくらいなものか。

[9月3日23:30.天候:曇 宮城県栗原市郊外・廃坑入口手前]

 敷島達はシンディと交信が途絶えたばかりか、視点映像も映らなくなり、更にはエミリーが位置情報を掴むことができなくて混乱していた。

 敷島:「シンディ!シンディ!応答しろ!何があった!?」

 だが、スピーカーから聞こえてくるのは、周波数の合わないラジオのような雑音ばかり。

 エミリー:「プロフェッサー平賀!私に・出撃命令を!もしくは・シンディの・捜索命令を・お願いします!」
 平賀:「待て待て。直前の映像では、シンディ自身に何も異常は無かったんだぞ。ちゃんと信楽焼の狸ロボットも倒したじゃないか」
 鷲田:「だが、最後の映像が梯子がブッ壊れて転落するところだろう?本当にその衝撃で壊れたんじゃないのか?」
 敷島:「シンディは、たかだかワンフロア分落ちただけで壊れるほどヤワなヤツじゃありませんよ」
 鷲田:「だが、実際にこんな状態になっているではないか。そこはビルじゃない。鉱山の廃坑だ。梯子の下がどうなっているのかは知らんが、もしかしたら何十メートルも下だったのかもしれんぞ?そこから落ちて、地面が岩肌だったり、あるいは地下水の溜まっているような水面に叩き付けられた場合であっても、何の損傷も無い保証はあるかね?」
 アリス:「みくびらないで。じー様の実験データによると、マルチタイプを100メートルの高さから落としても、尚、稼働していたという話だわ」
 鷲田:「その実験データは信用性があるものなのかね?」
 アリス:「What’s!?」
 鷲田:「最近は、名声欲しさに実験データを捏造するエセ科学者もいるようだからなぁ……」
 アリス:「!!!!!!!!!」(←英語で何か鷲田に怒鳴りつけている)
 敷島:「アリス、やめとけ。少なくとも、実験をしたのはつい最近ポッと出の科学者ではなく、昔から名を馳せた世界的なマッドサイエンティスト、ドクター・ウィリーですよ。ま、信用性はあると思います。ですよね、平賀先生?」
 平賀:「え、ええ……」
 敷島:「平賀先生は長年、ドクター・ウィリーのライバルだった南里志郎博士に師事していた直弟子です。そして私は、南里所長の研究所で働いていた事務員でもあります。悔しいけれども、件のマッドサイエンティストの腕前は本物ですよ。実際あのシンディを作ったんですから」

 普通は同じ製作者から作り出されたロイド同士で兄弟・姉妹の関係になるわけだが、マルチタイプはそうではない。
 共同設計した製作者が作れば、それが違う製作者であっても、そのような関係になったようである。
 もちろん、エミリーが真っ先に作られたので“長姉”だ。

 鷲田:「では何故、シンディは我々の応答に答えないのかね?」
 敷島:「それが分かれば苦労しないんですけどねぇ……」
 エミリー:「プロフェッサー平賀!どうか・御命令を!」

 昔のエミリーは猪突猛進な所があって、その時だったら、平賀の命令も受けずに勝手にシンディの救出に向かっていただろう。
 焦りを出しつつ、そこはグッと堪えて、ひたすらオーナーの命令を待ち続けるところは、学習”したと言える。

 平賀:「……いや、命令は出さない。お前はしばらくここで待機だ」
 エミリー:「……ッ!」

 エミリーは一瞬、泣き出しそうな顔になったと思うと、それを堪えるような顔になって俯いた。

 エミリー:「イエス……!」
 アリス:「何か不安なことでもあるの?」

 アリスはうな垂れるエミリーの肩に手を置いて、平賀に問うた。
 実は、もしもアリスがエミリーのオーナーまたはユーザーであったなら、むしろ命令を出していた。
 どちらにも登録されていないアリスが言うのは越権行為だし、そもそもエミリーは聞かないだろう。
 元ユーザーだった敷島の言う事は、比較的よく聞くのだが。

 平賀:「もしかしたら、シンディはウィルスに感染したのかもしれない」
 敷島:「えっ!?」
 平賀:「アルエットを修理していた時に確認したんですが、状況がよく似ているんですよ。もちろん、アルエットは高い所から落ちたわけではありませんが、それ以外の状況です。もしあの坑道に、ロイドが強制的にウィルスに感染する罠が仕掛けられているとするならば、エミリーを送り込んでも、ミイラ取りがミイラになる恐れがあるということです」
 敷島:「なるほど。それなら……」

 敷島は席を立った。

 平賀:「敷島さん?」
 敷島:「だったら、私が行きます。人間にコンピューターウィルスは感染しませんからね。それに、私はシンディのユーザーですから」
 アリス:「それを言うなら、アタシだってシンディのオーナーだから一緒に行かないといけないよね」
 鷲田:「おいおい。いくら『不死身の敷島』とその奥方様だからって、そう簡単には……」
 敷島:「武器ならあります」

 敷島は座席の上の荷棚に隠していたショットガンを取り出した。

 鷲田:「おまっ……!銃刀法違反の現行犯で逮捕するぞ!?」
 敷島:「至近距離にいて、それを発見できなかった鷲田警視にも何らかのお咎めはあるでしょうね?」
 鷲田:「け、警察を脅迫する気か……!」
 敷島:「撃ったのはエミリーということにしておきましょう。エミリーならショットガン持ってますからね。警視、私達はあくまで丸腰で向かったってことで、よろしくです」
 アリス:「一応、電動ドライバーとかドリルなどは持って行くわね?でも、これなら武器じゃないからね。ああ、そうそう。スタンガンもあるんだった」
 敷島:「もう1個あったら、俺にもくれ。ショットガンだと、弾があんまり入らない」
 アリス:「OK」
 鷲田:「頼もしいご夫婦で」
 敷島:「エミリー。お前は平賀先生と鷲田警視を頼むぞ?」
 エミリー:「イエス。敷島・社長」
 アリス:「タカオ。準備ができたら行きましょう」

 敷島とアリスは、シンディ救出作戦を決行した。
 因みにそんなこともあろうかと、『走る司令室』とやり取りをする為に無線通信用のヘッドセットを装着している。
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする