石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

石油と中東のニュース(12月31日)

2020-12-31 | 今日のニュース
(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(石油関連ニュース)
・原油価格終値Brent $51.25, WTI 48.11、年間で20%下落
・ExxonMobilなど世界企業7社、今年は資産1,500億ドルを償却
・ガス輸出国フォーラム(GECF)、短期ガス市場レポートを発表
(中東関連ニュース)
・イラン、1月のウクライナ機撃墜事件で遺族に見舞金15万ドル支払い
・イエメン:アデン空港で爆破テロ。27人死亡。サウジから帰国の新閣僚狙っての犯行か
・イラン、支払い遅延解消でイラク向け天然ガス供給再開
・サウジSABIC:2030年までに生産量世界一目指す
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石油と中東のニュース(12月29日)

2020-12-29 | 今日のニュース
(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(コロナウィルス関連ニュース)
・イスラエル、3度目の全国ロックダウン。自宅から半径1KM以上の移動制限
・サウジ、全国際線を停止、但し外国人帰国チャーター便は認める
(石油関連ニュース)
・Brent原油、52ドルに上昇、WTIは$48.82。米の経済刺激策と欧州のワクチン接種開始を好感
(中東関連ニュース)
・イラン、イスラエルに警告。トランプ政権末期にイスラエル潜水艦のペルシャ湾進出の報道。  *
・6年ぶりにエジプト高官がリビア首都トリポリ訪問
・アブダビ、経済・財政問題最高委員会新設、既存の石油最高会議を吸収
・ドバイ、来年予算承認。歳出155億ドル。成長率4%見込む
・仏捜査当局、1/18日からベイルートでカルロス・ゴーンを尋問。ベルサイユ結婚式で社費流用容疑

・サウジ、音楽学校2校の開設認可
・オマーン航空とカタール航空、業務協力促進で合意。コードシェア増加等

*レポート「鬼の居ぬ間に:中東の政治的空白に暗躍する国々」参照。
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石油と中東のニュース(12月27日)

2020-12-27 | 今日のニュース
(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(石油関連ニュース)
・サウジアラビアの11月中国向け原油輸出、前月比43%増の206万B/D
・イラク、南部からの原油輸出を350万B/Dから2023年には600万B/Dに拡大計画
(中東関連ニュース)
・イエメン新内閣、隣国サウジで発足式
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今週の各社プレスリリースから(12/20-12/26)

2020-12-26 | 今週のエネルギー関連新聞発表
12/21 石油連盟
石油連盟-日本自動車工業会間のCO2低減に関する共同研究(AOIプロジェクト)について
https://www.paj.gr.jp/paj_info/topics/2020/12/21-001908.html

12/21 Shell
Shell announces the sale of a minority interest in QCLNG Common Facilities infrastructure to Global Infrastructure Partners
https://www.shell.com/media/news-and-media-releases/2020/shell-announces-the-sale-of-a-minority-interest-in-qclng-common-facilities-infrastructure-to-global-infrastructure-partners.html

12/23 三井物産
西豪州ウェイトシアガス田ステージ2開発の最終投資決断の実行
https://www.mitsui.com/jp/ja/release/2020/1240248_11207.html

12/24 ENEOSホールディングス
エネルギー業界初の「Mizuho Eco Finance」による融資契約を締結
https://www.hd.eneos.co.jp/newsrelease/20201224_02_2006437.pdf

12/24 JOGMEC/伊藤忠/TEC他
脱炭素化社会実現を目指した東シベリア-日本間のアンモニアバリューチェーンの共同事業化調査に合意
https://www.itochu.co.jp/ja/news/press/2020/201224_2.html

12/25 経済産業省
2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略を策定しました
https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201225012/20201225012.html
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石油と中東のニュース(12月25日)

2020-12-25 | 今日のニュース
(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(石油関連ニュース)
(中東関連ニュース)
・トルコ、公定歩合2カ月連続で引き上げ、17%に。インフレは14%、失業率13%
・エジプト、人口抑制策を検討中。特殊出生率を現在の3.25から2030年に2.4に低下目指す。 *

*「中東で初めて人口が1億人を超えたエジプト:世界・中東主要国の人口・出生率・平均寿命(世界ランクシリーズその1)」参照。
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石油と中東のニュース(12月23日)

2020-12-23 | 今日のニュース
(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(石油関連ニュース)
・コロナ変種出現で原油価格下落。Brent $50.70。WTI 3%下落
(中東関連ニュース)
・イスラエル、予算否決で解散、早ければ3月総選挙。2年間に4度目の異常事態
・イラク、来年度予算閣議了承。歳出1,030億ドル、赤字430億ドル。油価42ドルで算定
・イスラエル和平調印団、テルアビブ-ラバト直行便で米クシュナー大統領顧問とモロッコ入り。  *

・サウジ国営ファンドPIF、幹部人事異動
・バハレーンの投資会社、アマゾンのスペイン物流倉庫を7,700万ドルで買収


*「鬼の居ぬ間に:中東の政治的空白に暗躍する国々(3)」参照。
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見果てぬ平和 - 中東の戦後70年(56完)

2020-12-22 | その他
エピローグ

荒葉 一也
E-mail: areha_kazuya@jcom.home.ne.jp

3.見果てぬ平和
 皮肉にも「アラブの春」が中東でそれまでにない大量の難民を生んだ。故郷で名も無くつつましく暮らしていた彼らはやむを得ず国境を越えて逃げ延びた。そもそも彼ら庶民にとって「国境」は自分たちが生まれる前に英国とフランスがサイクス・ピコ協定を結び自分たちの手の届かないところで勝手に線引きしたものであった。そして今、「IS(イスラム国)」によって自分たちの目の前で国境が「溶けて」行こうとしている。

 国境があるがために紛争に巻き込まれ故郷を追われる中東の難民の苦悩は、周囲を海に囲まれ地上の国境線を持たないがゆえに当たり前のように平和を享受している日本人には理解することはとても難しい。

「国破れて山河在り」というのは東洋思想である。しかしイスラームの一神教の世界ではそのような自然観を持つことも難しいようである。アラブの年配者たちの間では「これもすべてアラーの思し召し」とばかり運命をあるがままに受け入れる者も多いが、現世の矛盾と不平等に内心の怒りをたぎらせる若者はアラーが約束した来世の天国に急ぐため、「殉教」の名のもとに自爆テロに走る。

ITの世界を好む若者たちはテロリストにはならずインターネットのSNSを通じて社会改革を求める。彼らはSNSで独裁者打倒の反政府デモを呼びかける。呼びかけに応じて多数の若者が街頭に繰り出し独裁者の退陣を勝ち取ったのが「アラブの春」であった。しかしその後が続かない。それはなぜだろうか。インターネットで呼びかければ世の中がかなり簡単に動くことは実証された。しかし世の中を動かすことは簡単であっても、世の中を変えることはたやすくない。

現状で見る限りアラブ世界では学生たち民主主義勢力の成果は部族勢力或いは宗教勢力が引き継いでいる。民主主義勢力は「成果を横取りされた」と嘆くが、それが現代アラブ・イスーラム世界の現実である。アラブ・イスラーム世界では部族という「血」の絆、そしてイスラームという「心」の絆は強く根を張っているが、民主主義に代表されるイデオロギーという「智」の絆が欠けている。イデオロギーは智(=頭脳)の産物であるが、中東にはそれが無いのである。だが「血」の絆、或いは「心」の絆では対立は解消されない。イデオロギーは必ずしも西欧流の民主主義である必要はないが、中東に何らかのイデオロギーが生まれなければ次なる平和への展望は開けないように思われる。

「アラブの春」以前の独裁政治の長い窮屈な時代が今よりも平和であったという庶民の声が聞こえる。現実の混乱状況(カオス)の前ではそれは確かに一面の真理を突いている。「自由な平和は短く、窮屈な平和は長続きする。」ということであろうか。皮肉なパラドックスである。

戦後70年、歴史は目まぐるしく変化した。変化の速さに慣れた現代人は、自分の生きている間に歴史が動くものと錯覚しているのかもしれない。その錯覚の先にあるのが永遠の平和であろう。中東の平和は見果てぬ夢なのであろうか? 夢で終わらせずいつか平和の女神から月桂冠を受け取る偉大な指導者が中東に現れることを願ってやまない。

(完)
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鬼の居ぬ間に:中東の政治的空白に暗躍する国々(4完)

2020-12-22 | 中東諸国の動向

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0520PoliticalVacuumInMe.pdf

4.中国:政治より経済優先、一帯一路でシルクロード貫通目指す
 現在の中国は米国に次ぐ軍事大国、経済大国であるが、中東地域に関しては伝統的に外交・軍事面のプレゼンスは低い。それに比べ経済面での進出は目覚ましい。中国にとって中東は自国製品の重要な輸出相手先であり、低価格の日用雑貨品に限らず、現在では華為の5G通信システムなどのハイテク製品が市場を席捲しつつあり、米国を慌てさせている。さらに貧しい開発途上国に対しては低利・長期の融資を餌に港湾、道路、鉄道などのインフラ建設に食い込んでいる。

 一方で中国は中東産油国から大量の原油を買い付けている。BP統計によれば昨年の中国の原油輸入量は5.07億トンであるが、最大の輸入国はサウジアラビアであり、その他イラク、イランなど中東産油国も主要な輸入ソースである。

 こうして中国は経済を優先して輸出と輸入の拡大に取り組んでおり、政治・軍事の国際紛争からは巧妙に距離を置いている。かつては手を出したイランの石油開発から身を引き、その一方で売り先に困るイラン原油を目立たないように買い付けている。サウジアラビアに対しては巨大な中国市場での合弁製油所建設を持ち掛け、同じ湾岸産油国では油田の開発に参入、また三次元地震探鉱の契約を獲得している 。

サウジアラビア、UAEとつかず離れずの関係を守るオマーンに対しても、中国はアジアインフラ投資銀行(AIIB)を通じて6千万ドルの太陽光発電プロジェクトに融資している 。AIIBは日本などが主導しているアジア開発銀行に対抗して中国が設立したインフラ整備の国際金融機関である。中国はアジア・アフリカの開発途上国に対して直接融資も行っているが、相手国が返済困難になるや、港湾施設などを有利な条件で長期に借り受ける、いわゆる「債務の罠」を仕掛けてきた。「一帯一路」の現代版シルクロードはこうにして中東を経由してヨーロッパまで貫通しつつある。

5.カタール/UAE:小兵の身軽さ、マネーあればGCCは不要
 中東域外の米国、ロシア、中国、域内のトルコ、イスラエルなど強国のパワーゲームに隠れているが、潤沢なオイルあるいは天然ガス・マネーを駆使して存在感を発揮しているのがUAEとカタールである。両国はサウジアラビアとともにGCC(湾岸協力機構)を構成している。経済規模が小さく人口も少ないため、これまでは強大なサウジアラビアの言いなりになる傾向があったが、2010年の「アラブの春」をきっかけに中東全域が大きく動き出すと共に、両国の積極的かつ自主的な外交姿勢が目立つようになった。それを裏付けているのは言うまでもなくオイル(ガス)・マネーである。

 カタールは自由な報道を標榜する国営アルジャジーラTVによりアラブにとどまらず欧米先進国でも高い評価を得ている。しかしイスラム穏健派のサウジアラビア、エジプトなどは逆にカタールを敵視し、イスラム過激派とのつながりを理由に2017年にUAE及びバハレーンと共にカタールとの外交関係を断絶した。しかしカタールはこれに屈することなく米国の締め付けとコロナ禍で経済困難に陥ったトルコに投資や融資を行うことで同国から後押しを受けている。カタールはGCCの中で孤立したのではなく、GCCから自立する道を開いたのである。イランにとってGCCの仲間割れは「漁夫の利」である。実際、アラビア半島上空を通過できなくなったカタール航空はイランの領空を利用しており、イランは通過料と言う貴重な外貨を稼いでいるのである。

 UAEはカタールと異なりサウジアラビアと今も蜜月状態である。しかしよく見るとサウジアラビアより一歩も二歩も先を巧妙に立ち回っている。例えばイスラエルとの国交回復がそれである。これまでアラブ圏では絶対的な前提条件であったパレスチナ国家独立論を先送りして国交を回復したのはUAEが政治的影響力の少ない小国だからである。イスラムの盟主を自称するサウジアラビアがイスラエル・パレスチナ問題で自縄自縛に陥り、先の展開が見通せないのと対照的である。UAEの身軽さはイエメン内戦問題でも同じである。イランが後押しする反政府フーシ派に対抗する政府軍は寄り合い所帯であり内部対立が絶えない。南部独立派に肩入れしたUAEは愛想をつかして自国軍を引き揚げた。結局サウジアラビアは尻ぬぐいに汲々としているのが現状である。

(完)

本件に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
荒葉一也
Arehakazuya1@gmail.com

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石油と中東のニュース(12月21日)

2020-12-21 | 今日のニュース
(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(コロナウィルス関連ニュース)
・サウジ、国際便を1週間運航停止
(石油関連ニュース)
(中東関連ニュース)
・イラク、通貨22%切り下げ、1ドルが1,182QDから1,450QDに
・クウェイト、第15代サバーハ首長長男、元国防相のNasserが死去。享年72歳。  *
・オマーン、1月から水道電気の補助金カット
・イラン、Sepah銀行など軍関係の6行を合併

*「クウェイト・サバーハ首長家家系図」参照。
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石油と中東のニュース(12月19日)

2020-12-19 | 今日のニュース
(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(石油関連ニュース)
・17日に3月以来の高値。Brent $51.90, WTI $48.36
・OPEC+会合でサウジだけ孤立、3日間で何とか調整:サウジ石油相内幕語る
(中東関連ニュース)
・GCCサミット、12月5日リヤドで開催。カタール問題が焦点
・カタール問題解決失敗:エジプト大統領府スポークスマン談
・イラン、コム近くで地下核施設建設。衛星写真で確認

・イエメン、政府と南部分離派が連立内閣樹立で合意。閣僚24名を折半
・サウジ国王、トランプ大統領と電話会談
・ミリー米統合参謀本部議長、イスラエル首相と会談。サウジ、UAE、アフガニスタンも歴訪
・日本サウジVision2030閣僚会合開催。10件の覚書締結。 *
サウジ電力SEC、国際協力銀行JBICとMoU締結。 **

*METIニュースリリース「第5回日・サウジ・ビジョン2030閣僚会合を開催しました」参照。
**JBICニュースリリース「サウジアラビア王国電力会社との業務協力協定を締結」参照。



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