[9月13日10:00.天候:曇 東京都江東区森下 都道50号線(新大橋通り)沿いのコンビニ]
店員:「ありがとうございましたー」
バスのチケットを手にコンビニから出る稲生。
稲生:「最近は便利になったもんだ」
稲生はそこでイリーナに電話を掛けた。
イリーナ:「あー、ユウタ君?ゴメンねー!ちょっと魔界でトラブルに巻き込まれちゃってー」
稲生:「何かあったんですか?」
イリーナ:「リシーちゃんが横田理事を『洞窟に埋めた』って言うからぁ、さすがにそのままにしとくわけにも行かないでしょ?捜索隊に参加してるわけよ」
稲生:「リシーちゃんって、先生のファミリアのドラゴンでしたっけ?」
イリーナ:「そうそう。リリィのデス・ヴァシィ・ルゥ・ラで飛ばされた先がリシーちゃんの背中の上で、そこから落ちて尻尾踏んづけちゃったみたいなの」
稲生:「あららー……。だったら、何とかリシーツァを宥めて洞窟から掘り出すというのは?」
イリーナ:「その洞窟の地下水脈に沈めたって言うんだけど、その水脈がまた流れが速くってねぇ……」
はっきり言って、フツーに死んでいるレベルである。
イリーナ:「まあとにかく、リシーちゃんの御主人様の私が知らんぷりできないから、取りあえず死体が見つかるまでいなきゃいけないことになったの」
稲生:「そうなんですか」
イリーナ:「だからまあ、私を待つことは無いから。先に帰ってていいよ」
稲生:「分かりました」
イリーナ:「そっちはどうなの?」
稲生:「マリアさんが二日酔いでダウンしてます」
イリーナ:「またか……。ほんとにあのコはぁ〜……!」
稲生:「明日、マリアさんと出歩いて来ますよ」
イリーナ:「うん、分かった。私が渡したカードあるでしょ?それ使っていいから」
稲生:「はい」
イリーナ:「ああ、どこに出歩いてもいいけど、日本国内から出ちゃダメよ」
稲生:「はい、それはもう……」
イリーナ:「サハリン(樺太)に行って『元々は日本の領土だ!』とかはダメよ」
稲生:「分かってますよ」
イリーナ:「北方四島に行って、『ここも日本の領土だ!』とかもダメよ。あそこはダンテ一門の……おっとっと!」
稲生:「えっ、何ですか?……竹島や尖閣諸島に行って、『日本の領土だ!』というのは?」
イリーナ:「1人で東アジア魔道団とケンカする度胸があったら、やっていいよ」
稲生:「日本海に船を出して、『東海(トンヘ)じゃねぇ!日本海だ!』というのは?」
イリーナ:「それならOK!」
稲生:「……そんな遠くまで行きませんよ」
イリーナ:「うん。アタシの予知でも、あなた達が関東地方から出ないことは分かってるから」
稲生:「その通りです」
イリーナ:「とにかく、なるべく早く帰るけど、別に私を待つ必要は無いから」
稲生:「分かりました。それでは失礼します」
稲生は電話を切った。
[同日11:00.天候:曇 同地区 ワンスターホテル]
エレーナ:「どうした、稲生氏?まだマリアンナならダウンしてるよ」
稲生:「どうせ今日1日は無理だろう」
エレーナ:「私も夜勤明けだし、そろそろ寝かせてもらうよ」
稲生:「ねぇ、エレーナ」
エレーナ:「なに?」
稲生:「北方四島って、ダンテ一門が何か関わっているのかい?」
エレーナ:「まあ、この門流は魔道師のコミュニティで1番デカい所だからね。色々と政治力はあったりするわけさ。でもよく知ってるね?」
稲生:「う、うん。ちょっとね……」
エレーナ:「うちの門内のロシア人達が何か企んでるみたいだけどねぇ……」
稲生:「エレーナは知らないのかい?」
エレーナ:「私はウクライナだって。ウクライナ人と日本人には警戒して教えてくれないよ」
稲生:「そうか……。イギリス人のポーリン先生も?」
エレーナ:「先生は知ってるみたいだけど、やっぱり私には教えてくれないんだ」
稲生:「元弟子のキャサリンさんなら知ってるかな?」
エレーナ:「知ってるとは思うけど、あまりベラベラ喋れることじゃないみたいだからね。ところで、あなた達の先生はまだ戻って来ないの?」
稲生:「先生の使い魔が横田理事を滅したみたいで、その後始末に追われてるみたい」
エレーナ:「雌ドラゴンにまでセクハラをしてるようじゃ、変態度極まれりって感じだね」
稲生:「人間に変身していたのかなぁ……?ほら、ドラゴンって魔法も使うって話でしょ?」
エレーナ:「そうだね。あ、なるほど。たまたま人間に変化していた時に、横田理事にセクハラされたか。それなら納得」
稲生:「ま、そのことは先生に任せておこう」
エレーナ:「その方がいいよ。じゃ、私はこれで。稲生氏の部屋はまだ使うと思って、タオル交換だけにしてあるよ」
稲生:「ああ。ありがとう」
エレーナは先に地下1階へ行くエレベーターに乗り込んだ。
その後で、1階に戻ってきたエレベーターに乗り込む。
今、地下1階のボタンを押してもランプは点灯しない。
ボタンの横には『関係者専用 STAFF ONLY』という表示がされている。
ピンポーン♪
〔5階でございます〕
エレベーターを降りた稲生。
自分の部屋に向かう前に、隣のマリアの部屋に行ってみることにした。
一応、ドアノブには『起こさないでください』の札が掛かっている。
稲生:「マリアさん、ちょっといいですかー?」
部屋をノックする。
意外にもすぐマリアが出て来た。
マリア:「なに……?」
具合が悪そうに、しかしまだ酒が残っているのか、その匂いを漂わせながら出て来た。
ホテル備え付けのワンピース型寝間着を着ている。
稲生:「明日、例の合宿所に行ってみようと思います。これ、そのバスのキップ」
マリア:「ああ……」
稲生:「あとこれ、二日酔いの薬。まあ、コンビニで買ったヤツだから気休めかもしれませんけど……」
マリア:「ありがとう……」
稲生:「それじゃ、ゆっくり休んでください。さすがに明日は大丈夫ですよね?」
マリア:「うん、多分……」
稲生:「僕は隣の部屋にいますから」
稲生はマリアの部屋をあとにすると、自分の部屋に戻った。
店員:「ありがとうございましたー」
バスのチケットを手にコンビニから出る稲生。
稲生:「最近は便利になったもんだ」
稲生はそこでイリーナに電話を掛けた。
イリーナ:「あー、ユウタ君?ゴメンねー!ちょっと魔界でトラブルに巻き込まれちゃってー」
稲生:「何かあったんですか?」
イリーナ:「リシーちゃんが横田理事を『洞窟に埋めた』って言うからぁ、さすがにそのままにしとくわけにも行かないでしょ?捜索隊に参加してるわけよ」
稲生:「リシーちゃんって、先生のファミリアのドラゴンでしたっけ?」
イリーナ:「そうそう。リリィのデス・ヴァシィ・ルゥ・ラで飛ばされた先がリシーちゃんの背中の上で、そこから落ちて尻尾踏んづけちゃったみたいなの」
稲生:「あららー……。だったら、何とかリシーツァを宥めて洞窟から掘り出すというのは?」
イリーナ:「その洞窟の地下水脈に沈めたって言うんだけど、その水脈がまた流れが速くってねぇ……」
はっきり言って、フツーに死んでいるレベルである。
イリーナ:「まあとにかく、リシーちゃんの御主人様の私が知らんぷりできないから、取りあえず死体が見つかるまでいなきゃいけないことになったの」
稲生:「そうなんですか」
イリーナ:「だからまあ、私を待つことは無いから。先に帰ってていいよ」
稲生:「分かりました」
イリーナ:「そっちはどうなの?」
稲生:「マリアさんが二日酔いでダウンしてます」
イリーナ:「またか……。ほんとにあのコはぁ〜……!」
稲生:「明日、マリアさんと出歩いて来ますよ」
イリーナ:「うん、分かった。私が渡したカードあるでしょ?それ使っていいから」
稲生:「はい」
イリーナ:「ああ、どこに出歩いてもいいけど、日本国内から出ちゃダメよ」
稲生:「はい、それはもう……」
イリーナ:「サハリン(樺太)に行って『元々は日本の領土だ!』とかはダメよ」
稲生:「分かってますよ」
イリーナ:「北方四島に行って、『ここも日本の領土だ!』とかもダメよ。あそこはダンテ一門の……おっとっと!」
稲生:「えっ、何ですか?……竹島や尖閣諸島に行って、『日本の領土だ!』というのは?」
イリーナ:「1人で東アジア魔道団とケンカする度胸があったら、やっていいよ」
稲生:「日本海に船を出して、『東海(トンヘ)じゃねぇ!日本海だ!』というのは?」
イリーナ:「それならOK!」
稲生:「……そんな遠くまで行きませんよ」
イリーナ:「うん。アタシの予知でも、あなた達が関東地方から出ないことは分かってるから」
稲生:「その通りです」
イリーナ:「とにかく、なるべく早く帰るけど、別に私を待つ必要は無いから」
稲生:「分かりました。それでは失礼します」
稲生は電話を切った。
[同日11:00.天候:曇 同地区 ワンスターホテル]
エレーナ:「どうした、稲生氏?まだマリアンナならダウンしてるよ」
稲生:「どうせ今日1日は無理だろう」
エレーナ:「私も夜勤明けだし、そろそろ寝かせてもらうよ」
稲生:「ねぇ、エレーナ」
エレーナ:「なに?」
稲生:「北方四島って、ダンテ一門が何か関わっているのかい?」
エレーナ:「まあ、この門流は魔道師のコミュニティで1番デカい所だからね。色々と政治力はあったりするわけさ。でもよく知ってるね?」
稲生:「う、うん。ちょっとね……」
エレーナ:「うちの門内のロシア人達が何か企んでるみたいだけどねぇ……」
稲生:「エレーナは知らないのかい?」
エレーナ:「私はウクライナだって。ウクライナ人と日本人には警戒して教えてくれないよ」
稲生:「そうか……。イギリス人のポーリン先生も?」
エレーナ:「先生は知ってるみたいだけど、やっぱり私には教えてくれないんだ」
稲生:「元弟子のキャサリンさんなら知ってるかな?」
エレーナ:「知ってるとは思うけど、あまりベラベラ喋れることじゃないみたいだからね。ところで、あなた達の先生はまだ戻って来ないの?」
稲生:「先生の使い魔が横田理事を滅したみたいで、その後始末に追われてるみたい」
エレーナ:「雌ドラゴンにまでセクハラをしてるようじゃ、変態度極まれりって感じだね」
稲生:「人間に変身していたのかなぁ……?ほら、ドラゴンって魔法も使うって話でしょ?」
エレーナ:「そうだね。あ、なるほど。たまたま人間に変化していた時に、横田理事にセクハラされたか。それなら納得」
稲生:「ま、そのことは先生に任せておこう」
エレーナ:「その方がいいよ。じゃ、私はこれで。稲生氏の部屋はまだ使うと思って、タオル交換だけにしてあるよ」
稲生:「ああ。ありがとう」
エレーナは先に地下1階へ行くエレベーターに乗り込んだ。
その後で、1階に戻ってきたエレベーターに乗り込む。
今、地下1階のボタンを押してもランプは点灯しない。
ボタンの横には『関係者専用 STAFF ONLY』という表示がされている。
ピンポーン♪
〔5階でございます〕
エレベーターを降りた稲生。
自分の部屋に向かう前に、隣のマリアの部屋に行ってみることにした。
一応、ドアノブには『起こさないでください』の札が掛かっている。
稲生:「マリアさん、ちょっといいですかー?」
部屋をノックする。
意外にもすぐマリアが出て来た。
マリア:「なに……?」
具合が悪そうに、しかしまだ酒が残っているのか、その匂いを漂わせながら出て来た。
ホテル備え付けのワンピース型寝間着を着ている。
稲生:「明日、例の合宿所に行ってみようと思います。これ、そのバスのキップ」
マリア:「ああ……」
稲生:「あとこれ、二日酔いの薬。まあ、コンビニで買ったヤツだから気休めかもしれませんけど……」
マリア:「ありがとう……」
稲生:「それじゃ、ゆっくり休んでください。さすがに明日は大丈夫ですよね?」
マリア:「うん、多分……」
稲生:「僕は隣の部屋にいますから」
稲生はマリアの部屋をあとにすると、自分の部屋に戻った。