チェック:人気コミック「岳 みんなの山」を原作に、山岳遭難救助をリアルに描いた山岳ドラマ。高度な山岳技術を持ち、山の恐ろしさを知る主人公には原作を愛読していたという小栗旬がふんし、高所恐怖症にもかかわらず氷壁登りや懸垂下降に挑む。ヒロインの新人救助隊員を、小栗とは『ロボコン』以来約7年ぶりに共演する長澤まさみが演じるほか、佐々木蔵之介、石田卓也、市毛良枝らが脇を固める。標高3,000メートル級の名峰が並び立つ日本アルプスで過酷な雪山ロケを行った映像は圧巻。
ストーリー:世界の巨峰を登り歩き山をこよなく愛する島崎三歩(小栗旬)は、山岳救助ボランティアとして登山者の命を守ってきた。春、長野県警山岳救助隊に配属された椎名久美(長澤まさみ)は三歩の指導のもと成長していくが、実際の現場では遭難者を救うことができず自信を失っていた。そんなある日、猛吹雪の冬山で多重遭難が発生し、久美は仲間と共に救助に向かうが……。(シネマトゥディより)
『ビッグコミックオリジナル』に連載されている石塚真一の「岳 みんなの山」が映画になった。漫画はずっとよんでいたわけではないが時々読んだことがあって面白い山岳漫画だなーと思っていた。それが映画化されたという事で、山の映像がどんなふうに撮影されているか気になって早速見に行ってきた。
漫画のファンの中では、映画のキャストに違和感を唱えている人が多いように聞いていたが、実際見てきた感想としては、小栗旬の島崎三歩はまさに適役だったと思った。漫画の中でもほのぼのとした山男というイメージがあり、小栗旬はいたずらっ子がそのまま大人になったような明るいキャラクターで三歩を好演していた。
山岳救助をテーマにしており、遭難して助かった人もいれば救助の甲斐もなく亡くなってしまう人もある。これまでも同じような映画は一杯あったと思うが、美しい映像と山岳ボランティアの三歩の指導を受けて山岳救助隊の女性隊員椎名久美(長澤まさみ)が成長していく様子が良かった。山岳救助という場面で、要所要所に重い決断をしなければならないことも改めて思い起こされた。死んでしまった人を崖から落としてしまうシーンや天候悪化で救助を中断してヘリを引き返さなければならないシーン等、人命救助が優先とはいえどれかを捨てざるを得ない究極の選択をする山岳救助隊員の葛藤等泣けるシーンも多かった。
また山の怖さも思い知らされるが、それ以上に増して素晴らしい雪山の風景。三歩の「また山においでよ」の言葉が嬉しい。雪を被った北アルプスの雄大な風景に改めて雪山に魅了された。晴れ上がった空の下、真っ白な雪の斜面を思いっきり走っていきたくなった。ありきたりのストーリーかもしれないが、素晴らしいキャストと美しい映像、コブクロのエンディングテーマ等、爽やかな気持ちで見終わることができた。
三歩が言う山で捨ててはいけないもの「ゴミ」と「命」。これだけは、忘れてはならない。