石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

石油の純輸入国になったインドネシア - くすぶるOPEC脱退説

2006-04-30 | OPECの動向

(全文は「石油文化」ホームページに掲載)

 インドネシア中央統計局が発表した2005年の貿易収支によれば、石油・ガス分野の輸出額は、原油価格の高騰により前年比23%増の192億ドルであった。しかし国内の石油消費拡大で輸入額も48%増の174億ドルに達している。この結果、かつては外貨獲得の柱であった石油・ガスだが、昨年の黒字は前年比52%減の19億ドル弱に留まっている。石油だけを取れば同国の生産は低迷しており、2004年からは既に純輸入国に転落しているのである。

 この状況に呼応するかのように、昨年2月、インドネシアがOPEC脱退を表明、と言うジャカルタ発のAFPニュースが世界に流れ、同国のエネルギー相は残留するか否かを検討中である、と述べた。

  OPEC(石油輸出国機構)とは文字通り「石油」を「輸出」する「国家」の「カルテル機構」である。その意味では石油の純輸入国となったインドネシアは、OPECメンバーとしての資格を問われると同時に、国内でもOPECに留まることの是非が問題視されるのは当然の帰結であろう。

 その後、インドネシアとOPEC事務局の間で脱退或いはオブザーバーへの地位の変更等について協議が行われたが、5月に石油相はOPEC残留を表明、また7月には引き続き正式メンバーとして残留することが決まり一件落着した。

 しかし同国エネルギー省の高官は、石油製品も含めた場合2004年後半には既に純輸入国になっていると説明しており、原油ベースでも同年の生産量109万バーレル/日(以下B/D)に対して輸出量は41万B/D(いずれもOPEC公式統計)にとどまっており、新規油田開発或いは国内需要抑制等の政策がとられなければ原油輸出国としての地位を取り戻すことは難しい。

 本稿ではOPEC内でインドネシアが置かれている状況を同国の石油生産状況と関連付けて分析するとともに、今後の問題の行方を探ってみたい。

(以下「石油文化」ホームページ参照)

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BP統計に見るエネルギー資源の埋蔵量・生産量・消費量(その3:石油+天然ガス篇)

2006-04-30 | その他

 石油と天然ガスはいずれも炭化水素資源であり、化石燃料である。これら二つは現在エネルギー資源の中枢を占めている。炭化水素資源の化石燃料としては、石油・天然ガスのほかに固体状の石炭、オイルサンド、オイルシェールなどがあり、BP統計によれば全世界の石炭の埋蔵量は9,090億トン(2004年)である。

 オイルサンドあるいはオイルシェールとは、原油を含んだ砂岩または頁岩が地表に露出して揮発成分失ったものであり、カナダやベネズエラには多量のオイルサンドが発見されており、その埋蔵量は原油に匹敵するとも言われている。

  しかしながら石炭、オイルサンドあるいはオイルシェールなどの固体状の化石燃料は製鉄原料のコークス用瀝青炭を除けば、液体燃料の石油や気体燃料の天然ガスのように産業向けにさほど利用されていない。これら固体の化石燃料は燃料効率が低く、なによりも石炭では燃焼後の廃棄物処理の問題があり、またオイルサンドやオイルシェールの場合は乾留して液体状の石油として取り出すのに大きなコストがかかり、さらに揮発成分を失っているためにガソリン溜分の無い重質油であり市場のニーズに合致していない。

  このような理由により本稿では原油と天然ガスの二種類の炭化水素エネルギーを合計した形で国別の比較検討を行うこととする。なお計量単位として通常、石油はバレル(1バレル=約160リットル)が用いられ、また天然ガスは立法メートルが用いられており、また石油の生産及び消費量は1日あたりのバレル量(略号:B/D)で表される。従ってここでは天然ガスを原油の量(バレルまたはB/D)に換算して両者の合計数値を算出している。

*以下詳細は「石油文化」論叢参照。

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情報交換の場に終わった第10回世界エネルギーフォーラム(カタール・ドーハ)

2006-04-25 | OPECの動向

 4/23-24の2日間にわたりカタールのドーハでInternational Energy Forum(IEF)(*1)で第10回世界エネルギーフォーラムが開催され、日本の二階経済産業相ほか世界59カ国及び6の世界機関が参加した。

 原油価格が70ドル/バレルに急騰し、またOPEC加盟国であるイランの核疑惑問題或いはナイジェリアの内紛による石油供給不安の中で、産油国と消費国が石油の価格と供給安定及び需要抑制に共同で取り組む体制作りが期待された。しかし会議では産油国の石油開発投資不足を指摘するIEAなど消費国側の意見に対し、精製能力の不足が価格不安の原因であり原油は十分に供給されているとする産油国側の主張がすれ違ったままで、閉会式の議長総括でも常識論と将来的な対策に触れるだけに終わった。

 二階大臣とOPEC議長との会談が実現、また石油企業トップ相互間及び産油国との情報交換が行われたと思われ(4/23 Arab Times)、イラク石油省幹部が同国への石油開発参入を呼びかける(4/22 Gulf Daily News)など、むしろ会議場外での情報交換に終始したように見受けられる。

 世界の4分の1を消費する米国が参加せず、また開催国のカタールの取り組みも奇妙なほど熱意が感じられなかった(*2)ことが印象に残る。

 * 1 International Energy Forum

 石油等のエネルギーの生産国と消費国の閣僚レベルでエネルギー政策に関わる情報交換、意見交換を行うことにより、共通理解を図ることを目的として、91年に第1次会合をパリで開催。2002年8月、大阪で第8回会議が開かれた。

* 2 ハマド首長が顔を見せないカタールの熱意の無さ、ひょっとして首長家に異変? 

 カタールのハマド首長は開会式にも姿を現さず、タミム皇太子が挨拶を行った。最近のカタールは国際会議の招聘に熱心であり、同国で開催される国際会議ではハマド首長が欠かさず挨拶を行っている。また同首長は頻繁に外遊しており、自らの力を誇示することに非常に熱心である。今回のような世界各国のエネルギー関係閣僚や巨大石油企業のトップが集まる国際会議は、自らのプレゼンスをアピールする絶好の機会にもかかわらず、ハマド首長が表面にでなかったことはどうしてだろうか。

 また日頃首長の動向を詳細に報道しているGulf Times, The Peninsula各英字紙のインターネット版は、このところその動静を全く報道しておらず、Gulf Timesなどは2日以上内容が更新されない状態である。

 IEFを軽視しただけではなく、ハマド首長自身に何らかの理由があったのではないかと憶測する。

***** 最新の業界ニュース(プレスリリース)を見る。 → 「石油文化」ホームページ *****

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クウェートの石油埋蔵量は公式発表の1/2、波紋を投げるPIW記事

2006-04-15 | 今週のエネルギー関連新聞発表
4/15 Arab News (Saudi Arabia) - DPA電
 クウェートの石油埋蔵量は公式発表973億バレルの半分の480億バレルである、との米国の石油専門誌PIWの報道に対し、同国のアハマド石油相はこれを否定し波紋を投げかけている。
 クウェートは昨年5月、同国の確認埋蔵量は973億バレルと公表、また石油相は最近同国で発見された初の大型ガス田により埋蔵量は更に10%増えると述べている。
 PIWはクウェート石油省から漏洩した内部資料により同国の埋蔵量は480億バレルに過ぎず、同国最大のブルガン油田は50年以上生産を続けておりピークを過ぎている、と報道している。これに対し石油相は、PIWの数値はクウェートにある105の油田のうち開発済みの31油田しか対象にしていないため、と説明している。
 同国のal-Shall Economic Consultants社は、国家歳入の大半を占める石油の問題は重要であるとして、政府に事実関係の確認を要求している。
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