石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

増収増益のExxonMobil、減収赤字のbp:2024年4-6月期五大国際石油企業決算速報(9完)

2024-08-15 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0610OilMajor2024-2ndQtr.pdf

 

(原油価格の変化に連動する売上高!)

III. 過去8四半期の売上高と原油価格

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-61.pdf 参照)

 ここでは2022年7-9月期から今期(2024年4-6月期)までの2年間、8四半期の各社売上高と原油価格の推移を概観する。

 

2022年7-9月期は期中平均のBrent 原油価格が100ドルを超えたこともあり、各社とも売上高は高かった。トップはExxonMobilの1,121億ドルで5社の中では唯一1千億ドルを超えていた。Shellも1千億ドルに今一歩の957億ドルの売上を達成した。他の3社はTotalEnergies 690億ドル、Chevron 635億ドルであり、bpは最も少ない578億ドルである。

 

 原油価格は2022年10-12月期に90ドルを切り、さらに2期続けて下落、2023年4-6月期には78ドルと8四半期の中では最低の水準に落ち込んだ。その後、価格は回復、最近の3四半期は84ドル前後に落ち着いている。

 

各社の売上高は原油価格の変動にほぼ比例しており、トップのExxonMobilの売上高は、1,121億ドル(2022.7-9月期)→954億ドル(2022.10-12月期)→866億ドル(2023.1-3月期)→829億ドル(2023.4-6月期)→954億ドル(2023.7-9月期)→843億ドル(2023.10-12月期)→831億ドル(2024.1-3月期)→931億ドル(2024.4-6月期)と変化している。ExxonMobilの四半期売上高の変化は上記原油価格の変動と極めて近似している。

 

 他社の売上高の推移は以下の通りである。Shellとbpは2022年10-12月の原油価格下落にもかかわらず売上高が増加しているが、これを除けば、各社とも原油価格の変動と符牒を合わせて売上高が上下している。

(単位:億ドル)

              2022年        2023年                      2024年

              7-9月  10-12月 1-3月  4-6月  7-9月  10-12月 1-3月  4-6月

Shell         957→ 1,013→  870→   746→  764→   787→  725→  745

bp            578→  704→  570→  495→  540→  526→  500→  483

TotalEnergies  690→  686→  626→  563→  590→  592→  563→  537

Chevron        635→  545→  488→  472→  545→  489→  466→  496

 

(完)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                   E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp

 

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増収増益のExxonMobil、減収赤字のbp:2024年4-6月期五大国際石油企業決算速報(8)

2024-08-14 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0610OilMajor2024-2ndQtr.pdf

 

II. 五社の業績比較(続き)

(トップはExxonMobil 70億ドル、その他3社は40億ドル前後で並ぶ!)

5.設備投資[1]

(図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-54.pdf 参照)

 4-6月期設備投資は、ExxonMobilが70億ドルで最も多い。その他4社はTotalEnergies 46億ドル、Shell 44億ドル、Chevron 40億ドル、bp 37億ドルで並んでいる。前期比ではbp及びChevronは減少しているが、その他3社は増加している。

 

(原油・天然ガス共にExxonMobilがトップ!)

6.石油及び天然ガス生産量

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-55.pdf 参照)

(1)原油生産量[2]

 2024年4-6月期の原油生産量が最も多かったのはExxonMobilの2,984千B/Dであり、5社の中でただ一社2百万B/Dを超えており、2位のChevron(1,955千B/D)を100万B/D以上上回っている。その他3社はTotalEnergies(1,477千B/D)、Shell(1,295千B/D)、bp(1,085千B/D)であり、bpはExxonMobilの3分の1にとどまっている。

 

(2)天然ガス生産量[3]

 天然ガスの生産量が最も多いのはExxonMobilの日産82億立方フィートで石油に換算すると1,374千B/Dであった。2位のChevronはExxonMobilをわずかに下回る80億立方フィート(石油換算1,337千B/D )であった。その他の3社は上位2社との格差が大きく、TotalEnergiesは52億立方フィート(石油換算964千B/D )であるが、Shell及びbpはそれぞれ28億立方フィート(石油換算418千B/D )及び23億立方フィート(石油換算396千B/D )であり、トップのExxonMobilの3割前後である。

 

(3)石油・天然ガス合計生産量[4]

 石油と天然ガスの合計生産量が最も多いのはExxonMobilであり石油換算で4,358千B/Dである。同社に次いで2位Chevron(3,292千B/D)、3位TotalEnergies(2,441千B/D)、4位Shell(1,783千B/D)でbpは5社中で最も少ない1,481千B/Dであった。ExxonMobilの生産量を100とした場合、他の4社はChevron 76、TotalEnergies 56、Shell 41、bpは34である。bpの生産量はExxonMobilの3分の1である。

 

 各社の石油と天然ガスの比率を見ると、ExxonMobilは石油68%、天然ガス32%であり、その他の4社はShell(石油73%:天然ガス27%)、bp(石油73%:天然ガス27%)、TotalEnergies(石油61%:天然ガス39%) 、Chevron(石油59%:天然ガス41%)である。5社いずれも石油の比率が天然ガスを上回っているが、石油の比率が最も高いのはShellとbp(共に73%)で、逆に最も低いのはChevron(59%)である。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                   E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp

 

 

[1]  「設備投資」は各社資料から下記項目を抽出した。

ExxonMobil:Capital and Exploration Expenditures

Shell:Capital expenditure, Consolidated Statement of Cash Flow

bp:Capital expenditure

TotalEnergies:12. Net investments

[2] 「原油生産量」は各社資料から下記項目を抽出した。

ExxonMobil:Net production of crude oil, natural gas liquid, bitumen and tsynthetic oil

Shell:Liquid production available for sale

bp:Production (net of royalties), Liquids

TotalEnergies:

Chevron:Net liquid production

[3] 「天然ガス生産量」は各社資料から下記項目を抽出した。

ExxonMobil:Natural gas production available for sale

Shell:Natural gas production available for sale

bp:Production (net of royalities), Natural gas

TotalEnergies:Hydrocarbon production, Gas

Chevron:Net natural gas production, Worldwide

[4] 「石油・天然ガス合計生産量」は各社資料から下記項目を抽出した。

ExxonMobil:                     

Shell:Total production in barrels of oil equivalent    

bp:Production (net of royalities), Total hydrocarbons             

TotalEnergies:

Chevron:Total net oil-eqivalent production 

 

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増収増益のExxonMobil、減収赤字のbp:2024年4-6月期五大国際石油企業決算速報(7)

2024-08-13 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0610OilMajor2024-2ndQtr.pdf

 

II. 五社の業績比較(続き)

4.キャッシュフロー[1]

(営業キャッシュフローが100億ドルを超えるExxonMobilとShell!)

(1)営業キャッシュフロー(以下C/F)[2] (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-56a.pdf参照)

 今期の5社の営業C/Fが最も多かったのはShell(135億ドル)で、これに次ぐのがExxonMobil(106億ドル)であった。100億ドルを超えるのはこの2社だけであり、残る3社はTotalEnergies(90億ドル)、bp(81億ドル)であり、最も少ないChevronの営業C/Fは63億ドルでShellの半分伊かにとどまっている。

 

(各社とも40億ドル前後で並ぶ投資C/F!)

(2)投資C/F[3] (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-56b.pdf参照)

 投資C/Fによるキャッシュの流出はExxonMobil が最も多い▲49億ドルであり、これに次ぐのがTotalEnergiesの▲46億ドル、Chevron▲40億ドル、bp▲34億ドルであった。Shellは5社中で最も少ない▲33億ドルであった。

 

(最も多いのはExxonMobil▲126億ドル!)

(3)財務C/F[4] (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-56d.pdf参照)

財務C/Fの収支はExxonMobilが▲126億ドルでこれに次ぐのがShell(▲118億ドル)である。その他の3社は100億ドルを下回っており、TotalEnergiesは▲68億ドル、Chevron▲46億ドルである。bpは各社とは大きな差があり▲13億ドルにとどまった。

 

(Shellが最も多い381億ドルのC/F期末残高!)

(4)C/F期末残高[5] (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-56e.pdf参照)

 6月末キャッシュフロー残高を比較する。なおChevronは資料に残高が明記されていないためここでは4社を比較する。

 

 残高が最も多いのはShellの381億ドルである。bpの残高も349億ドルでShellと肩を並べ、ExxonMobil及びTotalEnergies のC/F期末残高は265億ドルおよび232億ドルであった。

 

(続く)

 

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     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

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[1] キャッシュ・フロー(cash flow、現金流量)とは、現金の流れを意味し、主に、企業活動や財務活動によって実際に得られた収入から、外部への支出を差し引いて手元に残る資金の流れのことをいう。欧米では古くからキャッシュ・フロー会計にもとづくキャッシュ・フロー計算書(Cash flow statement, C/F)の作成が企業に義務付けられており、日本でも1999年度から上場企業は財務諸表の一つとしてキャッシュ・フロー計算書を作成することが法律上義務付けられている。

 キャッシュ・フローは(1)営業キャッシュ・フロー(日常的な、生産・営業活動によって稼得する現金と、それに要する現金コストの収支)、(2)投資キャッシュ・フロー(工場新設やビル建設・トラック購入などの設備投資・有価証券投資に要する現金支払いと資産売却による収入)及び(3)財務キャッシュ・フロー(財務活動による現金の収支)の3種類があり、これらの総合収支が会計期間内の現金収支であり、期首(前期末)の現金(及び現金相当物)の残高に期間内の収支を加えたものが当期末の現金(及び現金相当物)となる。(Wikipediaより)

[2] 「営業キャッシュ・フロー」は各社資料から下記項目を抽出した。

ExxonMobil:Cash Flow form Operating Activities (U.S. GAAP) / Net cash provided by operating activities (U.S. GAAP)

Shell:Cash flow from operating activities

bp:Net cash provided by operating activities, Condensed group cash flow statement

TotalEnergies:Cash flow from operating activities, TotalEnergies financial statements

Chevron:Net cash provided by Operating Activities, Summerrized Statement of Cash Flow (Preliminary)

[3]「投資キャッシュ・フロー」は各社資料から下記項目を抽出した。

Shell:Cash flow from investing activities

bp:Net cash used in investing activities

TotalEnergies:Cash flow used in investing activities, TotalEnergie financial statement

Chevron:Net cash Used for Investing Activities, Summerrized Statement of Cash Flow (Preliminary)

[4]「財務キャッシュ・フロー」は各社資料から下記項目を抽出した。

Shell:Cash flow from financing activities

bp:Net cash provided by (used in) financing activities

TotalEnergies:Cash flow from (used in) financing activities, Total financial statement

Chevron:Net cash provided by (Used for) Financing Activities, Summerrized Statement of Cash Flow (Preliminary)

[5] 「キャッシュフロー期末残高」は各社資料から下記項目を抽出した。なおChevronは資料に明記されていない。

ExxonMobil:Cash and cash equivalent at end of period

Shell:Cash and cash equivalent at end of period

bp:Cash and cash equivalent at the end of the period

TotalEnergies:Cash and cash equivalent at end of period, TotalEnergies financial statement

 

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増収増益のExxonMobil、減収赤字のbp:2024年4-6月期五大国際石油企業決算速報(6)

2024-08-12 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0610OilMajor2024-2ndQtr.pdf

 

II. 五社の業績比較

ここでは五社の当期利益、売上高、売上高利益率、キャッシュ・フロー及び設備投資を比較する。

 

(王者の貫禄ExxonMobil、ただ一社見劣りするbp!)

1. 純利益[1](図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-52.pdf 参照)

4-6月期はbpが赤字に転落、他社に見劣りする業績であったが、利益を計上した4社のうちExxonMobil を除く3社も前期比で減益となっている。ExxonMobilだけは前期比及び前年同期比で増益決算であり、王者の貫禄を示している。ExxonMobilの今期の利益は92億ドルであるが、これに次ぐChevronはExxonMobilの半分以下の44億ドルにとどまっている。TotalEnergies及びShellはそれぞれ 38億ドル及び35億ドルである。これら4社に対してbpは西独の製油所の減損処理が響き唯一▲1.3億ドルの赤字であった。

 

各社の前期(1-3月)及び前年同期(2022年4-6月)の利益と比較すると、ExxonMobilは前年同期79億ドル、前期82億ドル、今期92億ドルと増益傾向にある。これに対してChevronは前年同期60億ドル、前期55億ドル、今期44億ドルとExxonMobilとは逆に連続して減益の状況である。TotalEnergies、Shell及びbpはいずれも前期(今年1‐3月期)の利益が最も多い。このうちbpは今期が赤字に転落しており、またShellは前期利益74億ドルから今期利益は35億ドルに半減している。ExxonMobilとその他4社の明暗が分かれ、特にbpは5社の中で見劣りが著しい。

 

(ExxonMobil売上高はbp、Chevronの2倍!)

2.売上高[2] (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-51.pdf 参照)

2024年4-6月期のBrent原油平均価格は85ドル/バレルであり、前年同期(78ドル) 、前期(83ドル)と大きな変動はなく、これに伴い各社の売上高も小幅な増減にとどまっている。

 

5社の中で売上高が最も高かったのはExxonMobil(931億ドル)であり、これに次ぐのShell (745億ドル)、TotalEnergies(537億ドル)である。Chevron及びbpの売上はそれぞれ496億ドル及び483億ドルであった。

 

ExxonMobilの売上高を100とした場合、Shell 80、TotalEnergies 58、Chevron 53、bp 52である。前項で触れた通り利益面ではExxonMobil、Chevron、TotalEnergies、Shell、bpの順であり、ExxonMobilは売上及び利益の両面でトップ企業の貫録を示している。

 

(ExxonMobilの利益率9.9%!)

3.売上高利益率 (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-53.pdf 参照)

IOC5社の今期売上高利益率はExxonMobilが9.9%と最も高い。これに次ぐのはChevron 8.9%、TotalEnergies7.0%であり、Shellの利益率は5%を切り、bpは▲0.3%である。

 

前期(1-3月期)と比較すると、Chevron、Shell及びTotalEnergiesは10%以上の利益率を示し、ExxonMobilも9.9%と高い利益率を示している。これに対してbpの利益率は4.5%にとどまっている。1年前の前年同期はChevronが12.7%と5社の中で最高の利益率を上げ、ExxonMobil(9.5%)、TotalEnergies(7.3%)がこれに続き、Shellとbpは4%にとどまった。

 

5社の傾向としてはExxonMobil、Chevron及びTotalEnergiesが毎期比較的高い利益率を示しているのに対し、Shellは変動幅が大きく、bpは5社の中で最も低い水準に終始している。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                   E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp

 

 

[1] 「純利益」は各社資料から下記項目を抽出した。

ExxonMobil:Net income attributable to ExxonMobil (U.S. GAAP)

Shell:Incom/loss attributabel to shareholders

bp:Profit (loss) for the period; Attributable to BP shareholders

TotalEnergies:Netincome (TotalEnergies share)

Chevron:Net income

[2] 「売上高」は各社資料から下記項目を抽出した。

ExxonMobil:Total revenues and other income

Shell:Revenue

bp:Total revenue and other income

TotalEnergies:Sales

Chevron:Sales and other operating revenues

 

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増収増益のExxonMobil、減収赤字のbp:2024年4-6月期五大国際石油企業決算速報(5)

2024-08-09 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0610OilMajor2024-2ndQtr.pdf

 

I. 各社の業績概要(続き)

表1-D-4-22a「2024年4-6月期国際石油企業の業績(売上、損益)」参照。

表1-D-4-22b「2024年4-6月期国際石油企業の業績(キャッシュフロー、設備投資)」参照。

表1-D-4-22c「2024年4-6月期国際石油企業の業績(原油・天然ガス生産量)」参照。

 

(安定して高い利益率を誇るChevron!)

5. Chevron

プレスリリース:

https://www.chevron.com/newsroom/2024/q3/chevron-reports-q2-2024-results

(1)売上・利益・利益率

 Chevronの2024年4-6月期は売上高496億ドル、利益44億ドルであった。前期(1-3月期)比では、売上高は6.4%増であったが利益は▲19%減であり、また前年同期(2023年4-6月期)に対しても同様の傾向を示し売上高5%増に対して利益は▲26%減である。売上高利益率は今期8.9%、前期11.8%、前年同期12.7%であり、比較的安定して高い利益率を誇っている。

 

(2)キャッシュフロー

 今期の営業キャッシュフローは63億ドル、投資キャッシュフローは▲40億ドルであり、フリーキャッシュフローは23億ドルであった。また財務キャッシュフローは▲46億ドルであった。なお同社決算資料では期末キャッシュフロー残高は示されていない。

 

(3)原油・天然ガス生産量

 Chevronの4-6月期原油・天然ガスの生産量は、日量平均で原油196万B/D、天然ガス80億立法フィート(cfd)であった。天然ガスを原油に換算した原油・天然ガス合計生産量は329万B/Dである。

 

(続く)

 

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                   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

 

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増収増益のExxonMobil、減収赤字のbp:2024年4-6月期五大国際石油企業決算速報(4)

2024-08-08 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0610OilMajor2024-2ndQtr.pdf

 

I. 各社の業績概要(続き)

表1-D-4-22a「2024年4-6月期国際石油企業の業績(売上、損益)」参照。

表1-D-4-22b「2024年4-6月期国際石油企業の業績(キャッシュフロー、設備投資)」参照。

表1-D-4-22c「2024年4-6月期国際石油企業の業績(原油・天然ガス生産量)」参照。

 

(売上、利益共に前期、前年同期比でマイナス!)

4. TotalEnergies

プレスリリース:

https://totalenergies.com/news/press-releases/second-quarter-and-first-half-2024-results

(1)売上・利益・利益率

 TotalEnergiesの2024年4-6月期は売上高537億ドル、利益38億ドルであった。前期(1-3月期)と比較すると、売上高は▲5%減、利益は▲34%減であり、前年同期(2023年4-6月期)比では売上高▲5%減、利益は▲7%減である。

売上高利益率は今期7%に対し前期は10%、前年同期7%であり安定した利益率を確保している。

 

(2)キャッシュフロー及び設備投資

 今期の営業キャッシュフローは90億ドル、投資キャッシュフローは▲46億ドルであり、財務キャッシュフローは▲68億ドルであった。この結果、6月末のキャシュフロー残高は232億ドルとなっている。

 TotalEnergiesの4-6月期設備投資は46億ドルであった。

 

(3)原油・天然ガス生産量

 TotalEnergiesの4-6月期原油・天然ガスの生産量は、日量平均で原油148万B/D、天然ガス52億立法フィート(cfd)であった。天然ガスを原油に換算した原油・天然ガス合計生産量は244万B/Dである。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

 

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増収増益のExxonMobil、減収赤字のbp:2024年4-6月期五大国際石油企業決算速報(3)

2024-08-07 | 海外・国内石油企業の業績

II. 各社の業績概要(続き)

表1-D-4-22a「2024年4-6月期国際石油企業の業績(売上、損益)」参照。

表1-D-4-22b「2024年4-6月期国際石油企業の業績(キャッシュフロー、設備投資)」参照。

表1-D-4-22c「2024年4-6月期国際石油企業の業績(原油・天然ガス生産量)」参照。

 

(5社の中で唯一赤字計上!)

3. bp

プレスリリース:

https://www.bp.com/en/global/corporate/news-and-insights/press-releases/second-quarter-2024-results.html

(1)売上・利益・利益率

 bpの2024年4-6月期売上高は483億ドルであった。これに対して損益は▲1.3億ドルのマイナスを計上、5社の中で赤字となったのは唯一bpだけである。赤字の主な理由はドイツの製油所などで約13億ドルの減損損失を計上したためである。売上高は前期(1-3月期)比▲3%の減収、前年同期(2022年4-6月期)比も▲3%であった。また利益は前期23億ドル、前年同期18億ドルで共に黒字あった。

 

(2)キャッシュフロー及び設備投資

 今期の営業キャッシュフローは81億ドル、投資キャッシュフローは▲34億ドルであり、また財務キャッシュフローは▲13億ドルであった。この結果、6月末のキャッシュフロー残高は349億ドルとなっている。

 bpの4-6月期設備投資は37億ドルであった。

 

(3)原油・天然ガス生産量

 bpの4-6月期原油・天然ガスの生産量は、日量平均で原油109万B/D、天然ガス23億立法フィート(cfd)であった。天然ガスを原油に換算した原油・天然ガス合計生産量は148万B/DにとどまりExxonMobil (361万B/D)の3分の1にとどまっている。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

 

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増収増益のExxonMobil、減収赤字のbp:2024年4-6月期五大国際石油企業決算速報(2)

2024-08-06 | 海外・国内石油企業の業績

II. 各社の業績概要(続き)

表1-D-4-22a「2024年4-6月期国際石油企業の業績(売上、損益)」参照。

表1-D-4-22b「2024年4-6月期国際石油企業の業績(キャッシュフロー、設備投資)」参照。

表1-D-4-22c「2024年4-6月期国際石油企業の業績(原油・天然ガス生産量)」参照。

 

(前期比利益半減!)

2. Shell

プレスリリース:

https://www.shell.com/news-and-insights/newsroom/news-and-media-releases/2024/second-quarter-2024-results-announcement.html

(1)売上・利益・利益率

 Shellの2024年4-6月期は売上高745億ドル、利益35億ドルで売上高利益率は4.7%であった。前期(1-3月期)との比較では、売上高は3%増、利益は▲52%減であり、また前年同期(2023年4-6月期)比では売上高は横ばい、利益は12%増である。

 

(2)キャッシュフロー及び設備投資

 今期の営業キャッシュフローは135億ドル、投資キャッシュフローは▲33億ドルであり、フリーキャッシュフローは102億ドルであった。また財務キャッシュフローは▲118億ドルであり、この結果、6月末のキャッシュフロー残高は381億ドルとなっており、(残高が明示されていないChevronを除く)4社の中では最も多い。

 Shellの4-6月期設備投資は44億ドルであった。

 

(3)原油・天然ガス生産量

 Shellの1-3月期原油・天然ガスの生産量は、日量平均で原油130万B/D、天然ガス28億立法フィート(cfd)であった。前期比では原油は▲3%減、天然ガスは▲10%減であった。天然ガスを原油に換算した原油・天然ガス合計生産量は178万B/Dである。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

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増収増益のExxonMobil、減収赤字のbp:2024年4-6月期五大国際石油企業決算速報(1)

2024-08-05 | 海外・国内石油企業の業績

 スーパーメジャーと呼ばれる五大国際石油企業(ExxonMobil、Shell、bp、TotalEnergies及びChevron)の4-6月期決算が相次いで発表された。ここでは売上高、利益、売上高利益率、設備投資、キャッシュフロー及び石油・天然ガス生産量について各社の業績を横並びで比較するとともに過去2年間の各社四半期決算の推移を検証する。

 

 なお過去の四半期業績及び2010年から2023年までの通年の業績比較は下記レポートを参照されたい。

http://mylibrary.maeda1.jp/SuperMajors.html

http://mylibrary.maeda1.jp/oil.html

 

  1. 各社の業績概要

表1-D-4-22a「2024年4-6月期国際石油企業の業績(売上、損益)」参照。

表1-D-4-22b「2024年4-6月期国際石油企業の業績(キャッシュフロー、設備投資)」参照。

表1-D-4-22c「2024年4-6月期国際石油企業の業績(原油・天然ガス生産量)」参照。

 

(利益は前年同期比17%増の92億ドル、石油・ガス生産量も前期比二桁増!)

  1. ExxonMobil

プレスリリース:

https://corporate.exxonmobil.com/news/news-releases/2024/0802_exxonmobil-announces-second-quarter-2024-results

(1)売上・利益・利益率

 ExxonMobilの2024年4-6月期は売上高931億ドル、利益92億ドルで売上高利益率は9.9%であった。前期(2024年1-3月期)との比較では、売上高、利益共に12%増であり、また前年同期(2023年4-6月期)比では売上は12%増、利益は17%増である。

 

 売上高及び利益が共に大きく増加したのは原油及び天然ガスの生産量が増えたこと及び価格がアップしたことが要因である。ExxonMobilは昨年、米国独立系企業Pioneer Natural Resourcesを買収しており、またガイアナでの生産増強を行ったことにより、原油・天然ガスの生産が大幅にアップしている(下記参照)。原油価格についてはBrent原油は前年同期に比べ9%、前期に比べ2.2%アップしたことが売上及び利益を押し上げている。

 

(2)キャッシュフロー及び設備投資

 今期の営業キャッシュフローは106億ドル、投資キャッシュフローは▲49億ドルであり、フリーキャッシュフローも49億ドルであった。また財務キャッシュフローは▲126億ドルであり、この結果、6月末のキャッシュフロー残高は265億ドルとなっている。

 ExxonMobilの4-6月期設備投資は70億ドルであった。

 

(3)原油・天然ガス生産量

 ExxonMobilの4-6月期原油・天然ガスの生産量は、日量平均で原油298万B/D、天然ガス82億立法フィート(cfd)であった。天然ガスを原油に換算した原油・天然ガス合計生産量は436万B/Dである。前期と比較すると原油は17%、天然ガスは12%増加しており、原油に換算した合計生産量も前期の378万B/Dから15%の大幅増加となっている。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

 

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ENEOSの年間売上高をしのぐアラムコ利益:邦系2社vs IOCs/Aramco2023年(度)業績比較(8完)

2024-06-12 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本レポートはマイライブラリーで一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0603MajorAramcoEneosIdemitsuMar2024.doc.pdf

 

6.財務キャッシュフロー 

(財務に熱心なアラムコ/メジャーズ、関心の薄い日系!)

(1) 2023年(度)財務キャッシュフロー

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-5-06.pdf 参照)

 2023年(度)の財務キャッシュフローを比較するとENEOSは▲3,310億円(▲23億ドル、換算レート:145円/ドル)であり、出光は▲2,805億円(19億ドル、換算レート:144.6円/ドル)であった。一方メジャー5社はShellが▲382億ドルと最も大きく、次いでExxonMobil(▲343億ドル)、Chevron(▲301億ドル)、TotalEnergies(▲297億ドル)、bp (▲134億ドル)であり、またアラムコは▲1,362億ドルであった。ExxonMobilと比べた場合、アラムコは4倍であり、一方出光は20分の1にとどまっている。

 

(極めてダイナミックなアラムコとメジャー5社の財務キャッシュフロー!)

(2) 2019年(度)~23年(度)財務キャッシュフローの推移

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-5-16.pdf 参照)

 2019年のメジャー5社の財務キャッシュフローはShellの▲352億ドルを筆頭に、ChevronはShellの6割(▲198億ドル)であった。その他3社は70億ドル前後であり、各社の財務戦略には大きな違いが見られた。同年度の日系2社のそれはENEOSが▲11億ドル、出光は15億ドルのプラスであった。またアラムコは▲653億ドルであった。アラムコの財務C/Fが飛び抜けて高く、メジャーズもその多くが300億ドル前後あるのに対して、邦系2社の財務C/Fは極めて少ない。

 

2020年(度)は世界的なコロナ禍と経済縮小の影響を受けてメジャーズ5社は財務改善に走り、ExxonMobilなど3社はプラスに転換、Shellの財務キャッシュフローも前年の5分の1の規模に縮小している。ところが2021年には一転してメジャーズ各社は積極的な財政出動を行っており、ExxonMobil(▲354億ドル)、Shell(▲347億ドル)の2社が▲300億ドルを超え、TotalEnergies、Chevronは250億ドル前後、最も少ないbpも▲181億ドルのキャッシュフローであった。これに対し日系2社は大きな変化は見られず、この傾向は2022年(度)も引き継がれた。

 

 これに対してアラムコの財務C/Fを年々増加しており2022年に千億ドルの大台を突破、2023年の財務C/Fは1,362億ドルに達している。メジャーズ5社も2021年以降年間財務C/Fはほぼ200億ドルを超える水準を維持している。アラムコとメジャーズは極めてダイナミックな財務活動を行っていると言えよう。

 

以上

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

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