[8月31日15:00.天候:晴 東北工科大学・新研究棟]
敷島はシンディを伴って、東北工科大学にいた。
シンディが電ノコ男と格闘とした際、そいつが落としていったメモリーチップを解析してもらう為だ。
敷島:「どうです、平賀先生?やっぱりウィルスまみれ?」
平賀:「いや……。これは行動履歴を記したものですね。あの電ノコ男の」
敷島:「ということは?」
平賀:「ええ。この数字は、北緯と東経を表しているようです。自分が旧研究棟で襲われた日時と照合してみると、ピタリと合うんですよ」
敷島:「じゃあ、やっぱりあいつは平賀先生を襲ったヤツと同一個体ということで……」
平賀:「間違い無いでしょうね。自分を襲った後、北の方に逃げてますね」
平賀はもう1台のPCでもって、電ノコ男の行動履歴をマップ上に表した。
敷島:「どうですか?」
平賀:「途中で、高速で移動していますね。恐らく、車を使っているのでしょう」
敷島:「車!?」
平賀:「どうやら、ルディやジャニスの他に協力者がいるようですね」
敷島:「協力者ですか!……そもそも、研究所から脱走できたという時点でおかしかったんですよ」
平賀:「DCJの研究所のカメラとか、怪しい人物は映っていなかったんですかねぇ……?」
敷島:「それなら先生。ここもそうですよ。平賀先生を襲った後、車で逃走するところとか、カメラに映らなかったんですかね?」
平賀:「それが、旧研究棟内にもカメラがあったんですが、全部壊されていたそうなんですよ」
敷島:「ええっ!?」
平賀:「電ノコ野郎は大学の外へは徒歩で逃げました。そこまではカメラに映っているんですが、その先は映っていないんです。例えば大学の出入口なんかにも監視カメラが設置されているんですが、ヤツはその先のカメラに映らない部分から、急にスピードを上げた。つまり、そこから車に乗ったと思われます」
敷島:「うー……。ちょっと、全部のカメラを見せてください!」
平賀:「そんなことして、どうするんですか?」
敷島:「怪しい車がいないか、確認するんですよ。少なくとも、大学の全部の門のカメラを見れば、怪しい車が映ってるでしょう」
平賀:「いや、しかし……。……分かりました。自分から、総務に頼んでみましょう」
敷島:「お願いします」
[同日18:00.天候:晴 同大学・警備本部→平賀の研究室]
東北工科大学は山あいにある。
周辺の道路は付近住民の生活道路として活用されている部分もあるし、大学の関係者しか通らないような山道もある。
大学は正門から裏門まで何ヶ所もの出入口に監視カメラを設けている。
敷島:「いた!いたいたいた!あれだ!!」
敷島が叫んだ。
平賀が襲われた後、彼は車で大学から脱出して警察に駆け込んだわけだが、まずはその平賀の車が映っていた。
平賀が交番のある住宅街へ消えて少ししてから、件の門を通り過ぎた別の車がいた。
それは平賀が脱出した門を通り過ぎた。
そして、次の門のある所までは行かずに、カメラの死角になっている所に止まったようだ。
電ノコ男が門を出て、怪しい車が走り去った方へ走って行くのが分かった。
そこで恐らく電ノコ男をピックアップしたのだろう。
別の門に件の車が映った後、2度と他のカメラに映らなくなった。
その門の先には交差点があって、別ルートで住宅街へ向かえるルートがあるからである。
再び大学の外周路を行く道に入れば、再び大学のカメラに映る可能性があるが、それが全く無かったということは、交差点を大学から離れる(住宅街へ向かう)道に入ったものと思われる。
敷島は警備責任者に件のシーンをDVDにダビングしてもらうと、これを持って再び平賀の研究室に向かった。
平賀:「そ、そう言われてみれば、1台別の車とすれ違ったかもしれません……!」
平賀は驚いた顔をしていた。
平賀:「何ぶん、あの時はとにかく電ノコ野郎から逃げることしか考えていなかったので、気にしていなかったんですよ」
敷島:「とにかく、これで電ノコ野郎に協力者がいることが分かりましたね。いや、むしろそいつが電ノコ野郎を使っているのかもしれない……」
平賀:「それとその電ノコ野郎、履歴を見たら、自分を襲った後に別の場所に移動しているんです」
敷島:「どこですか?」
平賀:「ここです」
平賀は画面上の地図を指さした。
それは宮城県の北西部。
平賀:「見覚えがありませんか?この位置……」
シンディ:「KR団の秘密研究所があった所ね」
シンディが代わりに答えた。
井辺翔太が東京で浚われ、妖精型ロイドの萌共々救出した場所である。
敷島:「でも後で、あの秘密施設は爆発したはずじゃ?」
平賀:「ええ。悪の組織のベタ過ぎる法則です。で、実際はそこと位置がズレているんですよ」
敷島:「ズレている?」
平賀:「実際にKR団の施設があった所よりも、もう少し南東寄りです」
シンディ:「宮城県栗原市ね」
敷島:「そこに行けば、電ノコ野郎を倒すことができるわけか」
平賀:「ですが、今行くのはやめた方がいいかもしれません」
敷島:「何故ですか?」
平賀:「シンディがマグナムを5発も撃ち込んだのに、全く倒れる素振りは無かったんですよね?」
敷島:「まあ、そうですが……。相手は腐ってもマルチタイプですし……」
平賀:「ルディだけじゃなく、ジャニスもどこかにいるはずです。シンディだけでは勝てませんよ」
敷島:「それじゃ、エミリーもお借りして……」
平賀:「あとはウィルスですね。いつ、どこでウィルスに感染するか分からない。ルディとジャニスと戦う前……もしくは戦っている時にでもウィルスに感染しては、元も子もありません」
敷島:「どこかにワクチンか何かありませんかね?」
平賀:「新型の実験段階の物だと、まだウィルス駆除は無いかもしれませんよ?」
敷島:「とにかく、順番に筋道を立ててみることにしましょう。フラグ立てとも言いますがね。まずは、佐久間教授の家をもう1度調べてみようと思います」
平賀:「大丈夫ですか?アルエットがウィルスに感染した場所ですよ?」
敷島:「ええ。ですので、シンディは連れて行きません」
シンディ:「社長……!?」
敷島:「家の前までは来てもらうけど、あとはダメだ」
平賀:「自分も一緒に行きたいところですが、アルエットの修理がありますので……」
敷島:「いいですよ。こう見えても私は『不死身の敷島』ですからね、私1人で大丈夫ですよ」
敷島はポンと自分の胸を叩いた。
敷島はシンディを伴って、東北工科大学にいた。
シンディが電ノコ男と格闘とした際、そいつが落としていったメモリーチップを解析してもらう為だ。
敷島:「どうです、平賀先生?やっぱりウィルスまみれ?」
平賀:「いや……。これは行動履歴を記したものですね。あの電ノコ男の」
敷島:「ということは?」
平賀:「ええ。この数字は、北緯と東経を表しているようです。自分が旧研究棟で襲われた日時と照合してみると、ピタリと合うんですよ」
敷島:「じゃあ、やっぱりあいつは平賀先生を襲ったヤツと同一個体ということで……」
平賀:「間違い無いでしょうね。自分を襲った後、北の方に逃げてますね」
平賀はもう1台のPCでもって、電ノコ男の行動履歴をマップ上に表した。
敷島:「どうですか?」
平賀:「途中で、高速で移動していますね。恐らく、車を使っているのでしょう」
敷島:「車!?」
平賀:「どうやら、ルディやジャニスの他に協力者がいるようですね」
敷島:「協力者ですか!……そもそも、研究所から脱走できたという時点でおかしかったんですよ」
平賀:「DCJの研究所のカメラとか、怪しい人物は映っていなかったんですかねぇ……?」
敷島:「それなら先生。ここもそうですよ。平賀先生を襲った後、車で逃走するところとか、カメラに映らなかったんですかね?」
平賀:「それが、旧研究棟内にもカメラがあったんですが、全部壊されていたそうなんですよ」
敷島:「ええっ!?」
平賀:「電ノコ野郎は大学の外へは徒歩で逃げました。そこまではカメラに映っているんですが、その先は映っていないんです。例えば大学の出入口なんかにも監視カメラが設置されているんですが、ヤツはその先のカメラに映らない部分から、急にスピードを上げた。つまり、そこから車に乗ったと思われます」
敷島:「うー……。ちょっと、全部のカメラを見せてください!」
平賀:「そんなことして、どうするんですか?」
敷島:「怪しい車がいないか、確認するんですよ。少なくとも、大学の全部の門のカメラを見れば、怪しい車が映ってるでしょう」
平賀:「いや、しかし……。……分かりました。自分から、総務に頼んでみましょう」
敷島:「お願いします」
[同日18:00.天候:晴 同大学・警備本部→平賀の研究室]
東北工科大学は山あいにある。
周辺の道路は付近住民の生活道路として活用されている部分もあるし、大学の関係者しか通らないような山道もある。
大学は正門から裏門まで何ヶ所もの出入口に監視カメラを設けている。
敷島:「いた!いたいたいた!あれだ!!」
敷島が叫んだ。
平賀が襲われた後、彼は車で大学から脱出して警察に駆け込んだわけだが、まずはその平賀の車が映っていた。
平賀が交番のある住宅街へ消えて少ししてから、件の門を通り過ぎた別の車がいた。
それは平賀が脱出した門を通り過ぎた。
そして、次の門のある所までは行かずに、カメラの死角になっている所に止まったようだ。
電ノコ男が門を出て、怪しい車が走り去った方へ走って行くのが分かった。
そこで恐らく電ノコ男をピックアップしたのだろう。
別の門に件の車が映った後、2度と他のカメラに映らなくなった。
その門の先には交差点があって、別ルートで住宅街へ向かえるルートがあるからである。
再び大学の外周路を行く道に入れば、再び大学のカメラに映る可能性があるが、それが全く無かったということは、交差点を大学から離れる(住宅街へ向かう)道に入ったものと思われる。
敷島は警備責任者に件のシーンをDVDにダビングしてもらうと、これを持って再び平賀の研究室に向かった。
平賀:「そ、そう言われてみれば、1台別の車とすれ違ったかもしれません……!」
平賀は驚いた顔をしていた。
平賀:「何ぶん、あの時はとにかく電ノコ野郎から逃げることしか考えていなかったので、気にしていなかったんですよ」
敷島:「とにかく、これで電ノコ野郎に協力者がいることが分かりましたね。いや、むしろそいつが電ノコ野郎を使っているのかもしれない……」
平賀:「それとその電ノコ野郎、履歴を見たら、自分を襲った後に別の場所に移動しているんです」
敷島:「どこですか?」
平賀:「ここです」
平賀は画面上の地図を指さした。
それは宮城県の北西部。
平賀:「見覚えがありませんか?この位置……」
シンディ:「KR団の秘密研究所があった所ね」
シンディが代わりに答えた。
井辺翔太が東京で浚われ、妖精型ロイドの萌共々救出した場所である。
敷島:「でも後で、あの秘密施設は爆発したはずじゃ?」
平賀:「ええ。悪の組織のベタ過ぎる法則です。で、実際はそこと位置がズレているんですよ」
敷島:「ズレている?」
平賀:「実際にKR団の施設があった所よりも、もう少し南東寄りです」
シンディ:「宮城県栗原市ね」
敷島:「そこに行けば、電ノコ野郎を倒すことができるわけか」
平賀:「ですが、今行くのはやめた方がいいかもしれません」
敷島:「何故ですか?」
平賀:「シンディがマグナムを5発も撃ち込んだのに、全く倒れる素振りは無かったんですよね?」
敷島:「まあ、そうですが……。相手は腐ってもマルチタイプですし……」
平賀:「ルディだけじゃなく、ジャニスもどこかにいるはずです。シンディだけでは勝てませんよ」
敷島:「それじゃ、エミリーもお借りして……」
平賀:「あとはウィルスですね。いつ、どこでウィルスに感染するか分からない。ルディとジャニスと戦う前……もしくは戦っている時にでもウィルスに感染しては、元も子もありません」
敷島:「どこかにワクチンか何かありませんかね?」
平賀:「新型の実験段階の物だと、まだウィルス駆除は無いかもしれませんよ?」
敷島:「とにかく、順番に筋道を立ててみることにしましょう。フラグ立てとも言いますがね。まずは、佐久間教授の家をもう1度調べてみようと思います」
平賀:「大丈夫ですか?アルエットがウィルスに感染した場所ですよ?」
敷島:「ええ。ですので、シンディは連れて行きません」
シンディ:「社長……!?」
敷島:「家の前までは来てもらうけど、あとはダメだ」
平賀:「自分も一緒に行きたいところですが、アルエットの修理がありますので……」
敷島:「いいですよ。こう見えても私は『不死身の敷島』ですからね、私1人で大丈夫ですよ」
敷島はポンと自分の胸を叩いた。