(注)HP「中東と石油」で「BP統計レポート:石油篇(2008年版)」の全文を一括してご覧いただけます。
BPが毎年恒例の「BP Statistical Report of World Energy 2008」を発表した。以下は同レポートの中から石油に関する埋蔵量、生産量、消費量等のデータを抜粋して解説したものである。
石油篇(3):世界の石油消費量 (1) 地域別消費量
2007年の世界の年間石油消費量は日量8,522万バレル(以下B/D)であった。これを地域別でみるとアジア大洋州が2,544万B/Dと最も多く全体の31%を占め、次に多いのが北米の2,502万B/D(29%)であった。昨年までは北米の消費量が最も多かったが、今年初めてアジア大洋州が北米を上回った。これら二地域に続くのが欧州・ユーラシア2,010万B/D(24%)であり、これら3地域で世界の石油の84%を消費している。残りの中東(7%)、中南米(6%)及びアフリカ(3%)の3地域を合計しても16%に過ぎず、石油の消費は先進地域(北米、欧州・ユーラシア)及び新興国が多いアジア・大洋州に偏っている(グラフ「地域別石油消費量2007年」http://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/2-D-2-96a-Oil-Consumption-b.gif参照)。
各地域の消費量と生産量(前回参照)を比較すると、生産量では世界の31%を占めている中東が消費量ではわずか7%であり、アフリカも生産量シェア13%に対して消費量シェアは3%に過ぎない。これに対してアジア大洋州は生産量シェア10%に対して消費量シェアは31%、また北米はそれぞれ17%、29%と大幅な需要超過となっている。欧州・ユーラシアは生産量シェア22%、消費量シェア24%でほぼ均衡している。このことからマクロ的に見て、世界の石油は中東及びアフリカ地域からアジア・大洋州及び北米地域に流れていると言えよう。
(2) 国別消費量
国別に見ると世界最大の石油消費国は米国で、2007年の消費量は2,070万B/D、世界全体の24%を占めている。米国一国だけで実に世界全体の四分の1の石油を消費しているのである。米国に次ぐ石油消費国は中国(786万B/D、9%)であり、以下日本(505万B/D、6%)、インド(275万B/D)、ロシア(270万B/D)、ドイツ(239万B/D)、韓国(237万B/D)と続いている。インドは前年の6位から4位に上がっており、旺盛な需要を示している。2位の中国以下6位のドイルまでの5カ国のシェア合計は米国一国と同じ24%である。石油は米、日、独の先進3カ国とBRICsと呼ばれる新興3カ国の合計6カ国で世界の半分を消費している(表「国別石油消費量ベスト20(2007年)」http://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/1-D-2-96-Oil-Consumption-by.gif参照)。
(3) 石油消費の地域別構成の推移
1965年から2007年までの石油消費の地域別構成の推移を見ると以下のようになる。
1965 1975 1985 1995 2007
アジア・大洋州 11% 16% 18% 26% 30%
北米 41% 34% 31% 30% 29%
欧州・ユーラシア 38% 40% 38% 28% 24%
中東 3% 3% 5% 6% 7%
中南米 5% 5% 6% 6% 6%
アフリカ 2% 2% 3% 3% 3%
全世界 100% 100% 100% 100% 100%
表を一見して分かるとおり北米及び欧州・ユーラシア地域のシェアが大きく低下する一方、アジア・大洋州のシェアが大幅に上昇している。北米は1965年には全世界の消費に占める割合が41%に達していたが2007年には29%に下がり、アジア大洋州に首位の座を奪われている。そして欧州・ユーラシアのシェアも1965年の38%から2006年には24%に落ちている。これら2地域のシェアの合計は1965年に79%を占めていたが、その後1975年74%、1985年69%、1995年58%、2007年53%と、年を追うごとにシェアが低下している。これに対して1965年にはわずか11%であったアジア・大洋州のシェアは年々増大し、1995年には欧州・ユーラシアと肩を並べ、2007年には北米のシェアを上回る増加を示している(グラフ「地域別石油消費量の推移、1965-2007年」http://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/2-D-2-96b-Oil-Consumption-b.gif参照)。
(4) アジアの三大石油消費国(日、中、印)の消費量の推移
(上図「日本、中国、インドの石油消費量の推移(1965-2007年)参照。拡大図: http://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/2-D-2-96c-Oil-Consumption.gif)
上記に述べたとおりアジア大洋州の石油消費量は過去半世紀近く大幅に増加し続けている。1965年に328万B/Dであった同地域の消費量は5年後の1970年には倍以上の674万B/Dに達し、更に10年後の1980年には1千万B/Dを突破した。そして2000年には2,100万B/Dを超え、2007年は2,544万B/Dとなり、40年間で消費量は8倍に増えた。
このような増加をもたらしたのは中国(含、香港)とインドの二カ国である。1965年の中国とインドの石油消費量はそれぞれ26万B/D、25万B/Dであり、アジア大洋州の全消費量に占める割合も2カ国合わせて16%に過ぎなかった。しかし1990年以降は特に中国の消費量が急激に増加し、2002年には遂に日本も追い抜き、2007年の中国の石油消費量は820万B/D、地域全体の消費量の32%を占めるに至っている。インドも2007年の消費量は275万B/Dであり、1965年当時の10倍以上に膨れている。
これに対して日本は1965年は地域の全消費量の半分以上(173万B/D、53%)を占め、量的にも1975年には3倍弱の484万B/Dまで増加したが、その後の消費量は殆ど横ばい状態を続け、2007年は505万B/D、地域全体に占める割合も20%にとどまっている。日本が省エネ技術により安定成長を続けたのに対し、中国及びインドはエネルギー多消費型の経済開発により高度成長を遂げた結果であると言えよう。
(石油篇第3回完)
(これまでの内容)
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以上<o:p></o:p>
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