報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“Gynoid Multitype Cindy” 「通信エラー?」

2016-09-14 21:45:05 | アンドロイドマスターシリーズ
[9月3日22:45.天候:不明 廃坑地下2F〜地下3F]

 シンディは信楽焼の狸ロボットを自爆させた後、倉庫の壁に隠されていた何かの装置のボタンを押した。
 それから坑道の突当りに出ると、更に地下3階へ下りる梯子を見つけた。

 シンディ:「なるほど。ここから下に行けるわけね」

 シンディは梯子を下りた……。

 ギギギギギキギギギギ……!

 シンディ:「!? し、しまっ……!!」

 その梯子は錆びついていた。
 シンディの自重に堪えられず、バキッと音がして、梯子が壊れてしまった。
 シンディは地下3階の地面に叩き付けられてしまった。

 シンディ:「う、迂闊だった……!」

 もちろん、この程度の衝撃では壊れないのがマルチタイプ。
 シンディは更に薄暗い坑道の奥を進むことにした。

 シンディ:「社長、無線取れますかー?ここまでの近況報告は必要ですか?」

 だが、シンディの無線に応じる者はいなかった。

 シンディ:「さすがに電波が届かないのかしら?」

 確認してみるが、どこかにアンテナはあるらしく、けして電波状況は悪くない。
 今落ちた衝撃などで、故障してしまったのだろうか。

 シンディ:(マズいね。私の視点が『走る司令室』に届いているかどうか……。それにしても、ルディはどこにいるの?ここまで来たのに、全然姿を見せやしない……)

 しばらく進むと、シンディに無線が入った。

 シンディ:「社長!」
 敷島:「閲覧者の皆さん!今すぐパソコンやスマホの電源を切ってください!」
 シンディ:「は!?」
 敷島:「うろたえるな!これはネットだ!いつものネットなんだ!」
 アリス:「長時間閲覧していると、目が悪くなるわよー?」
 シンディ:「マスター!?何を仰ってるんですか!?」

 しかし、そこで無線通信が切れてしまった。

 シンディ:「???」

 シンディには今の無線の意味が全く分からなかった。
 地上で何か起きたのだろうか?
 しかし何が起きても大丈夫なように、留守番としてエミリーを置いて来たはずだが……。
 それとも、逆に何も無さ過ぎてヒマなので雑談していたのが、たまたま無線として入ってきてしまったのだろうか。
 シンディは首を傾げつつも、先へ進むことにした。
 しかし、またそこへ地上からの無線が入る。

 シンディ:「鷲田警視?」
 鷲田:「シンディ、ちょっと聞いてほしいことがあるんだ」
 シンディ:「何ですか?」
 鷲田:「昨日のことだ。私は脱講届を出しに、法道院へ向かっていた。池袋駅東口を出て明治通りを南に300メートルほど進み、あと10メートルで三門に着こうとしたところ、急に辺り一面を覆う白い光に包まれた。とても不思議な気分だった。そして、ふと気がつくと……私は電車に乗っていて、大宮駅に着いていた。どう思う?」
 シンディ:「どうって……」
 鷲田:「分かった。もういい」

 また無線通信が切れてしまう。

 シンディ:「な、なに、今の……!?」

 シンディはワケが分からなかった。

 シンディ:「と、とにかく先に進みましょう」

 地下3階には、特にロボットなどの姿は無かった。
 ここは採掘した鉱石などを運ぶトロッコの軌道の他、ベルトコンベヤーなどが朽ちた状態で放置されていた。
 特段、ここには調べるべき場所は無さそうだ。
 マップによれば、怪しい箇所は更に下の地下4階である。
 そこに行けば、研究室がありそうな空間がある。
 少なくとも、そこまでは行く必要があった。
 もしそこまで行って何も無ければ、直ちに引き返そう。
 シンディはそう思った。
 だが、ここでまた無線通信が入る。

 平賀:「シンディ!いい加減にしろ!!」
 シンディ:「な、なに!?私、何かした!?」
 平賀:「自分の我慢にも限度がある!もうお前には任せておけん!自分が折伏する!お前はもう帰れ!!」
 シンディ:「しゃ、シャクブク!?な、何を言ってるの!?」

 だが、一方的に無線は切られてしまう。
 そしてまたすぐに、鷲田から無線が入る。

 鷲田:「しかし、キミ達は随分としつこく宗教の話をしているな。他にすることは無いのか。全く……」
 シンディ:「あ、あの……、何の話ですか?」

 さすがのシンディも薄気味の悪さを感じていた。
 このまま探索を続行しても良いものだろうか。
 1度、引き返すべきか。

 シンディ:「こちら、シンディです。敷島社長かアリス博士、応答願います」
 敷島:「ああ、俺だ。どうした?」

 普通に敷島が応答してくれたので、シンディはホッとした。

 シンディ:「どうやら、私の無線通信機に不具合が発生したようです。1度、点検をお願いしてもよろしいでしょうか?」
 敷島:「ああ、そのことなんだが……。実は、言うべきか言うまいか迷っていたことがあってな……。やはり、言っておこうと思う」
 シンディ:「やっぱり、私の通信機は調子が悪かったんですか?」
 敷島:「これは平賀先生から聞いた話なんだが、実は先週の土曜日の朝、南里志郎記念館から男が出てくるのを見たんだそうだ。……どこかの執事ロイドだと思うんだが……」
 シンディ:「は?」
 敷島:「何と言うか、その……とても親密な感じだったそうだ。……いや、スマン。任務中にこんな、くだらないことを……」
 シンディ:「ちょっと、姉さん!本当なの、それ!?あれだけもうオトコには気をつけろって言ったのに!頭はカタい癖に、お尻は軽いんだから!もう!」

 だが、シンディは話が逸らされていることに気づく。

 シンディ:「いや、そうじゃなくて、私の無線通信……もしもし?!もしもーし!」

 またもや、通信が切れてしまった。
 ……と!

 ???:「どうだい、お姉さん?驚いたかい?」
 シンディ:「その声は……ルディ!?ルディね!」
 ルディ:「覚えててくれたんだね!ありがとう!嬉しいよ!」
 シンディ:「忘れるわけもないわ……!それより、皆をどうしたの!?」
 ルディ:「ふふふふ……。最近の“ロボットエンザ”は、人間にも感染するということさ。インフルエンザみたいにね」
 シンディ:「ロボットエンザ!?まさか、新型ウィルスって……!」
 ルディ:「知りたかったら、もっと先まで来てくれない?」
 シンディ:「社長達の方が気になるに決まってるじゃない!」
 ルディ:「逃げるのかい?それでもいいよ。だけどその頃には、お姉さんの大事な人間達が死体になってるかもしれないなぁ……?」
 シンディ:「わ、私の姉さん……エミリーがいるわ!」
 ルディ:「じゃあ、その姉さんと無線通信してみなよ?……繋がらないだろ?意味が分かるかい?」
 シンディ:「きさま……!」
 ルディ:「分かったら、地下4階の研究所までおいで。待ってるよ。フフフフフ……」
 シンディ:「クソ野郎……!」

 ルディとの通信が切れた後も、敷島達からの発狂無線は聞こえてくる。

 敷島:「大草講頭は、キミが壊した地下2階の壁の南エリアに捕えられているはずだ。学会員が起爆コードを聞き出す前に、彼を救出するんだ」
 アリス:「中国にはね、『匹夫の勇、1人に敵するものなり』っていう格言があるの。無闇に戦いを求める愚か者の勇気は、1人の敵を相手にするのが精一杯っていう意味よ。シンディはたった1人で敵の中に潜入しているんだから、やたらと戦闘を仕掛けたりしないで、慎重に行動してね。特に、そこの武闘派さん?」
 鷲田:「まさかキミは、不正な手段でインチキな誓願達成を出そうとはしていないだろうな?それは最悪の行為だぞ。全く……」
 平賀:「キミの任務は武装要塞ケンショー本部に潜入し、御真筆御本尊を救出して、偽本尊の製造工場を破壊することだ」
 エミリー:「東京駅八重洲口・通り三丁目・八丁堀二丁目・亀島橋・新川・住友ツインビル前・リバーシティ21・佃二丁目・月島駅前・新月島公園前・日本ユニシス本社前・IHI前・豊洲二丁目・豊洲駅前」

 シンディはそれらの無線を無視して、とにかく地下4階へのルートを探した。
コメント
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