石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

圧倒的な米国の支配力―世界一の貸し手兼借り手:UNCTAD「世界投資レポート2024年版」(9)

2024-08-31 | 世界ランクシリーズ

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

mylibrary.maeda1.jp/0611WorldRank9.pdf

 

(世界ランクシリーズ その9 2024年版)

 

4.FDI Outward Stock(FDIアウトバウンド残高) 

(全世界の2割を占める米国の対外投資残高!)

(1) 2023年末のFDI Outward Stock(FDIアウトバウンド残高) 

(表http://rank.maeda1.jp/9-T04.pdf参照)

 2023年末の世界のFDIアウトバウンド残高(FDI Outward Stock)は総額44兆ドルである。2022年末の残高は41兆ドルであり、1年間で残高は3兆ドル(9%)増加している。

 

2023年末の残高が最も多い国は米国の9.4兆ドルであり、全世界の21%を占めている。これに次ぐのはオランダの3.4兆ドル、3位中国(2.9兆ドル)、4位カナダ(2.7兆ドル)、5位ドイツ(2.2兆ドル)である。

 

オランダは国内の経済規模が小さいわりに投資残高が多いが、これは世界各国からの資金がハーグの金融機関に集まりそれが対外投資に向けられていると考えるべきであろう。そして中国は国内に蓄積された自国資金であり、トップの米国は両者が混在していると考えられる。

 

 上位5カ国以外の主な国の残高を見ると、日本の2023年末FDI Outward Stockは2.1兆ドルで世界6位、米国の2割強である。韓国とロシアの残高はそれぞれ6,800億ドル及び2,600億ドルであり、世界ランクは17位と26位である。インドの2023年末のFDIアウトバウンド残高は2,400億ドルであり、ロシアと肩を並べている。

 

 ここにあげた9カ国の残高を前年と比較すると、米国、カナダは20%前後増加、日韓中印独の6カ国も増加している。これに対してロシア及びオランダ2か国は前年より減少している。ロシアはウクライナ戦争の影響で資本が逆流しているようである。

 

 中東諸国の中で2023年末の残高が最も多いのはUAEの2,620億ドルである。UAEに続くのはサウジアラビア(2,040億ドル)、イスラエル(1,090億ドル)である。トルコはUAE或いはサウジアラビアの4分の1以下の600億ドルであり、エジプト及びイランはいずれも100億ドル未満である。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今週の各社プレスリリースから(8/25-8/31)

2024-08-31 | 今週のエネルギー関連新聞発表

8/26 TotalEnergies

Appointments to the Executive Committee at TotalEnergies

https://totalenergies.com/news/press-releases/appointments-executive-committee-totalenergies

 

8/29 OPEC

OPEC Secretary General concludes successful missions to Iraq and Kazakhstan

https://www.opec.org/opec_web/en/press_room/7362.htm

 

8/30 出光興産

使用済みプラスチックの再資源化に向け油化ケミカルリサイクル装置の建設を開始

https://ssl4.eir-parts.net/doc/5019/tdnet/2497183/00.pdf

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中東とエネルギーのニュース(8月30日)

2024-08-30 | 今日のニュース

(エネルギー関連ニュース)

原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil

・リビア原油生産停止で価格上昇。Brent80ドル突破。WTI $76.14

(中東関連ニュース)

・ガザ地区、ポリオワクチン接種で休戦合意。64万人の子供に朗報

・イスラエル人質家族、ガザ地区入境を試みる

・ボレルEU上級代表、イスラエル超保守派閣僚2名に対する経済制裁を要請

・経済制裁続くなら政策変更やむなし:イラン大統領、ノルウェー首相と電話会談

・イラン、初の女性spokesperson任命

・IAEAレポート:イランのウラン濃縮進む

・シリア内戦で荒廃のアレッポのスーク、13年ぶりに再開

・イスタンブールの事務所充足率89.7%に。高級物件は$42/月・平方メートル

・ドローン輸出で売上急膨張する兵器メーカーBaykarと経営者兄弟

・サウジでアニメがブーム。ローカルコンテンツ開発が鍵

・住友化学、サウジRabigh社の5億ドル貸付債権放棄

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

圧倒的な米国の支配力―世界一の貸し手兼借り手:UNCTAD「世界投資レポート2024年版」(8)

2024-08-30 | 世界ランクシリーズ

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

mylibrary.maeda1.jp/0611WorldRank9.pdf

 

(世界ランクシリーズ その9 2024年版)

 

3.FDI Inward Stock(FDIインバウンド残高) (続き)

(34年間で300倍に増加したインドのインバウンド残高!)

(2) 1990-2023年のFDI Inward Stock(FDIインバウンド残高)の推移

(図http://rank.maeda1.jp/9-G04.pdf参照)

 ここでは1990年末から2023年末までの全世界並びに主要経済大国(米国、中国、日本、インド)及び中東2か国(サウジアラビア、イラン)のFDI Inward Stock(FDIインバウンド残高)の推移を概観する。

 

 世界全体の1990年末のFDIインバウンド残高は2.2兆ドルであった、その後2000年末には3.4倍の7.4兆ドル、2020年末には42兆ドルに増加、2023年末の残高は49兆ドルを超えている。全世界のFDIインバウンド残高は1990年から2023年までの34年間に22倍に膨張している。

 

 国ごとに見ると世界最大の残高を誇る米国は1990年末の残高5,400億ドルが2000年末には5倍の2.8兆ドルに急増、その後増加率は鈍化したが2010年以降は再び急拡大し、2023年末の残高は12.8兆ドルに達している。1990年からの34年間の伸び率は世界全体とほぼ同じであった。

 

 日本のFDIインバウンド残高は、99億ドル(1990年末)→500億ドル(2000年末)→2,100億ドル(2010年末)→2,500億ドル(2023年末)であり、34年間の伸び率は世界平均を若干上回る25倍である。年代別に見ると2010年代までは4~5倍の大幅な伸びを示したが、それ以降は横ばい状況である。

 

これに対して中国の残高の推移は、200億ドル(1990年末)→1,900億ドル(2000年末)→5,900億ドル(2010年末)→3.6兆ドル(2023年末)と1990年代は9倍、2000年代及び2010年代も10年間で3倍の大幅な伸びを示しており、かつて1990年末に米国の30分の1でしかなかったインバウンド残高は、2023年末には4分の1まで縮まっている。

 

 中国をさらに上回る急成長を遂げたのがインドである。1990年末以降のインドのインバウンド残高は、17億ドル(1990年末)→163億ドル(2000年末)→2,100億ドル(2010年末)→2,500億ドル(2023年末)である。2010年代には日本を追い越し、34年間で300倍に増加している。

 

 サウジアラビア及びイランの中東2か国を比較すると、1990年末の残高はサウジアラビア152億ドル、イランは20億ドルに過ぎなかった。両国のFDIインバウンド残高は2000年代に急成長し、2010年末のサウジアラビアの残高は1,800億ドル、イランは290億ドルであり、いずれもこの10年間に10倍以上増加している。2010年以降の増加率はそれまでより大きく減速している。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

圧倒的な米国の支配力―世界一の貸し手兼借り手:UNCTAD「世界投資レポート2024年版」(7)

2024-08-29 | 世界ランクシリーズ

(世界ランクシリーズ その9 2024年版)

 3. FDI Inward Stock(FDIインバウンド残高) 

(世界一、13兆ドルのインバウンド残高を誇る米国!)

(1) 2023年末のFDI Inward Stock(FDIインバウンド残高) 

(表http://rank.maeda1.jp/9-T03.pdf参照)

 2023年末の世界のFDIインバウンド残高(FDI Inward Stock)は総額49兆ドルである。2022年末の残高は44兆ドルであり、1年間で残高は5兆ドル(11%)増加している。2023年末の残高が最も多い国は米国の12.8兆ドルであり、全世界の26%を占めている。米国一国だけで世界の直接投資の4分の1を吸い上げている。これに次ぐFDIインバウンド世界2位は中国の3.7兆ドル、3位英国(3.0兆ドル)、4位オランダ(2.7兆ドル)、5位シンガポール(2.6兆ドル)である。

 

 上位5カ国以外の主な国の残高を見ると、ドイツの2023年末FDI Inward Stockは1兆1,280億ドルで世界11位、米国の10分の1である。日本のFDI Inward Stock(FDIインバウンド残高)は2,500億ドルで世界31位にとどまり、米国の50分の1である。韓国の残高は日本よりも多い2,840億ドルである。インドの残高は日本あるいは韓国の2倍の5,400億ドルである。ロシアの2023年末のFDIインバウンド残高は韓国と並ぶ2,790億ドルであるが、前年に比べ残高は800億ドル強減少しており、世界順位も16位から28位に落ちている。ウクライナ紛争の長期化と欧米先進国の経済制裁の影響で外国の投資家から敬遠されている様子がうかがわれる。

 

 中東諸国の2023年末の残高は、イスラエル、UAE、サウジアラビアの3か国が拮抗している。3カ国の残高はそれぞれ2,440億ドル、2,250億ドル、2,160億ドルであり、イスラエルの残高は日本とほぼ同じである。因みに2022年に比べるとUAEは310億ドル増、イスラエルも150億ドル増に対してサウジアラビアは前年比で▲530億ドル、▲20%の大幅減少であった。

 

地域の経済大国エジプト、トルコ及びイランのFDIインバウンド残高はエジプトが1,590億ドルと最も多く、トルコが1,570億ドルの僅差で続いている。経済封鎖の続くイランの投資残高はこれら2カ国より一桁少ない640億ドルにとどまっている。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中東とエネルギーのニュース(8月28日)

2024-08-28 | 今日のニュース

(エネルギー関連ニュース)

原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil

・原油価格上げ止まる。Brent $81.46, WTI $77.36

・リビア政府、東部油田の操業停止明言。国際原油価格に波及か

(中東関連ニュース)

・イスラエルのガザ攻撃続く。死者18人、累計4万人

・ガザ停戦協議、カタールで継続

・イランがイスラエル攻撃すれば米国は護る:ホワイトハウス報道官

・イラン最高指導者:核問題では米国との交渉窓口開ける

・イラン:Zarif氏、固辞していた副大統領職を受け入れ

・レバノン、国連暫定駐留軍UNIFILの1年間継続を模索

・IMF:エジプト経済は回復の兆候

・UAE Mubadala, 中国UCB薬品を完全支配

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

圧倒的な米国の支配力―世界一の貸し手兼借り手:UNCTAD「世界投資レポート2024年版」(6)

2024-08-28 | 世界ランクシリーズ

(世界ランクシリーズ その9 2024年版)

 

(2020年以降急速に膨れる米の対外投資、毎年順位が入れ替わる日本と中国!)

(3) 2019-2023年のFDI Outflows(FDIアウトバウンド)の推移

(表http://rank.maeda1.jp/9-G03.pdf参照)

世界のFDI Outflows(FDIアウトバウンド)総額の推移を見ると、2019年の1.4兆ドルが新型コロナ禍のため2020年には8千億ドルに急減した。しかし2021年には1.8兆ドルに回復、22年、23年と1兆5千億ドル台を維持している。

 

世界及び中東の主要7カ国(日本、米国、中国、ドイツ、インド、サウジアラビア及びトルコ)のこの間の動きを見ると、米国は2019年のFDIアウトバウンドは351億ドルにとどまり日本、中国、ドイツのいずれの国よりも少なかった。しかし2020年には米国の対外投資額は一挙に2,200億ドルに増加、中国が停滞、日本及びドイツが対前年比で急減したため、世界1位の座を獲得した。その後2023年までの3年間は増加の一途たどり、2023年にはFDIアウトバウンドは4千億ドルを超えた。この間、日本、中国及びドイツは停滞したため、米国とこれら3カ国の格差は年々拡大している。

 

日本の2019年のFDI Outflowsは2,326億ドルで世界一であった。しかし2020年には997億ドルに急減、2021年には再び2千億ドルを超え、その後2022,23年は1,630億ドル1,840億ドルと推移している。2023年は米国に次ぐ世界第2位のFBIアウトバウンドを記録している。

 

中国の対外投資額は5年間を通じて大きな変化は無く1,500億ドル前後である。因みに日本と比べると2019年は中国1,369億ドル、日本2,326億ドルで日本が多く、翌2020年は中国1,537億ドル、日本997億ドルと中国が逆転している。その後も毎年順位が入れ替わる状況であり、2022年は中国が米国に次いで世界2位、日本が3位であったが、2023年には日本が世界2位、中国が世界3位となっている。ドイツは日本と極めて似た傾向を示しており2019年以降の対外投資額は、1,511億ドル→384億ドル→1,476億ドル→1,455億ドル→1,013億ドルである。

 

インドとサウジアラビアのFDIアウトバウンドは日本、中国の10分の1程度であり、世界順位で見るとサウジアラビアは20位前後、インドは20位台後半である。金額的にはサウジアラビアの過去5年間の投資額は、146億ドル(2019年)→54億ドル(2020年)→247億ドル(2021年)→270億ドル(2022年)→161億ドル(2023年)である。またインドの投資額は131億ドル(2019年)→111億ドル(2020年)→173億ドル(2021年)→146億ドル(2022年)→133億ドル(2023年)であった。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

圧倒的な米国の支配力―世界一の貸し手兼借り手:UNCTAD「世界投資レポート2024年版」(5)

2024-08-27 | 世界ランクシリーズ

(世界ランクシリーズ その9 2024年版)

 

2.FDIアウトバウンド(FDI Outflows, 対外直接投資) (続き)

(投資資金を吸い込む中国、インド、ブラジル、資金を吐き出す米国、日本!)

(2)主要国のFDI Inflows(FDIインバウンド)とFDI Outflows(FDIアウトバウンド)の差

(図http://rank.maeda1.jp/9-G02.pdf参照)

米国、インド、中国、サウジアラビア、ドイツ、ブラジル及び日本の7か国の2023年のFDIインバウンド(FDI Inflows、1-(1)参照)とFDIアウトバウンド(FDI Outflows、2-(1)参照)を比べると各国ごとの特徴が見受けられる。

 

中国、ブラジル、インドの3カ国はFDI Inflows(FDIインバウンド)がFDI Outflows(FDIアウトバウンド)を上回っている。即ち資本の純流入国である。これに対して米国、日本、ドイツの3カ国はFDIアウトバウンドがFDIインバウンドを上回る資本の純流出国である。前者は投資資金を世界から吸い上げ、一方後者は世界へ向けて吐き出していると言えよう。

 

米国はFDI Inflows 3,109億ドルに対しOutflowsは4,043億ドルであり、差引934億ドルの流出超過である。日本も同様であり2023年のFDIインバウンド214億ドルに対し、同アウトバウンドは6倍の1,840億ドルであり、圧倒的な流出超過である。ドイツの場合は2023年のFDI Inflows が▲892億ドルである。これは外国投資の引き揚げ額が新規投資額を上回ったことを示している。一方同国からの投資純増額(FDI Outflows)は20億ドルにとどまっている。

 

米国、日本と対照的にブラジル、中国、インドの2023年InflowsはOutflows を上回っており、これらのBRICS諸国は引き続き外国からの投資が盛んである。但しInflowsとOutflowsの差額は米国、日本或いはドイツなどに比べて小さい。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中東とエネルギーのニュース(8月26日)

2024-08-26 | 今日のニュース

(エネルギー関連ニュース)

原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil

 

(中東関連ニュース)

・ヒズボッラー、320発のロケットをイスラエルに発射。イスラエル迎撃

・ヒズボッラーのナスラッラー師:攻撃は計画通り実施。更なる攻撃も

・ハマス、エジプト国境回廊の軍駐留など条件を不満として停戦拒否

・カイロでのガザ停戦交渉失敗。米国は仲介作業継続を言明

 

・岸田首相、TICAD会議で来日中のエジプト外相と和平問題協議

・UAEがロシアとウクライナの戦争捕虜230名交換を仲介。7回で計1,788人

・シリア大統領、トルコ軍撤退を関係改善の前提条件としない柔軟姿勢

・トルコ-ロシア軍、シリア国境の合同パトロール再開

・スーダン:実質的支配者Burhan将軍、和平交渉拒否。100年でも戦う

・クウェイト、内閣一部改造

・15万トン原油積載のタンカー沈没で紅海が大規模海洋汚染の恐れ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

圧倒的な米国の支配力―世界一の貸し手兼借り手:UNCTAD「世界投資レポート2024年版」(4)

2024-08-26 | 世界ランクシリーズ

(世界ランクシリーズ その9 2024年版)

2.FDIアウトバウンド(FDI Outflows, 対外直接投資)

(米国と日本で世界シェア4割!)

(1) 2023年のFDI outflows(FDIアウトバウンド) 

(表http://rank.maeda1.jp/9-T02.pdf 参照)

 2023年の世界のFDI Outflows(アウトバウンド)の総額は1兆5,500億ドルであった。対外直接投資額が最も多かったのは米国であり、金額ベースでは4,040億ドル、世界全体の26%を占めている。日本は米国に次いで多い1,840億ドルで世界に占めるシェアは12%である。第3位は中国(1,480億ドル)であり、4位、5位に1,040億ドルでスイスと香港が並んでいる。これら上位5か国がFDI Outflows全体に占める割合は61%に達しており、直接投資の資金供給源が一部の富裕国に集中していることがわかる。

 

これに続く6位はドイツの1,010億ドルであるが、6位のカナダ以降はFDIアウトバウンドが1千億ドル以下である。韓国は345億ドルで世界12位の資金供給国であり、またロシアとインドのFDI Outflows額はそれぞれ291億ドル及び133億ドルである。中東の主要国ではUAEが最も多い223億ドルであり、世界で17番目にOutflowsが大きい国である。またサウジアラビアのFDIアウトバウンドは161億ドルでインドを上回っている。UAE、サウジアラビア以外で中東の主要な対外投資資金の供給国はイスラエル(100億ドル)、トルコ(58億ドル)などである。これに対してエジプトのFDI Outflowsは4億ドルにとどまり、イランの場合は1億ドルを下回っている。イランは米国の経済制裁のため対外投資もままならないようである。

 

2023年のFDI Outflows総額は前年(2022年)とほぼ横ばいである。国別に見ると米国及び日本の2022年FDI Outflowsはそれぞれ3,660億ドル及び1,620億ドルであり、ともに2023年は10%強伸びている。一方、中国は前年より▲152億ドル減っており、その結果日本と順位が逆転した。韓国のFDI Outflowsは2022年の658億ドルから2023年は345億ドルに半減している。またロシアは2022年の115億ドルから2023年には2.5倍の291億ドルに増加している。

 

中東の主要国ではUAEのOutflowsは2年連続して200億ドルを超えて安定している。サウジアラビアは2022年の270億ドルから2023年は161億ドルと4割以上減少している。イスラエルは横ばいであり、トルコは対前年比で10億ドル(22%)増加している。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする