石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

黒字の米系+仏系3社、赤字の英蘭系2社:2021年7-9月期五大国際石油企業決算速報 (2)

2021-11-11 | 海外・国内石油企業の業績

(「2021年7-9月期国際石油企業の業績」http://menadabase.maeda1.jp/1-D-4-22.pdf参照)

 

1. 純利益[1]

(ExxonMobilは68億ドルの利益、Shell, bpは損失!)

(1)当期利益 (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-52.pdf 参照)

国際石油企業(以下IOC)5社の7-9月期は明暗が分かれた。ExxonMobil、Chevron及びTotalEnergiesは前期に続き利益を計上したが、Shell及びbpは前期の黒字から今期は赤字に転落している。前期4-6月期は全社が20億ドル以上50億ドル弱の黒字であり、コロナ禍の最悪の状況を脱したと見られたが、今期は各社の損益に大きな差が出ている。

 

5社の中で利益が最も多かったのはExxonMobilの68億ドルである。これに次ぐのがChevron(61億ドル)及びTotalEnergies(46億ドル)の2社であり、いずれも前期の1.5~2倍前後の利益を確保している。一方、bp及びShellはそれぞれ25億ドル及び4億ドルのマイナスであった。

 

(昨年の悪夢から回復した今年上半期、下半期は流動的!)

(2)2019年7-9月期以降今期までの利益の推移

(図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-62.pdf 参照)

 ここでは過去2年間、すなわちコロナ禍発生以前の2019年10―12月期から今期(2021年7-9月期)までの利益の推移を追ってみる。2019年10-12月期はExxonMobilが57億ドルの利益を計上、TotalEnergies及びShellもそれぞれ26億ドル、10億ドルの黒字であった。これに対してbpは2千万ドルの利益にとどまり、Chevronは▲66億ドルの大幅な損失を計上した。

 

しかし2020年に入るとコロナ禍により世界景気が急落しエネルギー需要も激減した。このため各社の業績は大幅に悪化、1-3月期にはbpの▲44億ドルの欠損をはじめChevron及びTotalEnergiesを除く3社が赤字決算となった。そして4-6月期は全社赤字決算となり、各社はShell▲181億ドル、bp▲168億ドル、Total、▲84億ドル、Chevron▲83億ドルと大幅な損失を余儀なくされた。この時、▲7億ドルの損失にとどまったExxonMobilも、翌10-12月期には▲201億ドルの赤字を計上、2020年は各社とも最悪の決算となった。

 

今年に入り米国および中国の経済に回復の兆しが見え、各社の業績も急回復し、1-3月期及び4-6月期は全社がプラスであった。しかし7-9月期は上記の通りExxonMobil、TotalEnergies及びChevronの3社が引き続き利益を計上、いずれも1-3月期、4-6月期を上回る好決算であったのに対して、bp、Shellの2社はマイナスに転落し、業績の明暗が分かれている。

 

(続く)

 

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        前田 高行         〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

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[1] 「純利益」は各社資料から下記項目を抽出した。

ExxonMobil:Net income attributable to ExxonMobil (U.S. GAAP)

Shell:Incom/loss attributabel to shareholders

bp:Profit (loss) for the period; Attributable to BP shareholders

TotalEnergies:Netincome (TotalEnergies share)

Chevron:Net income

 

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